評価者 牧野欽次先生からの評価・検証 H27.1.20 第4回飯田市小中連携・一貫教育推進委員会において 1 この道を進む 大きく二つに分けてお話しします。第一に、ただいま話題になっていましたけれども、関係資 料の 24 ページをご覧いただきたい。その一番左側に、前回の委員会で私は「3つの輪」というこ とでお話ししました。その3つの輪は、ご覧のとおり「連携・一貫教育」と県の言う「信州型コ ミュニティスクール」 と飯田市教育委員会の掲げる目標「地 育力による心豊かな人づくり」の3つの輪である。その3 「3つの輪」 つの輪が交差するところが全部で4つある。今日は、そこ のところへ言葉を入れた。そこへはどのようなものが入る かというと、それぞれに是非必要なものであり、それぞれ でねらう大事なポイントである。 ①はコーディネーターである。信州型コミュニティスク ① ② ④ ③ ールでは、はっきりと学校運営委員会と位置付けている。 連携・一貫教育では明確に位置付けていなく、既存のもの ①コーディネーター であるという形であるが、進めていく上で調整的な役割を ②学力、不登校問題、キャリア教育 する機関が必要になってくるであろう。 ③ひと・もの・こと ④学校力 ②は飯田市が掲げている、また連携・一貫教育を始めた きっかけにもなっている教育課題である学力向上と不登校対応、キャリア教育推進を据えたい。 ③は地域が持っている「ひと・もの・こと」を、地域との連携という形で大いに活用している。 大事な教材になっている。そういう意味である。 それで、一番中心に私は「学校力」という言葉を入れた。また、他にいい言葉があれば教えて いただきたい。参考までに申し上げれば、牧野市長が本年の年頭所感で「共創の場」というキー ワードを発した。まさに、学校というところは「共創の場」だということを、市長の言葉を聞い て思った。みんなが力を合わせて、子どもたちを育てる創意工夫をする場である。みんなで創る 場である。それを「学校力」という言葉で呼んでいる思いで聞かせていただいた。 次に今の箇所を 27 ページの資料と並べて見ていただきたい。先ほど、事務局から 27 ページに ついては説明があり、 「飯田らしい」ということで掲げている「学習支援」と「学校支援」の説明 があった。 例えば、 「学校支援」を見ていただくと、「飯田型キャリア教育の充実」という箇所がある。こ れはまさに、先ほどの②にあたる。それから「ふるさと体験学習の推進」は、地域のひと・もの・ ことを活用しているわけであるから③に入る。それから「地域の学校支援本部組織の構築」のコ ーディネーター配置は①にあたる。同じように、 「学習支援」の方も見ていくと、私が見たところ では①から③までが入ってくる。このようにしてみると、この両者は一貫したものになる。 そのように考えると、飯田市教育委員会は小中連携・一貫教育を一生懸命推進していくことに よって、信州型コミュニティスクールで目指していることもやっていることになる。 現場の先生方からすると、信州型もやれ、連携・一貫教育もやれと言っている。忙しくてかな わないという気持ちがある。それに対して私たちは、先ほど申し上げたとおりのことで答えてい 外部評価 1 きたい。いま、飯田市で一生懸命やっていることが2つをやっていくことになる。そのように考 えて進んでいきたい。これが一点目である。 2 ある・する・なる 次は、各中学校区が本年度実践していただいた報告書について、本来であれば一つ一つについ てお話ししなければならないが、時間の関係でできない。そこでトピック的になって失礼ではあ るがお許しいただきたい。 飯田市全体の取組は、事務局のプレゼンを見ると、私たちはいいことをやっているなあと感じ たと思う。そのとおりで、やっていることが非常に多様になってきた。様々になってきた。 それから、緑ヶ丘中学校区でいう「つなぐ」ということが広まってきている。地域とのつなが り、小中学校とのつながり、非常に深まってきていると思った。大変な努力だと思う。それは認 めた上で申し上げるが、私がこの会の年度当初にお願いしたことは、今年は「ある・する・なる」 の「なる」の年ですよ、ということをお願いした。そういう点からみると、分かりづらさがまだ ある。そこを説明したい。 「ある・する・なる」と申したのはこう アル いうことである。子どもの実態がこう( 「ア ○その時の評価 ル」 )である。小学校の子どもたちは中学に ○時間的距離をおいた評価 ③ ナル 対して不安を感じている。英語をやらなけ ② ればならない、困ったなあ、不安である。 スル そういう状態である。