資料1(PDF:3823KB)

(案)
資料1
第4期
埼玉県地域福祉支援計画
「地域デビュー」「おせっかい」「ネットワーク」で
地域力を高める埼玉づくり
平成27年3月
彩の国 埼玉県
御挨拶
Photo
(知事顔写真)
平成27年3月
■目 次■
第1章 計画の考え方
1 計画策定の趣旨…………………………………………………………………………1
2 計画の性格と位置付け…………………………………………………………………1
3 計画期間…………………………………………………………………………………1
第2章 地域福祉に係る本県の現状
1 社会構造の変化…………………………………………………………………………3
(1)人口構造……………………………………………………………………………3
(2)世帯構成……………………………………………………………………………3
(3)少子高齢化の進行…………………………………………………………………4
2 高齢者の状況……………………………………………………………………………4
3 障害者の状況……………………………………………………………………………5
4 児童・子育て環境の状況………………………………………………………………6
5 生活保護世帯の状況……………………………………………………………………7
6 自殺者の状況……………………………………………………………………………7
7 NPO・ボランティアの状況…………………………………………………………8
8 地域社会活動への参加の状況…………………………………………………………8
9 福祉サービスに対する苦情などの状況………………………………………………9
10 市町村地域福祉計画の策定状況………………………………………………………9
第3章 地域福祉に係る社会的な課題
1 未曽有の少子高齢社会の到来…………………………………………………………10
2 公的福祉サービスでは対応が困難な福祉ニーズの増大……………………………10
3 地域のつながりの希薄化に伴う孤立…………………………………………………11
4 地域の福祉を支える担い手の不足……………………………………………………11
5 地域の実情に対応した計画的な施策の推進…………………………………………12
第4章 計画の理念と施策の体系
1 計画の理念………………………………………………………………………………13
2 施策の体系………………………………………………………………………………14
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
1 地域包括ケアシステムの考え方を応用した支援機能の拡充と地域の福祉力との統合 …15
2 介護保険制度の改正に対応するNPO・ボランティア団体の基盤整備…………23
3 社会福祉協議会との連携強化と民生委員・児童委員への支援を充実……………25
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
1 地域福祉の場・拠点づくりの促進……………………………………………………29
2 孤立死などを防ぐ取組の促進…………………………………………………………33
3 災害時に備えた支援の取組を充実……………………………………………………36
4 地域の商店や企業等と連携した支え合いの仕組みの拡充…………………………39
5 高齢化が急激に進む団地・ニュータウン再生の促進………………………………41
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
1 NPO・ボランティア団体、自治会等の地域活動への支援 ………………………45
2 地域福祉を担う住民の育成を拡充……………………………………………………47
3 住民が地域福祉の課題を学び、考える機会(福祉教育・学習)の充実……………49
4 介護、保育等サービス人材の確保……………………………………………………53
5 社会福祉法人、企業、大学等の社会貢献活動との連携強化………………………55
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
1 生活困窮者対策の推進…………………………………………………………………59
2 権利擁護体制の充実……………………………………………………………………65
3 苦情解決制度及び事業者等の第三者評価、指導の充実……………………………71
4 誰にも優しいまちづくりの促進………………………………………………………73
第9章 計画の推進・市町村への支援
1 市町村地域福祉計画の策定・改定に伴う支援………………………………………75
2 計画の進行管理…………………………………………………………………………76
参考資料 ………………………………………………………………………………………78
第1章 計画の考え方
第1章 計画の考え方
1 計画策定の趣旨
本県では、平成24年3月に平成24年度から平成26年度を計画期間とする第3期埼
玉県地域福祉支援計画を策定し、市町村における地域福祉の取組を支援してきました。
未曽有の少子高齢社会を迎えるに当たり、国では、持続可能とするための社会保障制度
改革に着手しました。今後は、様々な福祉分野において地域の課題を地域で解決する「地
域力」が問われる政策への転換が行われることとなります。
人間関係の希薄化や孤立が、
「孤立死」などの形で社会問題化し、地域福祉を取り巻く環
境が厳しい状況にある中で、
地域福祉活動の役割は、
かつてないほど重要となっています。
今期の計画は、県内市町村及び市町村社会福祉協議会に対する調査※に基づき、地域福
祉における県内の実情の「見える化」を図りました。これを踏まえて前期計画を見直すと
ともに、地域福祉の推進は、地域が中心となることから、市町村や社会福祉協議会、NP
O、住民などの地域での取組の方向性を示し、これを支援する、新たな計画を策定します。
2 計画の性格と位置付け
この計画は、広域的な見地から市町村の地域福祉を支援する事項を盛り込んだ社会福祉
法第108条に規定する「都道府県地域福祉支援計画」であり、県の総合計画である埼玉県
5か年計画の分野別計画として位置付けられるものです。
さらに、
「埼玉県高齢者支援計画」
、
「埼玉県障害者支援計画」など福祉、保健、医療の各
分野の個別計画との連携・整合を図りながら、それらの計画だけでは対応が困難な住民の
福祉ニーズや各計画に共通する横断的事項への取組を定めた計画です。
3 計画期間
平成27年度から平成29年度までの3か年とします。
※第4期県地域福祉支援計画策定に向けた市町村地域福祉に関する基礎調査
実施時期:平成 26 年 3 月~4 月
対象:県内全市町村、市町村社会福祉協議会
本計画の背景で記載しているグラフや数値で出典や引用の表記のないものは、この調査結果に基
づくもの。
- 1 -
第1章 計画の考え方
地域福祉とは、地域において人々が安心して暮らせるよう、住民・団体・企業・行政がお互いに協力
して地域社会の福祉課題の解決等に取り組む考え方です。具体的には、法律等の制度に基づき提供さ
れる公的サービスや住民・ボランティア団体などによる支え合いの取組などを相互に生かしながら、
住民の福祉ニーズに応えていくものです。
社会福祉協議会は、社会福祉法に基づき設置され、各種事業を通じて地域福祉活動の推進を図ること
を目的とした民間組織です。各都道府県、市区町村に設置され、住民主体の理念に基づき、地域の福
祉課題の解決に取り組み、誰もが安心して暮らすことのできる地域福祉の実現を目指し、様々な活動
を行っています。各種の福祉サービスや相談活動、ボランティアや市民活動の支援、共同募金運動へ
の協力など、全国的な取組から地域の特性に応じた活動まで、様々な場面で地域の福祉増進に取り組
んでいます。
NPOとは、
「Nonprofit Organization」又は「Not for Profit Organization」の略称で、様々な社
会貢献活動を行い、団体の構成員に対し収益を分配することを目的としない団体の総称です。収益を
目的とする事業を行うことは認められていますが、事業で得た収益は、様々な社会貢献活動に充てら
れています。このうち、特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得した法人を特定非営利活動法人
といいます。この計画では、法人格の取得したものも含めこれら団体をNPOと記載しています。
地域福祉支援計画の位置付け
住民参加による
策 定 と 推 進
市町村地域福祉計画
埼
埼玉
玉県
県地
地域
域福
福祉
祉支
支援
援計
計画
画
支援
埼 広域的見地から市町村の地域福祉を支援
玉
地域福祉支援計画に盛り込むべき事項 (社会福祉法第 108 条)
県 1 市町村の地域福祉の推進を支援するための基本的方針に関する事項
2 社会福祉を目的とする事業に従事する者の確保又は資質の向上に関する事項
5 3 福祉サービスの適切な利用の推進及び社会福祉を目的とする事業の健全な発達
のための基盤整備に関する事項
か
年
計
画
な
福
祉
ニ
ー
ズ
に
対
応
合
い
の
活
動
に
よ
り
様
々
公
的
サ
ー
ビ
ス
や
支
え
埼
玉
県
高
齢
者
支
援
計
画
埼
玉
県
障
害
者
支
援
計
画
埼 玉 県 子 育 て 応 援 行 動 計 画
埼 玉 県 地 域 保 健 医 療 計 画 等
そ
の
他
の
- 2 -
関
連
計
画
第2章 地域福祉に係る本県の現状
第2章 地域福祉に係る本県の現状
1 社会構造の変化
(1)人口構造
本県の人口は、今後、緩やかに減少し平成42年には680万人となる見通しです。
▼本県の将来人口の見通し(年齢3区分別)
800
単位:万人
721
総人口
713
699
700
179
194
600
680
198
202
500
総人口
65歳以上
15~64歳
0~14歳
400
451
300
435
424
408
91
84
76
70
H27
H32
H37
H42
200
100
0
(2)世帯構成
本県における単身世帯は、昭和55年には約25万人でしたが、平成27年には約8
7万人と大幅に増加しています。
▼本県の世帯数の推移
一般世帯総数
単身世帯数
核家族世帯数
(単位:千世帯)
その他の
一般世帯数
昭和55年
1,578
249
1,071
258
昭和60年
1,746
287
1,184
275
平成2年
2,028
399
1,347
282
平成7年
2,279
489
1,503
288
平成12年
2,470
572
1,617
282
平成17年
2,631
663
1,693
275
平成22年
2,838
807
1,764
264
平成27年
2,938
869
1,827
242
※昭和 55 年~平成 22 年 総務省「国勢調査」
※平成 27 年 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」
(2014 年 4 月推計)
- 3 -
第2章 地域福祉に係る本県の現状
(3)少子高齢化の進行
本県の高齢化は今後も急速に進み、高齢化率は平成42年には29.7%となる見込
みです。一方、合計特殊出生率は全国平均を下回る1.33となっています。
▼全国と本県の高齢化率の推移
%
35.0
29.1
30.0
26.8
23.1
25.0
27.2
20.2
20.0
29.7
24.8
全 国
埼玉県
20.4
12.0
16.4
12.8
10.0
5.0
28.4
31.6
17.3
14.5
15.0
30.3
8.3
10.1
0.0
H2
7
12
17
22
27
32
37
42
※平成 2 年~平成 22 年 総務省「国勢調査」
※平成 27 年以降 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」
(2014 年 3 月推計)
▼全国と本県の合計特殊出生率の推移
1.80
1.70
1.60
1.54
1.50
1.50
1.42
1.39
1.40
1.43
全 国
1.36
埼玉県
1.41
1.30
1.26
1.30
1.20
1.32
1.33
1.22
1.10
1.00
H2
7
12
17
22
25
※平成 2 年~平成 22 年 総務省「国勢調査」
※平成 27 年以降 厚生労働者「人口動態統計」
- 4 -
第2章 地域福祉に係る本県の現状
2 高齢者の状況
本県の単身高齢者・高齢夫婦世帯数や介護を必要とする高齢者の数は、今後も増加する
見込みです。高齢者虐待の認定件数※は600件前後で推移しています。また、高齢者が
被害に遭いやすい振り込め詐欺の発生件数も増加しています。
▼本県の単身高齢者・高齢夫婦世帯数の推移
3 , 500
非高齢者世帯
その 他高齢者世帯
高齢夫婦世帯
単身高齢者世帯
注 割合は一般世帯数に占める割合
2,938
3 , 000
2,977
2,983
2,926
2,837
2,631
2 , 500
2 , 000
2,020
1,900
1,845
6 4 .2%
6 3 .8%
6 3 .1%
397 13.3%
387 13.0%
378 12.9%
359 12.0%
354 11.9%
347 11.9%
6 6 .2%
7 1 .2%
2,009
1 , 500
1,915
1,946
7 6 .4%
1 , 000
383
13.0%
323 11.4%
500
260 9.9%
340 11.6%
286 10.1%
218
0
8.3%
2 4 .0%
2 3 .2%
2 2 .5%
2 0 .7%
1 7 .4%
208 7.3%
270 9.2%
313 10.5%
336 11.4%
356 12.2%
144 5.5%
H17
H22
H27
H32
H37
H42
1 3 .8 %
※平成 2 年~平成 22 年 総務省「国勢調査」
※平成 27 年以降 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」
(2014 年 4 月推計)
▼本県の高齢者虐待の相談通報・認定件数の推移
相談通報件数
1,400
認定件数
1,200
986
1,160
1,057
749
600
584
400
200
1,194
1,074
866
1,000
800
1,246
674
666
681
20年度
21年度
22年度
630
598
607
23年度
24年度
25年度
421
18年度
19年度
※県高齢介護課調べ
- 5 -
第2章 地域福祉に係る本県の現状
▼本県の振り込め詐欺認知件数及び被害額の推移
件
万円
2,000
200,000
186,207
1,500
150,000
140,368
115,322
1,000
100,000
78,470
認知件数
被害額
82,634
50,000
500
579
565
510
490
700
0
0
H21
H22
H23
H24
H25
※県警生活安全課調べ
3 障害者の状況
本県の障害者手帳所持者数は、平成25年度末で約28万人となっています。
また、障害者虐待の認定件数※は平成25年度に71件となっています。
▼本県の障害者手帳所持者
(単位:人)
項
目
平成25年度末現在
身体障害者手帳所持者数
203,460
療育手帳所持者数
40,721
精神障害者保健福祉手帳所持者数
39,156
手帳所持者数合計
283,337
※県障害者福祉推進課調べ
▼本県の障害者虐待の相談通報・認定件数
(単位:件)
項
目
通報件数
認定件数
平成 24 年 10 月~25 年 3 月
159
62
平成 25 年度
200
71
※県障害者支援課調べ
※認定件数
相談通報のあったもののうち市町村等が虐待と判断した件数
- 6 -
第2章 地域福祉に係る本県の現状
4 児童・子育て環境の状況
本県の児童のいる世帯は平成22年で約70万世帯、平均児童数も1.65人とそれぞ
れ減少傾向にあります。本県の児童虐待の相談受付件数は平成25年度で5300件を超
えています。また、子供の貧困率(全国)は平成24年には16.3%となっています。
▼本県の児童のいる世帯の状況
1,000
1.85
900
900
875
823
1.79
789
800
700
773
1.80
740
725
703
1.74
1.75
600
1.71
1.70
1.71
500
1.70
1.68
1.66
400
1.65
1.65
300
200
1.60
100
0
1.55
平成元年
4
7
10
児童のいる世帯数
(千世帯)
13
16
19
22
児童のいる世帯当たりの平均児童数(人)
※厚生労働省「国民生活基礎調査」
▼こどもの貧困率の状況(全国)
16.5 %
16.3
16.0
15.7
15.5
15.0
14.5
14.5
14.2
14.0
13.7
13.5
13.0
平12年
15
18
21
24
※平成25年度国民生活基礎調査
▼本県の児童虐待の相談受付件数の推移
件
6,000
5,358
5,000
4,504
4,000
3,449
3,000
2,000
4,769
1,814
2,143
2,135
2,287
2,425
16
17
18
19
2,657
2,665
20
21
1,000
0
平成15
年度
22
23
24
25
※県こども安全課調べ
- 7 -
第2章 地域福祉に係る本県の現状
5 生活保護世帯の状況
本県の被保護総世帯数は、
年々増加し、
平成24年には約6万5千世帯となっています。
▼本県の被保護総世帯数の推移
世帯数
65,362
70,000
61,010
60,000
54,992
46,715
50,000
36,223 37,554 39,885
40,000
34,596
29,818 32,634
30,000
20,000
10,000
0
H 15年
16
17
18
19
20
21
22
23
24
※県社会福祉課調べ
6 自殺者の状況
平成25年には1,485人の尊い命が自殺で失われています。
▼本県の自殺者数の推移
単位:人
平成 21 年度
自殺者数
平成 22 年度
1,720
平成 23 年度 平成 24 年度 平成 25 年度
1,642
1,586
1,528
1,485
※厚生労働省「人口動態統計」
7 NPO・ボランティアの状況
本県のNPO法人数は、年々増加し、平成25年度には1,991法人となっています。
また、市町村社会福祉協議会に登録しているボランティアは10万人を超えています。
▼本県が認証したNPO法人数の推移
(単位:法人数)
2,500
1,904
2,000
1,991
1,664
1,500
1,317
1,089
