『新潟市教育ビジョン』のこれまでとこれから

『新潟市教育ビジョン』
のこれまでとこれから
新潟市教育ビジョンの中では,新潟市が目指す子どもの姿,市民の姿を,
「学力・体力に自信をもち,世界と共に生
きる心豊かな子ども」
「生涯を通じて学び育つ,人間力あふれる新潟市民」としています。それらを具現化するため
に,さまざまな施策や事業を実施計画としてまとめ取り組んできました。特に,後期実施計画(平成22~26年度)に
おいては,重点的に取り組んでいく施策とそれぞれの方向を「5つの『学びの扉』」として示しています。計画最終年度
となる今年度は,市民対象のアンケートを実施し,この「5つの『学びの扉』」についての成果と課題を検証するととも
に,
平成27年度以降の教育ビジョンの進むべき方向についての意識調査を行いました。
(3)
「新潟市教育ビジョン第3期実施計画NEXT&NEW」の策定
新潟市教育委員会では,上記のアンケート結果などから,平成 27 年度以降の教育の方針について,現行の教育
ビジョンの目標や構想を原則的に変更せず,前期・後期に続く第 3 期実施計画として策定することにしました。こ
の第 3 期実施計画では,現行の教育ビジョンを継続しながら重点的に取り組む 5 項目「NEXT5」と新たな教育課
題として取り組む 5 項目「NEW5」を設定しました。
◎後期実施計画の見直しを行ったうえで重点的に取り組む5つの方向「NEXT5」
○ 学・社・民の融合による教育を推進します。
○ 確かな学力・豊かな心・健やかな身体を育む教育を進めます。
○ 子どもの読書活動を推進するとともに,市民が自ら課題解決を図るための読書環境を充実していきます。
○ 子育てや各世代の学びに対する支援に努め,地域の教育力の活用を推進します。
(1)
「新潟市教育ビジョン」8年間の評価
○ 市民から信頼される学校・教育機関となるよう,人材の育成と職場の環境整備を進めます。
新潟市教育委員会では,「新潟市教育ビジョン」の成果について評価いただくため,アンケートを実施しました。
◎新たな視点で取り組む具体的な 5 項目「NEW5」
その結果,回答をいただいた方のおよそ 8 割の方々から肯定的な評価をいただき,教育ビジョンは着実に成果を
あげていると考えています。特に,地域と学校パートナーシップ事業を核とした「学・社・民の融合による教育の推進」
は,9 割以上の方々から肯定的な評価をいただきました。アンケート結果の概要は,次のとおりです
○学・社・民の融合に ○確かな学力・豊かな ○生涯を通じて学べ ○可能性と個性を伸 ○市民感覚に富んだ教職員
よる教育は成果を
心・健やかな体を育
る教育環境整備に
ばす特別支援教育
の育成とゆとりある職場
あげている
んでいる
努めている
を進めている
環境整備に努めている
あまり思わない
5%
だいたい
そう思う
32%
思わない
1%
そう思う
62%
あまり思わない
8%
だいたい
そう思う
33%
思わない
1%
あまり思わない
11%
思わない
1%
あまり思わない
10%
思わない
1%
あまり思わない
19%
思わない
2%
○ 未来の新潟を担う子どもたちの生きる力の育成のため,校種間の連携をさらに強めます。小中学校においては,
一貫した教育への取組を始めます。また,幼保小連携の充実を図りながら新潟市における幼児教育の方向性につ
いて検討を進めます。
○ 世界と共に生き創造性を発揮する新潟の子どもや市民の育成を目指し,コミュニケーション能力向上と ICT 活
用への取組を進めます。
○ 学校や公民館・図書館などにおいて,多様なニーズに応じた学習機会の充実を図るため,企業や民間団体と連
携する取組を始めます。
○ 共生社会の実現を目指すインクルーシブ教育システムの構築に向けた取組を始めます。
○ ニーズと課題に迅速に対応できる教育行政のシステムづくりと学びのセーフティネットの整備を進めます。
そう思う
58%
だいたい
そう思う
43%
そう思う
45%
だいたい
そう思う
36%
そう思う
53%
だいたい
そう思う
34%
そう思う
45%
●実施時期 平成 26 年 2 月~ 3 月
「新潟市教育ビジョン」 ●調査対象 学校教育関係:保護者,教職員,地域教育コーディネーター 等
社会教育関係:公民館・図書館利用者,公民館運営審議委員,図書館協議会委員 等
アンケートの概要
●調査票配布数:3,134 ●回収調査票数:2,481 ●回収率:79.2%
(2)
「新潟市教育ビジョン」のこれからに期待すること
こ の人 に 聞 き た い!
