限界集落フィールドワーク ~雪かきや祭りの体験を通して

限界集落フィールドワーク
~雪かきや祭りの体験を通して~
くた
雪かきや夏祭り「松上げ(※) 」への参加を通して、京都市左京区久多地域を学生の力で
盛り上げ、日本の社会問題「限界集落」に挑んでいます。
※松上げ・・・高い灯篭木の上に作った笠に松明を投げ上げ愛宕神社へ奉納する火祭り。市の無形民俗文化財に指定。
雪かきの様子
久多地域にホームステイに訪れたカンボジア人学生
◇ 大学の役割 ◇
学生の力が地域への刺激になるような交流を目指し、一人暮らしの高齢者の方の家の周りの雪かきや、歴史あ
るお祭りの運営等のスタディツアーを企画している。学生にとってはTV等でしか触れることのなかった田舎暮
らしを体験し、限界集落・少子高齢化問題を考えるきっかけづくりの場にもなっている。また、毎年12月には
カンボジア人学生とともに久多地域の「もりんちゅ」(築250年の古民家を改装)にてホームステイを行ってい
る。カンボジア人学生は、限界集落の実情や、田舎の文化など、彼らのイメージにはない日本の側面について理
解を深めている。また、その際には地域の小学校を訪問し、日ごろ外国人や大学生と接する機会の少ない小学生
との交流も図っている。
限界集落の地域活性化は一朝一夕で解決できる問題ではなく、集落に大きな変化をもたらすことはできないか
もしれない。だが、地域活動への参画を通して信頼関係を築き、その活動や集落の様子をSNSを使って広く発信、
若い世代へ情報を届けることで地域活性化の起爆剤になることを目標としている。
夏祭り「松上げ」に参加する学生の様子
◇ 活動の概要 ◇
目
的
連携メンバー
および役割
限界集落と言われる地域での活動や交流を通して、地域活性化を図るにはどうすれば良いかを学び、
情報を発信すること
「自然満喫村 もりんちゅ」(京都府京都市左京区久多)のオーナー・・・活動拠点と久多地域の情報を提供
久多里山協会・・・祭りの運営
久多地域の住民の方々・・・学生メンバーへの各種協力
(1)各イベント参加者の地域の実情に対する認識の深まり
(2)久多地域の情報発信
(3)久多地域と学生メンバーとの信頼関係構築
(4)葛川小学校の小学生への、大学生や外国人学生とのコミュニケーションの場の提供
◇ 今後の展望 ◇
かつらがわ
大津市立葛川小学校・・・学生メンバーと小学生との交流の場の提供
関西大学総合情報学部教授 久保田賢一・・・プロジェクト進捗状況の管理、学生に対するアドバイス
プロジェクト学生メンバー・・・企画・運営、広報
活動地域
京都府京都市左京区久多地域
活動期間
2012年12月∼(継続中)
費
企業や財団、地域の助成金の獲得を目指している
用
◇ 成果 ◇
◇ 連携の経緯 ◇
カンボジアの学生を日本に受け入れる機会があり、ホームステイ等を企画。その中で雪かきを体験してもらうプ
ログラムを考えていたところ、ボランティアを募集していた「もりんちゅ」のオーナーと出会う。結果的にその年
は雪かきを体験してもらうことはできなかったが、田舎暮らし体験施設の「もりんちゅ」には、他にも様々なプロ
グラムがあり、カンボジア人学生とともに1泊2日のホームステイを行った。そこから久多地域との交流が始まった。
◇ 解決すべき課題 ◇
(1)過疎化
(2)少子高齢化
(3)人手不足
(1)関わりを継続すること
(2)久多での映像製作や短期のスタディツアープログラムを構想中
(3)ハワイ大学との短期交換プログラムの受け入れ先として検討中
◇ 現場の声 ◇
◇ 研究者の紹介 ◇
・学生
当初は、京都市内にこんな世界があるのかと驚きました。
人との繋がりが生んだプロジェクトですが、責任を持っ
て久多と関わり続けるにはどうすれば良いかと常に自問
自答しています。
久多にはかまどで炊いたご飯、地元の野菜、自分で採っ
てその場で揚げる山菜など、都会では味わえない美味し
いものがたくさんあります。冬はとても寒く雪が深い集
落ですが、出会うのは暖かい人達ばかりです。ぜひ一度
訪れてみてください。
総合情報学部 教授
久保田 賢一
(くぼた
けんいち)
専門は学習環境デザイン。国内では地域の学校や公民館、
海外ではフィリピンやカンボジアなどをフィールドにして、
学生が主体的・自律的に問題解決に取り組む活動を研究して
います。