1,421
1,525
1,190
880
1,000
645
500
449
0
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
年度
※県共助社会づくり課調べ
▼本県の登録ボランティア数の推移
(単位:人)
110,000
104,878
102,565
100,279
100,000
90,000
84,736
84,399
21
22
80,000
70,000
63,581
60,000
50,000
20
年度
23
24
25
※県社会福祉協議会調べ
- 8 -
第2章 地域福祉に係る本県の現状
8 地域社会活動への参加の状況
60歳以上で地域活動やボランティアへの参加経験のある方は約40%となっています。
▼地域活動やボランティアへの参加経験のある方の割合
(単位:%)
50
44.7
42.9
38.2
40
41.3
37.0
34.3
38.8
38.0
39.2
23
24
25
30
20
10
0
H 17
18
19
20
21
22
年度
※県県政世論調査
9 福祉サービスに対する苦情などの状況
埼玉県運営適正化委員会の苦情受付件数は、平成22年度以降減少しています。
▼埼玉県運営適正化委員会苦情受付件数
(単位:件)
120 113
105
109
92
100
88
81
79
80
53
60
60
57
24
25
42
40
20
0
15
16
17
18
19
20
21
年度
22
23
※県社会福祉協議会調べ
10 市町村地域福祉計画の策定状況
策定済み
51
1,149
埼玉県(H27.3 末)
全 国(H26.3 末)
策定済み
未策定
市町村数
63
1,742
策定率(%)
81.0
66.0
上里町
本庄市
神川町
深谷市
美里町
羽生市
熊谷市
行田市
長瀞町
加須市
寄居町
皆野町
東秩父村
小川町
鴻巣市
滑川町
嵐山町
東松山市
小鹿野町
北本市
ときがわ町
坂戸市
越生町
毛呂山町
飯能市
白岡町
桶川市 伊奈町
蓮田市
川島町
上尾市
鳩山町
横瀬町
秩父市
久喜市
幸手市
吉見町
杉戸町
宮代町
春日部市
松伏町
鶴ヶ島市
川越市
日高市
狭山市
入間市
所沢市
- 9 -
さいたま市
ふじみ野市
富士見市
志木市
三芳町
蕨市
朝霞市 戸田市
新座市 和光市
越谷市
川口市
吉川市
草加市
三郷市
八潮市
※県福祉政策課調べ
第3章 地域福祉に係る社会的な課題
第3章 地域福祉に係る社会的な課題
1 未曽有の少子高齢社会の到来
日本の社会が高齢化していくスピードは世界最速だといわれています。こうした日本の
人口構成の急激な変化は「異次元の高齢化」とも称されています。
平成25年の日本人の平均寿命は、女性が86.61歳、男性が80.21歳で、いず
れも過去最高を更新し、日本は、世界に冠たる長寿国となっています。
「人生80年時代」を迎え、寿命が延びた恩恵を享受するためには、健康である期間を
延ばすとともに、個々の能力に応じて活躍できる地域社会を形成することが必要です。
一方、少子化の問題は、既に多くの地方において、若年人口の減少により地域経済の活
力が奪われ、人口流出に拍車がかかるといった形で顕著に現われています。
こうした状況に歯止めを掛けない限り、近い将来、消滅する地域が出現し、その流れは
地方から都市部へと波及し、やがて国全体の活力が低下すると言われています。
平成26年7月には、全国知事会議において、少子化対策に向けた「非常事態宣言」が
まとめられました。少子化対策を国家的課題と位置付け、国と地方が総力を挙げて少子化
対策の抜本強化に取り組むことが宣言されています。
こうした中、子供がいる世帯が多数ではなくなってきたことから、子育てに対する社会
全体の寛容さがなくなっていると感じる人も少なくありません。
若い世代が希望をかなえ、安心して結婚し子育てができるように、地域社会や企業など
が世代を越えて協力し、地域社会全体で子供を育てる環境を整える必要があります。
2 公的福祉サービスでは対応が困難な福祉ニーズの増大
福祉の各分野で制度が充実してきているにもかかわらず、公的サービスだけでは対応で
きない課題や支援を必要とする人に福祉サービスが届いていない事案が増えています。
介護が必要になった高齢者の家族に障害のある人がいたり、ひとり親家庭の子育てを援
助している祖母が認知症になったりと複合的な問題を抱えている家庭もあります。
高齢者のみの世帯や高齢者の単身世帯が増えている中で、電球の取り替えや雪かきなど
介護保険等の公的サービスを使うほどではないちょっとした手助けやサービスの対象外と
なっているニーズも増えています。
誰もが住み慣れた地域で、安心した暮らしを続けていくためには、住民自身が地域にお
ける個々の課題に気付き、発見し、共有することが大切です。
そして、これらの課題を解決するために、行政、住民、NPO、企業などあらゆる主体
が地域の社会資源を育成あるいは開拓し、
協働によりこれを活用する力が必要となります。
- 10 -
第3章 地域福祉に係る社会的な課題
3 地域のつながりの希薄化に伴う孤立
近年、公共料金を滞納し、電気・ガス等の供給が止められた状態で、亡くなった人が発
見されるという痛ましい事案が数多く報道されています。介護する人の急逝により介護を
受けていた人も死に至った例などもあります。
地域で亡くなられたことに近隣の住民が気付かず相当日数を経過してから発見されると
いう、いわゆる「孤立死」は、本県においても、多々、発生しており、これに象徴される
「社会的孤立」が重い課題となっています。
核家族化が進む本県では、子育て期の男性の就業時間や通勤時間が長いという特徴があ
り、孤立した子育てを強いられる親も多く、子育てに厳しい環境となっています。
加えて、今後、単身世帯の増加が見込まれ、高齢者や障害者あるいは生活困窮者の生活
なども、孤独にさらされていく可能性が極めて高いのです。
また、つながりの弱い地域社会では、高齢者、障害者、子供への虐待や高齢者を狙った
詐欺、引きこもり、ごみ屋敷などのセルフネグレクト※1 等、様々な課題が事件になって
から表面化することが少なくありません。福祉サービスにアクセスすることができずに地
域社会で埋もれ困りごとを抱えている人を、地域の人々が気付き、適切な支援機関につな
げる行動が求められています。
一方、本県では、地域のつながりの濃淡が、地域によって大きく異なることも特徴の一
つです。例えば秩父地域では、昔ながらの地縁組織も維持され、御近所同士の助け合いも
未だ顕在です。しかしながら、他の地域よりも高齢化が進んでおり、これに対応した地域
づくりや次の世代にもこの貴重な地域性を継承していく取組が求められます。
4 地域の福祉を支える担い手の不足
未曽有の少子高齢社会に向かって、福祉サービスは拡大していく状況が続きます。
しかし、際限なく財源が用意されているわけではありません。「公」が担い手になって
きた福祉は、「民」も担い手となり、その比重を高めていかなければ、個々の福祉ニーズ
に対応することが困難な状況になっています。
平成27年の介護保険制度の改革とあいまって、地域におけるNPOやボランティアの
育成及び質の向上の必要性は、かつてないほどに増しています。身近な地域に多様な活動
を行うNPOやボランティアが数多く育っていく環境が望まれます。
一方で、人口減少や福祉ニーズの増大に伴い、公的サービスを含め地域の福祉を支える
担い手は、極めて不足している状況にあります。未就業の女性や元気な高齢者、とりわけ
団塊の世代の人たちが、どうすれば地域で活躍できるかが鍵となります。
東日本大震災後、日本は、薄れていった地域のつながりや人とのきずなの大切さを再認
- 11 -
第3章 地域福祉に係る社会的な課題
識することとなりました。
「誰かの役に立ちたい」という気運が、個々の人だけでなく企業
や社会全体に高まっています。本来、地域が持っていた力を復元する取組が求められてい
ます。子供、若者から現役世代の壮年者、高齢者層まで、世代を越えて、地域の課題を共有
し、考え、行動するための機会を提供することが必要です。
「福祉は人なり」と言われるように、福祉サービスの多くは人によって提供されます。
その「人」の確保と「質」の向上は、公的サービスやインフォーマルサービス※2 どち
らにおいても危機感を持って取り組んでいかなければならない最重要課題となっています。
5 地域の実情に対応した計画的な施策の推進
市町村の地域福祉計画は、住民が地域で生活していく中で発見した課題を、住民自身が
あらゆる社会資源を活用して主体的に解決を図るための行動を応援する、地域づくり計画
です。
「無縁社会」と言われるほど地域社会が崩壊寸前の中で、住民と向き合い、何を検討
し、どう課題解決に向けた道筋をつけていくのか、計画の真価が問われています。
住民、NPO、企業などが、地域福祉計画の策定に向けた作業の実践者になることも、
これらの主体が、
積極的に地域の活動に参画する環境を整えていくための手法の一つです。
自分たちの生活圏域にどのような課題があるのかを発見し、市町村と共通認識を持つ機会
でもあり、ネットワークを形成していく、初めの一歩にもなります。
また、計画策定後の評価は、計画の実効性を担保していく上でも、広く住民に公開し、
住民やNPO、企業、社会福祉協議会などを構成員とした委員会により行っていくことが
重要となります。この委員会は、策定作業に関わった者を構成員とすることで、より効果
的な運営が期待できます。
本県では、未だ地域福祉計画を策定していない市町村があります。全ての市町村が計画
を策定し、地域の実情に応じ、計画的に地域福祉を推進する施策を展開していくことが求
められます。
一方、生活困窮者自立支援法による新たな支援制度は、地域福祉を拡充し地域づくりを
進めていく上でも重要な施策です。このため、速やかに、市町村の地域福祉計画に、生活
困窮者の自立支援方策を盛り込む必要があります。
※1 セルフネグレクト
通常の生活を維持するために必要な行為を行う意欲・能力を喪失し、自己の健康・安全を損なう
こと。食事をせず医療を拒否し、不衛生な環境で生活を続け、家族や周囲から孤立する。自己放任。
※2 インフォーマルサービス
行政や専門機関など、フォーマル(正式)な制度に基づき提供される支援ではなく、家族や地域
住民、ボランティアなどによる、制度に基づかない非公式な支援のこと。
- 12 -
第4章 計画の理念と施策の体系
第4章 計画の理念と施策の体系
1 計画の理念
県は、次の基本理念に基づき、市町村の地域福祉を支援する取組を進めていきます。
「地域デビュー」
「おせっかい」
「ネットワーク」
で地域力を高める埼玉づくり
本県は全国で最も速いスピードで高齢化が進んでおり、今後、
未曽有の少子高齢社会を迎えます。
単身世帯の急増が見込まれる中、地域コミュニティの弱体化により
「社会的孤立」が課題としてますます浮き彫りになってきます。
誰もが、住み慣れた地域で安心して生き生きと生活していける。
このために、住民、NPO、企業、行政の力を結集して、地域の中で
地域の課題を解決していける社会を作りあげなければなりません。
住民やNPOなどの積極的な参加と、それを応援する仕組みづくり
が重要です。
「地 域 デビュー」と「おせっかい」が、これからの地 域 づくりの
キーワードです。
県 では、あらゆる主 体 が「ネットワーク」を作 り、これを生 かし、
「地域力」※を高める取組を促進していきます。
※地域力
ここでは、地域における課題について、住民や企業など様々な地域の構成員が、自らその課題
を認識し、自立的かつその他の主体との協働を図りながら、課題の解決や地域づくりを進めるた
めの力とします。
- 13 -
第4章 計画の理念と施策の体系
2 施策の体系
第5章
地域のケア シ ステム
と福祉力を 統合する
基 盤 づ く り
1 地域包括ケアシステムの考え方を応用した支援機能の拡充と地域
の福祉力との統合
2 介護保険制度の改正に対応するNPO・ボランティア団体の基盤整備
3 社会福祉協議会との連携強化と民生委員・児童委員への支援を充実
1 地域福祉の場・拠点づくりの促進
2 孤立死などを防ぐ取組の促進
第6章
孤立を防ぎ、見守り、
支え合う地域づくり
3 災害時に備えた支援の取組を充実
4 地域の商店や企業等と連携した支え合いの仕組みの拡充
5 高齢化が急激に進む団地・ニュータウン再生の促進
1 NPO・ボランティア団体、自治会等の地域活動への支援
2 地域福祉を担う住民の育成を拡充
第7章
地域福祉を支える
担 い 手 づ く り
3 住民が地域福祉の課題を学び、考える機会(福祉教育・学習)の充実
4 介護、保育等サービス人材の確保
5 社会福祉法人、企業、大学等の社会貢献活動との連携強化
1 生活困窮者対策の推進
第8章
福祉サービスを適切に
利用できる環境づくり
2 権利擁護体制の充実
3 苦情解決制度及び事業者等の第三者評価、指導の充実
4 誰にも優しいまちづくりの推進
第9章
計 画 の 推 進 ・
市町村への支援
1 市町村地域福祉計画の策定・改定に伴う支援
2 計画の進行管理
- 14 -
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
1 地域包括ケアシステムの考え方を応用した支援機能の拡充と地域の福祉
力との統合
地域包括ケアシステムの考え方を各福祉分野に応用して既存の支援機能を拡充し、
地域の福祉力との統合を目指し5つの取組を促進
・住民の気付きや発見を受け止める仕組みの創設
・総合力による支援を検討する機能(会議)の拡充
・市町村の組織内を調整する役割の明確化
・地域課題の解決策を検討する場の創設[地域社会基盤の整備]
・住民の福祉力を高める取組
【背景】
公的サービスでは、高齢者、障害者、児童といった対象者ごとに、その分野の専門機関に
より支援が行われます。しかし、公的サービスだけでは対応できない場合や複合的な問題を
抱えているなど、同時に、複数の分野での支援が必要となる場合があります。
本県では、これまで、市町村や市町村社会福祉協議会(以下「市町村社協」という。)等
への人材育成などの取組を通して、
地域福祉の総合推進体制を進めてきました。
この体制は、
専門職連携や公的サービスと支え合い活動などを組み合わせて適切な支援を行い、地域の生
活課題を地域全体で解決するものです。
一方、平成16年には、関係機関が連携を図り児童虐待等への対応を行う、要保護児童対
策地域協議会が法定化されました。平成18年には、高齢者が要介護状態となっても住み慣
れた地域で暮らし続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援などの様々
なサービスが日常の生活の場で一体的に提供される地域包括ケアシステム※1(図 1)の構
築に向けての整備が始まりました。
平成25年には、
「地域包括ケアシステム」
という言葉が、
初めて法文に明記され、
平成37年を目処に市町村においてこのシステムを構築することが、
政府の大きな目標として明確に位置付けられることとなりました。
また、障害者福祉においても、平成18年に、地域の関係者の連携及び支援体制に関する
協議を行う自立支援協議会が国の要綱に位置付けられ、平成24年に法定化されています。
このように、各福祉分野で、地域の社会資源とも連携して課題に対応する体制の整備が行
われてきました。
こうした中、市町村が、複合的な問題を抱える人に対応する過程で見えてきた課題は、職
員のスキルの向上が44団体と最も多いほか、専門機関との連携、行政内部の体制づくりな
ど行政内外におけるネットワーク体制の構築が課題となっています。
(グラフ 1)
- 15 -
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
市町村社協においても、複合的な問題を対応する過程で見えてきた課題について、職員の
スキルの向上が最も多く、次いで、専門機関同士の連携、各機関の横断的な対応への体制づ
くりが課題となっています。(グラフ 2)
▼市町村における複合的問題への対応における課題
50
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
回答数
行政内部・
職員のスキ 専門機関同 行政内部の
地域の社会 地域の社会
外部機関と
ル向上
士の連携 体制づくり
資源不足 資源の把握
の調整
44
38
33
24
21
21
グラフ 1
▼市町村社協における複合的問題への対応における課題
40
35
30
25
20
15
10
5
0
職員の
スキル
向上
回答数
37
横断的
地域の
専門機 に対応 社協内・
社会資
関同士 するルー 外部機
源の不
の連携 ル・体制 関と調整
足
づくり
33
30
24
18
自治会
地域の
や民生 行政等と
社会資
委員との の連携
源の把
連携強
強化
握
化
18
23
30
グラフ 2
【地域での取組の方向性】
これまでも、専門職や地域の社会資源と連携する支援体制として、介護保険制度における
個別課題解決機能等を有する地域ケア会議(以下「地域ケア個別会議」という。)、障害者
の自立支援のための協議会、
要保護児童対策地域協議会等、各福祉分野の協議体が開催されて
います。平成27年度からは、生活困窮者についてもこうした体制の整備が始まります。
これらの体制において、民生委員・児童委員(以下、本文において「民生委員」という。
)
や自治会、NPO、ボランティアなど、地域の社会資源として役割を果たすことが期待され
ている受け皿の多くは共通しています。そこで、地域包括ケアシステムの考え方を介護や医
- 16 -
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
療の分野だけでなく他の福祉分野にも応用し、各福祉分野における既存の支援体制(協議体)
の機能を拡充します。これら拡充された機能と地域の福祉力とを統合して、地域福祉の更な
る推進体制の構築を提案をします。
(図 2)
◆住民の気付きや発見を受け止める仕組みの創設
地域で支援活動に当たる住民(民生委員、自治会長、ボランティア等)は、支援を必要と
する人やその人の支援に係る課題などを発見することが数多くあります。こうした発見を適
切な支援や地域づくりにつなげるために、住民の気付きや発見を受け止める役割を担う機関
を明確にします。市町村社協や地域包括支援センター※2、地域福祉活動に実績のある社会福
祉法人やNPOなどが考えられます。この機関は分野を越えて住民の相談に応じ、地域で困
りごとを抱えている人を、課題の分野に応じた専門の支援検討会議(協議体)につなぎます。
市町村や市町村社協において、こうした仕組みを構築し、この機関と十分な情報共有や連
携を図ることが求められます。
