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横浜市立大学(前期)【生物】解答例 〔I〕
⑴ 95℃−DNAの二本鎖を解離する。
60℃−一本鎖DNAにプライマーを結合させる。
72℃−DNAポリメラーゼによりDNA鎖を伸長させる。
⑵
正常型のGAAを含む部分に結合するプライマーを設定してPCR法
を行うと,正常型の場合のみDNAが増幅されるので,増幅されれば
正常,されなければALDH2欠損症と診断できる。(86字)
⑶
DNA断片を挿入する部位に,その断片の切り出しに使用した制限
酵素で切断できる塩基配列があること。また,挿入部位のすぐ上流に
RNAポリメラーゼが結合するプロモーターがあること。
⑷ 大腸菌にはもともと存在しない,任意の抗生物質に抵抗性を示す遺
伝子を組み込んだプラスミドに遺伝子を導入する。導入後,その抗生
物質を含む培地に移し,増殖したコロニーを選択する。
⑸ 酵母は真核生物であり,酵素タンパク質Xは小胞体とゴルジ体によ
る修飾を受けて活性を示す酵素になる。大腸菌は細胞小器官をもたな
い原核生物であり,酵素タンパク質Xへの修飾が起こらなかったため
活性を示さなかったと考えられる。(108字)
⑹ 紫花:白花=15:1
⑺ F2 世代の各個体について自家受精を行い,得られた種子から育った
次世代が,紫花だけなら F2 個体は優性ホモ接合体であり,紫花:白
花=3:1で生じたら F2 個体はヘテロ接合体であったと決定できる。
(88 字)
⑻ Fn 世代では,AA:Aa:aa=2n-1−1:2:2n-1−1 となる。
よって,F5 世代におけるホモ接合体の出現率は
F5 世代におけるホモ接合体の出現率は Q=
F5 世代−93.75%,
Fn 世代−Q=
2
n
-2
2
n
100〔%〕
2
n
30
100=93.75%。
32
-2
2
n
100〔%〕
〔Ⅱ〕
⑴
ア
頭部の表面外胚葉は眼胞の誘導を受けて水晶体に分化するが,
胴部の表面外胚葉は眼胞の誘導を受けない。(48 字)
イ
眼胞でPax6遺伝子が発現すると,他の分子と共に水晶体誘導
因子の形成を促す。この因子形成にPax6タンパク質は不可欠で
はないが,欠損すると因子量が減る。一方,頭部表面外胚葉にと
って誘導因子への応答にPax6タンパク質は不可欠で,欠損する
と水晶体形成が生じない。(130字)
⑵ ウ
外胚葉は,アクチビンのみが作用したときに最も脊索に分化し
やすく,レチノイン酸の濃度が上がるにつれて分化しにくくなる。
(58字)
エ
外胚葉は,アクチビンとレチノイン酸の両方が作用すると腎節
に分化する。最も腎節に分化しやすいレチノイン酸の濃度は中濃
度のときである。(65字)
オ
計算式−
×
−
. ×
=240
分子数−240分子
濃度が
#
×
−
$
×
−
mol (6.0 1023)個/mol %%
のとき−2.4分子
&
((
'
〔Ⅲ〕
⑴ a−ノルアドレナリン
b−アセチルコリン
c−拮抗作用
d−受容体(レセプター)
e−チロキシン
f−フィードバック(調節)
g−0.1
⑵ 内分泌腺
外分泌腺
分泌物
上皮
上皮
腺細胞
腺細胞
血管
排出管
分泌物
説明−内分泌腺はホルモンなどの分泌物を体液中に直接放出する。
外分泌腺は排出管(導管)を通じて汗や消化液などの分泌物を
体外に放出する。
⑶ 受容体のホルモン結合部位の近傍に結合し,ホルモン結合部位がふ
さがれたり立体構造が変化するような抗体が産生されると甲状腺の
機能低下を起こし,ホルモン部位にホルモンの代わりに結合するよう
な抗体が産生されると,甲状腺の機能亢進を起こす。
⑷ 血糖値の上昇を間脳の視床下部で感知すると,副交感神経によりす
い臓からインスリンの分泌が促進され,血糖値を低下させる。血糖値
が低下すると,交感神経によりすい臓からグルカゴン,副腎髄質から
アドレナリンの分泌が促進され,視床下部からの放出ホルモンと脳下
垂体前葉からの刺激ホルモンを介して,副腎皮質から糖質コルチコイ
ドを分泌させ,その作用で血糖値は上昇する。(175字)
⑸
↑
血
糖
値
︵
健康な人の
インスリン量
健康な人の血糖値
︶
↑
イ
ン
ス
リ
ン
量
︵
︶
↑
食事
時間→
(解答用紙がないため予想図)
治療方法とその理由−Ⅰ型糖尿病の患者において,血中のインスリ
ン濃度が著しく低下していることから,インスリンを静脈注射
する治療法が効果的である。インスリンは胃液で分解されてし
まうタンパク質ホルモンであるため,経口投与による治療は適
さない。
〔Ⅳ〕
⑴ a−青色(青紫色)
d−フィトクロム
b−さく状
c−短日
e−フロリゲン
f−中央
⑵ 光中断により連続暗期を限界暗期より短くすると,短日植物の花成
は阻害される。一方,明期の中央で短時間の暗黒にしても,花成に影
響を与えない。したがって,花成を制御する暗期は連続している必要
があるとわかる。(100字)
⑶ クロロフィルはチラコイドに局在して,光をエネルギー源とする同
化色素。フィトクロムは光を情報源として利用する色素タンパク質。
赤色光を受容して活性型になると,細胞質から核内に移行して遺伝子
発現を調節する。(100字)
⑷ 短日条件を葉で受容しフロリゲンを形成すると,師管液と共に茎頂
部に移行する。一方,長日条件では,師管液中に花成阻害因子が存在
する。短日条件でフロリゲンを形成しても,阻害因子が共存すると花
成率は低下する。(100字)
⑸ 胞子は単独で発芽し,配偶体を形成する。配偶子は,雌性と雄性の
両配偶子の接合を経て,胞子体を形成する。(50字)