日本の発行体格付AA+[安定的]を維持

NEWS RELEASE
2015年02月23日
【格付維持】
日本
外貨建発行体格付: AA+ [格付の方向性:安定的]
自国通貨建発行体格付: AA+ [格付の方向性:安定的]
格付投資情報センター(R&I)は上記の格付を公表しました。
【格付理由】
消費増税後の消費落ち込みで停滞していた景気は回復に転じている。2015年度の政府予算案では税収
増を背景に新発国債発行額が抑制され、同年度に設定されていた財政健全化の中間目標達成が視野に
入った。財政状態が深刻なことに変わりはなく先行き楽観はできないが、経済再生・財政健全化への軌
道は外れていないと判断し、外貨建及び自国通貨建発行体格付AA+を維持した。格付の方向性は安定的。
2014年4月の消費増税前の駆け込みの反動は、多くの調査機関の予測より大きく、国内総生産(GDP)
は2四半期連続でマイナス成長を記録した。その影響で2014年度通年でも実質0.6%程度のマイナス成長
が予想されている。しかし景気は既に上向いている。2014年後半からの急速な原油価格下落の効果もこ
れから出てくる。政府は2015年度予算における経済見通しとして実質1.5%の成長を想定している。
注目点は、延期された2回目の消費増税が実施される予定の2017年4月までに、どれだけ経済の足腰を
強くできるかだ。国内民間需要が力強く伸びてこなければ、政府・日銀が狙う2%の物価上昇はむしろ景
気のブレーキになる。財政出動による景気刺激や大規模金融緩和にいつまでも頼らざるを得ず、財政規
律が失われかねない。規制改革などを柱とする成長戦略を大胆に推進していくことが重要だ。
2015年度予算の税収見込みは54.5兆円と、1991年度以来の高水準だが、歳出額も過去最高になってい
る。基礎的財政赤字のGDP比率を2010年度比半減させるという目標の達成を視野に入れたのは一応、評価
できる。ただ、税収額や債務比率を左右するGDP動向が見通し通りとした上で、税外収入の活用や2014年
度補正予算執行の効果に伴う税収増などを見込んでおり、構造的な収支の改善とはいえない。
政府は2015年の年央にも新たな財政再建計画を公表する予定。中長期的な経済成長率の設定や、赤字
削減目標、社会保障費抑制の具体的な達成手段、健全化へのコミットメントを高める財政制度改正など
の議論に注目していく。なお、2015年度の国債発行計画をみると、借換債が116兆円と新規国債をはるか
に上回る規模になっている。日本の財政が金利上昇に脆弱になっている点には留意が必要だ。
大規模金融緩和に伴い日銀の国債保有が急増、国債・財投債・国庫短期証券の保有シェアは20%を超
えてきた。国債金利は異常なほど低位に保たれているが、インフレ目標にこだわって流動性の大量供給
を続けたうえで、その処理を誤れば、急激かつ大幅な金利上昇を招き、金融システムを揺るがすなどし
て日本経済に打撃を与えかねない。景気・財政の動向とともに、金融政策も注視していく必要がある。
国内の資金循環構造に大きな変化はない。ただ、2014年の貿易赤字は10.4兆円(国際収支ベース、速
報値)まで拡大している。同年の経常収支は黒字を保ったものの、その幅は2.6兆円と過去最低水準に
なっている。ただ、急速な円安にもかかわらずこれまで伸びが鈍かった数量ベースの輸出が2014年後半
から上向いてきた。一方、輸入の伸びは抑えられている。貿易収支が改善に向かうか注目される。
2015年度の財政赤字は縮小が予想されるとはいえなお大きく、GDPの2倍以上と先進国では例をみない
水準に達している政府債務の増大には歯止めがかかっていない。経済や産業の基盤はなお強く、国債を
消化していけるだけの貯蓄を生み出せているが、高齢化が進むとともに人口が減少局面に入っているこ
とを踏まえると、財政健全化に道筋をつけるまでの時間的余裕がそれほどあるわけではない。
■お問合せ先 :インベスターズ・サービス本部 TEL.03-3276-3511 E-mail [email protected]
■報道関係のお問合せ先 :経営企画室(広報担当) TEL.03-3276-3438
株式
会社
格付投資情報センター
〒103-0027東京都中央区日本橋1-4-1 日本橋一丁目三井ビルディング http://www.r-i.co.jp
信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見であり、事実の表明ではありませ
ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
き、何ら責任を負いません。信用格付は、原則として発行体から対価を受領して実施したものです。なお、詳細につきhttp://www.r-i.co.jp/jpn/policy/policy.html をご覧下さい。
ⓒRating and Investment Information, Inc.
NEWS RELEASE
世界経済の情勢をみると、米国経済は順調に拡大しているものの、ギリシャ問題に揺れる欧州経済は
停滞を脱しきれず、中国をはじめとする新興国の経済の動向も不透明になっている。地政学リスクも増
大している。日本経済の回復状況とともに、今夏に策定される財政健全化計画の内容や、その実行に向
けた政府の姿勢なども確認したうえで、格付に反映させていく。
【格付対象】
発行者:日本
名称
格付
格付の方向性
外貨建発行体格付
AA+(維持)
安定的
自国通貨建発行体格付
AA+(維持)
安定的
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ん。また、R&Iは、信用リスク以外のリスクにつき意見を表明するものではなく、投資判断や財務に関する助言や、投資の是非等の推奨をするものではありません。R&Iは、信用格付に
際し関連情報の正確性等につき独自の検証を行っておらず、これに関し何ら表明も保証もいたしません。R&Iは、信用格付(変更・取り下げ等を含む)に関連して発生する損害等につ
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NEWS RELEASE
信用格付に関わる事項
信用格付業者
登録番号
株式会社格付投資情報センター
金融庁長官(格付)第6号
直近一年以内に講じられた監督上の措置は、ありません。
主任格付アナリスト
関口 健爾
信用格付の付与について
代表して責任を有する者
神林 尚
信用格付を付与した日
2015年02月18日
主要な格付方法
ソブリンの格付の考え方 [2012.03.16]
上記格付方法は、格付を行うにあたり考慮した他の格付方法とともに以下のウェブサイトに掲載して
います。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/methodology/index.html
評価の前提は、以下のウェブサイトの格付付与方針に掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/ratingpolicy/index.html
格付符号とその定義は、以下のウェブサイトに掲載しています。
http://www.r-i.co.jp/jpn/cfp/about/definition/index.html
格付関係者
日本
注 格付関係者は、金融商品取引業等に関する内閣府令第三百七条に基づいて、R&Iが判断したものです。
利用した主要な情報 政府を含む公的機関が作成した財政・経済資料
品質確保のための措置 政府を含む公的機関が作成した、またはそれに準じた信頼性が確保さ
れている資料であること。
情報提供者 -
信用格付の前提、意義及び限界
R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定
通りに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見です。R&Iは信用格付によって、個々の債務等
の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見
を表明するものではありません。信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の
表明ではありません。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、又はその他の意見に
ついての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、い
かなる保証もしていません。
R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じていますが、これらの
情報の正確性等について独自に検証しているわけではありません。R&Iは、必要と判断した場合に
は、信用格付を変更することがあります。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格
付を保留したり、取り下げたりすることがあります。
利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が
高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付又は保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがあり
ます。
信用格付に関わる留意事項
当該信用格付は、格付関係者からの依頼によるものではありません。
格付関係者から信用評価に重要な影響を及ぼす非公開情報は入手していません。
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