「平成 26 年度職員による政策研究」研究報告書 【概要版】 テーマ:文化財は元気な未来を拓くおらほの「宝」 ~保存だけでなく地域活性化につなげる方策の検討~ グループメンバー 教育委員会事務局文化財・生涯学習課 1 大月 久史(リーダー) 教育委員会事務局教育総務課 西 加奈永 野尻湖ナウマンゾウ博物館 関 めぐみ 長野県埋蔵文化財センター 大竹 憲昭 長野県埋蔵文化財センター 町田 勝則 長野県埋蔵文化財センター 鶴田 典昭 長野県埋蔵文化財センター 黒岩 隆 はじめに 歴史を学ぶ意義はどこにあるのだろうか。歴史は決して過去の出来事の記録ではなく、過去の出来 事から現在を知り、未来への進むべき道を知ることができる。また過去の過ちを再び繰り返さない戒 めにもなる。地域の歴史はみな固有の特徴をもつ。わが町、ひいては長野県のすばらしき誇りを学び 将来に活かすこともできる。 地域の歴史の証拠である文化財を知り、よく学ぶことは、われわれの将来を正しく明るい方向に導 くことにもなる。だからこそ文化財を適切に保存し、未来に引き継いでいくことが、現在のわれわれ の責務でもある。 よって、文化財のもつ重要性を一人でも多くの方に理解してもらうための発信が必要となり、我が グループでは、リアルとバーチャルの二つを軸としたこれまでにない文化財の発信を提案した。 2 ありたい姿と現状 【ありたい姿】 (1)地域に文化財が根付いている 文化財が暮らしの中の一部として、住まう人々の心に当たり前に息づき、気にかけられている。 (2)世代を超えて文化財を共有している地域 年長者のみではなく、若い世代にも文化財が継承されており、文化財を通じて世代間の交流が図 られている。 (3)私の歴史に誇りを持てる地域 自分を形作ってきた地域に愛着を持ち、そこに根付いてきた文化・伝統に誇りを持てている状態。 【現状】 (1)歴史に対する意識の差がある 特定の人々によって文化財が継承され、属人的に管理がなされているケースもある。守り伝えて いこうという意識が共有されていない (2)文化財が知られていない、活かされていない、失われている 時代と共に伝統文化や伝統的な建造物等に対する興味が薄れていく、また、存在自体を知ってい ても保存がなされないままに劣化してしまう場合もある。教育素材としての活用が図られていない。 (3)地域の中での人のつながりが希薄 過疎化により人口の流出が激しい中、世代を越えて地域の人々が集まるきっかけともなっていた 伝統行事の継承が難しくなり、さらに地域間の交流が薄れる循環に陥っている。 3 政策のターゲットと求められる政策 10 代半ば~40 代の人々に文化財について興味を持ってもらい、その結果、自主的に本物を見てみ たいと思ってもらえるところまで変化させられる政策。 4 提案した政策 ○時空を超えたセールスマン(リアルな発信) ・従来の定時的、定点的な発信とは違い、様々なタイミングを捉え、フレキシブルかつタイムリ ーな文化財の発信を行う。 ・発信する対象は、メディアに対する間接的なものと、一般県民に対する直接的なものがある。 ・予算額 需用費(衣装代等)200 千円 ○信州文化財コンシェルジュ(バーチャルな発信) ・インターネット上に県内文化財を新しい切り口で紹介、提案するコンテンツを構築する。 ・ 「願いごと(御利益)」 「今の気分」 「芸能人」 「今が旬」というキーワードで文化財を紹介する。 ・予算額 委託費(ホームページ作成等)500 千円 5 おわりに 職員による政策研究に参加したことで、メンバーそれぞれに学んだこと、感じたことがあるかと思 うが、主にまとめると、既存の枠にとらわれない考え方、多角的に物事を見ること、立場を異にする メンバーとの協働、自分たちの考えや、文化財についてのよりよい発信について考えること、概ね以 上のような貴重な経験ができたことが有益であった。 これらの経験は、政策研究の場だけにとどまるものではなく、今後の通常業務に関わるものばかり であるので、しっかり活かして、それぞれの仕事をよりよいものにしていきたいと思う。
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