海底環境放射線・長期変動測定のための NaIγ線計測装置の開発と 最初の結果 ○蜷川清隆・大谷智洋・豊田新・藤原泰誠・中川益生・山本勲(岡山理科大学) , 熊谷英憲・木下正高(海洋研究開発機構),久保信( (株)クリアパルス) ,芦寿一郎(東京大学) 今まで海底の環境放射線測定は,海洋調査船の遠隔操作無人探査機「ハイパードルフィン」や有人 潜水調査船「しんかい 6500」と NaIγ線計測装置をケーブルでつないで(ケーブル式 NaI),探査機や 潜水調査船の潜航とともに目的の場所に赴き,到着点での放射線を測定することによって,放射線線 量の測定、及び空間の分布を測定することでおこなわれてきた.しかし,一定の場所での長期間測定 はおこなうことはできなかった.今回,海底設置型電池搭載長期 NaI γ線計測装置(独立式 NaI)を 開発・製作し,一定の場所での環境放射線の長期時間変動計測を可能にした.初めての計測例として, 熊野灘沖冷湧水地点で約 3.5 ヶ月間計測した結果を報告する. 左の図は開発した独立式 NaIγ線計測システムと写真である.電力は単 3 アルカリ電池 30 本を 6 段 重ねて供給している.深海用低消費電力型γ線記録装置は, 「1.消費電力を抑えるために間欠運転モ ードを備えている.2.電源電圧が一定電圧(例えば 6V)以下に低下した場合は自動的に測定を停止し, 電源を切断する.このため,電池の液漏れ,ガス発生を抑えることができ,電池用耐圧容器の内圧を 高める危険性を防げる.3.今までのγ線計測装置(ケーブル式 NaI)は 12V 170mA (2W) であるのに 対して,今回開発した深海用低電力消費型γ線記録装置(独立式 NaI)は 6V 110mA (0.66W)であるの で,計測時の消費電力も 1/3 に減っている. 」の大きな特色と持った仕様となっている. 右の図は開発・製作した独立式 NaI を用いて,初めての熊野沖南海トラフの冷湧水域において海底 長期γ線測定をおこなった結果の一例で,換算 U 含有量の時間変動と微小地震による工学基盤上での 最大速度 PGV をプロットした図である.原因不明ながら途中 5 月 7 日を境に大きく NaI の感度が変化 した為,5 月 7 日~11 日の期間,異常な値となっている.また,5 月 12 日から 8 月 3 日の期間,一見 ノイズのみのデータに見えるが,フーリエ解析したところ微弱ながら潮汐の影響と思われる 25 時間の ピークがでてきた. NaI PMT 深海用低電力消費型 γ線記録装置 PC 初期設定 回収後のデータの転送 RS-232C 912,600bps 単3アルカリ電池 30本x6段 9V 開発した独立式 NaIγ線計測システムと写真 換算 U 含有量と微小地震による工学基盤上での最大速度 PGV
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