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2015 東京大学 理科 数学 解答例
第1問
y = ax2 +
1 − 4a2
4a
を整理し,
4(x2 − 1)a2 − 4ya + 1 = 0
······⃝
1
とする.⃝
1 を a の方程式と考え,その解の 1 つが正となる条件を考える.まず,x = ±1 のと
き⃝
1は
−4ya + 1 = 0
となるので,y > 0 である.
\ −1,x =
\ 1 のとき⃝
x=
1 の左辺を f (a) とすると f (0) = 1 > 0 より求める条件は
(A)
x2 − 1 > 0 すなわち x < −1,x > 1 のとき,
(f (a) のグラフの軸) > 0 かつ (⃝
1 の判別式) ≧ 0
すなわち
y
> 0 かつ 4y 2 − 4(x2 − 1) ≧ 0
2(x2 − 1)
よって,y 2 − x2 ≧ −1,y > 0.
(B)
x2 − 1 < 0 すなわち −1 < x < 1 のとき,f (0) = 1 である上に凸なグラフとなるので,
y は任意の実数.
したがって,放物線 C の通過する領域は次図のようになる.ただし,境界は x = ±1 かつ
y ≦ 0 の部分のみ含まない.
第2問
(1)
n 回さいころを投げ,文字列を作るとき,文字列の左から n 番目の文字が A 以外の文字
となる確率を qn とおく.
n + 2 回さいころを投げ,文字列を作るとき,文字列の左から n + 2 番目の文字が A 以外の
文字となるのは
(ア)
1 回目のさいころ投げの結果が 1,2,3 で,つづく n 回のさいころ投げで新たにつな
げられる文字列の左から n 番目の文字が A 以外の文字となるとき
(イ)
1 回目のさいころ投げの結果が 4,5,6 で,つづく n + 1 回のさいころ投げで新たにつ
なげられる文字列の左から n + 1 番目の文字が A 以外の文字となるとき
であるから
qn+2 =
1
1
qn+1 + qn
2
2
(n = 1,2, · · · )
······°
1
となる.°
1は
1
1
qn+2 + qn+1 = qn+1 + qn
2
2
{
}
1
1
1 1 1
1
と変形できるので,数列 qn+1 + qn は,初項 q2 + q1 = + · = の定数列である
2
2
4 2 2
2
から
1
1
qn+1 + qn =
2
2
となり,これは
)
1
qn −
3
{
}
1
1
1 1
1
1
と変形できるので,数列 qn −
は,初項 q1 − = − = ,公比 − の等比数列であ
3
3
2 3
6
2
1
1
qn+1 − = −
3
2
(
るから
(
)n−1
1
−
2
(
)n−1
1 1
1
qn = +
−
3 6
2
qn −
1
1
=
3
6
となる.余事象の確率を考えることにより,求める確率 pn は
pn = 1 − qn
2 1
= +
3 3
(
)n
1
−
2
:::::::::::::
となる.
(2)
n 回さいころを投げ,文字列を作るとき,文字列の左から n − 1 番目の文字が A で,か
つ n 番目の文字が B となる確率は,n 回さいころを投げ,文字列を作るとき,文字列の左か
ら n 番目の文字が B となる確率から,n − 1 番目の文字が A 以外の文字で,かつ n 番目の文
字が B となる確率を引いたものである.対称性を考慮すると,求める確率は
{
(
)n−1 }
(
)n−2 }
1 1 1
1 1
1
1
+
−
+
−
−
3 6
2
6 3 6
2
(
)n−1
1
1
1
=
+
−
18 9
2
1
1
1
· qn − · qn−1 =
3
6
3
{
:::::::::::::::::
となる.
第3問
(1)
f (x) = axp − log x (x > 0) とおくと
f 0 (x) = apxp−1 −
1
apxp − 1
=
x
x
であるから,f (x) の増減は下表のようになり
(
) p1
···
1
ap
f 0 (x)
−
0
+
f (x)
&
極小
%
x
0
(
f (x) は x =
1
ap
···
) p1
で最小となる.
(
)
xp
また, lim f (x) = +∞, lim f (x) = lim
a
− 1 log x = +∞ である.
x→+∞
x→+∞
x→+0
log x
したがって,2 曲線の共有点がただ 1 つ,すなわち f (x) = 0 の解がただ 1 つであるとき
((
f
1
ap
) p1 )
=0
1
1 1
− log
=0
p p
ap
1
a=
ep
::
このとき,点 Q の x 座標は
(
1
ap
である.
) p1
1
= e::p
(2)
求める体積を V とすると,右図より
∫
(
1
ep
π
V =
0
xp
ep
)2
[
∫
1
ep
dx −
x2p+1
=π 2 2
e p (2p + 1)
π(log x)2 dx
1
]e p1
0
[
]e p1
− π x(log x)2 − 2x log x + 2x
1
( 1
)
1
1
1
ep
ep
2e p
−π
+ 2e p − 2
=π· 2
−
p (2p + 1)
p2
p
{(
)
}
1
1
1
2
p + 2
=
−
+
−
2
e
π
p2 (2p + 1) p2
p
{
}
−4p3 + 2p2 p1
=
·e +2 π
p2 (2p + 1)
{
}
1
2(1 − 2p)e p
=
+2 π
1 + 2p
::::::::::::::::::::
である.
(3)
V = 2π のとき
1
2(1 − 2p)e p
=0
1 + 2p
1
p=
2:
となる.
第4問
(1)
(
pn+2 2 + pn+1 2 + 1
=
pn+2 pn+1
)2
pn+1 2 + 1
+ pn+1 2 + 1
pn
pn+1 2 + 1
· pn+1
pn
pn+1 2 + 1
+1
pn 2
=
pn+1
pn
=
pn+1 2 + pn 2 + 1
pn+1 pn
=
p2 2 + p1 2 + 1
=3
p2 p1
これは n によらない定数である.
2
(2)
2
pn + pn−1
pn pn−1
pn 2 + 1
+ pn−1
+1
pn−1
=
pn
pn+1 + pn−1
=
pn
これと (1) より
pn+1 + pn−1 = 3pn
:::
である.
(3)
pn = q2n−1 · · · · · · °
1
n = 1 のとき,p1 = 1,q1 = 1 で°
1 は成り立つ.
n = 2 のとき,p2 = 2,q3 = q1 + q2 = 2 で°
1 は成り立つ.
n = k ,k + 1 のとき,°
1 が成り立つと仮定する.
(2) より
pk+2 = 3pk+1 − pk
であり,仮定より
pk+2 = 3q2k+1 − q2k−1
= q2k+1 + 2(q2k + q2k−1 ) − q2k−1
= (q2k+1 + q2k ) + (q2k + q2k−1 )
= q2k+2 + q2k+1
= q2k+3
となり,°
1 は n = k + 2 のときも成り立つ.
以上より,すべての n = 1,2,3, · · · に対し,pn = q2n−1 となることが示された.
第5問
2015 Cm
=
2015 · 2014 · · · · · (2016 − m)
1 · 2 · ··· · m
が偶数になるときは,分母の方が分子より,素因数分解したときに表れる素因数 2 の個数(以
下,
「含まれる 2 の数」と書く)が少ないときである.ここで,2016 = 211 − 32 より,2016 − m
と 32 + m に含まれる 2 の数は同じである.よって,m と 32 + m に含まれる 2 の数を比べれ
ばよい.ここで,32 = 25 より
Q
m < 25 のとき,m = 2p n(p は自然数,n は奇数)とおくと,p < 5 より
32 + m = 2p (n + 25−p )
となり,n + 25−p は奇数なので m と 32 + m に含まれる 2 の数は同じ.
R
m = 25 のとき,m = 25 ,32 + m = 26 となり,含まれる 2 の数は 32 + m の方が多い.
よって,条件を満たす最小の m は m = 32
.
::
第6問
(1)
(
)
1
x ≦
,
n
(
)
1
x ≧
n

