IS・LMモデルの解き方

IS-LM曲線の解き方
小畑
結
亀
佳奈美
目次
1. 代入・消去法
2. 逆行列
3. クラメールの公式
(補足: 3×3の行列式)
IS-LM曲線について

IS曲線
財市場の均衡:𝑌 = 𝐶 𝑌 + 𝐼 𝑟 + 𝐺
政府によって決められるもの

LM曲線
𝑀
貨幣市場の均衡:
𝑃
= 𝐿(𝑌, 𝑟)
=𝑏₀+𝑏₁𝑌-𝑏₂𝑟
中央銀行によって決められるもの
𝑟:利子率
𝐺や𝑀が変化したときに
𝑌がどのように
変化するのかを
調べていきます。
𝑟**
𝑟*
𝑌*
𝑌**
𝑌:生産量(𝐺𝐷𝑃)
1.代入・消去法
𝐶=𝑐₀+𝑐₁𝑌
𝐼 = 𝑑₀-𝑑₁𝑟
𝑐₀, 𝑐₁, 𝑑₀, 𝑑₁は係数である。
また、𝑐₁は限界消費性向であり、
0<𝑐₁<1となる。
𝑌 = 𝐶+𝐼+𝐺
𝑌=𝑐₀+𝑐₁𝑌+𝑑₀-𝑑₁𝑟+𝐺
𝐶
𝐼
1
𝑌=
{𝑐₀+𝑑₀-𝑑₁𝑟+𝐺}ー①
1−𝑐₁
𝑀
=𝑏₀+𝑏₁𝑌-𝑏₂𝑟
𝑃
①をYに代入
𝑀
𝑏₁
=𝑏₀+
{𝑐₀+𝑑₀ー𝑑₁𝑟+𝐺}ー𝑏₂𝑟
𝑃
1−𝑐₁
1
𝑏₁
𝑀
𝑟= 𝑏₁𝑑₁ {𝑏₀+
(𝑐₀+𝑑₀+𝐺)- }
1−𝑐₁
𝑃
+𝑏₂
ー②
𝑏₀, 𝑏₁も係数である
1−𝑐₁
②を①に代入する
1
𝑑₁
𝑏₁
𝑀
𝑌=
[𝑐₀+𝑑₀+ 𝑏₁𝑑₁ {𝑏₀+
(𝑐₀+𝑑₀+𝐺)- }+𝐺]
1−𝑐₁
1−𝑐₁
𝑃
+𝑏₂
1−𝑐₁
ー③
③より、
1
𝑑₁
Δ𝑌=
{1- 𝑏₁𝑑₁
1−𝑐₁
+𝑏₂
1−𝑐₁
×
𝑏₁
1
𝑑₁
Δ𝑀
}Δ𝐺+
× 𝑏₁𝑑₁ ×
1−𝑐₁
1−𝑐₁
𝑃
+𝑏₂
1−𝑐₁
𝒃₀, 𝒃₁, 𝒄₀, 𝒄₁, 𝒅₀, 𝒅₁は
係数であるため、
無視する。
1
𝑑₁(1−𝑐₁)
𝑏₁
1
𝑑₁(1−𝑐₁)
Δ𝑀
=
{1-
×
}Δ𝐺+
×
×
1−𝑐₁
𝑏₁d₁+𝑏₂(1−𝑐₁) 1−𝑐₁
1−𝑐₁ 𝑏₁d₁+𝑏₂(1−𝑐₁)
𝑃
1
=
1−𝑐₁
=
×
𝑏₁d₁+b₂(1―c₁)―b₁d₁
𝑏₁d₁+𝑏₂(1−𝑐₁)
𝑑₁
Δ𝑀
Δ𝐺+
𝑏₁d₁+𝑏₂(1−𝑐₁) 𝑃
b₂
𝑑₁
Δ𝑀
Δ𝐺+
𝑏₁d₁+𝑏₂(1−𝑐₁)
𝑏₁d₁+𝑏₂(1−𝑐₁) 𝑃
行列式とは…❓

