浜田林業部トピックス(11月号)

浜田林業部トピックス(11月号)
①森林作業道開設研修会を開催 (荒金)
11月5~7日、大田市祖式町において森林作業道開設研修会を開催し、34名の参加がありました。研修
には、森杜(もりもり)産業株式会社の田邊由喜男氏を招聘し、現場での実習を中心に指導いただきまし
た。
参加したオペレーターの方々は、今までの開設方法と違い戸惑うところもあったようですが、田邊氏の
道づくりを肌で感じ、日頃感じている疑問を投げかけるなど熱心な様子が見られました。
田邊氏は、「一日自分がどれだけ仕事をすれば儲けられるのか、考えて仕事しなければならない」と強
調されました。若いオペレーターの方も参加されていたので、今後地域を代表するような人材になること
が期待されます。
森林作業道開設の様子
丸太組の指導
②浜田市立三隅中学校卒業記念植樹が開催されました (千原)
11月19日(水)、浜田市立三隅中学校3年生49名が卒業記念植樹を行いました。
三隅中学校では、平成13年度より植樹活動を通して自然や地域を愛する心を育てることを目的に毎
年卒業記念植樹を行っており、今年で14回目の開催となります。
生徒は2名ずつのグループに分かれ、三隅町林業研究グループのメンバーや林業普及指導協力員と
ともに山の斜面にヤマザクラ30本を植え、風で倒れないよう支柱と苗木を結びました。
その後、中学校柔道場へ移動し、林業普及指導協力員の下谷巧氏を講師に森林教室を実施しました。
下谷氏からは森林の働きについてお話しいただき、中学校卒業するにあたって「地域の自然を大切にす
る心を忘れないでいただきたい」との言葉で締めくくられました。
生徒からは、「将来、サクラの花が咲くのを楽しみにしたい」といった声が聴かれました。
植樹の様子
森林教室の様子
③木材利用促進セミナーが開催されました (羽原)
11月10日、浜田建設会館にて浜田・江津地区建築技術
協会主催の木材利用促進セミナーが開催されました。今
回のセミナーは、東京大学名誉教授の有馬孝禮氏を招聘
して行われ約50名の参加がありました。
建築部門、林業木材産業部門両方の立場から木材利用
の研究を行って来られた経験から、様々な視点でわかり
やすく木材の建築利用についてお話しいただきました。
セミナーでは「建築側が使ってみることで問題も見えてく
るので、まずは木材を使ってみて地域で出来る手法を模
索してほしい。」といった指摘がありました。今回のセミ
ナーには、建築と林業それぞれの関係者が参加されたの
で、今後浜田地域でどのような連携ができるか考える良い
きっかけとなりました。
東京大学名誉教授 有馬孝禮氏
④地域木材産業活性化講演会を開催 (大場)
10月23日、島根県立大学浜田キャンパスにおいて、江の川下流流域林業活性化センター主催による
地域木材産業活性化講演会が開催されました。
成美大学の荻大陸教授を講師にお招きし、『「国産材はなぜ売れなかったのか」を明らかにすることで
見えてきた地域の製材業の目指すべき方向性』と題してご講演いただきました。
前半は、著書「国産材はなぜ売れなかったのか」の内容に沿って、「国産材がなぜ外材に負けたのか」、
「東濃檜や美作材がなぜ銘柄材になり得たのか」等について、データに基づき、お話しいただきました。
その上で、平成7,8年から現在までを「集成材標準の時代」と定義され、製材も集成材と同等の含水率
や寸法安定性が求められているとして、これが実現できれば集成材から無垢製材がシェアを取り戻すこ
とも十分可能であると、持論をご披露していただきました。そして、そのためには、乾燥コストの低減が条
件として、丸太段階での乾燥が必要であり、その手法として「立木乾燥法」をご紹介いただきました。
また、製材所には、①木材加工専門工場と、②取り売りも行う製材所(材木店)の2種類があるので、区
別して分析し、対策を考える必要があるとのご助言もいただきました。
製材業者にとっては厳しい指摘も多かったですが、消費者目線で品質の確かな製品を供給していくこと
が、製材業が生き残るための課題だと関係者で共有できました。
成美大学教授 荻大陸氏
講演会の様子
⑤県西部における「製材事業の現状と今後の事業展開に関する」調査を実施 (田部)
8月下旬から11月上旬にかけて県西部地域の製材事業者(県木材協会登録:36社)を対象としてヒアリ
ング調査を行いました。
今回の調査は、消費増税による反動減や人口減少による新築住宅の減少などによって製材品需要の
大きな変化が見込まれる中、製材用原木の確保や製材加工の現状、販売先や今後の経営方針などを
把握し、地域の製材所が事業を継続・拡大するために必要な取り組みや課題解決につなげる目的で実
施しました。
調査結果から、今後、製材量の減少・現状維持を見込む経営者が多い一方で、比較的規模が大きい
製材所では、国産材使用量の増加を検討している経営者が数社あることから、県西部地域における製
材用原木の需要量は増加することが見込まれます。
さらに、需要先の要請や販路拡大を目指して高次加工機械(モルダー、超仕上げ、エンドマッチ加工
機)の整備が進められており、より付加価値の高い製品供給への意識が高まっています。
また、製材用原木を確保する上での課題、素材生産者や原木市場への要請、県に求める支援につい
ても聞き取りを行い、今まで認識していなかった課題も見えてきました。
今回の調査は、情報(経営者の生の声)と認識を常に共有するため各地域事務所普及員と共同で実
施しましたが、課題解決に向けた取り組みについても早急に検討を進め必要な仕組み作りにつなげて
いきます。
□主な調査結果(県西部地域の状況)
1)製材用原木の消費量(H25年次)
全体:67,600m3(内訳:国産材 46,900m3 外材 20,700m3 )
2)製材品の出荷量(H25年次)
全体:37,200m3(内訳:建築材 18,500m3 梱包材等 17,500m3 その他 1,200m3)
*建築材に占める人工乾燥材の割合:42%(構造材:52%)
3)今後の経営方針
ア)県産材使用量の増 5社 (国産材への樹種転換を含む)
イ)製品出荷量の増 5社
ウ)高次加工製品の増 4社
□調査製材所数 36社
1)大田・邑智地区 13社
2)浜田・江津地区 10社
3)益田・鹿足地区 13社