中国の高速道路 上海駐在員事務所 藤光 雅之 2014 年の中国の新車販売台数は 2,349 万台で 6 年連続世界一となっています。2006 年に 4 万 5 千㎞だった高速道路網は、自動車の増加とともに、2013 年には約 10 万㎞にまで拡大 し、今やアメリカにほぼ匹敵する規模になっています。 2013 年末のデータでは、建設費用は 5 兆 4,432 億元(約 108 兆円)にのぼり、その 約 7 割を借入により調達しています。年間収支については、通行料金収入が 3,652 億元(約 7.3 兆円)である一方、支出が 4,313 億元(約 8.6 兆円)で実質赤字となっています。 中国では高速道路建設に際して、 「資金を借入れて道路を建設し、通行料金収入で借入金 を返済する」という政策が採られてきました。この政策では、借入金の返済完了後は通行 料金を無料化することが謳われています。 しかし、上記のように高速道路事業は赤字の状態が続いており、将来の建設費用の返済 や通行料金無料化に関して懸念が出てきています。 赤字の要因として、下記 3 点があげられます。 ① 計画時よりも道路建設費用(資材、人件費)が上昇したこと ② 通行料金の改定が 15 年以上行われていないこと ③ 道路整備の約 6 割超が地方発展のためのもので当初から黒字転換が見込めないこと この状況を打開するため、借入 返済期間の延長や、通行料金無料 化の先送りなどが今後議論され るものと思われます。 とは言え、このような大規模な 公共事業は内陸部の経済発展に 不可欠であり、また中国の GDP を 押し上げる要因にもなっている ことから、今後も継続的に行われ ることが予想されます。 このような道路網の整備は、イ ンフラ面で中国の優位性をます ます高めていくことでしょう。 (2015 年 2 月)
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