この度,両川中学校(江南区)が校区の優れた取組を認められ,「優れた『地
域による学校支援活動』推進にかかる文部科学大臣表彰」を受けました。その中
心となって活動している両川小,両川中学校の地域教育コーディネーターの佐藤
尚子さんと小菅知美さんにお話をお聞きしました。
Q1 地域教育コーディネーターの活動をされていて,一番印象に残っていることはどんなことですか。
上記アンケートでは,評価と同時に次期計画に期待することについてもご意見を伺いました。次のグラフは,そ
の結果をまとめたものです。
この中では,
「自尊感情を高める子ども」など豊かな心の育成や「確かな学力を高める子ども」など学力の向上
を始め,「信頼される教職員の育成」や「子どものニーズに応じた教育」などが期待の高い項目でした。
全校生徒が30㎞を歩く行事「チャレンジウォーク」で,6年前,地域から初めて参加者を募ったところ,申
し込みが83歳の男性一人だけでした。その方が見事完歩したことをたより等で地域に紹介したところ,次年度
以降,参加者が少しずつ増えていきました。83歳のたった一人の参加から活動の輪が広がっていったというこ
と,また,その方が毎年楽しみに行事に参加してくださり,来年度は90歳の記念ウォーキングになると張り切っ
て歩く練習をしていることが感動的です。
「学校が変わった」
,また,
「学校とかかわる地域が変わっ
Q2 地域教育コーディネーターが学校に配置されたことで,
地域や学校と教育委員会との新しい連携体制の構築
た」と思われるのはどんなことですか。
自ら考え,新たな自分や新しい価値を創造できる新潟市民の育成
生涯にわたり学び続ける新潟市民の育成と学習機会の充実
学校では,地域の方にボランティアをお願いする時に,職員の事前説明や当日の応対など,ボランティアの
方や私たち地域教育コーディネーターへの接し方が丁寧かつ温かくなってきていると感じます。
地域では,「あの人がボランティアで学校に行くのなら自分も行ける」という思いが広がり,ボランティア
の輪がどんどん広がっていった結果,地域住民にとっての学校の敷居が低くなり,以前より来校者・学校支援
者が増えてきていると感じます。
郷土を愛するとともに,地域や世界とつながり,貢献できる新潟市民の育成
進んで学び,確かな学力を高める子どもの育成
さまざまな人々とかかわり,協働する中で自尊感情を高める子どもの育成
心身の健康の保持・増進を図り,
生涯にわたって運動に親しむ子どもの育成
子ども一人ひとりのニーズに対応できる教育への取組
Q3『学・社・民の融合による教育の推進』を掲げて取り組んできた新潟市の教育についてどのようにお感じですか。
幼・保・小・中・高の校種間連携を強化した教育の推進
食育の推進
家庭教育充実の支援
読書活動の推進
地域における生涯学習活動の支援
信頼される教職員の育成(研修プログラムの充実)
その他
0
500
1000
1500
2000
(件)
文部科学大臣表彰授賞式に出席した時,札幌の教育委員会の方が「新潟市を視察させていただいた時,地域
教育コーディネーターが全校配置され,学校と地域との連携がとても進んでいることに驚いた」とおっしゃっ
ていました。新潟市の地域教育コーディネーター制度は全国に誇れるものだと実感しました。
地域で頑張っている人を,地域の未来を担う小中学生にどんどん紹介していくことは,とても意義あること
だと思います。だから,地域の方が学校に入って教育支援することについて,学校職員の皆さんの理解がどん
どん高まっていくことを願っています。