既に、高齢者の総合相談窓口として実績を積んでいる地域包括支援センターの機能を拡充
して、対象者を高齢者以外にも拡大し、情報をキャッチしている市町村があります。
また、市町村社協に、日常生活圏域ごとのコミュニティソーシャルワーカー※3 を配置し、
総合相談に対応している例もあります。
◆総合力による支援を検討する機能(会議)の拡充
地域ケア個別会議、障害者の協議会、要保護児童対策地域協議会等、専門分野における支
援の検討の中で、他の福祉分野の専門職や行政職員との検討が必要になる場合があります。
このため、総合力による支援を検討する機能(会議)の拡充を図ります。
ケースに応じていずれかの協議体が主導して、その協議体に検討に必要な他の協議体メン
バーや専門職、行政職員が加わります。
支援を検討する中で、必要とするサービスがないなど社会資源の不足を発見することがあ
ります。例えば、介護保険を利用する程度ではない買い物支援が必要な高齢者がいても、地
域にそれを担うボランティアなどが育っていない場合です。買い物支援のサービスは、障害
者や乳児を抱えている一人親の支援などにも活用できるサービスでもあります。
支援を検討する様々な関係者が、発見された地域に足りないサービスや活動を、各福祉分
野に共通する地域の課題として認識することが大切です。
ここで発見された地域の課題は、協議体を主導する者が市町村へ報告します。
◆市町村の組織内を調整する役割の明確化
市町村は、
各福祉分野を越えて組織内の調整を図る役割を事務分掌に位置付けるなどして、
発見された地域課題を受け止める担当(調整リーダー)を明確にしておくことが求められま
す。この担当は、「地域課題の解決策を検討する場」を主催します。
- 17 -
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
◆地域課題の解決策を検討する場の創設[地域社会基盤の整備]
地域における課題の解決策を検討する場を創設し、これに、各福祉分野に関係する行政職
員や専門職のほか、市町村社協や地域活動の開発支援にノウハウのあるNPO、地域活動の
実践者として期待できる事業者、社会福祉法人、民生委員などが参画します。
既に、介護保険制度における政策形成機能を有する地域ケア会議(以下「地域ケア推進会
議」という。)を実施している市町村においては、この機能を拡充し、障害者や子育て、生
活困窮者等の支援を加えて検討することも考えられます。
この場で導き出された解決策は、総合力による支援を検討する機能(会議)や地域にフィ
ードバックし、支援の実践に結びつけたり、新しいサービスや活動を創り出したりします。
また、
地域福祉計画や各分野の計画に、
課題解決を図る新たな取組を位置付けるなどして、
地域の社会基盤を整備していくことが求められます。
この場に参加する市町村職員には、縦割り意識を排除して最適な解決方法を探す力や地域
に足りないものを見極め、地域をプロデュースする力が求められます。
◆住民の福祉力を高める取組
地域で困りごとを抱えている人に気付いたり、地域の課題を発見し解決策を見出したりす
るためには、住民の福祉力を高める必要があり、市町村や市町村社協の支援が重要となりま
す。これらの支援の在り方については、本計画の各取組で提案しています。
一方、住民においても、サービスの提供を受ける側としてだけでなく、自ら地域の福祉活
動に参加し、自分の生活や地域の在り方を考え、市町村や市町村社協とともに模索していく
ことが、これらの仕組みを構築する貴重なプロセスとなります。
【県の取組】
○ 地域包括ケアシステムの考え方を拡充し地域の福祉力を生かして支援に当たる取組など
の先進事例の情報を収集し、市町村及び市町村社協に提供していきます。
○ 市町村及び市町村社協等の管理職員に対して、地域の社会資源のネットワーク形成を推
進し、コーディネートするスキルを向上させるための研修を実施します。
○ 市町村及び市町村社協の担当職員に対して、総合的な相談に対応するための意識改革や
能力を養成する研修機会の拡大を図ります。
○ 埼玉県社会福祉総合センターで運営する福祉研修センターにおいて、コミュニティソー
シャルワーク実践者養成研修を実施し、市町村、市町村社協、地域包括支援センター等地
域福祉活動に携わる職員に対し、事例演習などにより総合力で支援に当たる手法を実践的
に学ぶ機会を提供します。
○ 地域包括支援センターの機能強化を図るため、初任者、中堅職員、センター長の階層別
従事者研修を実施します。
- 18 -
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
○ 地域包括支援センターが求められる機能を発揮できるよう、市町村の基幹機能及び支援
能力の向上を図るため、地域包括支援センターを担当する市町村職員研修を実施します。
○ 若年性認知症の人の自立支援のため、医療関係者、介護事業者、介護者、関係行政機関
等によるネットワーク会議を開催し、地域での支援の在り方などを検討します。
▼地域包括ケアシステムの姿
医 療
病気に
なったら
◆病院
◆かかりつけ医
◆地域連携病院
◆地域包括支援センター
◆ケアマネジャー
総合相談
サービスのコーディネート
介護が必要
になったら
介 護
◆在宅系サービス
24時間対応の定期巡回・
随時対応サービス
訪問介護・看護
デイサービス
通院・入院 通所・入所
ショートステイ
◆施設・住居系サービス
◆介護予防サービス
特別養護老人ホーム
介護老人保健施設
住まい
認知症グループホーム等
◆自宅
◆サービス付き高齢者住宅等
生活支援・介護予防
いつまでも元気
で暮らすために
◆老人会・自治会
◆NPO・ボランティア等
図1
※1 地域包括ケアシステム
住み慣れた地域で、高齢者向け住宅や住宅改修などでニーズに応じた住宅が提供されることを基
本として、医療、介護、予防、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが、日常生活の場(日
常生活圏域)で適切に提供される体制をいう。日常生活圏域とは、おおむね30分以内に駆けつけ
られる圏域であり、具体的には、中学校区を基本としている。
※2 地域包括支援センター
市町村(保険者)が設置する高齢者やその家族に対する総合的な相談窓口。保健師、社会福祉士、主
任介護支援専門員を配置し、介護に関する悩みや心配ごと、健康や福祉、医療に関する支援、虐待の
防止や早期発見などの権利擁護事業、介護支援専門員(ケアマネジャー)への支援等を行う機関。
※3 コミュニティソーシャルワーカー
問題を抱えた人に対し、問題解決のため関係する様々な専門家や事業者、ボランティア等との連
携を図り、総合的に支援する者又は適切な専門機関につなぐ者。
- 19 -
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
▼地域包括ケアシステムの考え方を応用した支援機能の拡充と地域の福祉力との統合のイメージ
身近な地域
おおむね小学校区
地域の中で困りごとを
抱えている人を発見
子育て
サロン
認知症
カフェ
介護予防
サークル
地域の中で困りごとを抱えている人
自治会役員
配食
サービス
民生委員・児童委員
困りごとを抱えている人に
ついて連絡
日常生活圏域
おおむね中学校区
住民の気付きや発見を受け止める仕組み
市町村社協、地域包括支援センター、社会福祉法人、NPO等が分野を越えて相談に対応
支援を検討する機能
(会議)へつなぐ
総合 力による支援 を検討 する機 能(会議)の拡充
①課題の分野に応じた専門の支援検討会議で検討
②複合的な課題がある、公的サービスのはざ間の課題
が想定される場合は、分野を越えて、柔軟に必要な
関係者の参画を得て検討
支援を検討する過程で、社会資源の不足(例;買い
物支援のボランティアがいないこと)が判明
→各福祉分野共通の地域課題として捉える
→組織内を調整する役割を担う市町村職員へ報告
地域ケア個別会議
(高齢者)
生活困窮者
支援調整会議
障害者
の協議会
複合的課題
要保護児童
対策地域協議会
市町村単位
【市町村】組織内を調整する役割の明確化
・地域福祉
・障害者福祉
・生活保護
・高齢者福祉
・児童福祉
・保健 etc
地 域 課 題を受け止め、
解決策を検討する場を主催
調整リーダー(事務分掌上の位置付け)
地域課題の解決策を検討する場(又は地域ケア推進会議の機能拡充)[地域社会基盤の整備]
・市町村レベルの課題の解決策を検討する
NPO・ボランティア
・検討結果を地域にフィードバックして実践
・各種計画に新たな取組として反映
地域活動のリーダー
社会福祉協議会
行政
自治会
診療所
事業者・企業
商店・商店街
社会福祉法人
民生委員
住民の福祉力を高める取組
県福祉政策課作成
図2
- 20 -
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
和光市の取組を紹介
- 21 -
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
- 22 -
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
2 介護保険制度の改正に対応するNPO・ボランティア団体の基盤整備
要支援者等の生活支援サービスを担うNPO・ボランティア団体の掘り起こしや育成
利用者とNPO・ボランティア団体が提供するサービスをマッチングするスタッフの
確保と質の向上
地域の商店等とのタイアップにより、地域の課題を解決するためのサービスを創出
生活支援コーディネーターの養成及び配置
【背景】
介護保険制度の改正に伴い、平成27年度から順次、介護予防給付の一部が、市町村が実
施主体となる地域支援事業※1 に移行されます。
介護保険制度において要支援と認定された人(以下「要支援者」という。
)へのサービスの
うち訪問介護と通所介護のサービス提供については、介護事業所に加えて、地域のNPO・
ボランティア団体も担うことができます。
しかしながら、市町村によっては、NPO・ボランティア団体や住民の活動を支援するノ
ウハウが十分でなく、要支援者や要支援に相当する人へのサービスの提供の受け皿となる団
体が育っていないという課題があります。
また、地域包括ケアシステムの構築に向けて、介護予防・生活支援サービスの充実・強化
や高齢者の社会参加を推進するため、市町村ごとに生活支援サービスの体制整備を進めるこ
とになります。
【地域での取組の方向性】
市町村は、協議体※2 の設置や生活支援コーディネーター※3 の配置を行い、新たな地域支
援事業へ円滑に移行することが求められています。今回の介護保険制度の改正は、見守りや
支え合い活動などへの住民参加やNPO・ボランティア団体の活動の活性化など、住民参加
型の地域づくりを進めるチャンスとも言えます。
「地域課題の解決策を検討する場」
(第5章
1)などを活用し、要支援者等の生活支援サービスを担うNPO・ボランティア団体の掘り
起こしや育成に取り組む必要があります。
加えて、
「地域福祉を支える担い手づくり」
(第7章)で提言している取組などにより、危
機感を持って、生活支援サービスの担い手の確保を進めなければなりません。
さらに、これらのNPO・ボランティア団体が継続的かつ安定的に事業を行うためには、
利用者と提供するサービスをマッチングするスタッフの存在が不可欠です。
市町村は、地域支援事業の財源を活用するなどして、こうしたスタッフの確保と質の向上
に向けた支援を行うことが重要となります。
また、地域の商店街や商店においても、地域貢献と地域に根ざしたビジネスを同時に実現
- 23 -
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
する事業への参入の気運が高まる可能性があります。
こうした商店等とのタイアップにより、
地域の課題を解決するためのサービスの創出が期待できます。
一方で、市町村等からは、
「地域の課題解決に資するために住民の福祉力を発揮して育った
NPO・ボランティア団体が地域支援事業の請負に特化してしまうのでは」と危惧する声も
あります。
このため、市町村は、地域活動の自発性や柔軟性を損なわないような支援や啓発活動を行
う必要があります。また、要支援者等の生活支援サービスの担い手の確保と併せて、引き続
き、多様な課題に対応するためのNPO・ボランティア団体の育成やボランティア精神をか
ん養する取組を充実することが大切です。
【県の取組】
○ 市町村で生活支援コーディネーターとして配置を予定している人材に対する研修を実施
します。
数値目標
協議体の設置や生活支援コーディネーターの配置をしている市町村数
全市町村
平成29年度末
●市町村
平成26年3月末
※1 地域支援事業
被保険者が要介護状態等となることを予防するとともに、要介護状態等となった場合においても、
可能な限り、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援するため、市町村が実施
する事業。
※2 協議体(23、24 ページでの「協議体」
)
市町村が主体となり、各地域における生活支援コーディネーターと生活支援・介護予防サービス
の提供者等が参加し、定期的な情報共有や連携強化を図る場。
※3 生活支援コーディネーター
地域に不足するサービスの創出やサービスの担い手の育成、元気な高齢者が担い手として活動す
る場の確保、関係者間の情報共有やネットワークづくり、支援ニーズとサービス提供の活動をマッ
チングするなど、多様な主体による多様な取組のコーディネート機能を担う者。
- 24 -
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
3 社会福祉協議会との連携強化と民生委員・児童委員への支援の充実
市町村と市町村社協が顔の見える関係を構築
共同募金の活用により新たな福祉サービスを創出
福祉委員養成の拡充や各分野の相談機関との連携強化など民生委員の見守り活動等
をチームで実施
社会福祉法人が民生委員の活動を支援できるよう、市町村及び市町村社協がつなぎ役
となって双方の連携を促進
県の県社協への支援と連携を強化
【背景】
市町村社協では、民生委員※1 との連携やボランティアの養成、支援についても積極的に
行われています。
また、民生委員は、市町村や市町村社協、地域包括支援センターとの連携は、十分行われ
ていますが、
NPOやボランティア団体、
地域の企業や商店との連携は十分とは言えません。
市町村からは、民生委員の活動の課題としては、後任の確保、業務量の多さ、個人情報の
取扱いの難しさ、などが挙げられました。
(グラフ 3)
さらに、最も難しい取組としては、災害時の支援を必要とする人への対応が46%、初期
相談対応が25%、在宅の支援を必要とする人の見守り活動が13%となっています。
(グラフ 4)
▼民生委員の活動における課題
60
50
40
30
20
10
0
回答数
活動を
個人情
地域の 支援拒
専門機
サポー
実態把 否者へ
関との 特にな
後任の 業務量 報の取
トする
高齢化
握が困 の対応
連携不
確保 が多い 扱いが
い
人がい
困難
難
が困難
足
ない
51
46
23
19
15
グラフ 3
- 25 -
9
8
6
2
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
▼民生委員の活動で最も難しい取組内容
特にない
10%
その他
6%
在宅の支援を
必要とする人
の見守り活動
13%
災害時の支援
を必要とする
人への対応
46%
災害時の支援を必要
29
とする人への対応
初期相談対応
16
在宅の支援を必要と
8
する人の見守り活動
特にない
6
その他
4
初期相談対応
25%
グラフ 4
【地域での取組の方向性】
市町村社協は、市町村にとっても地域住民にとっても身近な機関であることから、地域に
おける社会資源の創設やNPO・ボランティアの支援について、その機能を発揮していくこ
とが期待されます。共同募金などの活用により、住民やNPOと協働して、住民の福祉力を
高め、
地域の実情に応じた福祉サービスを創出するなどの取組が求められます。
共同募金は、
その役割として地域福祉の推進が位置付けられています。共同募金が財源となっている地域
福祉事業において、募金とその配分が地域を循環する姿を「見える化」すること等が大切で
す。具体的には、市町村社協において、公募方式により募金が地域の福祉活動に積極的に活
用される事業(仕組み)を創設すること等が考えられます。市町村においては、地域におけ
る実践の理解を深めるために、市町村社協と顔の見える関係を築き、市町村社協の地域づく
りのための活動について、十分、情報の共有を図ることが重要です。
一方、民生委員については、後任の確保が課題となっており、民生委員の活動内容につい
て、住民への理解を深めることが重要です。
市町村は、市町村社協と連携して福祉委員※2 の養成を充実させ、民生委員とともに見守
り活動などをチームで行うことや地域の関係者との情報共有のルールを明確にすることが求
められます。福祉委員の活動への周知や理解については、埼玉県社会福祉協議会(以下「県
社協」という。
)で発行している「福祉委員活動アシストブック」が活用できます。
こうした取組により、民生委員の負担が軽減されるとともに後任育成も期待できます。
民生委員は、地域福祉を推進するリーダー的存在であり、地域の課題や困りごとを抱えて
いる人を発見する機会が多いことは言うまでもありません。
「何かあったら相談できる」とい
う仕組みになっていれば安心感が生まれます。こうした発見を受け止める担当の必要性は、
「地域包括ケアシステムの考え方を応用した支援機能の拡充と地域の福祉力との統合」
(第5章
- 26 -
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
1)でも提言しています。当面、市町村が、民生委員に対し、相談ケースの分野ごとに担当
の連絡先を明確にして提供することで負担感が軽減されます。この取組は、民生委員と関係
機関との連携を図ることにも寄与します。できることから、少しずつ体制を整えていくこと
も、民生委員の活動をチームで支えることにつながります。
また、社会福祉法人には、専門的な援助知識、相談技術を持つ人材がいます。市町村社協
は、社会福祉法人との連携も強化し、これらの知識・技術を、地域において十分生かしてい
くことが大切です。社会福祉法人が民生委員の活動を支援できるよう、市町村及び市町村社
協がつなぎ役となって、双方の連携を円滑にすることが求められます。
【県の取組】
○ 地域福祉を推進するため、県社協に対し助成を行うとともに、十分な連携を図ります。
○ 県社協による市町村社協の充実・強化の取組やボランティアコーディネーター研修等に
