パンとそれをきる道具の関連性 ~パンを温めた包丁で切ると、 なぜ断面がきれいなまま、 切ることができるのだろうか? 石川 菜々子 医10 研究の動機 • 私の祖父と父は以前、おいしいパンを作 って焼いてくれた。 • パンを切るといつも、断面がバサバサに なったり、つぶれてしまった。 • この欠点を解消するにはどうすれば良い のか追求し、解決策を導き出した。 研究の目的 • パンをきれいに切るには、なぜ、温 めた包丁が適しているのか調べる。 • 昨年の研究「パンはなぜ膨らむの か」 の結果を生かし、パンの成分と の関係や、包丁との関係を調べる。 研究の結論 • 行った実験結果から、パンの材料の バターは加熱すると溶けるという性質 を持っていた。 • その性質を結果と結びつけて考えると、 温めた包丁でバターが溶かされたところを 刃が通るから、断面がきれいなまま切る事 ができるのだと結論付けた。 実験の全容 【実験1】研究の確認実験 【実験2】 パンの材料を変える 切れやすさの変化 【実験3】 パンと包丁の温度を逆にする 【実験4】 パンの温度を変える 【実験5】原因の材料の 熱との関係 実験Ⅱ パンの材料を変えて焼くと、 切りやすさはどのように変わるのか 目的 • 材料の組み替えによる変化を調べるため。 • 何が原因で切れやすくなるのか、またどうしたら それより切れにくくなるのか調べる。 • また、パンの切れやすさの違いと、切ったときの それぞれの断面を比べてみる。 実験の方法 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 小麦粉+砂糖+イースト+バター 小麦粉+イースト+塩+バター 小麦粉+イースト+砂糖+塩 以下、材料の配分を変えていく 小麦粉を多くした場合 イーストを多くした場合 砂糖を多くした場合 塩を多くした場合 バターを多くした場合 実験の予想 ① よく膨らむと思う。切れやすさは変わらない だろう。 ② あまり膨らまないと思う。だから少し切れに くいと思う。 ③ 去年はバターを含んだ実験をしなかったので、 予想できない。 ④ 生地が硬くなると思う。だから刃が通りにくいと思う。 ⑤ 通常よりも膨らむだろう。切れやすさに影響は無い と思う。 ⑥ 大きく膨らむと思う。それが、切れやすさに関係する かは、分からない。 ⑦ イースト菌の働きが滞る。あまり膨らまず、固いまま だと思う。 ⑧ 熱と何か関係があると思う。だが切れやすさに対し ては、どうなるか分からない 実験の結果 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ 断面がきれいなまま、切ることができた。 きれいに切れた。 断面が少しバサバサしていた。 力を加えても潰れず、きれいに切れた。 きれいに切ることができた。 生地は大きかったが、さらに切れやすくはない。 少し小さいが、切れやすさは変わらなかった。 熱い包丁で切ってみると皮で少し止まったが、 一回でさくっと切れた。 実験の様子 • まず、右下の写真のように、それぞれ一つ 一つナンバリングして、材料の違うものを 入れました。この方法は、ほかの実験でも 使っていきました。 左:やっている様子 右:ナンバリングした後の様子 一、二次発酵 湿気が飛ばないようにラップをかけて、発酵させた。 またそれぞれ約30分の 一、二次発酵の間には、 中の二酸化炭素を出すためのガス抜きを行った。 <一次発酵> <二次発酵> 発酵の結果 ①小麦粉 砂糖 イースト バター ③小麦粉 イースト 砂糖 塩 ⑥多くする材料:砂糖 ①・③・⑥:大きく膨らん だ。 ②小麦粉 イースト 塩 バター、 ⑦多くする材料:塩 ②・⑦:他より膨らまなかった。 <分かったこと> 砂糖が含まれているものは大きく膨らみ、逆に含まれ ていないと、あまり膨らまない。また塩が、多く材料に含 まれていると、あまり膨らまなくなる。 オーブンで焼き上げた結果 パン 共通材料 加えた 結果 材料 1 6 2 5 3 A 砂糖 ふんわりと大きく焼けた。 イースト バター 小麦粉 食塩 イースト バター 小麦粉 砂糖 特に特徴もなく、 イースト 食塩 ふんわりと焼けている。 小麦粉(多) イースト 砂糖 表面が硬く、他のものより 焦げている。 4 B 8 小麦粉 7 C D バター Aよりも小さいが、ふんわ りとはしている。 パン 共通材料 加えた材料 E 小麦粉 砂糖 食塩 イースト(多) バター F 小麦粉 イースト G H 小麦粉 結果 ふくらみなどに違いは 出なかった。 砂糖(多) 食塩 表面がこげている。 バター 一際ふくらんでいる。 イースト 砂糖 食塩(多) 他のよりもふくらみが少 なく、平べったい。 バター 小麦粉 砂糖 食塩 イースト バター(多) バターでぬるぬるして 材料がうまく混ざらず、 表面が波打ったように なっている。 実験Ⅲ パンと包丁の温度を逆にしても同じこと (パンが切れやすくなる)が起こるのか。 • 目的 包丁を熱し、パンを程よく冷ますと、 よく切れるということが分かったが 包丁を冷たく、パンを温かくしても、 同じ事が起きるか調べるため。 実験の方法 ① 基本のパンの作り方で、2個パンを焼く。 ② 片方は焼いた後、すぐに冷蔵庫で冷やした包丁 で切る。 ③ 断面を写真で撮り、気泡の大きさを記録する。 ④ もう一つは30分くらいたって冷ました後、熱湯で 温めた包丁で切る。 ⑤ 断面を写真で撮り、気泡の大きさを計り記録する。 実験の予想 発生する温度は、熱く熱した包丁で冷たく冷ました パンを切った実験と、同じだと思うので、 同じように切れると思う。 実験の結果 1 2 1、潰れたが切る事は出来た。 しばらくすると元に戻った。 2、断面もきれいなまま、切る事 が出来た。 1、 温かいパンに冷たい包丁 2、熱い包丁に冷やしたパン 実験4 パンの温度を変えてみる • 目的 冷やしたパンと同じように、温めたパンも温めた 包丁できれいに切ることができるのか、調べる。 • 実験の方法 温めた包丁で、常温並みに冷めたパンと、焼いた 直後の温かいパンを切って、きれいに切る事が できるのかを見る。 実験の予想 • 焼きたてのクッキーみたいに、まだ温かい時 は、皮が柔らかいと思う。 • だから、包丁で切るときに、つぶれてしまう気 がする。 • 実験の結果 • 予想の通り、まだ表面が柔らかく、包丁が通 らなかった。 パンが切れやすくなる材料と熱との関係 • 目的 切れやすくなる原因の材料の熱の関係が、結果と関係が あると思うから行った。 • 予想 バターに関係があると思う。実験2で材料を変える実験を したとき、バターを材料に含んでいないものは断面が バサバサになってしまったからだ。 • 実験の結果 1分でバターが溶けてしまった。 研究の結果 • バターが熱に溶けるということは、熱した包丁を使っ た時も溶けるだろう。 • 含まれているバターが、熱した包丁で切っている時 に溶かされて、溶かされた分だけ空洞ができる。 • その弱くなったところを包丁で切れば、きれいに 切る事ができる。 • 温めた包丁で冷ましたパンをきれいに切れるのは、 バターが溶かされるからと、冷まして表面が固くなる からである。
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