OE05 運用設計研究 要旨 OE05 運用設計研究 1. はじめに 現在のシステムは 24 時間 365 日正常稼働することが求められており、計画外停止やトラ ブルに対しての対処が曖昧である場合や、定常業務においても運用する範囲や役割が不明 確な場合には、業務に対して重大な影響を及ぼす可能性がある。 運用設計は、安定したシステム運用を実現するために要件を事前に整理し、運用に携わ る全ての人に理解されているべき内容であり、常に運用に合わせて改善されていかなけれ ばならない。 2. 研究の背景 システム運用設計について、メンバー各社からヒアリング実施したところ、運用設計は 行っているが、 実際の運用と運用設計の内容に乖離があることが多く見られた。そのため、 運用の現場に混乱が生じ、高品質な運用を提供できていないことや、運用設計が定着・浸 透していないということが判明した。また、運用設計を実施できる人が限られているため、 一人に対する負荷の偏りが発生し、属人化してしまうケースなどが見て取れた。 本研究会では、課題の背景や原因について深堀分析を行い、良い運用設計とはどのよう なものなのか、運用設計をどのようにすれば定着していくのかということに焦点をあて、 研究を行った。 3. 課題の抽出 運用の現場における課題を洗い出し、運用設計との関連付けを行ったところ、以下のよ うな課題を抱えていることが分かった。 運用現場の課題例 課題 詳細 運用設計方針、内容が統一されていない 具体的に何を設計すればよいかわからない 既存踏襲で乗り切れてしまう システム構成や運用方法がシステム毎に 企画段階で運用を意識していない ばらついている システム毎に使用しているツールが異なる 4. 阻害要因の分析 それぞれの課題に対してなぜなぜ分析を行い、真の阻害要因の分析をしたところ、4 つ の頻出するキーワードが判明した。 頻出キーワード 標準化 教育 場 意識 本研究会では、特にキーワードとして頻出した「標準化」と「教育」の 2 つに焦点をあ て、課題の解決策を検討した。 5. 目的 2014 Beacon Users' Group OE05 運用設計研究 要旨 「標準化」と「教育」の 2 つの課題について解決策を検討することにより、以下の内 容についての向上、定着、浸透を目指す。 標準化 システム運用の効率化・高品質化の実現 ・運用設計に対する工数の削減 ・属人化リスクの排除 ・運用品質の担保・可用性向上 システム開発と運用の関連性の明確化による運用設計の早期実装 教育 運用設計を定着・浸透させるための教育の実現 6. 解決策 標準化 標準化の範囲を「どのシステムでも絶対に考慮すべき項目」と定義し、以下の項目 を考慮することで、各システムに対応した標準化された運用設計が出来ると考える。 標準化項目 バックアップ 監視 運用体制 JOB 管理 セキュリティ キャパシティ管理 メンテナンス方針 報告 教育 教育の範囲を、 「運用設計を定着させるために必要な項目」と定義し、以下の項目を 向上させることで、運用設計の浸透・定着ができると考える。 教育項目 運用業務の内容を理解する力 運用を設計する力 運用品質を評価・分析する力 運用品質を改善する力 7. 結論 良い運用設計を行うためには、まずは標準化された運用設計を確立し、その上で自社の 運用設計とのギャップを埋めていく必要がある。また、運用設計とは一度完成したら終わ りではなく、見直し・改善が必要である。そのためには、運用設計から運用品質の改善ま で出来る人材を育てる仕組みが必要である。 これにより、運用設計の定着・浸透が可能となり、またシステム運用の現場で運用品質 の向上、システム運用の効率化についても効果を生み出すことが出来ると結論づける。 以上 2014 Beacon Users' Group
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