平成 26 年度 三重大学修学達成度評価 報告書(概要) -三重大学生の4つの力に関するアンケート- 高等教育創造開発センター 教育評価部門 1.アンケートの概要 1.1 アンケート1(春実施) 調査対象 平成 26 年度新入学生 1,373 名 調査方法 新入生が受講する授業等にて、アンケート用紙を学生に配付・回収した。 調査時期 平成 26 年 4 月~5 月 有効回答者数(率) 1,187 名(86.5%) 1.2 アンケート2(秋実施) 調査対象 三重大学に在籍する学部生 6,148 名 調査方法 三重大学ウェブ調査システムを用いて実施した。 (一部の学科・学年において紙媒体での回答があった) 調査時期 平成 26 年 8 月~9 月 有効回答者数(率) 4,646 名(75.6%) 1.3 分析対象者数 有 効 回 答 者 よ り 所 属 不 明の 学 生 の デ ー タ と 在 籍 年数 が 5 年 目 以 上 ( 医 学 科は 7 年 目 以 上 ) の 学 生 の デ ー タ を 除 外 し た。 ア ン ケ ー ト 1 の 分 析 対象 者 は 、 1,179 名 、 ア ンケ ー ト 2 は 、 4,522 名 であった。 表1 分析対象者数 1年目 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 人 文 教 育 医 工 生 物 資 源 調査1 (春) 173 200 203 359 244 1,179 調査2 (秋) 210 240 240 132 201 206 198 195 203 153 148 135 5 60 379 346 367 256 247 250 236 115 1,240 1,195 1,189 833 5 60 合 計 2.「4つの力」の結果について 2.1 「感じる力」 (1)「感じる力」の得点について 大学の学習への動機づけを感じる力をアンケート1では 21 項目、アンケート2では 24 項目を設定し、 「全くそう思わない」から「非常にそう思う」の5段階で回答を求めた。 1 ・価値に関する得点(「利用価値」や「社会的利用価値」、「興味価値」、「私的獲得価値」)は、1年 目春の学生の平均値が高かったが、1年目秋になると低下した。1年目春の動機づけの高さの維持が難 しいことを示している。1年目春の平均値の高さは、入学時の期待が過大化した表れとも考えられる。 ・アンケート2(1年目秋~4年目の学生対象)において、学年間で比較すると1年目秋と4年目の学生 はどの得点も平均値が高く、動機づけが高かった。一方、2年目と3年目の学生はどの得点も平均値が 低く、動機づけが低かった。 表2.1.1.1 感じる力の得点 平均値(全学生) 社 私 感 社 効 利 興 会 的 情 会 力 用 味 的 獲 的 的 値 利 得 予 価 価 要 環 用 価 期 値 値 因 境 価 値 1年目春 3.26 4.24 3.96 3.67 4.27 2.87 3.67 動 指機 づ け 標総 合 - 1年目秋 3.29 3.93 3.74 3.47 3.95 2.84 3.55 3.48 2年目 3.17 3.66 3.52 3.32 3.69 2.76 3.46 3.37 3年目 3.20 3.69 3.56 3.34 3.73 2.70 3.48 3.45 4年目 3.37 3.77 3.69 3.45 3.82 2.72 3.63 3.55 全学年 3.25 3.76 3.62 3.39 3.80 2.76 3.52 3.46 ※得点の幅は1~5点。中点は3点。 ※全学年は、医学科5年生・6年生のデータを含む。 5 1年目春 1年目秋 2年目 3年目 4 3 2 1 効 力 予 期 利 用 価 値 社 会 的 利 用 価 値 興 味 価 値 私 的 獲 得 価 値 感 情 的 要 因 社 会 的 環 境 動 機 づ け 総 合 指 標 図2.1.1.1 感じる力の得点 平均値(全学生) 効力予期 利用価値 社会的利用価値 興味価値 私的獲得価値 感情的要因 社会的環境 動機づけ総合指標 (調査2のみ) 学習をやり遂げることができると感じること 学習が自分の将来に役立つという価値づけ 学習が他者や社会に役立つという価値づけ 取り組む課題が面白いと感じる価値づけ 学習することによって、なりたい自分に近づけるという価値づけ 学習に対して感じる感情(平均値が高いほどポジティブな感情) 学習をサポートしてくれる他者の存在 大学での学習に積極的に取り組む姿勢 2 4年目 (2)「心身の健康」に対する意識について 規則正しい生活について「心がけていない」から「心がけている」の5段階で回答を求めた。 ・どの学年も平均値が 3.5 点(中点は 3 点)付近であり、規則正しい生活を心がけていることが示された。 