よる住民活動の活性化の取組を支援します。
○ 埼玉県社会福祉総合センターで運営する福祉研修センターにおいて、民生委員の課題別
研修や新任研修等を実施し、民生委員の資質の向上を図ります。
○ 民生委員・児童委員協議会会長及び副会長研修を実施し、民生委員・児童委員協議会に
対する期待と役割の理解向上を図ります。
○ 民生委員の活動を促進し、地域福祉の向上を図るため、民生委員・児童委員協議会の活
動を支援します。
寄居町社会福祉協議会の取組
福祉委員による見守り活動
「地域支えあいの会」でのサロン活動
※1 民生委員・児童委員(本文は、16 ページで「民生委員・児童委員」を「民生委員」という表記に規定)
民生委員は、民生委員法に基づき、厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員。児童福祉
法に定める児童委員を兼ねることとされている。それぞれの地域において、援助が必要な住民を把
握し、相談や必要な援助を行うとともに、福祉事務所等関係行政機関の業務に協力する。
※2 福祉委員
地域の高齢者や障害者など支援が必要な人を発見したときに民生委員に連絡し、専門機関や福祉
サービスにつないだり、必要な見守り活動等を行う地域のボランティア。市町村によって、名称は
異なる。市町村社協が委嘱する場合が多い。
- 27 -
第5章 地域のケアシステムと福祉力を統合する基盤づくり
寄居町社会福祉協議会の取組を紹介
- 28 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
1 地域福祉の場・拠点づくりの促進
既存の社会福祉施設や空き店舗などの地域の資源を生かし相談や交流、居場所づくり
等多様な機能を持った場・拠点づくりを促進
地域のニーズに応じて、既存拠点の機能を拡充
【背景】
身近に頼れる人や知り合いがいない人が増えていく中で、県では、住民にとって、相談や
交流、集い、あるいは情報共有の場となる地域福祉の場・拠点づくりを促進してきました。
こうした場は、市町村にとっても、情報を提供したり、困りごとを抱えている人を把握し
たりと様々な施策に活用されています。核家族が多い本県においては、子育てにおける孤独
感や負担感を少なくする役割も担っているものもあります。
常設の施設として、地域福祉の拠点を設置している市町村は、50%を超え、高齢者サロ
ンや子育てサロンなど、
居場所づくりの事業を実施している市町村も65%に上っています。
また、地域の子育て支援の拠点施設は、全市町村に設置され、県内472か所となってい
ます。
(平成26年3月末現在)
【地域での取組の方向性】
地域福祉の場・拠点づくりは、新たに施設を整備する方法もありますが、定期的に決まっ
た場所で、相談・交流機能を持つ事業や居場所づくりの事業を行う方法もあります。今後は、
認知症高齢者とその家族が専門職や地域の住民と交流することにより生活の質を高める認知
症カフェや孤独になりがちな介護者を支えるためのケアラーズカフェなど、機能の拡大が求
められています。
これらの事業を実施するに当たり、既存の社会福祉施設、地域包括支援センター、小規模
多機能型居宅介護事業所※などを活用する方法や自治会館、集会所などの利用のない日を活
用することも有効です。ショッピングセンターやスーパー等の休憩場所など、街中の様々な
スペースも集いの場となり得ます。
また、空き店舗や今後増加が見込まれる空き家などを地域の資源として活用することも考
えられます。
こうした地域の資源が地域福祉の場・拠点として活用されるためには、市町村及び市町村
社協職員に地域の資源と事業を実施する団体とをコーディネートする力が求められます。
- 29 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
加えて、サロン活動や様々な機能を持つカフェ等が、人々が気軽に集える魅力的な場所と
なる取組を充実していくことが大切となります。
一方、子育て家庭が交流や相談ができる子育て支援拠点については、身近な場所で利用が
できるよう整備していくとともに、職員や傾聴ボランティア等が必要に応じて家庭訪問など
の個別支援を行うなど、機能の充実が求められます。
【県の取組】
○ NPO・ボランティア団体等による空き店舗などを利用した見守りや住民同士の交流の
ための拠点づくりの活動を支援します。
○ 市町村及び市町村社協等の職員に対して、
地域の社会資源のネットワーク形成を推進し、
コーディネートするスキルを向上させるための研修を実施します。
【再掲】
○ 交流集会の実施や電話相談窓口の設置などにより、認知症高齢者やその家族及び介護者
などを支援します。
○ 子育て家庭の交流や相談に応じる地域の子育て支援拠点の設置を促進するとともに、拠
点の管理者や職員に対する研修を実施し、運営の質の向上を図ります。
○ 地域の子育て拠点の職員やボランティアなどが必要に応じて、子育て家庭に出向いて個
別に支援する仕組みづくりを検討します。
○ 地域における安心、安全な暮らしを実現するため、老朽化した県営住宅団地の建替えに
おいては、民間活力の導入により高齢者支援サービス、子育て支援サービスなどを複合的
に整備します。
※小規模多機能型居宅介護事業所
少人数の登録制で、利用者の状態や必要に応じて、
「通い」を中心に「泊まり」
「訪問」の3つの
サービスを組み合わせ、月額定額制で提供する在宅介護サービス。
- 30 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
三郷市、三郷団地住民の取組を紹介
- 31 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
- 32 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
2 孤立死などを防ぐ取組の促進
住民による情報の共有と日常的な見守りの推進
市町村におけるライフライン事業者等との協力関係の構築を充実
寄せられた情報の一元化による着実な安否・健康状態の確認及び適切な支援の実施
傾聴ボランティアの育成と活用による孤立防止
ゲートキーパーの養成や多重債務対策、いじめ対策、精神疾患対策等との連携などに
よる自殺対策の推進
【背景】
社会的孤立の象徴ともいえる孤立死※は、警察が発見したケースなどもあり、市町村にお
いて、全てを把握できないのが現状です。孤立死を発見し、市町村に通報した人で一番多い
のは、近隣住民で、続いて民生委員、自治体職員となっています。
(グラフ 5)
孤立死防止の取組として、90%以上の市町村が、ライフライン事業者等(電気・ガス・
新聞販売店・宅配事業者等)と連携しています。このうち、約70%の市町村で、ライフラ
イン事業者等からの通報があり、その例としては、
「新聞、郵便物がたまっている」
「電気が
ついているにもかかわらず応答がない」などがあります。
水道の使用料が通常の5倍となっていることから通報があり、風呂場でシャワーを使用し
たまま亡くなっていた人を発見した例も報告されています。
また、本県の自殺者は、世界的金融危機を背景に、平成21年には、1,796人と過去
最悪の状況となりました。その後は、年々、減少傾向にあるものの、毎年、1,500人前
後の人が、自ら、かけがえのない命を絶つという状況が続いています。
▼孤立死を発見・通報した人
35
30
25
20
15
10
5
0
回答数
近隣
住民
民生
委員
自治
体職
員
30
22
18
介護 親族・ 地域 不動 配食
新聞
警察・ サービ 知人・ 包括 産管 サービ
販売
消防 ス事業 勤務 支援セ 理会 ス事業
店
者
先
ンター
社
者
16
14
13
グラフ 5
- 33 -
10
10
8
8
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
【地域での取組の方向性】
孤立死などを地域で未然に防ぐには、孤立しがちな人の所在を住民が意識し、何か異変が
あったときには早めに気付き、支援につなげられることが大切です。住民が地域で孤立しが
ちな人の情報を共有するための方策として、自治会や団地の管理組合等で支援を求める世帯
の情報を自主的に共有したり、支え合いマップを作成したりすることも有効です。このマッ
プを作成する作業過程において、地域で孤立する人を発見することが期待できます。
(第6章
3 図3)
加えて、市町村においては、事業者や民生委員、行政の他部門からの生活に困窮した人の
情報が、着実に必要な支援につながるよう、こうした情報を一元的に受け止められる体制を
整えておくことが必要です。あわせて、これらの情報を得た場合は、住民等と連携の上、訪問や
電話などにより、安否、健康状態の確認をして適切な支援を行う必要があります。
民間事業者に適用される個人情報保護法においては、個人情報保護法を所管する消費者庁
(各事業、分野については各事業所管省庁が担当)、電気・ガス事業を所管する資源エネル
ギー庁、及び水道事業を所管する厚生労働省健康局水道課等に対して、「人の生命、身体又
は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」
に該当する場合は、あらかじめ本人の同意を得なくても個人情報の利用・個人データの提供
が可能と確認されています。(平成24年5月11日社援地発0511第1号厚生労働省社会・援
護局地域福祉課長通知)
こうした対応をよく理解してもらうことも含め、今後、協定等の仕組みが形骸化すること
なく事業者との連携が円滑かつ効果的に行われるよう、事業者に対する啓発活動が重要とな
ります。
また、傾聴ボランティアの育成を行い、安否確認の活動と組み合わせて事業を実施してい
る市町村もあり、こうした取組を取り入れることも有効です。
誰かとつながることで、気に掛けてもらえたり、声掛けをしてもらえたりと、孤立を防ぐ
ことができます。単身で生活する人自身も、何かしら自分の属するコミュニティを見出し、
地域に寄り添っていくことが求められます。
一方、自殺の主な原因は、うつ病や病苦などの健康問題、多重債務や失業などの経済・生
活問題、家庭の問題となっています。自殺は、様々な悩みにより心理的に追いつめられた末
の死であり、社会の適切な介入やうつ病などの適切な治療によって防ぐことができます。
多くの自殺は防ぐことができるという基本認識を全ての住民が持てるよう、継続的な普及
啓発を行うことが重要です。あわせて、悩んでいる人に気付き、声を掛け、話を聞いて、必
要な支援につなげ、見守るゲートキーパーの養成や多重債務対策、いじめ対策、精神疾患対
策等との連携を行うなど、地域全体で、自殺防止に取り組むことが大切です。
- 34 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
【県の取組】
○ 県内の孤立防止の優れた取組を市町村や市町村社協、民生委員、住民等と情報共有を図り、
今後の孤立防止に向けた活動方策を検討していきます。
○ 民生委員や福祉関係者、電気、ガス、新聞販売店など高齢者宅を訪問する機会の多い事業
者を構成員とする「要援護高齢者等支援ネットワーク」の取組を支援します。
○ 埼玉労働局と連携・協力して、県内企業の人事担当者等を対象としたゲートキーパーの研
修を実施します。
○ 埼玉県自殺対策推進ガイドラインに基づき、効果的に事業を進めるため、埼玉県自殺対策
連絡協議会による県の自殺対策に係る検証・評価を定期的に実施します。
○ かかりつけ医によるうつ病の早期発見と適切な治療につなげるため、内科医を中心に、
うつ病の診療技術の習得を行う研修を実施します。
○ 「埼玉県こころの電話」
、
「こころの健康相談統一ダイヤル」による心の健康や悩みの電
話相談、うつや引きこもりなど本人やその家族の様々な悩みに対し、専門相談員による電
子メールでの相談、多重債務等の生活相談と心の健康を併せて行う「暮らしとこころの相
談会」の実施など、相談体制の強化を図ります。
○ 薬物・アルコール依存の人や自殺遺族の人などを支援する団体に対し、助成するなどし
て、自殺ハイリスク者への支援を行います。
○ 鉄道事業者と連携し、
効果的な安全対策やキャンペーンの実施等自殺予防を強化します。
○ 市町村の自殺対策の取組を支援するほか、児童向けに「命の大切さ」を学ぶ授業や教職
員に対する研修会等の実施、ガイドブックの作成などにより、地域における自殺対策を推
進します。
Photo
H26.●.● 孤立フォーラム
※孤立死
明確な定義はないが、以下の考えを参考にすることとする。
地域で亡くなられたことに近隣の方々が気づかず、相当日数を経過してから発見される状況。
(平成24年5月11日社援地発0511第1号厚生労働省社会・援護局地域福祉課長通知)
- 35 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
3 災害時に備えた支援の取組を充実
避難行動要支援者の名簿を活用し、平常時から自主防災組織をはじめ住民を巻き込んだ
取組を実践
地域の高齢世帯や母子家庭、障害児・者のいる家庭などを把握しその人たちの支援方法
や支援の範囲を明らかにした「支え合いマップ」の作成及び定期的な更新
【背景】
平成23年の東日本大震災においては、被災地全体の死亡者のうち65歳以上の高齢者が
約60%を占め、
障害者の死亡率は、
被災住民全体の死亡率に比較して約2倍に上りました。
こうした教訓を踏まえ、
平成25年6月に災害対策基本法が改正されました。
これにより、
平成26年4月に、地域防災計画の定めるところにより、災害時などに自ら避難することが
困難な避難行動時の要支援者(以下「避難行動要支援者」という。
)の名簿の策定が市町村に
義務付けられました。
あわせて、当該名簿は、避難支援等の実施に必要な限度で、平常時から消防機関や警察、
民生委員、市町村社協など避難支援の実施に携わる関係者(以下「避難支援等関係者」とい
う。
)に、本人の同意を得て、提供しておくこととなっています。名簿を提供する避難支援等
関係者の範囲についても、地域防災計画で定めることとなっています。
また、
市町村が作成した名簿のほかに、
災害時などに支援が必要と考えられる人の把握は、
民生委員による場合が81%と極めて高くなっています。
(グラフ 6)
▼名簿のほかに災害時などに支援が必要と考えられる人の把握方法
地域との連携
による見守り
マップづくり
5%
世帯・個別調
査等
6%
その他
8%
民生委員
51
世帯・個別調査等
4
住民との連携による
3
見守りマップづくり
その他
民生委員
81%
グラフ 6
- 36 -
5
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
【地域での取組の方向性】
市町村においては、避難行動要支援者に対する避難支援が円滑かつ迅速に行われるよう、
避難行動要支援者名簿や避難行動要支援者ごとに具体的な支援方法を定めた個別計画を活用
し、平常時から、自主防災組織をはじめ住民を巻き込んだ訓練などの取組を検討し、実践す
ることが求められます。
一方、避難行動要支援者の名簿の共有は限られることから、地域での情報共有を図る自主
的な取組として、自治会などの地縁団体と連携した住民参加による「支え合いマップ」の作成
があります。
(図 3)これを作成する作業過程により、単身の高齢者、高齢者のみの家庭、
障害児・者のいる家庭、乳幼児のいる母子家庭など支援を必要とする人の存在や生活状況が
把握できます。こうした支援を必要とする人に対し、誰がどう支援するのかが明らかになる
とともに、日頃の見守りの範囲についても相互理解を深めることができます。
支え合いマップは、日頃の見守り活動などに加え、災害時に備えた支援活動や安否確認に
も有効に機能するよう作成し、活用することで、一層の効果が期待できます。
このマップは、定期的に更新の作業を行うことが大切です。
地震だけでなく、ゲリラ豪雨や竜巻、過去に類を見ない大雪など、昨今は、いつ、どこで、
大きな災害が起こるか分かりません。
市町村においては、障害や難病のある人等が効果的な支援を受けられるよう、必要な支援
内容が迅速に伝わるヘルプカード※の導入が求められます。
地域支え合いマップ(例)
親戚同士
ゴルフ仲間
単身高齢者
世帯
元同級生同士
年1回飲み会
犬の散歩仲間
支援者
アパート大家
高齢夫婦
世帯
支援者
ゴルフ仲間
支援者
挨拶程度
支援者
高齢夫婦世帯
支援者
(乳児)
母子家庭
アパート
単身高齢者
世帯
老人クラブ
会員仲間
ゴミ出しの手伝い
カラオケ仲間
支援者
(自治会役員) 将棋仲間
【支え合いマップ作成の目的】
支援を必要とする人などを把
握し、誰が、どう支援するのか
を明確にする。
高齢夫婦
世帯
親の通院支援
(障害者の
いる家庭)
高齢者両親
支援者
災害時のみ
支援
単身
高齢者
世帯
支援者
挨拶程度
凡 例
支援する人
民生委員、自治会役員、
隣近所、老人クラブ会員、
ボランティア等
支援を必要とする人
日頃の声掛け、見守り、災
支 援 関 係 の 線 害時の安否確認、避難所等
への誘導支援等を行う。
人間関係の線
支え合いマップの作成手順
① 地域の住民が集まり情報交換をする中で、支援が必要な人
を確認してマップに記載していく。
② 支援が必要な人と周囲の人間関係を矢印で結ぶ。
③ 支援が必要な人ごとに支援者を明確にする。
④ 支援が必要な人の日頃の見守り、支え合いの範囲、災害時
における支援の範囲などを確認し合い、明確にしておく。
県福祉政策課作成
図3
- 37 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
【県の取組】
○ 先進的取組を市町村及び市町村社協に情報提供をするなどして、支援を必要とする人等
への見守り活動や支え合いマップの作成などを促進します。
○ 市町村向けの災害時に備えた高齢者や障害者等への支援マニュアル作成の手引きや県民
向けのマニュアルについて、関係者の意見等を参考にしながら、適宜見直しを行い、市町
村等に配布していきます。
○ 災害時や緊急時などに、障害や難病のある人等が効果的な支援を受けられるよう、必要
な支援内容が適切に伝わるヘルプカードの普及を図ります。
○ 高齢者、障害者、乳児・児童等の社会福祉施設の利用者の安全を確保するため、災害対
応マニュアルの作成や見直しを支援するとともに、災害時における社会福祉施設と地元自
治会等との相互協力の体制整備を促進します。
数値目標
ヘルプカードを作成・配付している市町村数
全市町村
平成29年度末
23市町村
平成26年6月末
※ヘルプカード
緊急連絡先や障害の程度、飲んでいる薬、必要な支援内容など災害時や緊急時に求められる情報
を盛り込んだ携行用のカード。
