◇ 大学の役割 ◇ 「ニュースクール(※)」プロジェクト ~伝統野菜「吹田くわい」とかかわる子どもたちの創造活動~ 小学生と関西大学文学部初等教育学専修の大学生が、地元伝統野菜「吹田くわい」の再生・ 普及をめざし、生産農家、市役所、市民と協力し、学びあう活動に取り組んでいます。 吹田市内の小学校において、地元伝統野菜「吹田くわい」をテーマに、「ニュースクール」と名づけた学習プ ログラムを展開。文学部初等教育学専修で小学校教員をめざす大学生が、毎週水曜日の放課後や休日、小学生の 創造活動を支援することを通して、教員としての力量を形成する実習プログラムになっている。 学生が企画した学習コンテンツの一例は以下の通り。 (1)小学校内に設置した鉢でのくわい栽培(くわい生産農家・平野氏による技術指導) (2)iPad等を活用した映像制作(くわいに関するドキュメンタリーやドラマ等) (3)「吹田まつり」でのパレードの実施(各家庭から持ち寄った牛乳パックなどを使った神輿を製作) (4)くわいを使ったレシピの考案および調理実習 上記のコンテンツは、「ニュースクール」が提唱する新たな学習方法の考え方にもとづいて展開されている。 「ニュースクール」は、新たな生活のあり方の創造をめざし、学校の外に出て、より広い現実世界の多様な活動 に参加し、新しいつながりや結びつきをつくり出す「拡張的な学習」を実践しようとするものであり、子どもた ちの想像力と創造性を培うことを重視していることが特徴である。 ◇ 成果 ◇ (1)吹田市内の一部小学校における 「総合的な学習の時間」への採用 (2)子どもの郷土愛の醸成 (3)子どもの創造性の向上 (4)吹田くわいの知名度向上 ◇ 今後の展望 ◇ (1)地域の特色を題材にした学習のモデルケース確立 吹田市イメージキャラクター「すいたん」と ニュースクールの子どもたち 平野農園での吹田くわいの植え付け ※ニュースクール…吹田市立山手小学校の小学生と関西大学文学部初等教育学専修の大学生が、地域の伝統野菜「吹田くわい」をテーマに、 1年間を通したグループ学習や映像作品づくり、農業、調理の体験を通し、協働の学びをつくり出す社会連携プロジェクト ◇ 活動の概要 ◇ 目 的 連携メンバー および役割 ◇ 現場の声 ◇ ・上内さきほさん(吹田市立山手小学校4年生) 学校外の地域社会に貢献する活動への参加を通し、子どもたちの自発性や創造性、社会性を培う学習を実践 大学生や学校の友達と一緒に活動していて、とても楽しいです。 吹田市立山手小学校・・・吹田くわい栽培による学習の主体 吹田くわい生産農家 平野紘一氏・・・くわい栽培の技術指導 吹田市役所地域経済振興室、広報課・・・くわい栽培のサポートおよび広報 奈良女子大学大学院・日本学術振興会特別研究員 冨澤美千子氏・・・学習活動の企画およびサポート 関西大学文学部教授 山住勝広 / 文学部初等教育学専修学生・・・学習活動の企画およびサポート 紙ねんどやダンボールで吹田くわいを作るのが面白かったです。 活動地域 吹田市立山手小学校 活動期間 2005年∼(継続中) だから、ニュースクールが大すきです。 ・髙須はるな(関西大学文学部初等教育学専修3年生) 小学生と大学生が協力し創り出すニュースクールの中で、私は 普段なら経験できない多くの学びを得ています。子ども達と共 吹田まつりでの「くわいのみこし」パレード に自分自身も成長できる場であると思っています。 費 用 2005年∼2009年度は文部科学省「私立大学学術研究高度化推進事業」 / 2010年度以降は日本学術振興会「科学研究費助成事業」による補助金 ◇ 連携の経緯 ◇ 2005年度採択、文部科学省「私立大学学術研究高度化推進事業」において、関西大学人間活動理論研究セン ターが、子どもたちの新たな放課後学習活動「ニュースクール」の実践開発を開始した。学習と日常生活を結び つけ、創造性を育むことを目的に、小学生にとって身近な「食」に着目し、地元の伝統野菜「吹田くわい」を テーマに選定した。また、吹田市立小学校4校に吹田くわいをテーマにした総合的な学習を導入するに至った。 ◇ 研究者の紹介 ◇ 奈良女子大学大学院博士後期課程院生/ 日本学術振興会特別研究員 冨澤 美千子 ( とみざわ みちこ) ◇ 研究者の紹介 ◇ 文学部初等教育学専修教授 山住 勝広 (やまずみ かつひろ) ◇ 解決すべき課題 ◇ (1)環境学習および食育の機会創出 (2)吹田市の伝統野菜「吹田くわい」の復活 (3)郷土の歴史・文化を学ぶ機会の創出 (4)創造性の育成 日本における「子どもの側に立つ教育」の歴史的系譜を、大正 期の自由教育運動から今日の小学校教育まで辿っていく研究に 取り組んでいます。また、吹田くわいをテーマにしたニュース クールと小学校での総合的な学習の実践開発を進めています。 子ども主体の小学校教育をテーマに、カリキュラムと 授業、学習と成長・発達に関する研究に取り組んでい ます。また、日本、フィンランド、アメリカの小学校 教育に関する国際比較研究も進めています。
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