イノベーションを求められる 社長の “ 高齢化 ”が進行中 いつの時代も組織のかじ取り役となる経営者には、たいへん かん なん な力量が求められるが、環境変化が激しい近頃は、とくに艱難 辛苦の日々なのかもしれない。では、 「理想の経営者」に求めら れる資質とは何か。 日本能率協会(JMA)の調査では、これからの経営者に求め られる資質は「統率力」から「イノベーションの気概」へと変 化していることがわかった※1。この調査では、経営者のコンピテ ンシー(能力や資質、適性)について聞いているが、 「今までの 59.0 歳 日本企業の社長の 平均年齢は?※2 経営者」に求められていた資質には、1位「統率力」 、2位「本 質を見抜く力」 、3位「強烈な意志」が挙げられたが、 「これか らの経営者」に求められる資質は、 1位「イノベーションの気概」 、 2位「変化への柔軟性」 、3位「本質を見抜く力」となった。 「イノベーション」という言葉は、もはや企業の生き残りのた めには欠かせないキーワードであることがわかるが、実際に生 み出すにはどうしたらよいか、各社の課題でもある。既存には ない新しいモノをつくったり、何もないところから何かを生み出 したり、はたまた旧態依然の組織や習慣をバッサリ変えてみる ところから始めたりと、アプローチはさまざまであろう。 一方、帝国データバンクのデータを見ると、社長の平均年齢 は年々伸びつづけ、2014 年は過去最高齢の59.0 歳となった (1980年は52.1歳)※2。ちなみに、世界のCEOの平均年齢は 53歳、国別でみると日本は61歳で最高齢、との調査もある※3。 経営者に求められる資質が、 「イノベーションの気概」とすれば、 高齢化が進む経営者でこれから本当に大丈夫なのか……とは杞 憂だろうか。 ちなみに大同生命の調査では、経営するうえで「右腕」にし たい歴史上の人物は、経営の神様「松下幸之助」をトップに、 「坂 本龍馬」 「徳川家康」 「諸葛孔明」 「豊臣秀吉」と続く※4。乱世を 生き抜き、自らの力で時代を切り拓いた経験をもつ人物が、経 営者にとっては心強いパートナーであり、かつイノベーションの ヒントを与えてくれるとの期待があるのかもしれない。 出所:※1 一般社団法人日本能率協会『現役の取締役・執行役員に聞 いた「経営者コンピテンシーに関するアンケート」』(2015 年 1月) ※2 株式会社帝国データバンク『2015 年全国社長分析』 (2015 年 1月) ※3 プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー株式会社 『Strategy &「2013 年世界の上場企業上位 2,500 社に対 するCEO 継承調査結果概要」 』 (2014 年 5月) ※4 大同生命保険株式会社『創業 110 周年記念アンケート「経 営者 1 万人アンケート」 』 (2012 年 6月) JMA マネジメント 2015.3 1
© Copyright 2024 ExpyDoc