- 38 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
4 地域の商店や企業等と連携した支え合いの仕組みの拡充
住民同士がお互い助け合う「地域支え合いの仕組み」の拡充
「コバトンお達者倶楽部」に参加する高齢者の増加及び登録店・声掛け隊の拡大を
促進
【背景】
一昔前なら隣近所や親戚に頼めていたちょっとした用事が、人間関係が希薄となっている
昨今は、誰かにお願いすることが難しくなっています。公的サービスによる支援の対象とな
らない「ちょっとした手伝い」などのニーズは、今後、ますます増加すると考えられます。
このため、県では、地域の住民同士がお互いに助け合う「地域支え合いの仕組み」
(図 4)
について、立ち上げから3年間の助成などにより普及を図ってきました。これまでに、49
市町で展開されています。
(平成26年6月現在)
また、平成25年7月から、官民協働の仕組みにより、地域の中で、高齢者自らが介護予
防に取り組む「コバトンお達者倶楽部」の事業を進めています。
この事業は、高齢者が定期的に買い物や飲食等に行くお店を登録店の中から決めて、買い
物や飲食等のたびにカードにスタンプを押してもらい、スタンプがたまったら登録店から特
典を受けられる仕組みです。登録店の店員が声掛け隊となって高齢者を見守るほか、高齢者
に気掛かりなことがあれば、近くの地域包括支援センターに連絡します。これまでに、60
市町村で実施しています。
(平成26年7月現在)
(図 5)
▼地域支え合いの仕組み
図4
- 39 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
買い物に出掛ける
又は
図5
【地域での取組の方向性】
「地域支え合いの仕組み」は、介護保険制度の改正に伴う生活支援サービスの担い手とし
て、機動的に対応できる仕組みでもあり、これを拡充していくことが求められます。
また、元気な高齢者等が支援を必要とする人をボランティアにより支える仕組みも広がり
つつあります。こうした仕組みを身近な地域単位で広げていくことも大切です。
一方、
「コバトンお達者倶楽部」は、高齢者のセルフケア※だけでなく、地域の商店や企業
を巻き込んだ高齢者を見守る体制づくりにも効果的な事業と言えます。
参加する高齢者を増やしていくとともに、地域のつながりを強めるツールとして、登録店
及び高齢者への声掛けや見守りを行う声掛け隊を拡大していくことが大切です。
【県の取組】
○ 「地域支え合いの仕組み」について、実施上の課題や効果的な運営方法を検討するため、
実施団体同士の情報共有を図ります。
○ 出前講座や広報活動などにより、「地域支え合いの仕組み」の普及啓発を図ります。
○ 「地域支え合いの仕組み」を実施する事業者に対する助成等立ち上げの支援を行い、事業
の拡大を図ります。
○ 市町村と連携し、「コバトンお達者倶楽部」の登録店や声掛け隊の拡大を図ります。
○ 出前講座や広報活動などにより、「コバトンお達者倶楽部」の利用拡大を図ります。
※セルフケア
自分で自分の健康を管理すること。自己管理。
- 40 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
5 高齢化が急激に進む団地・ニュータウン再生の促進
外部の支援団体等の協力を得ながら、団地の住民が集いやすい環境づくりを促進
市町村がURと自治会等との橋渡し役となり創意工夫により団地を再生
【背景】
本県では、
昭和30年代から40年代にかけて、
高度成長期に都心のベッドタウンとして、
大規模団地やニュータウンという形で大量に住宅が供給されてきました。
こうした大規模団地やニュータウン地区では、一斉かつ急激に高齢化が進んでおり、所在
する市町村の高齢化率と比較して10ポイント以上高く、
中には50%近い団地もあります。
また、団地の間取りも核家族向けに提供されてきたことから、現在に至っては、高齢者の
み世帯や単身世帯の増加が著しく、今後も増加し続けることが見込まれます。
局地的に高齢化が進んでいる大規模団地やニュータウン地区があるのは26市町となって
おり、県南、県西、県東部に集中しています。
高齢化が著しい団地における特有の福祉課題は、団地内のスーパー等の撤退による買い物
場所や移動手段の確保、単身世帯の増加による見守り活動などとなっています。
(グラフ 7)
▼高齢化が著しく進んでいる地域の特有の福祉課題
14
12
10
8
6
4
2
0
回答数
移動
買い物
見守り
日常生活支援
13
13
10
9
グラフ 7
【地域での取組の方向性】
大規模団地等は、一斉かつ急激な高齢化により課題が浮き彫りとなっていますが、エリア
がコンパクトで特定でき、見守りがしやすいなど対策が取りやすい地域ともいえます。
元気な高齢者が活動できる環境を整えていくことで、支援を必要とする人へのマンパワー
- 41 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
が集積している地域に変革を遂げることも期待できます。
市町村及び市町村社協は、住民がなるべく自分たちの力で、住み続けられる地域として現
状の課題を解決できるよう、支援をしていくことが大切です。
大規模団地等は、集会所が整備されている場合が多いため、これを活用し、頻繁にイベン
トが行われるような仕掛けをして、各人の興味や趣味に応じて顔を出せるようにすることも
住民活動のきっかけづくりになります。
乗り合いタクシーなどによる移動や買い物ツアー、イベントの開催など、外部の支援団体
と連携して、団地での暮らしの利便性を高めるとともに楽しい環境を作り出す取組が求めら
れます。
また、本県では、独立行政法人都市再生機構(以下「UR」という。
)による大規模団地が
多く存在します。このため、市町村が、URと自治会との橋渡し役を積極的に担い、創意工
夫により団地を再生していくことが求められています。
【県の取組】
○ NPO・ボランティア団体等による空き店舗などを利用した見守りや住民同士の交流の
ための拠点づくりの活動に対し支援します。
【再掲】
○ 高齢化が進んでいる団地のコミュニティ活性化のため、特別県営シラコバト団地(上尾
市)において大学との連携により入居した学生が自治会活動等に参加したり、学生の感性
を生かして子育て世帯向けに住居改修を行ったりするなどのモデル事業を実施します。
○ URとのつなぎやURの団地再生の取組を情報提供するなど、市町村等の取組を支援し
ます。
- 42 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
春日部市、武里団地の取組を紹介
- 43 -
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
- 44 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
1 NPO・ボランティア団体、自治会等の地域活動への支援
NPO・ボランティア団体への活動場所及び機会の提供
自治会等による地域の福祉活動への支援
広報活動への協力、資金調達方法等運営ノウハウの情報提供等により活動を支援
活動団体同士が交流できる機会の提供を拡充
【背景】
福祉活動・ボランティア活動を行う団体への支援は、
65%の市町村が取り組んでいます。
その支援内容は、事業の委託や補助が60%近くを占めており、広報活動の協力や場所の
提供などは、僅かとなっています。
(グラフ 8)
県内市町村の自治会加入率は、60%台、70%台の市町村が多くなっていますが、秩父
地域の市町村は90%を超えています。自治会は、地縁からなるコミュニティの代表的な存
在であり、その加入率は、地域の連帯感を示す分かりやすい指標ともいえますが、本県の特
徴として、地域によってその格差が大きいことが挙げられます。
▼市町村における福祉活動・ボランティア活動を行う団体への支援の内容
団体同士のつな
がりの場を提供
11%
情報提供
5%
広報活動
11%
事業補助・委託
59%
事業補助・委託 22
場所の提供
5
広報活動
4
団体同士のつな
4
がりの場を提供
情報提供
2
場所の提供
14%
グラフ 8
【地域での取組の方向性】
NPO・ボランティア団体からは、広報活動の支援や活動場所の提供などにより、活動が
活性化するとの声もあり、市町村や市町村社協はこれに応えていくことが求められます。
高齢化、身近な商店の撤退、災害の備えなどから、地域の今後に危機感を持つ自治会等が
増えています。このため、見守りやちょっとした生活支援など自治会等による福祉活動を支
- 45 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
援することが必要です。また、伝統的に自治会等の地縁組織が、これらの役割を機動的に果
たしている地域については、こうした貴重な特徴を次世代につなぐために、多世代が一緒に
活動する機会の提供も重要となってきます。
活動団体同士がつながり、交流することで活動の幅が広がることが期待されますが、その
つなぎ役を担うのが市町村であり、市町村社協です。市民活動支援センターを設置し、積極
的にNPOやボランティアの交流を行っている市町村もあります。
また、NPO・ボランティア団体の中には、活動のための資金調達等の運営のノウハウが
不足しているところもあります。自主財源を確保する上でも、こうした団体に、積極的に情
報提供を行うことも市町村社協の重要な役割と言えます。
NPO・ボランティア団体の組織状況や自治会等の活動状況などの地域の実情に応じた支
援策が求められます。
あわせて、地域住民が生きがいを持てるよう、自主的な活動への支援も大切です。
【県の取組】
○ 埼玉県特定非営利活動促進基金や埼玉県シラコバト長寿社会福祉基金(以下「シラコバト
基金」という。)などを活用し、NPO・ボランティア団体などが実施する地域における先
駆的な取組を支援します。
○ 彩の国市民活動サポートセンターの運営により、住民活動の情報を収集・発信するとと
もに活動・交流の場を提供します。あわせて、住民活動の企画の立て方等の学習会・勉強
会の開催やNPO法人の設立、組織運営、人事労務についての相談及びボランティア活動
に関する相談に対応するなど総合的な支援を行います。
○ ファミリー・サポート・センター※のスタッフ向けの研修を実施し、コーディネートや会
員交流などのノウハウの習得を支援します。
○ 自治会やPTA等に、「防犯のまちづくり出前講座」を実施し、犯罪発生状況や各種防犯
対策、自主防犯活動の進め方等について説明を行います。
○ 総合的な双方向の情報提供システムである「埼玉県NPO情報ステーション」の運営によ
り、NPOの運営に必要な情報収集や発信を促進します。
○ 高齢者の社会参加を促進するため、高齢者創作展やシルバースポーツ大会等を開催します。
○ 障害者の社会参加を促進するため、全国障害者スポーツ大会への派遣や埼玉県障害者アー
トフェスティバルの開催、障害者の芸術等の発表活動を支援します。
※ファミリー・サポート・センター
乳幼児や小学生等の児童を持つ子育て中の労働者や主婦等を会員として、児童の預かりの援助を
受けることを希望する者と援助を行うことを希望する者との相互援助活動に関する連絡、調整を行う。
- 46 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
2 地域福祉を担う住民の育成を拡充
市町村社協やNPO支援センター等中間支援組織と協働して、地域福祉を推進する
リーダー養成を拡充
NPO法人や任意団体等の立ち上げ・マネジメントを支援
趣味など、現役世代が興味を持てる「大人のたまり場」の創出
子育ての学び直しや子供・親と交流する機会を提供するなどして、子育てアドバイス
等に元気な高齢者を福祉の担い手として育成
福祉ニーズ・テーマごとに担い手を育成し、実践に結び付けるまでのスキームを構築
【背景】
住民が、実際に地域の福祉のために行動を起こし、その行動を継続していくためには、住
民の中にもリーダーとなる存在が必要です。
しかし、住民向けに地域福祉を推進するリーダーの養成や育成を行っている市町村は12
団体、市町村社協においても19団体にとどまっています。
また、定年退職を迎え地域に戻った人が、いきなり地域で活動したり、社会貢献をしたり
することは、意外と難しいものです。住民が福祉活動に参加できる事業としては、サロン活
動等でのボランティアの協力依頼が29団体、次いで身近なところで異変を発見した場合に
専門機関へつなぐことへの協力依頼が20団体となっています。
(グラフ 9)
▼市町村における住民が福祉活動に参加できる事業
35
30
25
20
15
10
5
0
回答数
異変を専
ボラン
市民後見
門機関へ
初期相談
ティアの
福祉委員 人養成講
つなぐ協
対応
協力依頼
座
力依頼
29
20
13
8
7
その他
実施して
いない
5
10
グラフ 9
【地域での取組の方向性】
市町村は、市町村社協やNPO支援センターなどの中間支援組織との協働を含め、住民を
対象としたリーダーの養成・育成に力を入れていく必要があります。
- 47 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
あわせて、住民の自発的な地域福祉活動が継続できるよう、NPO法人や任意団体等の立
ち上げのほか、マネジメントへの支援が大切です。
まずは、現役世代から、地域で、ハイキングや音楽、釣りなど興味の持てる活動に参加で
きる「大人のたまり場」を創ることも有効といえます。こうした活動がきっかけになり、地
域の中で居心地の良い場所が見つかり、仲間を作り、地域での活動に馴染んでいくことで、
地域に目が向くようになります。やがては、地域の福祉活動につながっていくという流れが
期待できます。
(図 6)
また、子育て家庭が孤独や不安を感じることなく安心して子育てができるよう、
「地域全体
で子育てを応援している」ことが実感できる地域づくりが求められています。
元気な高齢者を福祉の担い手として、例えば、今の子育てを学び直す機会や子供、親と交
流する機会を提供するなどして、子育てアドバイス等に協力してもらうことも有効です。
高齢者が力を発揮し、世代を超えたボランティア活動への関わりが地域の活性化につなが
っていきます。
住民が、支援の協力者側に回われる環境づくりを進めるためには、地域における実践が重
要です。地域の福祉ニーズごと、テーマごとに担い手を育成し、実践に結び付けるまでのス
キームを組み立てて取り組むことが効果的な手法といえます。
地域福祉活動参加へのプロセス
①楽しみ(趣味)
大人のたまり場
②セルフケア
仲間づくり
③支え手に
地域福祉活動へ
自分のために
人のために
県福祉政策課作成
図6
【県の取組】
○ 彩の国いきがい大学、大学の開放講座(リカレント教育)など、高齢者の地域社会に参加
するためのきっかけづくりや多様な学習の機会を提供します。
○ 埼玉県老人クラブ連合会による地域活動を推進するリーダー養成や高齢者の健康づくり、
ボランティア活動等の支援を行います。
○ NPOなどが行う地域福祉活動の担い手を養成する研修や人材育成の取組ついて支援を
行います。
○ インターネットサイトにより、子ども会や放課後児童クラブなどの子供たちと読み聞かせ
や人形劇、紙芝居などの活動をしているボランティア団体とをつなぎます。
- 48 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
3 住民が地域福祉の課題を学び、考える機会(福祉教育・学習)の充実
生涯学習部門や学校教育との連携により、若年層から現役世代、高齢者層まで多世代
の住民が地域の福祉の課題を考える機会の提供を拡充
「彩の国ボランティア体験プログラム」
、
「認知症サポーター養成講座」の拡充
社会福祉施設での体験学習や多世代が交流する機会の拡充
【背景】
住民向けの福祉問題に関する学習機会の提供は、
90%を超える市町村で実施しています。
認知症に関する基本的な知識を学ぶ認知症サポーター養成講座が盛んに開催されています。
平成26年5月、約7年の歳月を経て施設で暮らす認知症の女性の身元が判明した事案か
ら、認知症高齢者のはいかいを地域ぐるみで対応する動きが広がっています。志木市では、
はいかい中の認知症高齢者に声を掛けて保護につなげるための「命のひと声訓練」を行いま
した。行方不明や事故を防ぐ取組が始まっています。
一方で、認知症の人を支える家族には、
「周囲に迷惑を掛けたくない」という思いから、問
題を抱え込んでしまうことがあるのも事実です。こうした状況は、認知症の家族に限らず、
支援を必要とする人に共通の課題といえます。
市町村社協では、様々な体験メニューにより、子供から大人まで気軽にボランティア活動
に参加するきっかけづくりとして
「彩の国ボランティア体験プログラム」
を実施しています。
参加者層は、主に、生徒、学生ですが、近年は、主婦や高齢者も増えてきています。県社
協が、シラコバト基金を財源に広報活動を推進しており、参加人数は、増加傾向にあります。
【地域での取組の方向性】
市町村社協は、地域のニーズに応じて、
「彩の国ボランティア体験プログラム」のメニュー
を検討し、事業の充実を図る必要があります。福祉意識の醸成は、地域の福祉活動を豊かに
するとともに将来の福祉活動者を確保する取組であり、様々な効果が期待できます。
また、認知症への理解の促進や地域ぐるみの支援体制を整えるためには、小・中学校の児
童や高校生、大学生を対象に、積極的に認知症サポーターを養成することが大切です。
あわせて、誰にも優しいまちづくりを推進するために、まちのバリアフリー化やハード整
備を補う、思いやりのあふれる人材の育成が求められます。
市町村では、福祉教育を充実していくために、生涯学習部門や学校教育との連携が求めら
れます。また、学校へのアプローチのほか、夏休み期間中の学童保育の行事や子ども会の活
動などの機会を活用することも考えられます。
一方、高齢者や障害者、子供への虐待については、早期発見による早期通報が課題解決の
重要な鍵となります。困りごとを抱えている人や地域の問題を発見するためには、住民によ
る「気付き」を高める必要があります。若年層から現役世代、高齢者層など、どの世代に対
- 49 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
しても、
「今が地域デビューのとき」
と思えるよう、
学習機会を提供していくことが重要です。
人を支えるための教育だけでなく、困りごとを抱えたときに、どう支えてもらうことで暮
らしの安心・安全を保つことができるのかを知る、支えられる側としての教育も必要です。
上手に助けてもらうことが、地域で安心して暮らし続けるための知恵であることを、若い世
