「人権が尊重されるまち」へ

人権ナビゲーションマガジン
―大阪市を「人権が尊重されるまち」へ-
Vol.19
市民局ダイバーシティ推進室発行
平成27(2015)年2月
大阪市では、市民の皆さまが「人権が尊重されるまち」になったと実感できる、住んでよかったと
誇りを持って語れる「国際人権都市大阪」をめざして、平成21(2009)年2月に「大阪市人権
行政推進計画~人権ナビゲーション~」を策定し、市民の皆さまとともに人権行政を推進しています。
この人権ナビゲーションマガジンでは、本市における人権行政の取組みを皆さまに紹介しています。
今号では「HIV感染者/エイズ患者・ハンセン病回復者等の人権」をテーマとして特集します。
正しい知識や理解が重要です
内閣府による人権擁護に関する世論調査(下記
思うか」では「ハンセン病療養所の外で自立した
のグラフ参照)において、「エイズ患者・HIV
生活を営むのが困難なこと」を挙げた人の割合が
感染者やその家族に関し、現在、どのような人権
32.1%と最も高く,以下,
「結婚問題で周囲の反
問題が起きていると思うか」を調査したところ
対を受けること」
(25.1%),
「じろじろ見られた
「結婚問題で周囲の反対を受けること」を挙げた
り,避けられたりすること」
(24.1%),
「差別的
人の割合が 41.6%と最も高く,以下,
「差別的な
な言動をされること」
(22.3%),
「就職・職場で
言動をされること」
(30.7%)
,
「就職・職場で不
不利な扱いを受けること」
(21.1%)などの順と
利な扱いを受けること」
(29.9%)
,
「治療や入院
なっています。
を断られること」
(19.7%)などの順となってい
ます。
こうした問題は、HIV感染者/エイズ患者や
ハンセン病回復者等に対する偏見や差別意識が
また、「ハンセン病患者・回復者やその家族に
関し、現在、どのような人権問題が起きていると
エイズ患者・HIV感染者やその家族に関し、
現在、どのような人権問題が起きていると思いますか?
原因となって、起こっているものと思われること
から、正しい知識や理解を深めることが重要です。
ハンセン病患者・回復者やその家族に関し、
現在、どのような人権問題が起きていると思いますか?
複数回答(%)
複数回答(%)
結婚問題で周囲の反対を受けること【41.6%】
ハンセン病療養所の外で自立した生活を営むのが困難な事【32.1%】
結婚問題で周囲の反対を受けること【25.1%】
差別的な言動をされること【30.7%】
じろじろ見られたり、避けられたりすること【24.1%】
就職・職場で不利な扱いを受けること【29.9%】
差別的な言動をされること【22.3%】
治療や入院を断られること【19.7%】
就職・職場で不利な扱いを受けること【21.1%】
宿泊施設、店舗等への入店や施設利用を拒否されること【15.8%】
職場、学校等で嫌がらせやいじめを受けること【16.3%】
無断でエイズ検査等をされること【12.7%】
アパート等への入居を拒否されること【10.6%】
特にない・わからない【35.5%】
治療や入院を断られること【13.6%】
宿泊施設、店舗等への入店や施設利用を拒否されること【12.1%】
アパート等への入居を拒否されること【10.2%】
特にない・わからない【39.5%】
内閣府「人権擁護に関する世論調査」
(平成24年8月調査)より
HIV 感染症・エイズについて一緒に考えましょう
私たち人類がはじめてエイズを知ったのは
1981年。それから約30年の間に、エイズの原
因であるHIV(ヒト免疫不全ウィルス)の発見と、
ウイルスの増殖を抑制する治療薬の開発等、医療
の進歩によって、発症を防ぐことができるように
なりましたが、我が国では、HIV感染者・エイズ
患者数は増え続けています。
エイズはだれもがかかるかもしれない病気で
す。エイズの蔓延を防ぐには、その知識に基づい
た行動をとることが大切です。
大阪市の HIV 感染者・エイズ患者の現状
大阪市においては、平成25年の新規HIV感染
者・エイズ患者は、185人報告されており、こ
れは2日に1人の割合で発見されていることとな
ります。
わが国のHIV感染経路の多くは性行為による
もので、男性の同性間によるものが7割以上を占
めています。HIV感染者の73%が就業しており、
4割程度がHIV感染を機に離転職したり、約1割
程度しか上司に報告していなかったという調査
結果があります。もちろん、感染を報告する必要
はありません。しかし、家族や同僚、友人にHIV
に感染している人がいても、不要な感染不安を無
くし、良き理解者となり、共に社会を形成してい
くことが求められます。
HIV感染者・エイズ患者報告数の年次推移(累計)厚生労働省エイズ発生動向調査:2013 年年間報告速報値
1650
(人)1800
1600
1400
1200
1000
800
600
400
200
0
1397
HIV感染者
1505
エイズ患者
409
337
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
369
24 25
(年度)
HIV 感染症・エイズとは?
HIV(HIV=human immunodeficiency
virus:ヒト免疫不全ウイルス)とは、エイズの
原因ウイルスの事をいいます。エイズ(AIDS=
acquired immunodeficiency syndrome:後天
性免疫不全症候群)は、HIV感染による免疫力の
低下によって発症する様々な病気の総称(症候群)
を言います。HIVに感染してもすぐにエイズを発
症するわけでなく、個人差はありますが通常5年
から10年程度症状のない時期が続きますが、体
内ではHIVとからだの免疫とが戦い続け、少しず
つ免疫の力が衰えてきます。
HIVの感染源となるのは①血液、②精液、③膣
分泌液、④母乳です。これらの体液が粘膜に直接
接触すると感染する可能性があります。
HIV は非常に感染力の弱いウイルスです。普段
の生活の中では感染する事はありません。