だから、私たちは出 ② 前授業ということをやってみたらどうかと アル いうことで、中学の先生が小学校へ行って ② 授業をした。この方法が最初の段階ではあ ナル ちこちで行った。すると、子どもたちは中 スル がいるなあ、心配しないでもよさそうだと なあと思ったりという状態になった。これ (共通なめあて) ① 学の先生も小学校と同じように優しい先生 思ったり、勉強が難しくなりそうで困った 指導視点の共有 ① アル 出前授業 ① が「なる」である。 これで終わってしまっては何にもならない。つまり、 「なる」というのは大きく分けると二つあ る。出前授業をやったその時、 『その時の評価』が一つである。例えば、みんなで話し合いをやっ たら子どもたちは非常に活発にやっていて、いい意見もあってよかった。出前授業をやって子ど もたちは安心したような顔をしていてよかった。それで、よかった・よかったとその時の評価を するが、それだけで終わっては困るのである。 もう一つは、 『時間的距離をおいた評価』 、これが大事である。そして、ここが少し弱いと感じ る。どういうことかと言うと、先ほど出前授業のことを例にしたので、この例で考えてみたい。 先生方の活動をみると、一つは9年間のカリキュラムをつくろうとしている。それを一生懸命や ろうとしている。竜東中学校区や竜峡中学校区がそうである。遠山中学校区もそうである。 外部評価 2 もう一方は授業の改善をしようという方向へいっている。授業の方を詳しくみてみたい。この 出前授業をやったこの時が、実は次の[アル②(前頁図参照:以下同じ) ]なのである。出前授業 のことについては、鼎中学校区の報告書にもあるが、出前授業は中学校の先生が来て一生懸命や ってくれるが、小学校でやることはないのかと課題である。しかし、この課題は鼎中学校区の2 年越しになっている。そのままになっているのは少し残念である。 そこで、共同で授業をつくろうという動きがある。高 陵中学校区では共同部会をつくり、例えば国語部会では 「語彙」を増やしたらどうかと言っている。東中学校区 では、 「考えて書く活動」を一時間の中に必ず一回入れよ うとしている。そういう約束をしている。このように共 同で授業をつくるという方向へ向かっている。他の中学 校区でも様々な約束をしてやろうとしている。 ここで、旭ヶ丘中学校区の報告書からは、我々が様々 なことをやるのは何のためにやるのかと問題提起され、それは「目指す子ども像」を実現するた めにやるのだと言っている。そこを忘れてしまうと、ただあれもやりこれもやりというようにな ってしまう。目指す子ども像に迫っていかなければいけない。東中学校区でも、自主ということ を目指しているから自立的な学習者をつくるということを念頭に置きながら、一時間の中に「考 えて書く活動」を入れる。そして、個の力を高める。そのようになってくると非常によい。その ように[ナル②]ことは、次の[アル③]になってくるわけである。 共同で授業をつくり、必ず「書く」という場をつくるということはどういうことか。それは、 自分の中で、自分と自分が対話をすることである。あるいは、自分ともう一人の私と見つめ合う 場をつくることである。つまり、自己検討をする場をつくることである。 そうなると、この[ナル②]は、また[アル③]になり、この上に自己検討があって授業を共 同で考えましょうということになる。つまり、ここで[ナル①]終わってしまってはダメであっ て、ここでなったことが、この[ナル②]や[ナル③]と対比した時に、これをやったことによ って[ナル②]が生まれたなあと、よかったなあと『時間を置いて評価』をしていかないと、そ の時々で切れていて一貫したものになっていかない。そういうことを言いたかったのである。 とにかく、私たちの取組が連続的・螺旋的な高まりになっていくように考えていこうではあり ませんか、ということを言いたかった。 もう一点は、書き方というかまとめ方である。その視点から参考になるのは、例えば西中学校 区ではキャリア教育を中核にした連携・一貫教育を唱っている。これは、以前から取り組んでい たので自ずからそうなっていったが、そのようにまとまってくると高まりも見えやすいし、効果 も見える。緑ヶ丘中学校区では、 「子ども像」を目指す取組を三つの箇条書きであげ、その一つ一 つについて実践した内容を書き、分かりやすくまとめている。そうすると整理がつくし、先生方 もわかりやすく取り組める。これも一つの参考資料だと感じた。終わります。 本稿は、牧野欽次先生にご高閲をいただきました。 文責:山浦貞一 外部評価 3
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