行列式とは…
行列を数式とみなしたもの。
2×2の行列の場合、下のように表せる。
𝑎
𝑐
𝑏
=𝑎𝑑 − 𝑏𝑐
𝑑
また、
𝑎𝑥 + 𝑏𝑦 = 𝑒
𝑐𝑥 + 𝑑𝑦 = 𝑓
𝑎
𝑐
𝑏
𝑑
𝑥
𝑒
𝑦 = 𝑓
1
𝑌=
{𝑐₀+𝑑₀-𝑑₁𝑟+𝐺}ー①
1−𝑐₁
𝑀
=𝑏₀+𝑏₁𝑌-𝑏₂𝑟 -②
𝑃
①より、
1 − 𝑐₁ 𝑌+𝑑₁𝑟=𝑐₀+𝑑₀+𝐺 ―①‘
①,②を用いて行列の形で表す
両辺に(1 − 𝑐₁)をかける
②より、
−
𝑀
𝑏₁𝑌+𝑏₂𝑟=b₀-
𝑃
―②‘
②を移項する
①‘,②’の式を行列で表すと…
𝑐₀
1 − 𝑐₁ 𝑑₁ 𝑌
1
0
= 𝑏₀ +
𝐺+
−𝑏₁ 𝑏₂ 𝑟
0
−1
𝑀
𝑃
IS曲線
LM曲線
この行列を用いて、
逆行列・クラメールの方式を解いていきます。
2.逆行列

逆行列とは?
𝑎
𝐴=
𝑐
1
𝑏
𝑑
−1
の逆行列は、𝐴 =
𝑎𝑑−𝑏𝑐 −𝑐
𝑑
−𝑏
𝑎
(思考ツールとしての数学P139)

正方行列
行の個数と列の個数が同じ行列
例えば、2行2列ならば2次正方行列といいます。

逆行列を用いたやり方
1 − 𝑐₁ 𝑑₁
𝐴=
とすると、𝐴−1 はどうなるか。
−𝑏₁ 𝑏₂
−1
𝐴
1 − 𝑐₁
=
−𝑏₁
−1
=
1
1−𝑐₁ 𝑏₂+𝑑₁b₁
𝑐₀
𝑌
1
0
= 𝑏₀ +
𝐺+
𝑟
0
−1
1 − 𝑐₁ 𝑑₁
−𝑏₁ 𝑏₂
1 − 𝑐₁ 𝑑₁
−𝑏₁ 𝑏₂
𝑑₁
𝑏₂
−1
1 − 𝑐₁ 𝑑₁
−𝑏₁ 𝑏₂
𝑏₂
𝑏₁
−𝑑₁
1 − 𝑐₁
1 − 𝑐₁
両辺に
−𝑏₁
𝑀
𝑃
1 − 𝑐₁ 𝑑₁
𝑌
=
−𝑏₁ 𝑏₂
𝑟
−1
𝑑₁
𝑏₂
𝑐₀
1
0
{ 𝑏₀ +
𝐺+
0
−1
−1
をかける
𝑀
}
𝑃
𝑏₂
𝑏₁
𝑌
=
𝑟
1
1−𝑐₁ 𝑏₂+𝑑₁b₁
Δ𝑌=
1
{
1−𝑐₁ 𝑏₂+𝑑₁b₁
=
=
b₂
1−𝑐₁ 𝑏₂+𝑑₁b₁
𝑐₀
−𝑑₁
1
0
× { 𝑏₀ +
𝐺+
1 − 𝑐₁
0
−1
𝑏₂
𝑑₁
Δ𝐺+
𝑏₁
𝑐₁ − 1
Δ𝐺+
𝑑₁
Δ𝑀
1−𝑐₁ 𝑏₂+𝑑₁b₁ 𝑃
b₂
𝑑₁
Δ𝑀
Δ𝐺+
𝑏₁d₁+𝑏₂(1−𝑐₁)
𝑏₁d₁+𝑏₂(1−𝑐₁) 𝑃
𝑀
}
𝑃
Δ𝑀
}
𝑃
𝒃₀, 𝒃₁, 𝒄₀, 𝒄₁, 𝒅₀, 𝒅₁は係数
であるため、無視する。
3.クラメールの公式
𝑎
例)
𝑐
𝑏
𝑑
𝑥=
=
𝑒
𝑓
𝑎
𝑐
𝑥
𝑒
𝑦 = 𝑓
𝑏
𝑑
𝑏
𝑑
𝑑𝑒−𝑏𝑓
𝑎𝑑−𝑏𝑐
という行列があるとする。
𝑒
𝑎 𝑏
の1列目を 𝑓 にする
𝑐 𝑑
𝑎 𝑏
を代入
𝑐 𝑑
行列式にする
では、𝑦 について解くとどうなるだろう?
𝑦=
𝑎
𝑐
𝑎
𝑐
𝑒
𝑓
𝑏
𝑑
𝑎𝑓−𝑐𝑒
=
𝑎𝑑−𝑏𝑐
𝑒
𝑎 𝑏
の2列目を 𝑓 にする
𝑐 𝑑
𝑎 𝑏
を代入
𝑐 𝑑