代のうちから理解してもらうための取組が求められます。
【県の取組】
○ 福祉人材センターにおいて、「福祉の仕事魅力発見ツアー」や中学校・高校へ出向いて実
施する出張介護授業などにより、中学生や高校生に福祉を学ぶ機会を提供します。
○ ボランティア体験学習を支援し、事業の充実を促進します。
○ 市町村教育委員会に対し、
「ボランティア・福祉教育」の推進に係る情報提供を行います。
あわせて、児童・生徒の福祉活動への参加意欲を高める指導や実践的な体験活動の在り方に
ついての実践事例を持ち寄り、検討する機会を提供します。
○ 主体的に地域活動に参加する意欲や福祉への関心を高めるため、高校生自らが奉仕活動等
を企画し、行動する「ボランティアチャレンジプロジェクト」を実施します。あわせて、保
育園、社会福祉施設等において保育や介護の体験機会を提供します。
○ 社会奉仕の精神を養うため、特別支援学校の生徒に対し、乳幼児や高齢者との交流、ボラ
ンティア活動などの機会を提供します。
○ ボランティアで認知症サポーター養成講座を企画・立案・開催するとともに講師役を務め
る「キャラバン・メイト」の養成やそのフォローアップのための研修を行います。
○ 社員教育等で認知症について学ぶきっかけともなる「認知症サポート企業」の募集・登
録を推進します。会社内で認知症サポーターの計画的な養成や継続的なフォローアップ、
その他自主的な取組を実施し、認知症への適切な理解と対応に努める企業等を支援します。
○ 市町村職員や学校関係者に対し、認知症サポーター養成講座の見学会を開催するなどして、
小・中学校や高校における講座の開催を促進します。
○ 子供の学ぶ力や生きる力、地域の教育力の向上を推進するため、大学と連携して、講義・
社会体験活動等を行う「子ども大学」の開校を支援します。
○ 県政出前講座により住民や関係団体に地域福祉活動の必要性を広く啓発するとともに、
「生涯学習ステーション」によりインターネットで生涯学習に関する情報を提供します。
○ 彩の国いきがい大学、大学の開放講座など、多様な学習機会を提供します。【再掲】
数値目標
認知症サポーターの養成者数
●●●,●●●人
平成29年度末
170,537人
平成25年度末
- 50 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
埼玉ホームスタート推進協議会の取組を紹介
- 51 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
- 52 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
4 介護、保育等サービス人材の確保
福祉人材センターによる就労の促進及び支援
定期的な研修会や交流会の開催により仲間づくりを支援
社会福祉法人や事業者と連携し、介護職員初任者研修を地域で恒常的に開催
「介護職員しっかり応援プロジェクト」、「介護人材の確保・定着のための4つのサポート」
等の事業を展開
モデル給与表の普及・拡大により介護職員の処遇改善を促進
【背景】
要介護高齢者の増加や介護期間の長期化などにより、今後、ますます介護サービスの需要
が増大することが見込まれています。しかし、既に、介護福祉士や介護ヘルパーなどの介護
職員の不足は深刻であり、量と質、双方の確保が厳しい状況となっています。平均賃金は他
産業と比較して低い傾向にあり、離職する職員が多いのが現状で、人材の確保のみならず、
その定着も課題となっています。
持続可能な介護保険制度の運営とサービス提供体制を維持していくためには、その基盤と
なる介護サービスの担い手である介護職員の確保・定着が喫緊の課題といえます。
一方、保育については、「待機児童解消加速化プラン」により、その量の拡大を図ってい
ます。しかし、平成29年度末には、国全体で、約7万4千人の保育士が不足することが見
込まれており、本県においても、保育を支える保育士の確保が大きな課題となっています。
【地域での取組の方向性】
介護職員や保育士については、地域で確保するという考えも必要です。処遇の検討や困難
ケースの対応など、
勉強したいという意欲の高い人が数多くいますが、
介護職員などは特に、
その環境が十分とはいえません。加えて、介護事業所や保育所は、職場の規模が小さく、運
営体制や人間関係などの悩みを職場の人に相談しにくい環境にあります。
このため、市町村が、職能団体等との連携により、地域内の介護サービス事業所又は保育
所の職員に対し、定期的な研修会や交流会を開催することが大切です。特に、人材の交流に
主眼を置いて、企画することが効果的です。
研修会や交流会を通して、地域の職員同士のネットワークができ、一緒に切磋琢磨(せっ
さたくま)できることや悩みを相談できることで、離職を防ぐことが期待できます。たとえ
離職することになったとしても、このネットワークを生かして地域内の職場に転職すること
が想定され、地域からの人材の流出を防ぐことが期待できます。
介護職員も保育士も、通勤に時間をかけることが難しい職場環境にあり、住まいに近い職
場を希望する傾向があります。こうした特性を十分理解し、地域から貴重な介護職員や保育
- 53 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
士の流出を防ぐ取組が求められます。
また、介護職員の確保については、介護職員初任者研修が地域で恒常的に開かれている環
境を創り出すことも有効です。市町村が、社会福祉法人と連携し、地域で力のある社会福祉
法人が開催することも、複数の社会福祉法人が協力して開催することも考えられます。
【県の取組】
○ 福祉人材センター等において、福祉の仕事に関する求人や求職の登録、あっせんを行うと
ともに、求職者と求人側のマッチングを図るなど、就労の促進・支援を行います。
○ 介護福祉士等の資格を有していながら介護分野で働いていない人に対し、研修を実施し、
介護分野への就職を促進します。
○ 介護職員合同入職式の実施や優良職員、優良事業所の表彰など各種施設協議会等関係団体
とともに「介護職員しっかり応援プロジェクト」を展開します。
○ 経験や資格に応じたモデル給与表の普及・拡大を図ります。
○ 介護の資格がない人を雇用して介護施設で職場内研修を実施してもらい、介護職員初任者
研修の受講をさせるなどして正規雇用を支援します。(「介護職員への4つのサポート」①)
○ 介護職員のキャリアアップと処遇改善を図るため、介護現場で働きながら介護福祉士の資
格を取得するための支援を行います。(「介護職員への4つのサポート」②)
○ 家族の看病や介護等による介護職員の休暇取得を支援するため、介護人材バンクを運営し、
代替介護職員を紹介します。(「介護職員への4つのサポート」③)
○ 訪問若手介護職員による「介護の魅力PR隊」を結成し、大学・高校への訪問や就活セミ
ナーの開催、県外での募集活動などを実施します。(「介護職員への4つのサポート」④)
○ 高等技術専門学校や民間教育訓練機関を利用した職業訓練により、介護人材を育成します。
○ 埼玉県社会福祉総合センターで運営する福祉研修センターにおいて、社会福祉施設等の新
任者、初任者、中堅職員、管理者等の階層別研修を実施します。
○ たんの吸引等医療的ケアを安全に実施できるよう、特別養護老人ホーム等の介護職員に対
し、研修を実施します。
○ 介護支援専門員の資質の向上を図るための研修を実施します。
○ 保育士・保育所支援センターにおいて、保育士の就職相談、適切な就職先の開拓、あっせ
んなど就職の促進・支援を行います。
○ ハローワークや保育士養成施設等と連携し、合同面接会の実施、就職活動の支援など、保
育士の人材確保を図ります。
○ 保育士の専門性向上と質の高い人材を安定的に確保するため、保育所等の職員に対する研
修を実施します。
○ 保育士の資格を有していながら保育分野で働いていない人に対し、研修を実施し、保育分
野への再就職を支援します。
- 54 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
5 社会福祉法人、企業、大学等の社会貢献活動との連携強化
企業や商店などが地域の福祉活動のメンバーとして参画することを促進
地域課題を一緒に解決するために、社会福祉法人や大学等との連携を強化
【背景】
自らを地域の一員と捉え、企業市民として社会貢献活動を行うことが、企業や商店などに
定着しつつあります。
大学においても、
その役割として教育と研究と社会貢献を掲げており、
地域の課題解決に資する様々な人材や情報・技術が集まる、地域コミュニティの中核的存在
としての機能の強化に努めています。
一方、社会福祉法人においては、平成26年、国においてその在り方等に関する検討会の
報告書がまとまり、制度や市場原理では満たされないニーズについて率先して対応するなど
の地域貢献活動を求めています。
県では、貧困の連鎖※1を防止するため、生活保護受給者の自立支援策である生活保護受
給者チャレンジ支援事業の中で生活保護世帯の中・高校生に対し学習支援を行っています。
県内の社会福祉法人は、この学習教室の会場として、特別養護老人ホームの共有スペース
を提供したり、教室に参加する生徒たちに、施設でのボランティアを体験してもらう機会を
提供したりする社会貢献活動に取り組んでいます。また、平成26年9月からは、県内の高
齢者福祉施設や障害者福祉施設、児童福祉施設を経営する社会福祉法人が協働し、総合相談
等生活困窮者への支援活動が始まりました。
(彩の国あんしんセーフティネット事業:64 ペ
ージで事例紹介)
企業の社会貢献活動と連携している市町村は、
40%であり、
市町村社協においては62%
となっています。しかしながら、その連携内容は、市町村、市町村社協ともに、主に、祭り
やイベントへの参加となっています。また、市町村における福祉・医療系等の大学・専修学
校(以下「大学等」という。
)との連携は27%、市町村社協における福祉・医療系等の大学
等の連携も29%と僅かとなっています。
【地域での取組の方向性】
銀行や薬局など、会社ぐるみで認知症サポーターを養成する動きも出てきました。
「コバトンお達者倶楽部」の登録店では、声掛け隊による高齢者の見守り活動のほか、気
になる高齢者を地域包括支援センターにつなぐなど、地域の社会資源として、支援機関との
連携に積極的に取り組む企業や商店などもあります。
こうした企業等を「地域課題の解決策を検討する場」(第5章1)の一員として迎えるな
ど、具体的に地域福祉活動を推進するメンバーに取り込んでいくこととが大切です。
加えて、地域社会における高齢者、障害者の介護や福祉、子育て支援などの課題解決に向
- 55 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
けて、企業やNPO等が、ソーシャルビジネス※2 やコミュニティビジネス※3 に取り組むこ
とにより、地域における新たな起業や雇用の創出等を通じた地域の活性化が期待できます。
また、市町村や市町村社協は、社会福祉法人による彩の国あんしんセーフティネット事業
の活動と連携し、生活困窮者の適切な支援につなげる取組が求められます。
大学等においても、研究や知識、人材を地域の課題解決に生かす取組を始めており、こう
した社会福祉法人や大学等の高まる社会貢献活動への気運を捉え、地域課題を一緒に解決す
るための連携を強化することが求められます。
【県の取組】
○ 埼玉県立大学と市町村、中学校・高校など地域との連携や住民参加活動の促進を図るため、
同大学の公開講座の開催や講師派遣等、地域連携事業を支援します。
○ 県内の企業等による社会貢献活動を、県ホームページなどを活用して広く周知し、これら
の活動を促進します。
○ 会社内で認知症サポーターの計画的な養成や継続的なフォローアップ、その他自主的な
取組を実施し認知症への適切な理解と対応に努める「認知症サポート企業」を支援します。
○ 市町村と連携し、「コバトンお達者倶楽部」の登録店や声掛け隊の拡大を図ります。
【再掲】
○ 創業・ベンチャー支援センター埼玉に福祉産業創業支援アドバイザーを配置し、運営ノウ
ハウの提供や相談・助言を行い、ソーシャルビジネスやコミュニティビジネスの起業を支援し
ます。
○ 社会福祉施設の運営全般の質的向上を図るため、県社協による相談や訪問指導を行うと
ともに、施設間の情報共有を図ります。
○ 大学が持つ専門的な人材や情報、技術を生かして地域の福祉課題を解決するため、福祉・
医療に関連する学科を持つ県内大学との連携を強化します。
○ 市町村が地域福祉計画の策定や地域課題の分析などを行う場合に、県内の福祉・医療系
大学等の協力が得られるよう、県がつなぎ役となります。
○ 各社会福祉法人が実施する彩の国あんしんセーフティネット事業が生活困窮者自立支援
法に基づく自立相談支援事業と連携して実施できるよう支援します。
※1 貧困の連鎖
生活保護受給世帯で育った子供が成人後、再び生活保護を受ける状況。
※2 ソーシャルビジネス
障害者、高齢者の介護や雇用、貧困などの社会課題を、ビジネスの手法を活用して解決しようと
すること。ボランティア活動が原則として対価を求めないのに対して、事業として利益を上げなが
ら問題に取り組む。コストや売上げを意識することで継続的な事業活動として展開する。
※3 コミュニティビジネス
地域住民が、主体的に、地域の課題をビジネスの手法を用いて解決する取組。ボランティア活動
が原則として対価を求めないのに対して、コミュニティビジネスは対価を求める。
- 56 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
ウエルシア関東の取組を紹介
- 57 -
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
- 58 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
1 生活困窮者対策の推進
生活困窮者の自立支援を4つの視点から促進
・生活困窮者の早期発見・早期対応
・多様で複合的な課題に対応する包括的支援
・段階的・継続的な自立支援
・地域の特性を生かした創造的支援
【背景】
長期にわたる景気の低迷や、非正規労働者の拡大等により生活困窮者が増加し、所得格差
が広がっています。
(グラフ 10)
少子高齢化の進展等により労働人口が減少することが見込まれる中、稼働能力がありなが
ら働くことができない人が多数存在することは、社会にとって大きな損失です。
また、ホームレスやネットカフェ難民などに対する支援も課題になっています。
こうした背景から、最低限度の生活を維持できなくなるおそれのある生活困窮者の自立を
市や県など福祉事務所を設置する自治体が支援することを定めた生活困窮者自立支援法が制
定され、平成27年4月から新たな生活困窮者自立支援制度が始まります。
(図 7)
さらに、経済的困窮と並んで課題になっているのは、地域や人とのつながりが薄れている
ことから生じる社会的孤立です。職を失い、生活困窮に陥り、社会とのつながりを弱め、相
談窓口に行くことも難しくなると、地域社会から見えにくくなってしまう傾向があります。
▼相対的貧困率※の年次推移(厚生労働省「平成 22 年国民生活基礎調査の概況」
)
(%)
17
相対的貧困率
15.7
16
15.3
14.6
15
14
13.2
13.5
16.0
14.9
13.7
13
12
12.0
11
1985
88
91
94
97
2000
グラフ 10
- 59 -
03
06
09
(年)
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
出典:厚生労働省HP
図7
【地域での取組の方向性】
生活困窮者の自立支援に当たっては、生活保護に至る前の自立支援策の強化を図るととも
に生活保護から脱却した人が再び生活保護に頼ることがないよう「生活困窮者自立支援法」
と「生活保護法」に基づく支援を一体的に実施することが重要です。
生活困窮者は、複合的な課題を抱え、経済的困窮を背景に社会的に孤立している場合が多
くあります。さらに、心身の不調、知識や技能の欠落、家族の問題、家計の破綻など様々な
問題を抱え、自信を失っていることが少なくありません。こうした人たちが自信を取り戻す
ためには、訪問も含めた早期対応を図り、それぞれの事情と段階に応じ、多様なサービスが
連携して対応することが必要です。
また、貧困の連鎖を防止する学習支援を実施すること等により、子供の将来が、その生ま
れた環境によって左右されることのない社会を実現することが求められています。
あわせて、児童虐待の背景の一つには貧困があるとも言われており、生活困窮者を支援す
ることは児童虐待を防止することにもつながります。
そこで、
「地域包括ケアシステムの考え方を応用した支援機能の拡充と地域の福祉力との統
合」
(第5章1)の整備を進めるとともに、
「生活困窮者の早期発見・早期対応」
、
「多様で複
合的な課題に対応する包括的支援」
、
「段階的・継続的な自立支援」
、
「地域の特性を生かした
創造的支援」の4つの視点からの支援を提案し、促進します。
- 60 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
◆生活困窮者の早期発見・早期対応
これまでの生活困窮者への支援は、本人や親族が申請し、生活保護が決定した後に開始さ
れる事後的対応が主なものでした。生活困窮者自立支援法においては、早期発見・早期対応
により生活困窮者が深刻な事態に陥る前に必要な支援を行う、予防的対応が求められていま
す。生活困窮者は、自分を支援してくれる制度や機関の存在自体を知らないことが多く、知
っていたとしても、数多くの制度や機関から適切な選択をすることは、とても難しいもので
す。さらに、引きこもりにより社会とのつながりが弱まっていたり、本人の認知機能が低下
したりしている場合などには、外部に支援を求めることも難しくなります。
このため、以下により、早期発見・早期対応をすることが必要です。
・ 複合的な課題を抱える生活困窮者が「制度のはざ間」に陥らないよう、できるだけ幅
広く対応する。(ワンストップ型)
・ 外部に支援を求めることが困難な人も多いことから、訪問型(アウトリーチ)を含め
た早期把握をする。
・ 生活困窮者が発信する微弱なSOSを受け取ることができるよう、専門機関・団体だ
けでなく、行政の税務部門やライフライン事業者、さらに地域社会や住民に広く情報提
供を依頼する。(ネットワークの形成)
◆多様で複合的な課題に対応する包括的支援
生活困窮者に対する支援は、心身の不調、就労に必要な知識・技能不足、家族や家計の問
題、自信喪失などの多様な問題を包括的に対処する必要があります。
