公開シンポジウム 原発避難とコミュニティ再構築 ~災害復興からの地域再生はどうあるべきか~ 日時 2015年2月24日(火) 13:30〜17:00 場所 首都大学東京 秋葉原サテライトキャンパス 会議室 (東京都千代田区外神田 1-18-13 秋葉原ダイビル 12 階 JR 秋葉原駅徒歩1分) 2011 年 3 月の東日本大震災、原発事故から 4 年が経つ。避難元では「区域再編」が行われ、帰 還に向けた除染や「復興」にむけた公共事業が進められる一方で、多くの被災者はいまだ生活の再 建、コミュニティの再構築に苦闘している。とりわけ、原発事故によって住み慣れた土地を離れ避 難した住民・自治体にとっては「超長期」にわたる地域再生は大きな課題となっている。 これまで災害等が発生した後の地域再生では、人々が実際に生活する場・空間に戻り(あるいは 移転し) 、そこで生活を再建するための課題を議論してきた。しかし、原発事故にともなう広域避難 ではその前提が存在しない。積極的に帰還を望む高齢者、今すぐに帰還したくはないが将来的には ふるさとに戻ることを望んでいる住民、帰還するつもりはないが何らかのかたちでふるさととつな がりを持ち続けたい住民…。住民たちはそのような思い、迷いのなかにいる。住民、そして自治体 は避難「先」も視野に入れながら、避難「元」地域に存在していたコミュニティを再構築するとい う、ほとんど前例のない課題に取り組んでいる。 今回のシンポジウムではこのような問題意識を基底とし、放射能汚染や大震災の後の地域再生、 コミュニティ再構築の困難と課題について、各分野での経験、蓄積を持つ研究者、実践家とともに 議論することで、原発災害からの復興プロセスにおけるコミュニティの意味を再考したい。これは コミュニティ概念の学術的な再考であると同時に、原発避難者および避難自治体にとってのコミュ ニティ再構築に資する議論、知見を提供することを目指すものでもある。 報告者および報告タイトル 中原聖乃 「放射能被害を生きるコミュニティ―マーシャル諸島ロンゲラップ再定住計画と伝統食 の復活」 宮定章 「阪神・淡路大震災後の時間経過による地区内生活再建とコミュニティ運営の難しさと希 望―神戸市長田区御蔵地区(復興区画整理事業)の事例より」 大矢根淳 「原発災害・ (事前)復興過程の研究実践―従前居住者の意志と実態に対峙して」 主催 社会学広域避難研究会 報告者プロフィール 中原聖乃: 中京大学社会科学研究所 特任研究員。神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課 程修了。専門は文化人類学、平和学。博士(学術) 。マーシャル諸島の被ばく後の社会再建をテー マに研究。主な著作に『放射能難民から生活圏再生へ―マーシャルから福島への伝言』 (法律文化 社:2012 年) 、 『核時代のマーシャル諸島―社会・文化・歴史、そしてヒバクシャ』 (凱風社:2013 年、共著)等がある。 宮定章: 特定非営利法人まち・コミュニケーション 代表理事。大阪大学大学院建築工学科、神戸 大学大学院自然科学研究科博士課程修了。博士(工学) 。神戸市長田区・石巻市雄勝町等で復興ま ちづくりにかかわる。主な著作に「神戸被災地「御蔵地区」における『よそ者(若者) 』が支援す るまちづくり-神戸市長田区御蔵通5・6・7丁目地区を事例として」 ( 「住宅総合研究財団 論文 集」 :2003 年) 、 「復興土地区画整理事業における権利関係・建物用途に着目した債権動向に関す る研究―神戸市御菅西地区におけるケーススタディ」 ( 「日本建築学会計画系論文集」 :2012 年) 等がある。 大矢根淳: 専修大学人間科学部 教授。慶應義塾大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程単位 取得満期退学。専門は災害社会学、地域社会論。修士(社会学) 。未来工学研究所研究員、電気通 信政策総合研究所、㈱防災&情報研究所研究員等を経て現職。主な著作に『シリーズ災害と社会 復興コミュニティ論』 (弘文堂:2007 年、共編著) 、 『都市社会とリスク』 (東信堂:2005 年、共 著) 、 『災害における人と社会』 (文化書房博文社:2004 年、訳書)等がある。 討論者 稲垣文彦: 中越防災安全推進機構復興デザインセンター センター長。長岡技術科学大学大学院 技術経営研究科専門職学位課程修了。専門は災害復興、災害ボランティア。新潟県中越大震災直 後から山古志村の災害救援ボランティア活動に関わる。2005 年 5 月に地域復興のための中間支 援組織「中越復興市民会議」を設立、事務局長に就任、現代表。主な著作に『災害ボランティア 論入門』 (弘文堂:2008 年、共著) 、 『震災復興が語る農山村再生 地域づくりの本質』 (コモンズ: 2014 年、共著)などがある。 山本薫子: 首都大学東京都市環境科学研究科 准教授。専門は都市社会学。博士(社会学) 。社会 学広域避難研究会メンバー。 「原発避難をめぐる諸相と社会的分断―広域避難者調査に基づく分 析」 ( 『人間と環境』第 38 巻第 2 号:2012 年、共著)等。 どなたでも参加できます。 参加費は無料、事前申し込みは不要です。 主催:社会学広域避難研究会 お問い合わせ先:淑徳大学 松薗祐子([email protected]) このシンポジウムは文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(B) 「 「空間なきコミュニティ」における避難者の生活構造の再編に関する社会 学的研究」 (研究課題番号26285114、研究代表者: 松薗祐子)の助成を受けて実施されます。
© Copyright 2025 ExpyDoc