11月9日(日)に、本校体育館で第5回人と人の絆物語作文コンクールが開催されました。 会場は、受賞の喜びに溢れる皆様を始め、この作文コンクール受賞作品の発表を楽しみにしてい る地域の皆様など、多数の皆様のご参加で、自然に心も温まる雰囲気でした。 わが校では、毎年最高学年の6年生が、全員この「人と人の絆物語作文コンクール」に応募し、 自分と周りの人との絆(関わり方)を考え直す良い機会となっています。毎年6年生が書き上げ た作文を読むと、まだ小学生とは言うものの、さすが最高学年としての思いを抱いて毎日を過ご す中で、様々な周りの人との関わりを大切しているのだということが伝わってきます。 私は、今の子ども達の世界は、昔の子ども達の世界より、本当に広がっているのだろうかとよ く思います。確かにテレビ番組では、世界の様子を正に国境もなく伝えてくれますし、歴史を超 えたり宇宙に飛び出したりする空想豊かな映画やゲームは、当たり前のように今の子ども達の周 りに溢れています。よく「バーチャルリアリティ」という言葉が使われ、実際には体験したこと の無いもの、体験できないことを、あたかも実際のように感じて満足してしまうことが、世界の 最先端の出来事のように捉えてしまいがちな昨今です。そして、スマートフォンやインターネッ トが普通の生活道具となり、即時的に全国の出来事が、全世界の情報が、個人レベルまで到達し てしまう現実の中で、私たちの情報世界は広がったように見えても、実は、私たちの人間関係の 広がりは、むしろ狭まっているのではないかと考える時があります。またよく言われる話として、 家族間の会話が減って、親子夫婦間でもメールで意志を伝え合うとか、親子や友達との会話が苦 手でも、インターネット上の知らない人とならこだわり無く考えを伝えることができるなど、本 当に人と人との結びつきがそれで良いのかと考えることもあります。 私たちが暮らす現実生活の中で、益々便利さを追求すると、もしかしてそういった流れが一層 進むのかもしれませんが、人間社会がそのような流れの中で変わりつつある今だからこそ、松原 地区で毎年開催される「人と人の絆物語作文コンクール」に参加することの意義は、わが校の児 童にとって非常に大きいと考えます。 実際にわが校の6年生が、この「人と人の絆物語作文コンクール」で書こうとするものは、ど うしてもまず自分の周りの人との関わり方・つながり方から考えたものになってしまいます。例 えば、その自分の近しいつながりの対象は、もちろん家族であり、そしてスポ少仲間であり、友 達であり、学校生活で出会った1年生であったりします。そこにこそ私は、この「人と人の絆物 語作文コンクール」の意味があると思います。普段は何気なく当たり前のように自分の周りにい てくれる人々を再確認し、自分にとってそういった人々はどのように関わってくれているのか、 自分はそういった人々にどのように関わろうとしてきたのかを自分の言葉で紡ぎ出すのです。こ れは、簡単そうに思えても、子どもだけではなく、大人にとってもなかなか容易なことではあり ません。結局何より自分自身を見つめ直すことになるからです。そして、その結果何気ない日常 の周りの人々とのつながり方から、自分にとって大切なことを思えば思うほど、まず自分から周 りの人との絆を大切にしようと誰しも思うからです。 「私たちは一人では生きられない。」 とは良く言われますが、でも社会が進 めば進むほど、便利になればなるほど、 実は一人でも生きやすくなるという現 実もあります。そんなこれからの世界 に大きく羽ばたく松原地区の子ども達 に、これからも「人と人の絆物語作文 コンクール」に参加して、ぜひ自分と 共に生きる周りの人々との関わり方、 つながり方を問い直し、再確認してほ しいと思います。
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