生活困窮者自立支援制度においては、既存の制度では対応できない生活困窮者に対し包括
的な相談支援を行うものとなっています。他の個別支援での対応がふさわしい場合は、自立
相談支援事業において必要な調整を行い、専門機関等へつないでいくことになります。
◆段階的・継続的な自立支援
生活困窮者に対する支援は、単発で一時的な支援に終わるのではなく、本人の状況に合わ
せた支援を段階的に継続して行う必要があります。
本人の主体性を喚起する働き掛けを行いながら、自己選択、自己決定を基本に、日常生活
自立、社会的自立、そして経済的自立と段階的、継続的に自立を支援しなければなりません。
経済的自立を実現するためには、自立相談支援機関と福祉事務所が、ハローワークと連携
して就労支援を行うことが不可欠です。社会福祉協議会の生活福祉資金を利用する場合は、
窓口となる市町村社協と連携するとともに、家計相談を併せて行い、生活再建に向けた支援
を効果的に行うことも重要です。
また、生活保護が必要な人が生活保護制度で自立支援を行う場合、制度の移行により自立
支援が途切れることがないよう生活困窮者支援を一体的に行う必要があります。
◆地域の特性を生かした創造的支援
生活困窮者の自立支援は、地域の支えが不可欠です。県や市町村だけでなく、市町村社協、
社会福祉法人、NPO、民生委員、自治会、地域住民や様々なボランティア等が協働して生
- 61 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
活困窮者に対する個別支援と地域支援に取り組むことが必要です。関係者間の情報共有を図
りながら、地域におけるフォーマル・インフォーマルな支援機関等がチームを組んで包括的
支援を行います。加えて、地域の社会資源を就労訓練(中間的就労)事業者として認定し、
地域若者サポートステーションなど、既にある支援機関と密接な連携を図りながら就労支援
を進めることも重要です。地域で必要な社会資源がない場合は、新たな社会資源を開発する
ことも必要です。
また、社会福祉法人が地域の生活困窮者に対し、相談・支援を行う「彩の国あんしんセー
フティネット事業」も新しい社会資源として期待されています。
(64 ページ事例紹介)
【県の取組】
(1)町村における取組
○ 町村における自立相談支援事業は、自立相談支援センターで情報集約し、支援員が生活
困窮者の家庭を訪問して相談・支援を行います。(図 8)
○ 住民に最も近い町村は、生活困窮者に関わる情報を多く保有しており、支援開始後も町
村における様々な施策を活用できます。このため、県福祉事務所、自立相談支援センター
と町村等関係機関が連携して生活困窮者の自立支援が実施できる体制を構築し、経済的自
立に向けての就労支援や貧困の連鎖を防止するための学習支援等を行っていきます。
○ 自立相談支援センターの主任相談員、相談支援員、就労支援員に対して定期的に研修を
実施し、資質の向上に努めます。
○ 自立相談支援事業と彩の国あんしんセーフティネット事業との十分な連携を図ります。
(2)市に対する支援
○ 市に対して、生活困窮者自立支援事業に関する助言や情報提供を行うとともに、全国に
先駆けて取り組んできた「生活保護受給者チャレンジ支援事業」で得られたノウハウを提
供します。さらに、支援員の研修等、人材の育成にも力を入れていきます。
○ 県が行う就労支援の技能講習を市も活用できるようにするほか、学習支援等で小規模な
市では単独実施が困難な場合は、複数市における共同実施の調整を行います。
○ 学習支援における学生ボランティアの募集など、広域で行った方が良いものは、県が行
い、市が活用できるよう支援します。
(3)就労訓練事業者の認定
○ 直ちに一般就労が難しい人に支援付きの就業の機会を提供する就労訓練(中間的就労)
事業者の認定については、地域の社会資源を掘り起こして支援ネットワークを強化する観
点から、県が積極的に実施します。
(4)ホームレス対策
○ 巡回相談など、ホームレスが抱える多種多様な問題に対応した相談体制を整え、ホーム
レスの自立を支援します。
- 62 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
▼生活困窮者の状況把握のイメージ(町村における県の取組)
専用電話番号
を設ける
直接電話
生活困窮者
本人や家族が来所・電話
県
福祉事務所
町村役場
福祉課
SOS
SOSを
キャッチ
自立相談支援
センター
相談支援員
通報
民生委員
ライフライン事業者
住民等
一時生活
支援事業の
宿泊施設
相談支援員による家庭訪問
就労支援
事業者
家計相談支援
事業者
学習支援
事業者
自立相談支援センター以外の各事業の支援員も家庭訪問により支援
県社会福祉課作成
図8
Photo
(あんしんセーフティネット)
※相対的貧困率
世帯所得をもとに国民一人一人の所得を計算して順番に並べ、真ん中の人の所得の半分に満たな
い人の割合のこと。
- 63 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
彩の国あんしんセーフティネットの取組紹介
- 64 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
2 権利擁護体制の充実
市町村における権利擁護(成年後見)センターの整備を促進
成年後見制度や「あんしんサポートねっと」等の広報機会を拡充し住民への周知拡大
市町村社協による法人後見の促進
市民後見人養成研修を充実し受講者が支援者としての実践を積み、これを市町村社協
がバックアップする仕組みを構築
高齢者、児童、障害者等の虐待の予防、対策における関係機関間の実効性あるネット
ワークの形成及び着実な情報共有
差別の解消や合理的配慮を地域社会全体に浸透させるための取組を促進
【背景】
認知症や障害などで物事の判断が十分に行えない人に対し、財産管理などを第三者に委ね
るなどの支援を行うのが「成年後見制度」です。
最高裁判所発表の平成25年12月末時点の成年後見関係事件の概況によると、成年後見
制度の利用者は、全国で17万6,564人に上っています。前年と比較すると約1万人の
増加となっており、平成22年の調査以来、増加の一途をたどっています。
この制度が開始された平成12年当時は、配偶者や子など親族が後見人を務める場合が、
約91%でしたが、その割合は年々減少し、平成25年には42.2%まで下がっています。
今後、一人暮らしの高齢者や高齢者のみ世帯など、身近に頼れる親族がいないケースの増
大が見込まれる中で、専門職による後見人も限られてきます。しかしながら、市民後見人養
成などの取組を行っている市町村は、14団体(平成25年度)にとどまっています。
こうした中、平成25年9月に、志木市及び志木市社会福祉協議会で育成した人が、公的
機関が関与した県内第1号の市民後見人としてさいたま家庭裁判所に選任されています。
また、福祉サービス利用援助事業(あんしんサポートねっと)※の利用が想定される高齢
者や障害者に対して、利用件数が少ないと考える市町村社協は半数を超えています。その理
由としては、事業への理解・周知の不足やマンパワー不足などを挙げています。
住民の関心の高まりから、高齢者、児童、障害者などに対する虐待は、通報件数が大幅に
伸びている一方で、事件によって発覚する例が後を絶ちません。
一方、平成26年1月に、我が国は、障害者の権利の実現と人権尊重を促進する障害者権
利条約を締結しました。これに先立ち、平成25年6月に、障害を理由とする差別の解消の
推進に関する法律(以下「障害者差別解消法」という。
)が公布され、平成28年4月1日か
ら施行されます。
- 65 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
【地域での取組の方向性】
認知症や障害などで判断能力の十分でない人が、不利益を被ることなく安心して地域で暮
らせるために、市町村においても、権利擁護に関する相談事業、成年後見等に応える体制づ
くりの一環となる権利擁護(成年後見)センターを整備することが重要です。また、日常の
生活圏が重なりあう身近な市町村と共同で整備することも考えられます。
市町村が権利擁護体制を整備する上で、現在その一翼を担っている市町村社協に、権利擁
護センター(成年後見)の機能を委託することも有効といえます。
生活・医療・介護などに関する契約や手続、金銭管理が絡む問題などで、市町村や市町村
社協などの公的な機関が乗り出さなければ解決が困難なケースもあります。あんしんサポー
トねっと等、生活していく上で様々な判断が十分でない人を支援する仕組みについて、市町
村や市町村社協が広報機会を拡充し、住民に周知する必要があります。
さらに、市町村社協は、法人後見の活動を通して、市民後見人の後見監督人として就任で
きるよう、実績を積むことや体制づくりが重要となります。
市民による成年後見は、養成研修の受講だけでは実現できません。養成研修の受講者が、
あんしんサポートねっとの支援員として活動することで、権利擁護活動の実践を積むことが
できます。同時に、市町村社協においては、あんしんサポートねっと等の支援活動に対する
マンパワーの充足も期待できます。
加えて、市町村社協による法人後見の業務の一部を担うことも市民後見人として選任され
る可能性が高まると言えます。
これらの取組は、一朝一夕では成果が得られません。市町村は、市民後見人の養成を充実
し、受講者が支援者として実践を積み、これを市町村社協あるいは権利擁護(成年後見)セ
ンターがバックアップする仕組みを構築する必要があります。市町村社協は、市民後見人の
後見監督人の役割を果たし、活動内容のチェックを行うとともに、法律、医療、福祉などの
専門職と連携して相談体制を整えることが求められます。
(図 9)
また、高齢者、児童、障害者などの虐待の予防、対策については、県と市町村との連携強
化はもとより、関係機関と実効性あるネットワークを形成し、情報の共有が着実に図られる
ことが重要です。
一方、障害者差別解消法では、行政機関だけでなく民間事業者に対しても、障害を理由と
して、サービスの提供の拒否や制限する行為などの差別を禁止しています。あわせて、障害
者から、何らかの配慮を求める意思の表明があった場合は、負担になりすぎない範囲で社会
的障壁を取り除くための必要で合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。
)を行うことが求
められます。例えば、車椅子の人が乗り物に乗るときの手助けや筆談、読み上げなどのコミ
ュニケーション手段の対応があります。
差別の解消や合理的配慮を地域社会全体に浸透させるための取組が求められます。
- 66 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
▼権利擁護センター及び市民後見推進のイメージ
市民後見人の養成委託
市町村
権利擁護センター運営支援
(相談窓口)
し
公的福祉
サービス
の提供
申立て
申立て
市町村社協
情報共有
【権利擁護センター】
●市民後見人の監督・
申立人
本人
後見
支援
後見人の選任
家庭裁判所
支援
法律、医療、福祉など
専門職によるバック
アップ
市民後見人
報告
●権利擁護に関する
相談窓口
●成年後見制度の
周知・啓発
後見監督人の選任(社協)
●市民後見人の養成・
育成
報告
図9
志木市社会福祉協議会の取組を参考に県福祉政策課で作成
【県の取組】
○ 認知症などで判断能力が不十分な人の様々な手続に関する代行や日常的な金銭管理など
を行う福祉サービス利用援助事業(あんしんサポートねっと)の活用を促進します。
○ 認知症などで判断能力が不十分な人の財産と暮らしを守るため、成年後見制度の周知や
相談体制の充実を図るとともに、市町村における市民後見人の養成を支援します。
○ 市町村における高齢者の虐待対応能力の向上を図るため、研修を実施し、高齢者虐待に
対応する専門職員(高齢者虐待対応専門員)を養成します。
○ 障害者の虐待防止や早期発見及び虐待発生時における迅速な対応を図るために、障害者
福祉サービス事業所等の管理者や従事者、通報窓口に対し、虐待防止や権利擁護の研修を
実施し、これらの職員の資質の向上を図ります。
○ 障害者権利擁護センターを運営し、「障害者110番」等による障害者虐待に係る通報
の受理や虐待を受けた障害者への支援に関する相談などを実施します。
- 67 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
○ 児童相談対応の専門性を高めるための研修などを実施し、児童虐待対応の窓口となる職
員の資質向上を図ります。
○ 障害者権利条約の批准及びそれに向けて整備された障害者差別解消法を踏まえ、障害者
への合理的配慮などについて、普及啓発を推進します。
○ 障害を理由とした差別に関する相談及び紛争の防止などの体制を整備し、障害者への差
別解消を推進します。
数値目標
高齢者虐待対応専門員養成数
●●●,●●●人
平成29年度末
●●●,●●●人
平成25年度末
※福祉サービス利用援助事業(あんしんサポートねっと)
判断能力が不十分な高齢者や障害者などが安心して生活が送れるよう定期的に訪問し、福祉サー
ビスの利用の援助や暮らしに必要なお金の出し入れの手伝いを行う事業。
- 68 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
志木市社会福祉協議会の取組紹介
- 69 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
- 70 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
3 苦情解決制度及び事業者等の第三者評価、指導の充実
事業者等の適切かつ誠実な苦情対応による業務改善
自己評価及び評価機関の評価等によるサービスの改善及び質の向上
事業者等への指導監査の充実によるサービス水準の向上
【背景】
福祉サービス利用者の苦情に対し、解決のあっせんを行うため、埼玉県運営適正化委員会
(以下「適正化委員会」という。
)が県社協に設置されています。ここで、平成25年度に受
け付けた苦情の内容は、
「職員の接遇」と「サービスの質や量」に関するものが30%と最も
多く、次いで「情報提供・説明」となっています。
(グラフ 11)
解決結果としては、適正化委員会からの相談・助言で終結となったものが、全体の79%
に上っています。
(グラフ 12)
一方、利用者本位の社会福祉制度が確立されていく中で、サービスの質の向上と適切なサ
ービス選択に役立つための制度が、
「福祉サービス第三者評価」です。
事業者は、質の高い福祉サービスを提供しなければ、利用者から選択されることが難しく
なり、また、利用者は、より質の高い福祉サービスを求めることになります。第三者評価は、
福祉サービスの質の向上を図るきっかけとなる仕組みともいえます。
▼適正委員会の苦情内容の内訳(出典:埼玉県運営適正化委員会事業報告。以下同じ。)
被害 ・損被害
7%
権利侵害
9%
利用料
5%
サービスの質や
量
30%
情報提供・説明
19%
職員の接遇
30%
グラフ 11
- 71 -
サービスの質
や量
職員の接遇
情報提供・説明
権利侵害
被害 ・損被害
利用料
17
17
11
5
4
3
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
▼適正委員会に寄せられた苦情の解決結果
紹介伝達
3%
意見要望
5%
通知
2%
相談・助言
継続中
意見要望
紹介伝達
通知
継続中
11%
45
6
3
2
1
相談・助言
79%
グラフ 12
【地域での取組の方向性】
福祉サービス事業者は、
利用者からの信頼を得て、
適切な福祉サービスが提供できるよう、
様々な苦情に誠実かつ迅速に対応する必要があります。苦情内容の把握や分析を行い、苦情
対応を検証して、業務の改善に資する取組を着実に行うことが大切です。
あわせて、自己評価及び評価機関による評価などを活用して、良質な福祉サービスの提供
やサービスの質の向上に努める必要があります。
また、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に
関する法律により社会福祉法が改正され、社会福祉法人の指導監督権限が、県から政令指定
都市・中核市以外の市へも移譲されています。引き続き、施設の指導は、県が実施すること
となっていることから、県と市が連携を密にし、苦情や通報に的確に対応していくことが重
要です。
【県の取組】
○ 運営適正化委員会において、福祉サービス利用者からの福祉サービスに対する苦情を受
け付け、公正・中立な立場からその解決策のあっせんなどを行うとともに、苦情解決セミ
ナーを開催するなど苦情解決制度の普及、啓発を行います。
○ 埼玉県福祉サービス第三者評価認証等委員会において、評価機関の認証審査を行うとと
もに、第三者評価を実施する評価調査者の養成研修を実施します。
○ 福祉サービスの水準向上のため、介護サービス事業者への指導や老人福祉施設、障害者
支援施設、児童福祉施設等への指導監査を充実させるとともに、事業者による自己評価や
第三者評価の実施を促進します。
- 72 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
4 誰にも優しいまちづくりの促進
計画的に、誰にも優しく生活しやすいまちづくりを促進
思いやりのあふれる人材の育成及び人々の行動や意識を変える取組を推進
視覚障害者への声掛けやサポート等、ハード整備を補うソフト事業の充実
【背景】
埼玉県福祉のまちづくり条例※1 や埼玉県高齢者、障害者等が円滑に利用できる建築物の
整備に関する条例※2(以下「建築物バリアフリー条例」という。
)に基づき、駅やバス停な
どの公共交通機関、公園、歩道、建築物などのバリアフリー化を促進しています。こうした
内容を地域福祉計画に位置付けている市町村は、48%にとどまっています。
加えて、施設のバリアフリー整備等ハード面の事業を補うため、ソフト面でのバリアフリ
ー関連事業を実施している市町村は僅かです。
所沢市では、高齢者や障害者などに、駅ホームやバス乗り場の案内、切符の購入、階段の
移動などを支援する「駅ボランティア」の取組を進めています。
【地域での取組の方向性】
2020年には、東京オリンピック、パラリンピックが開催され、本県も競技会場となる
ことから、日本だけでなく、世界各国から様々なお客様をお迎えすることとなります。
年齢、性別、国籍、障害の有無などの様々な違いを越えて、誰にでも優しく、生活しやす
いまちづくりをより一層、進めていく必要があります。
