国際的山岳リゾートの形成

平成 26 年度
政策研究
研究報告書(概要版)
研究テーマ NO.6
国際的山岳リゾートの形成
伊藤 聡平 1) 兼子 美信 2) 福澤 修 3) 山内 彩可 4)
田中 陽如 5) 平沢 公彦 6) 伊藤 晃 6) 宮澤 雅子 7)
1)伊那市農林部耕地林務課、2)伊那市高遠町総合支所産業振興課、3)駒ヶ根市企画振興課
4)上伊那地方事務所地域政策課、5)上伊那地方事務所商工観光課、6)上伊那地方事務所林務課
7)上伊那農業改良普及センター
1.はじめに
観光業による地域経済の活性化にあたり、日本の人口が減少している近年では、外国人
観光客の呼び込みは非常に重要である。
上伊那地域は、南アルプス、中央アルプスに代表される山岳観光資源を保有しているが、
山岳を利用した観光業は未発達であり、外国人観光客は少ない。当地域は、電子・電気部
品及び機械加工などの加工組立産業が集積する製造業が主軸となっており、為替等の国際
情勢や最終製品の売上状況等、外的要因に影響を受け易いため、不安定な地域経済である。
そこで、外国人観光客の増加を通じて、上伊那地域の経済の活性化、安定化を図るため、
国際的山岳リゾートの形成について政策研究を行った。
2.現状
上伊那地域の観光状況は、
図.1 のとおりである。観光消
費額、宿泊客数、外国人宿泊
者数ともに、長野県内で下位
に位置している。また、日帰
り客が多く、宿泊客が少ない
通過型の観光地である。
上伊那地域は中央アルプ
ス、南アルプスを保有してい
るが、登山客は市街地には宿
泊せずに、下山後に帰ってし
図.1 長野県の観光状況
まう傾向にある。
上記の現状を改善するために、外国人観光客の誘致、及び通過型の観光地から滞在型の
観光地への変換が必要である。
3.施策提案
外国人観光客の増加、滞在型観光地への変換のためには、観光資源である山岳地と経済
の中心である市街地を繋ぎ、地域全体で観光業を発達させる必要がある。そこで、山岳地
の麓の町である伊那市高遠町に、外国人観光特区 Foreigner’s Village Area(通称 FVA)を
設定し、広域的な観光業の発達を図る。
図.2 に示した FVA 構想では、①外国人が滞在しやすい環境、②日本の文化を楽しめる環
境、③健康でエコな環境をコンセプトとした町づくりを行う。コンセプトに基づき様々な
施策により外国人を誘致し、長期滞在を促進する。
また、FVA の中心組織として、
おもてなしゲートセンター
(OGC)を設置する。OGC は、
FVA 構想の総合的な企画・運営、
宿泊・観光情報等の一元的な管
理、外国人の問合わせや滞在時
の困りごとに対し直接対応を
行う。組織は株式会社(第三セ
クター)であり、構成メンバー
を県、市町村、観光協会、地元
企業、地域組織・団体等とし、
広範な情報集約、活動を目指す。
図.2 FVA 構想図
4.おわりに
上伊那地域では、地域経済を活性化させる住民主体の取り組みが近年盛んになってきて
いる。また、今後、平成 32 年東京オリンピック開催、平成 39 年リニア中央新幹線開通等、
外国人誘客の機会が多い。本構想について住民への説明を行い、理解と協力を頂きスケジ
ュールを進めていくことが必要である(図.3)
。
FVA 構想の実現により上伊那地域の新たな観光づくりが行われ、地域経済の活性化に繋
がるものと考える。
図.3 FVA 構想のスケジュール
最後に本研究を進める際に、ご協力頂いた地域の皆さまに感謝の意を表します。