cos(πnx) + 1



2
g(nx) =


0
であるから,
∫
1
n
g(nx)f (x)dx
−1
∫
∫
1
−n
∫
−1
1
−n
=n
∫
−1
∫
0 · f (x)dx + n
1
n
1
g(nx)f (x)dx + n
1
−n
∫
1
n
1
g(nx)f (x)dx + n
1
−n
g(nx)f (x)dx
1
n
1
n
0 · f (x)dx
······⃝
1
g(nx)f (x)dx
=n
∫
1
n
g(nx)f (x)dx + n
=n
1
−n
となる.
x ≦
1
において,ng(nx) ≧ 0,p ≦ f (x) ≦ q であるから,
n
npg(nx) ≦ ng(nx)f (x) ≦ nqg(nx)
が成り立つので,
∫
1
n
p
1
−n
∫
ng(nx)dx ≦ n
1
n
1
−n
∫
ng(nx)f (x)dx ≦ q
1
n
ng(nx)dx
1
−n
······⃝
2
となる.ここで,
∫
1
n
1
−n
[
sin(πnx) n
ng(nx)dx =
+ x
2π
2
] n1
=1
1
−n
······⃝
3
であるから,⃝
1 ,⃝
2 ,⃝
3 より示された.
(2)
g(x) はすべての実数で微分可能であり,g ′ (x) = h(x) が成り立つ.
∫
In = n2
1
−1
(
)
h(nx) log 1 + ex+1 dx
とおくと,
∫
In = n
1
−1
(
)
′
{g(nx)} log 1 + ex+1 dx
∫
[
(
) ]1
= ng(nx) log 1 + ex+1
−n
∫
−1
1
=n
−1
g(nx) ·
となる.f (x) = −
−1
g(nx) ·
−e
dx
ex+1 + 1
x+1
1
ex+1 + 1
より,f (x) は単調減少であるから, x ≦
( )
(
)
1
1
≦ f (x) ≦ f −
n
n
1
を満たす x に対して
n
が成り立つ.(1) より
( )
(
)
1
1
f
≦ In ≦ f −
n
n
が成り立ち,
( )
1
1
e
−e n +1
= lim 1 +1
=−
,
n→∞
n→∞ e n
n
e+1
+1
(
)
1
1
−e− n +1
e
lim f −
= lim − 1 +1
=−
n→∞
n→∞ e n
n
e+1
+1
lim f
となるので,はさみうちの原理から
e
e
+
1
::::::
lim In = −
n→∞
となる.
ex+1
dx
+1
ex+1
ex+1
とおくと
ex+1 + 1
f (x) = −1 +
f
1