表2.1.1.2 規則正しい生活 についての平均値(全学生) 規 則 正 いし い 生 活 を る心 が け て 3.72 1年目春 3.65 2年目 3.41 3年目 3.41 4年目 3.57 全学年 3.51 1年目秋 2年目 3年目 4年目 5 4 3 2 1 ※得点の幅は1~5点。中点は3点。 ※全学年は、医学科5年生・6年生のデータを 含む。 規則正しい生活を心が けている 1年目秋 1年目春 図2.1.1.2 規則正しい生活についての平均値(全学 生) (3)「感じる力」の習得について 感じる力の習得に関する2項目について、「全くそう思わない」から「非常にそう思う」の5段階で回 答を求めた。 「 「 表2.1.1.3 感じる力の習得についての 平均値(全学生) も 教 身感 待育感 にじ をじ つる し通る け力 し力 た て ま か いを 身は と苦 に三 すつ重 思労 いし く大 かと学 まて すで 期の 4.09 3.86 1年目春 」 」 3年目 3.56 3.26 4年目 3.63 3.31 全学年 3.60 3.34 4年目 4 3 2 1 て 感 で と じ も 思 る 身 い 力 に ま つを す 苦 け か 労 た いし ※得点の幅は1~5点。中点は3点。 ※全学年は、医学科5年生・6年生のデータを 含む。 に学 感 つの じ く教 る と育 力 か期を 待通 は しし三 まて重 す身 大 」 3.28 3年目 「 3.49 3.47 2年目 5 」 3.75 2年目 1年目秋 「 1年目秋 1年目春 図2.1.1.3 感じる力の習得についての 平均値(全学生) 3 ・2項目とも1年目春の学生の平均値が最も高かった。入学直後の学生は、感じる力を身につけたいと考 えており、また大学教育に対する期待も高いことが示された。 ・2年目の学生は他の学年と比べると、苦労してでも感じる力を身につけたいとあまり思っていないこと が示された。 ・他の3つの力(考える力・コミュニケーション力・生きる力)の習得についての結果と比べると、感じ る力の2項目は平均値が低かった。 2.2 「考える力」 (1)「考える力」の志向性と経験について 考える力について、志向性 12 項目と経験 12 項目を設定した。志向性は、「全くなりたくない」から「非 常になりたい」の7段階で回答を求めた。経験は、「全くしていない」から「いつもしている」の7段階 で回答を求めた ・志向性の「要点理解」と「決断力」について、全学年を通して平均値が高かった。学生が問題の要点を 理解し、物事に対して適切に決断するような人になりたいと考えていることが示された。特に1年目 (春・秋)の学生がそのようになりたいと考えているようである。 ・1年目春の学生は他の力の得点も含めてどの得点も高い傾向にあるが、志向性の「論理・証拠の重視」 や「脱軽信」の平均値は低かった。入学直後の学生は、4つの力の様々な側面について成長したいと考 えていることが示されているが、論理や証拠に基づいて考えたり、情報を鵜呑みにせず正しいかどうか を考えたりすることにはあまり志向していないようである。 ・経験の4得点について、学年間で比較すると4年目の学生の平均値が高かった。4年目の学生は、考え る力を使うような経験をしていると感じているようである。 ・「要点理解」と「決断力」について、志向性の平均値は高いが経験は低かった。問題の要点を理解し、 適切に判断するような人を目指しているが、そのような経験をしているとあまり感じていないようであ る。 表2.1.2.1 考える力 志向性と経験の平均値(全学生) 志向性 経験 解 論 理 重・ 証 視 拠 1年目春 6.32 4.99 5.12 5.91 - - - - 1年目秋 6.10 5.07 5.22 5.76 4.92 4.62 4.73 4.70 2年目 5.71 4.90 4.99 5.38 4.71 4.54 4.57 4.52 3年目 5.77 4.97 5.03 5.44 4.84 4.66 4.66 4.59 4年目 5.80 5.04 5.08 5.55 5.00 4.78 4.74 4.81 全学年 5.85 4.99 5.08 5.53 4.86 4.64 4.67 4.64 要 の 点 理 軽 断 信 力 解 論 理 重・ 証 視 拠 脱 決 要 点 理 の 脱 決 軽 断 信 力 ※得点の幅は1~7点。中点は4点。 ※全学年は、医学科5年生・6年生のデータを含む。 