クラメールの公式を用いたやり方
まず、 ∆𝐺について考えていく。
1 − 𝑐₁
−𝑏₁
Δ𝑌=
𝑑₁
𝑏₂
1 𝑑₁
0 𝑏₂
1−𝑐₁ 𝑑₁
−𝑏₁ 𝑏₂
𝑐₀
𝑌
1
0
= 𝑏₀ +
𝐺+
𝑟
0
−1
𝑀
𝑃
1
にする
0
1 − 𝑐₁ 𝑑₁
Yの係数
を代入
−𝑏₁ 𝑏₂
1行目を𝐺の係数
∆𝐺
=
1×𝑏₂−𝑑₁×0
∆𝐺
(1−𝑐₁)×𝑏₂−𝑑₁×(−𝑏₁)
=
b₂
𝑏₁d₁+𝑏₂(1−𝑐₁)
Δ𝐺
同様に、ΔM についても考えていく。
𝑐₀
1 − 𝑐₁ 𝑑₁ 𝑌
1
0
= 𝑏₀ +
𝐺+
−𝑏₁ 𝑏₂ 𝑟
0
−1
ΔY=
0 𝑑₁
−1 𝑏₂ Δ𝑀
1−𝑐₁ 𝑑₁ 𝑃
−𝑏₁ 𝑏₂
0×b₂−𝑑₁×(−1)
Δ𝑀
=
(1−𝑐₁)×b₂−𝑑₁×(−𝑏₂) 𝑃
𝑑₁
Δ𝑀
=
𝑏₁d₁+𝑏₂(1−𝑐₁) 𝑃
𝑀
𝑃
0
1行目を𝑀の係数
を代入
−1
1 − 𝑐₁ 𝑑₁
Yの係数
を代入
−𝑏₁ 𝑏₂
補足: 3×3の行列式
次の3×3の行列があるとする。
𝑎₁₁ 𝑎₁₂ 𝑎₁₃
𝑎₂₁ 𝑎₂₂ 𝑎₂₃
の行列式は、
𝑎₃₁ 𝑎₃₂ 𝑎₃₃
𝑎₁₁ 𝑎₂₂ 𝑎₃₃- 𝑎₁₁ 𝑎₂₃ 𝑎₃₂+ 𝑎₁₂ 𝑎₂₃ 𝑎₃₁ -𝑎₁₂ 𝑎₂₁ 𝑎₃₃+ 𝑎₁₃ 𝑎₂₁𝑎₃₂-𝑎₁₃ 𝑎₂₂ 𝑎₃₁
と表すことができる。
では、正 や 負 はどのように決まっているのか?

偶順列
1
このように、
1→2→3, 2→3→1, 3→1→2の順のとき
2
3

偶順列といい、符号が 正(+)になる。
奇順列
1
このように、
3
2
1→3→2, 2→1→3, 3→2→1の順のとき
奇順列といい、符号が負(-)になる。
ご清聴ありがとうございました。