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慶應義塾大環境情報学部【小論文】解答例 設問1
【A】「二輪の革命」 自転車が馬や人力車を過去のものにした
【B】「インターネット 40 年」 使い手が作り手というシステムの誕生
【C】「半導体のビックバン」 シリコンが人類に新しい光を与えた
【D】「現代の魔術」 想像が形になる3Dプリンティング
【E】「ムダから創造へ」 リサイクルは手の可能性を再発見させる
【F】「冷凍で時間を止める」 食品保存の革命と環境への負荷
【G】「セキュリティ社会を支える」 暗号技術がネットワークの安全性を守る
【H】「だれもが起業家」 発想の転換でコストのかからない流通を実現
設問2
課題領域…分配の不公平
未解決の問題…世界経済において、食糧を代表として分配の不公平問題が生じて
いる。先進国では食べ残しや期限切れ食品が大量に廃棄されているのに、途上国
では慢性的な栄養不良や餓死が発生し、そこに生まれた人々の平均寿命を引き下
げている。こうした貧困はテロによる問題解決への支持を高め、全世界的な社会
的安全の危機にもつながる。
設問3-1
世界は相変わらず貧困とテロの解決に苦しんでいます。しかし改善への光も見
えてきました。この 30 年、私は「無料化システム」を普及させるために世界 30
カ国で活動し、多くの仲間を得ることができました。食糧・エネルギー・保健・
教育を無料化することによって地球は本当にみんなのものになるのです。
設問3-2
私がSFCの学生だった頃、緊急の課題は格差拡大と無差別テロでした。この
二つには密接な関係があることを私は大学での講義や研究会で学び、実際に南米
へ旅行してストリートチルドレンの保護施設を訪ねるなどし、問題を自分の目で
確かめました。問題解決のため、私はできることから始めました。卒業後まずN
POの職員となり、生活保護を受ける人たちの支援に従事したのです。そこで直
面したのは「予算不足」でした。そこで私が目をつけたのは「無料化」です。イ
ンターネットがこれほど普及した原点には「無償の受信・発信」という原則があ
りました。ネットのコンテンツを「生活資源」に置き換えたらどうでしょうか。
食糧・エネルギー・保健・教育サービスを無料化できれば、貧困に苦しむ人々に
大きな支援を提供できます。
私はそれまでバラバラに行なわれていたフードサポート・自然エネルギー利
用・医療ボランティア・教育ボランティアを統合するプラットフォームをネット
上に作りました。これらはニーズの多さに比べて提供できる資源や人材が少ない
のです。そこで「社会の副産物」を徹底的に回収し、提供する活動を始めました。
商品にならない食材、製造工程で出る熱、型の古い機器、資格を活かせていない
専門家など、社会には多くの「余力」があります。こうした余力を「足りない人々
や地域」に分配することで生活資源の無料化が次第に広がってきました。最初、
企業は非協力的でしたが、システムを「投資」と捉えれば違う見方もできます。
例えば輸送や加工、人材派遣の費用負担をすれば、利用する人々との間に「新し
い関係」が構築されます。格差社会ではありえなかった「人間という資源の対流」
が起こるのです。それによって企業の側も「新しい発想」「新しい市場」を開拓す
ることができます。協力企業は今も増えつつあり、これがシステムの原動力にな
っています。
今「無料化システム」は国境を越え、グローバルに利用されつつあります。世
界中の貧しい人々が充分に食糧を得、電気などのエネルギーを使い、ネットで教
育を受け、医療相談や診察もネットから始まります。今後はもっと人を動かし、
「人
材流動の無料化」を実現したいと考えています。あらゆる資源が公平に分配され、
「だれもが能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」ような世界は夢でなく、
見えるところにまで来ているのです。