一方で、ある人にとっては突起などの身を守る設備がある人にとってはつまずきなどの障
害になるというように、全ての人にとって使いやすい施設を整備することには限界もありま
す。段差があっても、
「お手伝いしましょう」と自然に声を掛け、車椅子の持ち上げを手助け
することで利用できる施設も増えます。手助けしたいという思いがあっても行動に移せない
人もいますし、障害の状況によって、手助けの仕方にも配慮が必要となる場合があります。
ハード整備を補う意味においても、福祉教育・学習の機会を通じて思いやりのあふれる人
材の育成が大切です。あわせて、駅などの案内を行うサポーター養成など、手助けしやすい、
手助けを受けやすいソフト事業の充実も求められます。
【県の取組】
○ 埼玉県福祉のまちづくり条例や建築物バリアフリー条例により、誰もが円滑に利用でき
る生活関連施設の整備促進を図ります。
- 73 -
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
○ 障害者用駐車場マナーアップキャンペーンや障害者に関するマークの周知活動などを通
じて、誰にも優しく生活しやすいまちづくりについて、県民や事業者に普及啓発します。
○ ユニバーサルデザイン※3 を推進し、利用しやすいように配慮した施設や建物づくり、製
品の普及を促進します。
○ 高齢者や障害者が使いやすい福祉用具や情報機器などの利用促進を図ります。あわせて、
手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助者など、コミュニケーション支援を行う
人材の育成を図るとともに、障害者に対しても、パソコンのスキル習得を支援します。
○ 「外国人総合相談センター埼玉」において、外国人住民も地域の一員として自立した生活
が送れるよう、様々な生活支援を行うとともに、外国人相談体制を充実させ、コミュニケー
ション支援を進めます。
○ 高齢者や障害者など誰もが快適に安心して鉄道を利用できるよう、鉄道駅にエレベーター
やスロープ、多機能トイレなどの設置を促進します。
○ 駅ホームからの転落を防止するため、視覚障害者への声掛けやサポート方法の普及啓発を
行うとともに、バスについても、ノンステップバスの導入を支援します。
○ 老朽化による県営住宅の建て替えに伴い、バリアフリー化を図るとともに、既存の県営住
宅にエレベーターを設置し、高齢者や障害者等の円滑な移動を支援します。
※1 埼玉県福祉のまちづくり条例
高齢者や障害者をはじめ全ての県民が安全で快適に生活できる生活環境、社会環境の整備を目指
し、平成7年3月20日に制定。
※2 埼玉県高齢者、障害者等が円滑に利用できる建築物の整備に関する条例
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号。)の規定に基
づき、建築物等の基準に付加する事項やその他必要な事項を定めた条例。
※3 ユニバーサルデザイン
障害の有無にかかわらず、全ての人にとって使いやすいように始めから意図して造られた製品・
情報・環境のデザインのこと。
- 74 -
第9章 計画の推進・市町村への支援
第9章 計画の推進・市町村への支援
1 市町村地域福祉計画の策定・改定に伴う支援
市町村社協と連携して、住民が計画策定に積極的に関われる機会を小地域(小・中学
校区域)単位で提供
生活困窮者自立支援方策について、市町村地域福祉計画への早期反映
【背景】
地域福祉計画の策定に当たって、市町村社協の地域活動計画と連携して策定している若し
くは策定を予定している市町村は60%強となっています。
また、国から平成27年4月の生活困窮者自立支援法の施行に伴い、都道府県地域福祉支
援計画及び市町村地域福祉計画に生活困窮者自立支援方策を位置付けるべきとの通知(平成
26年3月27日付け社援発0327第13号厚生労働省社会・援護局長通知)が発出されていま
す。生活困窮者自立支援制度は、地域福祉を拡充し、まちづくりを進める上でも重要な施策
であることから、具体的に盛り込むべき事項が示されています。
【地域での取組の方向性】
地域福祉計画は、生活の中での様々な課題を、住民自身が、あらゆる地域の社会資源を活
用し、これらの団体と協働して解決していくことを応援するためのものです。
このため、地域福祉計画を策定するに当たっては、日常圏域ニーズ調査の活用や住民が計
画策定に積極的に関わることができる機会、考える場の確保が大切です。
こうした機会の提供は、小地域(小・中学校区域)できめ細かく行うことで、地域福祉活
動への住民参加やネットワークの形成を促す効果が高まります。
加えて、市町村介護保険事業計画と連動した策定や市町村社協との連携により地域福祉活
動計画との策定を一体的に行うことも、地域の実情を反映する効果的な手法です。
また、生活困窮者の把握や相談体制、自立支援の方策など、地域の実情に応じ、生活困窮
者支援を通じた地域づくりについて、早期に地域福祉計画に盛り込む必要があります。
【県の取組】
○ 市町村や市町村社協の職員を対象に、地域福祉に関する先進事例を紹介するなど研修会
や意見交換会を行うことにより、地域福祉計画の策定・改定を支援します。
○ 市町村が地域福祉計画の策定・改定や地域課題の分析などを行う場合に、県内の福祉・
医療系大学等の協力が得られるよう、県がつなぎ役となります。
【再掲】
○ 地域福祉計画の策定・改定を進めるに当たり、必要に応じて県職員が参画し、市町村の
取組を実務的に支援します。
- 75 -
第9章 計画の推進・市町村への支援
2 計画の進行管理
計画の進捗状況等、情報を積極的に公開
計画を評価する委員会などによる定期的な進捗状況の管理や新たな課題に対する検討
【背景】
市町村の地域福祉計画の策定後の進捗管理については、計画を評価する委員会などを設置
している市町村が64%ある一方、設置していない市町村も31%あります。
(グラフ13)
▼計画を評価する委員会等の設置状況(計画策定済み市町村)
その他
5%
設置していない
31%
設置している
29
設置していない
14
その他
2
設置している
64%
グラフ 13
【地域での取組の方向性】
市町村地域福祉計画を実効性ある計画とするためには、計画を積極的に公表し、住民への
周知を図るとともに、計画の進捗状況を毎年、定期的に点検することが大切です。
このためには、計画を評価する委員会等を設置し、定期的な進捗状況の管理や新たな課題
に対する検討が必要です。
【県の取組】
○ 県地域福祉支援計画の進捗状況や市町村地域福祉計画の策定状況などについて、県ホー
ムページなどで積極的に公開するとともに、埼玉県地域福祉推進委員会により、定期的な
計画の進捗状況の管理や新たな課題に対する検討などを行います。
数値目標
地域福祉計画策定市町村数
全市町村
平成29年度末
51市町村
平成26年度末
- 76 -
- 77 -
参考資料
参考資料
1 埼玉県地域福祉支援計画数値目標一覧……………………………79
2 埼玉県地域福祉支援計画策定の経緯………………………………80
3 埼玉県地域福祉推進委員会設置要綱及び委員名簿………………81
4 埼玉県地域福祉委員会作業部会設置要綱及び委員名簿…………83
5 埼玉県地域福祉支援計画県施策の担当課一覧……………………85
- 78 -
参考資料
1
埼玉県地域福祉支援計画数値目標一覧
第5章 地域のケアシステムと地域の福祉力を統合する基盤づくり
数値目標
項目
数値目標の根拠
26年度末
29年度末
●●市町村
全市町村
協議体の設置や生活支援
コーディネーターの配置
をしている市町村数
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
ヘルプカードを作成・
配付している市町村数
●●市町村
全市町村
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
認知症サポーターの
養成数
●●●●●人
●●●●●人
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
高齢者虐待対応専門員
養成数
●●●●人
●●●●人
第9章 計画の推進・市町村への支援
地域福祉の役割が高まる中、
地域福祉計画策定
市町村数
全ての市町村が地域の課題
51市町村
全市町村
を地域で解決していくため
の道筋となる地域福祉計画
を策定する必要があるため。
- 79 -
参考資料
2 埼玉県地域福祉支援計画策定の経緯
(1)これまでの計画
平成 16.3
第1期埼玉県地域福祉支援計画(平成 16 年度~平成 20 年度)
平成 21.3
第 2 期埼玉県地域福祉支援計画(平成 21 年度~平成 23 年度)
平成 24.3
第 3 期埼玉県地域福祉支援計画(平成 24 年度~平成 26 年度)
(2)本計画の策定に向けて
平成 25.12.29
平成 25 年度第 2 回地域福祉推進委員会
平成 26. 2. 3
第 1 回地域福祉推進委員会作業部会
5.20
第 2 回地域福祉推進委員会作業部会
6.16
第 3 回地域福祉推進委員会作業部会
7. 8
市町村及び市町村社協との意見交換(さいたま市、川口市、蕨市、戸田市)
市町村及び市町村社協との意見交換(熊谷市、本庄市、美里町、神川町
7.11
7.15
7.22
7.23
上里町、寄居町)
福祉のまちづくり推進協議会(第 8 章 4「誰にも優しいまちづくりの
促進」の部分を諮問)
平成 26 年度第 1 回地域福祉推進委員会
市町村及び市町村社協との意見交換(鴻巣市、上尾市、桶川市、北本市、
伊奈町)
7.24
市町村及び市町村社協との意見交換(毛呂山町、越生町、滑川町、小川町
ときがわ町)
7.29
市町村及び市町村社協との意見交換(行田市、加須市、羽生市、蓮田市、
幸手市、宮代町)
7.30
市町村及び市町村社協との意見交換(春日部市、草加市、越谷市、八潮市
三郷市、吉川市、白岡市、松伏町)
7.31
市町村及び市町村社協との意見交換(秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町
小鹿野町)
8. 4
市町村及び市町村社協との意見交換(AM:朝霞市、志木市、和光市、新座市
ふじみ野市、三芳町 PM:所沢市、飯能市、狭山市、日高市)
9.16
11.11
平成 27. 2.
第 4 回地域福祉推進委員会作業部会
第 2 回地域福祉推進委員会
第 3 回地域福祉推進委員会
(3)先進事例取材
平成26年10月~平成26年11月の間、本計画の施策に関連する先進的な取組を行
っている団体等に対し、取材を行った。内容は、本計画の中で紹介している。
(4)県民コメントの実施
平成27年1月5日~平成27年2月4日の間、
「埼玉県県民コメント制度」により、本
計画への意見募集を行った。
- 80 -
参考資料
3
埼玉県地域福祉推進委員会設置要綱及び委員名簿
埼玉県地域福祉推進委員会設置要綱
(趣旨)
第1条 埼玉県地域福祉支援計画の推進を目的として、埼玉県地域福祉推進委員会(以
下「推進委員会」という。)を設置する。
(構成)
第2条 推進委員会は、委員20人程度をもって組織する。
2
推進委員会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選により定める。
(委員)
第3条 推進委員会の委員は、福祉に関しての学識経験者、社会福祉に関する活動を行
う者、社会福祉を目的とする事業を経営する者、民間企業者、商店街関係者、市町村
職員、社会福祉協議会職員及び公募による県民等のうちから福祉部長が選任する。
(委員の任期)
第4条 委員の任期は、2年間とする。
(会議)
第5条 推進委員会の会議は、委員長が招集し、その議長となる。
2
副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、副委員長がその職務を
代理する。
(作業部会)
第6条 推進委員会には、作業部会を置くことができる。
2
作業部会に関して必要な事項は、別に要綱で定める。
(事務局)
第7条 推進委員会に事務局を置き、その事務は福祉部福祉政策課において処理する。
(その他)
第8条 この要綱に定めるもののほか、推進委員会の運営に関し必要な事項は、委員長
が定める。
附
則
この要綱は、平成16年8月1日から施行する。
この要綱は、平成17年4月1日から施行する。
この要綱は、平成19年4月1日から施行する。
この要綱は、平成21年4月1日から施行する。
この要綱は、平成23年4月1日から施行する。
- 81 -
参考資料
埼玉県地域福祉推進委員会委員名簿
任期(平成 25 年 4 月 1 日~平成 27 年 3 月 31 日)
氏
名
佐藤 陽
◎
諏訪 徹
役職名
選任区分
十文字学園女子大学人間生活学部人間生活学科
奥野 立
日本大学文理学部社会福祉学科
教授
学
識
社
協
教授
○
埼玉県社会福祉協議会 副会長
秋本 政信○
埼玉県社会福祉協議会 副会長
小澤 浩
(特非)ユーアイネット柏原
代表理事
小島 美里
(特非)暮らしネット・えん
代表理事
(H26.3.31 まで)
福祉活動
鈴木 浩子
埼玉県民生委員・児童委員協議会
鈴木 玲子
(特非)彩の子ネットワーク
池田 徳幸
埼玉県老人福祉施設協議会
副会長
代表理事
理事・地域福祉委員長
福祉事業
古澤 潔
(特非)埼玉県障害者協議会
理事
折原 直道
ウエルシアオアシス株式会社
代表取締役
長谷川 浩司
(一社)蕨市にぎわいまちづくり連合会
小林 泰
公募委員
菅原 広志
行田市健康福祉部福祉課
地域福祉推進幹
行田市健康福祉部福祉課
地域福祉推進幹
長島 浩司
民間企業
事務局長
商 店 街
公募県民
市 町 村
(H26.3.31 まで)
(選任区分別50音順、敬称略)
◎委員長 ○副委員長
選任区分(埼玉県地域福祉推進委員会設置要綱第3条関係)
学識=学識経験者 社協=社会福祉協議会職員
福祉活動=社会福祉に関する活動を行う者
福祉事業=社会福祉を目的とする事業を経営する者 民間企業=民間企業者
商店街=商店街関係者 公募県民=公募による県民 市町村=市町村職員
- 82 -
参考資料
4 埼玉県地域福祉委員会作業部会設置要綱及び委員名簿
埼玉県地域福祉推進委員会作業部会設置要綱
(趣旨)
第1条 埼玉県地域福祉推進委員会設置要綱第6条に基づき、埼玉県地域福祉推進委員会作
業部会(以下「作業部会」という。)を設置する。
(所掌事務)
第2条 作業部会は、次に掲げる事項について検討を行う。
(1)第4期埼玉県地域福祉支援計画の策定に関する検討
(2)地域福祉政策に関する情報収集・意見交換
(3)その他目的達成に必要な事項
(構成)
第3条 作業部会は、福祉部長が選任する者で構成する。
2 作業部会に部会長を置き、作業部会員の中から福祉部長が選任する。
(任期)
第4条 部会員の任期は、選任の日から平成27年3月31日までとする。
(報告)
第5条 部会長は、委員会委員長に対して検討結果を報告する。
2 推進委員会委員長は、必要に応じて、部会長に対し、推進委員会への検討結果の報告を
求めることができる。
(庶務)
第6条 作業部会の庶務は、福祉部福祉政策課において処理する。
(その他)
第7条 この要綱に定めるほか、作業部会の運営について必要な事項は部会長が定める。
附 則
この要綱は、平成25年11月26日から施行する。
- 83 -
参考資料
埼玉県地域福祉委員会作業部会委員名簿
任期(平成 25 年 4 月 1 日~平成 27 年 3 月 31 日)
氏 名
役 職
備 考
諏訪 徹
日本大学文理学部社会福祉学科 教授
井上 直子
飯能市障害者福祉課 主幹
猪鼻 紗都子
奥野 淳子
部会長
保健師
精神保健福祉士
川越市地域包括支援センター
社会福祉士
かすみ センター長
主任介護支援専門員
埼玉県社会福祉協議会
平成 26.3 末まで
総務・人事課長
地域連携課長
平成 26.3 末まで
小平 慶一
三郷市会計管理者
福祉部副部長兼
ふくし総合相談室長
認定特定非営利活動法人
村田 惠子
埼玉県指定特定非営利活動法人
さいたまNPOセンター専務理事
(部会長を除き50音順、敬称略)
- 84 -
参考資料
5 埼玉県地域福祉支援計画県施策の担当課一覧
ページ
番号
施
策
主な担当課
第5章 地域のケアシステムと地域の福祉力を統合する基盤づくり
地域包括ケアシステムの考え方を応用した
福祉政策課、社会福祉課
1
支援機能の拡充と地域の福祉力との統合
高齢介護課
介護保険制度の改正に対応するNPO・
2
高齢介護課
ボランティア団体の基盤整備
社会福祉協議会との連携強化と民生委員・
3
社会福祉課
児童委員への支援を充実
第6章 孤立を防ぎ、見守り、支え合う地域づくり
福祉政策課、高齢介護課、少子政策課
1 地域福祉の場・拠点づくりの促進
共助社会づくり課、住宅課
2 孤立死などを防ぐ取組の促進
社会福祉課、高齢介護課、疾病対策課
社会福祉課、高齢介護課、
3 災害時に備えた支援の取組を充実
障害者福祉推進課、障害者支援課
こども安全課
地域の商店や企業等と連携した支え合いの
4
高齢介護課、共助社会づくり課
仕組みの拡充
高齢化が急激に進む団地・ニュータウン再生
5
福祉政策課、高齢介護課、住宅課
の促進
第7章 地域福祉を支える担い手づくり
福祉政策課、高齢介護課、
NPO・ボランティア団体、自治会等の地域
1
障害者福祉推進課、共助社会づくり課
活動への支援
防犯・交通安全課
2 地域福祉を担う住民の育成を拡充
福祉政策課、高齢介護課、青少年課
福祉政策課、社会福祉課、高齢介護課
住民が地域福祉の課題を学び、考える機会 広聴広報課、高校教育指導課
3
(福祉教育・学習)の充実
特別支援教育課、義務教育指導課
生涯学習文化財課
社会福祉課、高齢介護課、少子政策課
4 介護、保育等サービス人材の確保
産業人材育成課
社会福祉法人、企業、大学等の社会貢献活動 福祉政策課、社会福祉課、高齢介護課
5
との連携強化
保健医療政策課
第8章 福祉サービスを適切に利用できる環境づくり
1 生活困窮者対策の推進
社会福祉課
高齢介護課、障害者福祉推進課
2 権利擁護体制の充実
障害者支援課、こども安全課
苦情解決制度及び事業者等の第三者評価、
3
社会福祉課、こども安全課、福祉監査課
指導の充実
福祉政策課、高齢介護課
4 誰にも優しいまちづくりの促進
障害者福祉推進課、交通政策課、国際課
文化振興課、住宅課
第9章 計画の推進・市町村への支援
1 市町村地域福祉計画の策定・改定に伴う支援 福祉政策課
2 計画の進行管理
福祉政策課
- 85 -
埼玉県福祉部福祉政策課政策企画担当
〒330-9301 埼玉県さいたま市浦和区 3-15-1
TEL: 048-830-3223
FAX: 048-830-4801
E-mail: a3380-10pref.saitama.lg.jp