要点理解 論理・証拠の重視 脱軽信 決断力 志向性 経験 (下記のようなの人になりたいか どうか) (最近、下記のような経験した か) 問題の要点を素早くつかんで理解する 論理や証拠を重視し、それに基づいて考える 情報を鵜呑みにせず、本当に正しいのかいったん考える 物事に対して、いつまでも思い悩まず、適切に決断する 4 7 1年目春 1年目秋 2年目 3年目 4年目 6 5 4 3 2 1 要 点 理 解 論 の理 重 ・ 視証 拠 脱 軽 信 決 断 力 要 点 理 解 論 の理 重 ・ 視証 拠 志向性 脱 軽 信 決 断 力 経験 図2.1.2.1 考える力 志向性と経験の平均値(全学生) (2)「考える力」の習得について 考える力の習得に関する2項目について、「全くそう思わない」から「非常にそう思う」の5段階で回 答を求めた。 ・2項目とも、1年目春の学生の平均値が最も高かった。入学直後の学生は、考える力を身につけたいと 感じ、大学教育に対する期待も高いようである。 ・2年目の学生は他の学年と比べると、苦労してでも考える力を身につけたいとあまり思っていないこと が示された。 ・他の3つの力(感じる力・コミュニケーション力・生きる力)の習得についての結果と比べると、考え る力は大学教育に対する期待が高かった。 「 「 表2.1.2.2 考える力の習得について の平均値(全学生) も 教 身考 待育考 にえ をえ つる 通 し る け力 し力 た て ま か いを 身は と苦 に三 すつ重 思労 いし く大 かと学 まて すで 期の 4.34 4.02 1年目春 」 」 3.71 3.47 3年目 3.77 3.47 4年目 3.81 3.50 全学年 3.82 3.55 4年目 3 2 1 て 考 で と え も 思 る 身 い 力 に ま つを す 苦 け か 労 た いし ※得点の幅は1~5点。中点は3点。 ※全学年は、医学科5年生・6年生のデータ を含む。 に学 考 つの え く教 る と育 力 か期を 待通 は しし三 まて重 す身 大 」 2年目 3年目 「 3.73 2年目 4 」 3.99 1年目秋 5 「 1年目秋 1年目春 図2.1.2.2 考える力の習得についての平均値(全学 生) 5 2.3 「コミュニケーション力」 (1)「コミュニケーション力」の志向性と経験について コミュニケーション力について、志向性9項目と経験9項目を設定し、志向性は、「全くなりたくない」 から「非常になりたい」の7段階で回答を求めた。経験は、「全くしていない」から「いつもしている」 の7段階で回答を求めた。 ・志向性の「多様性理解」と「他の理解」については、1年目春の学生の平均値は高かったが、1年目の 秋には低下した。入学直後の学生は、人によって多様な意見を持っていることを理解したり、他者の考 えや意見を理解したりする人になりたいという志向性は高いが、そのなりたいという気持ちを維持する ことが難しいようである。 ・2年目の学生は、他の学年と比べると志向性・経験のどの得点も平均値が低かった。 表2.1.3.1 コミュニケーション力 志向性と経験の平均 値(全学生) 志向性 経験 多 様 性 理 解 他 多 様 性 理 解 他 解 性 解 性 1年目春 5.96 6.10 5.56 - - - 1年目秋 5.75 2年目 5.39 5.87 5.52 5.04 5.29 4.64 5.48 5.24 4.79 4.94 4.51 3年目 5.46 5.54 5.30 4.91 5.08 4.60 4年目 5.55 5.61 5.36 5.03 5.16 4.73 全学年 5.54 5.63 5.35 4.93 5.12 4.61 真 の 正 理 真 の 正 理 ※得点の幅は1~7点。中点は4点。 ※全学年は、医学科5年生・6年生のデータを含む。 7 1年目春 1年目秋 2年目 3年目 6 5 4 3 2 1 多 様 性 理 解 他 の 理 解 真 正 性 多 様 性 理 解 志向性 他 の 理 解 真 正 性 経験 図2.1.3.1 コミュニケーション力 志向性と経験の平均値(全学生) 多様性理解 他の理解 真正性 志向性 経験 (下記のようなの人になりたいか どうか) (最近、下記のような経験した か) 人によって多様な意見を持っていることを理解する 他者の考えや意見を理解する 他者の考えに対して正しいかどうかを指摘する 6 4年目 (2)「コミュニケーション力」の自信について コミュニケーションの自信についての4項目を設定し、「全く自信がない」から「非常に自信がある」 の5段階で回答を求めた。 ・「英語コミュニケーション」や「ディスカッション」、「プレゼンテーション」に対する自信は、1年 目春の学生の平均値が最も低かったが、1年目秋になると平均値が上がっていたため、自信を持てるよ うになったことが示された。また、上記の3つの得点については、4年目の学生の平均値が高かった。 