『複合型アミューズメント施設』からみる『サービス産業』について

経済月報
No.483 掲載分
平成 27 年 7 月
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【青島支店】
「『複合型アミューズメント施設』からみる『サービス産業』について」
【はじめに】
青島市のGDPは一昨年までの 10 年以上の間、毎年 2 桁成長を維持し、昨年 8%へ低下
したものの依然として北京、上海等の大都市と比較して高い伸び率を維持しています。た
だし、GDP規模は山東省で 1 位ですが省内シェアは 15%程度と低く、これは相応の経済
規模を持つ都市が複数存在する山東省の特徴です。なお、GDP規模は上海の 3 分の 1 程
度です。
2014 年の産業別構成は、第一次産業が 4%、第二次産業が 45%、第三次産業が 51%とな
っていますが、第三次産業の比率を高める目標(金融・物流・科学技術・情報サービス・
各種ビジネスサービスが重点業種)が立てられており、今後、第三次産業の比率は 60%程
度まで上昇する見込みです。
なお、青島市は投資誘致の方針として、産業の構造調整及びアップグレードに貢献する
企業を積極的に誘致する姿勢で、戦略的新興産業(情報技術、バイオ、新材料、新エネル
ギー等の新興産業)及び金融、物流、IT等のサービス業の進出を歓迎するなど、以前に
比べ、業種または投資金額の面で選別されています。
また、青島市は流通分野の対外開放を一段と拡大し、国内外の著名な大型小売企業を誘
致することを打ち出しています。経済成長に伴い市民の購買力(可処分所得)も順調に増
加しており、九州にある「リバーウォーク北九州」や、
「キャナルシティ博多」のような複
合型商業施設である「ロックシティ」等のショッピングセンターの新規出店が続いていま
す。
今回は、青島市が積極的に投資誘致しているサービス業の中でも、複合型アミューズメ
ント施設にスポットを当てて、みなさんにご紹介したいと思います。
【日系テーマパークの進出】
2015 年 7 月 3 日(金)に中国・青島華潤センターの商業施設「青島万象城」内にセガグル
ープが展開する「青島ジョイポリス」がオープンしました。「ジョイポリス」は、デジタ
ルエンタテイメントによる室内テーマパークです。東京・お台場にある「東京ジョイポリ
ス」は、1996 年の開業から現在までに約 1,500 万人の来館者が訪れています。 約 8 千平方
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メートルの館内に、屋内型ジェットコースターや 3D 映像による体験空間など、合計 20 種
類のアトラクションが設置され、館内中央の立体的なステージでは、最新のデジタル技術
を用いた映像演出や空間演出により、様々なライブコンテンツが上演されています。また、
人気のプリントシール機が多数設置され、好きな衣装に着替えて撮影をすることができる
コーナーなど、日本で人気の高いアミューズメントやサービスも展開されています。
青島には、絶叫型アトラクションを売りにした「特夢幻王国」等の既存のテーマパーク
もありますが、最新のアミューズメント及びサービスを提供する「青島ジョイポリス」の
人気は、益々上昇していくことが期待出来ます。
【青島ジョイポリス】
【青島ジョイポリス 内部の様子】
【「中国版ハリウッド」の建設について】
現在、不動産開発大手の「大連万達集団(ワンダ・グループ)」が青島市に総工費 500 億
元(約 9,900 億円)をかけて映画スタジオやホテル、ショッピングモールなどを含む商業
施設を建設しており、2017 年 6 月に完成予定です。
映画を中心とする複合施設としては世界最大で、376 万㎡(東京ドーム 80 個分)の敷地
に、20 個の映画スタジオや音響施設、アニメ制作所などを設置し、映画作りの一大拠点と
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なります。また、8 軒のホテルや蝋人形館、ショッピングモール、室内アミューズメントパ
ークのほか、300 隻のヨットが入れるヨットハーバーも併設するなど、一大リゾートセンタ
ーとなる予定です。
昨年 9 月に青島市内でレオナルド・ディカプリオやジョン・トラボルタ、ニコール・キ
ッドマンなどの著名な俳優や女優を招き、起工式が行われました。中国の映画市場は日本
を抜いて、現在世界 2 位の規模に成長しています。また、2020 年には約 1 兆 2400 億円とア
メリカを抜いて世界最大となる見通しです。
中国の映画産業は当局によって厳しく統制されており、政治的にデリケートなテーマや
題材はカットされていますが、中国政府も国際社会での「ソフトパワー」活用の重要性に
気付いており、今後、映画産業は益々盛り上がっていくものと考えられます。
【終わりに】
中国全土で経済成長に伴い、可処分所得が増加しています。現在、青島の所得水準は上
海に 2 年遅れていると言われています。消費支出の衣服に関する支出割合が高く、必需的
消費が 6 割と高い水準になっています。一方、上海では教育、文化、娯楽に関する支出が
高く、今後の所得水準の上昇に伴い、青島のサービス産業に関する市場は拡大していくも
のと考えられます。
また、山東省の消費市場は 31 省市(22 省・5 自治区・4 直轄市)の中で広東省に次ぐ大
きさですが、青島市は山東省最大の消費市場ながら、上記GDP同様省内シェア 2 割程度
となっています。サービス業での新規進出は上海等の大きな市場を想定されがちですが、
山東省内には相応の規模の都市が複数存在すること、競争が大都市に比べて少ないことを
考えると、大都市をあえて避けて最初に進出する場所として青島の消費市場の魅力は高い
と言えます。
加えて、青島市には 23 の友好都市がありますが、下関市との関係は古く 2014 年に 35 周
年を迎えています。地理的に距離も近く、海を挟んで古くから交流が多かったこともあり、
他都市に比べて山口・広島・北九州からは進出しやすい環境下にあると考えられます。
急速なハード面の社会インフラの整備にソフト面が追いついておらず、多くの現地中国
人から社会福祉面での不満を耳にします。また、急速な都市の発展による世代間の価値観
の違いから核家族化が進んでおり、「一人っ子政策」により高齢者比率も増加しています。
社会構造が変革期にあり、ビジネスチャンスは益々増えていくと考えられます。
山口銀行青島支店では、多くの日系企業の進出後の事務的なお手続をお手伝いしており
ます。進出を検討されている方は、お気軽に山口銀行青島支店にご相談下さい。
換算レート:1 元=19.73 円
以 上
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