主な展示資料 ①脇指 銘 (葵紋)以南蠻鐵於康継末世釼是也 本多飛騨守成重所持内(立葵紋) 個人蔵 ⇒越前松平家と徳川将軍家双方のお抱え鍛冶として活躍した初代康継が名刀 「獅子貞宗」を模して制作した脇指。オリジナルに迫る技巧を示している。 「獅子貞宗」は南北朝時代の名刀工・貞宗の作で、豊臣秀吉が所蔵してい たが、 「大坂夏の陣」で大坂城が炎上し、焼け身(熱を受けて刃文が無くなる こと)となった。これを初代康継が家康の命により再刃(再び焼入れして刃 文をつけ直す)したほか、このように「写し」 (模作)を複数制作している。 ②短刀 銘 行平作 福井初公開 越葵文庫 福井市立郷土歴史博物館保管 ⇒越前松平家伝来の一振。もと福井藩四代藩主、松平光通の所用。刀剣の研磨や鑑定を家業として徳 川将軍家に仕えた本阿弥家では「越前家の大供利」と呼ばれた名物だという。 「供利」とは刀身に透 かし彫りされた「倶利伽羅」 (龍が剣に巻きつき飲み込もうとしている図)をさす。刀の長さに比べ て彫物の大きさの占める割合が大きいことから「大供利」の名があるという。行平は平安時代末から 鎌倉時代初期にかけて活躍した豊後国(現在の大分県)の刀工で、歴史上、刀身に彫刻を施した最古 の刀工といわれている。 長らく東京国立博物館に寄託されていたが平成 24 年、当館にあらた めて寄託され、今回が福井初公開となる。 ③短刀 銘 宗有作元治元年冬至 おもひよこしまなし 福井市春嶽公記念文庫 福井市立郷土歴史博物館所蔵 ⇒幕末の明君・松平春嶽の側近であった中根雪江が、江戸城無血開城 にも尽力した幕臣・大久保忠寛(一翁)から贈呈された短刀。 刀身表裏の錨と楫(かじ)の彫物は「怒りに克つ」の言葉をかけた もの。茎裏に刻まれた「おもひよこしまなし」は「思い邪無し」 。 「論 語」の言葉で「心に一点の曇りも邪悪さもない」の意。 偶然だが、3 月 28 日より開催の「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」に 登場するアニメーション作品にも「いかり」や「かじ」を名にもつキ ャラクターが登場する。
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