しかし、どの学年も中点の3点(5段階評定の「どちらともいえない」にあたる)を下回っていること から、全学生が英語コミュニケーションやディスカッション、プレゼンテーションにどちらかといえば 自信を持てていないということである。 5 ョ ョ ョ 4 1年目 春 3 1年目 秋 2 2年目 ュ ィ ー 表2.1.3.2 コミュニケーション力 自信の平均 値(全学生) 自信 プ ケ英 デ ミ友 シ シレ シ 語 人 コ ゼ シ ス ニと ミ ン カ ケの ン ンテ ン ンニ コ 2.31 3.25 1年目秋 2.33 2.81 2.69 3.36 2年目 2.35 2.71 2.66 3.18 3年目 2.31 2.76 2.70 3.26 4年目 2.52 2.96 2.88 3.42 全学年 2.36 2.80 2.72 3.30 ※得点の幅は1~5点。中点は3点。 ※全学年は、医学科5年生・6年生のデータを含む。 プ レ ゼ ン テ シ ョ ン 友 人 ケ と の シ コ ョ ミ ン ュ ニ 3年目 ー 2.54 デ ィ ス カ ッ シ ョ ン ー 1.93 英 語 シコ ョ ミ ン ュ ニ ケ ー ー ー ッ ュ ョ 1年目春 1 4年目 自信 図2.1.3.2 コミュニケーション力 自信の平均値(全学生) (3)「コミュニケーション力」の習得について コミュニケーション力の習得に関する2項目について、「全くそう思わない」から「非常にそう思う」 の5段階で回答を求めた。 ・「苦労してでも身につけたいと思いますか」は、全学年の平均値が4点(5段階評定の「そう思う」に あたる)付近と高く、どの学年もコミュニケーション力を身につけたいと感じている。その中では、1 年目春の学生の平均値が高く、2年目の学生の平均値は低かった。 ・「三重大学の教育を通して身につくと期待しますか」は、1年目春の平均値が高く、高学年の平均値が 低かった。高学年の学生は大学教育に対する期待はあまり高くないようである。 ・他の3つの力(感じる力・考える力・生きる力)の習得についての結果と比べると、2項目間の平均値 の差が大きく、苦労しても身につけたいが、大学教育への期待は高くないようである。 7 「 「 表2.1.3.3 コミュニケーション力の習得 についての平均値(全学生) を 身は い苦 コ に三 コ 労 ミ と つ重 ミ し く大 思て ニ 学ニ と でケ のケ い 期 も 教 待 育シ ま 身シ しを に ま通ン すつ ン すし力 け 力 か かて た 4.50 4.05 1年目春 1年目春 ュ ュ 2 4年目 3.90 3.40 全学年 3.94 3.46 ※得点の幅は1~5点。中点は3点。 ※全学年は、医学科5年生・6年生のデータ を含む。 シ ョ ー 3.32 コ ミ ュ ニ ケ 」 3.87 教ン く 育力 と を 期 は 通 待 三 し し て重 ま 大 身 す 学 に か の つ 「 3年目 コ ミ ュ ニ ケ ー 3.41 も ン 身力 に い を つ ま 苦 け す 労 た か いし と て 思で 」 3.79 1 「 2年目 4年目 3 」 」 3.68 3年目 4 ョ ョ 4.17 2年目 5 ー ー 1年目秋 1年目秋 シ ョ 図2.1.3.3 コミュニケーション力の習得につい ての平均値(全学生) 2.4 「生きる力」 「生きる力」の習得について 生きる力の習得に関する2項目について、「全くそう思わない」から「非常にそう思う」の5段階で回 答を求めた。 ・2項目とも1年目春の学生の平均値が最も高かった。入学直後の学生は、生きる力を身につけたいと考 えており、また大学教育への期待も高いことが示された。 ・2年目の学生は、他の学年と比べると苦労してでも生きる力を身につけたいとあまり思っていないよう である。 「 「 表2.1.4.1 生きる力の習得について の平均値(全学生) も 教 身生 待育生 にき をき つる 通 し る け力 し力 た て ま か いを 身は と苦 に三 すつ重 思労 いし く大 かと学 まて すで 期の 4.37 3.97 1年目春 」 」 3年目 3.76 3.30 4年目 3.83 3.39 全学年 3.82 3.42 ※得点の幅は1~5点。中点は3点。 ※全学年は、医学科5年生・6年生のデータ を含む。 4年目 4 3 2 1 て 生 で と き も 思 る 身 い 力 に ま つを す 苦 け か た労 いし に学 生 つの き く教 る と育 力 か期を 待通 は しし三 まて重 す身 大 」 3.39 3年目 「 3.58 3.71 2年目 5 」 4.00 2年目 1年目秋 「 1年目秋 1年目春 図2.1.4.1 生きる力の習得についての平均値(全 学生) 8
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