株式会社ナックイメージテクノロジー モーションキャプチャシステムや 視線計測装置を用いた バーチャルリアリティ 株式会社ナックイメージテクノロジー/小林昭博 1960年台後半よりバーチャルリアリティが生まれ、もう間もなく半世紀が経とうとしている。 この半世紀の間にコンピュータはもちろん、ディスプレイ、ネットワーク、センサ、カメラなどの技術 が発展し、私たちはバーチャルと現実の区別がつかない域にまで達そうとしている。本稿では バーチャルリアリティには欠かせないモーションキャプチャシステムや視線計測装置を用いた バーチャルリアリティの紹介をする。 1 バーチャルリアリティ で私たちはバーチャルリアリティを体感すること ができる。 1968 年にユタ大学にて提唱されたヘッドマウン 視覚情報をバーチャルで表現するためにはHMD トディスプレイ (以下、HMD) がバーチャルリアリ や CAVE といったハードウェアが必要になり、そ ティの起源とされており、それから約半世紀が経 れらのシステムには詳細な位置情報が必須となる。 とうとしている。様々な研究者、コンテンツ制作 HMDであれば被験者頭部の動きを映像に反映する 者、ハードウェアメーカの貢献により現在ではバー (頭部を動かすことに伴う被験者の目に映る景色 チャルと現実の区別がつかない域にまで達そうと をスムーズに連動させる) ことが重要である。頭部 している。 位置情報を正確に反映できなければ、没入感を得 バーチャルリアリティでは没入感というキーワー られないだけではなく、人によっては視覚情報と ドが重要になる。没入感とは意識が集中しその世 行動に差が生じバーチャル酔いが発症する。 界に入り込むという意味であり、現実とバーチャ 聴覚情報が果たす役割は、たとえば、CG 内で ル空間の差が少なければ少ないほど没入しやすい。 歩いている床(地面)の材質 (板張り、雪上等) によ 没入感を得るにはハードウェアとコンテンツの る音の違いを被験者にフィードバックすることで 2 つ要素がある。 被験者は聴覚を通じて CG 空間の地面を実際に歩 行していると感じることができる。 1.1 ハードウェア要素 触覚情報をバーチャルで表現するためには、た 私たちは生活の中で 5 感を駆使し、知覚や行動 とえば CG 空間内のオブジェクトを模したモック を行っている。5 感の中では特に視覚情報は大半 アップを触るといったことを行う。 を占めているが、よりバーチャルへの没入感を与 これらの情報を被験者に与えることで被験者は えるためには聴覚情報や触覚情報も必要となる。 現実との違和感が少なくなりより没入感を味わう これらの感覚をバーチャルに置き換えていくこと ことができる。 eizojoho industrial June 2015︱71
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