検証授業 3年

【 検証 授 業 3年 】
単元 名 物 語の 感想 を まと め よう (教 材 「ち いち ゃ んの か げお くり 」 光村 3年 下 )
目 標 場 面の 移 り 変 わ りに 着 目 し , 情 景 や登 場 人 物 の様 子 ・ 心 情 に つい て叙 述 に基 づ い
て 想 像 し , 戦 争 時を 描 い た 作 品世 界 に 迫 り な がら , 場 面 を ま とめ た り文 を 引用 し た
り し て, 感想 文 を書 く こと がで き る。
検証 の柱
1
2
3
( 1) 指導 計 画に ,単 元 を貫 い た言 語活 動 が位 置づ け られ て いる か。
(2)本時の中に,生きて働く言葉の力を身につけさせるための言語活動が設定されて
いる か 。
( 3) 叙述 を 根拠 にし な がら 読 むた めの 手 立て は効 果 的で あ った か。
4
指導 計画 ( 総時 数1 2 時間 )
時間
主な 学 習活 動
1 ○ 題 名か ら想 像 する 。
○ 初 発の 感想 を 書く 。
つ
○難語句について国語辞典で
か
調 べる 。
む
・
見 2 ○ 学 習課 題・ 学 習計 画 を立 て
通
る。
す
○ 新 出漢 字の 練 習を す る。
○ 音 読す る。
過程
指 導の 実 際【 評 価規 準( 評 価方 法)】
・戦争の悲惨
さ を 感 じ た
り,時代背景
を確かめたり
するために,
戦争に関する
図書や資料を
準 備し た。
食 べ 物 や 生 活の 様 子 が , ど ん な に 大変 か よ く 分
かったよ。教科書に 出てきた焼夷弾や防空壕の
こ とも 具体 的 に分 か った んだ 。
自分 の考 え やそ の 理
由 がは っき り わか る よ
う に感 想を 書 いて , 4
年 生に 発表 し よう 。
3
調
べ
る
4
5
・ 学 級 内 に 「 戦争 と 平 和 」 に 関 す る 本の コ ー ナ ー
を 設 け , ブ ッ クリ ス ト に 感 想 を 書 く こと で , 並 行
読 書を 推進 し た。
【 関: 単元 の 学習 に 見通 しを 持 って 取り 組 んで い
る。(ブ ック リス ト)】
○ 第 一場 面の 「 かげ お くり 」
を家族でする様子や気持ちを
読 み とる 。
・なぜ,かげおくりをしたの
だ ろ う。
○第二場面の空襲の中逃げる
ちいちゃんたちの様子や気持
ち を 読み 取る 。
・戦争が激しくなり,ちいち
ゃんはどんな気持ちだっただ
ろう。
・登場人物の様子や気持
ちの分かることところ
に サイ ド ライ ンを 引 き,
そこから読み取れる登
場人物の気持ちをワー
ク シー ト に書 き込 ま せ,
心情や変化に気付ける
ようにした。
《 読み 取 りの 技の 活 用》
①着 目 する 点
②読 み 深め るた め の
視点
として掲示。
授業の中でも,時間ごとに
特に着目して読み深めてほ
し い場 合 は,黒 板 に掲 示し ,
○ 第 三場 面の ひ とり
ぼっちで家族を待つちいちゃ
んの様子や気持ちを読み取
る。
・なぜ,焼け落ちた家に一人
で い たの だろ う 。
-1-
6
○二つのかげおくりの相違点
を 考 える 。
・二つのかげおくりの同じと
ころや違うところを考えよ
う。
考 える 際の ヒ ント に した 。
( 例)・ 登場 人物 の 様子 や 気持 ちを 考 える 時
・ 情景 に着 目 して 読 むと き
・ 場面 の移 り 変わ り に着 目し て 考え る時
並 行 読 書 し てい る 本 を 読 む と き に も, 読 み 取
りの 技を 活 用し て 読み 深め さ せた 。
ワークシートを活用して,自分の感想を書く
場合には,根拠となった文を引用させたり要
約した文など書かせた。実態として,引用し
た文のつなぎに困っている様子だったので,
ワークシートにモデル文を示したり,引用文
と感 想の つ なぎ 方 の例 を示 し,参 考に させ た。
○第四場面の一人でかげおく
りするちいちゃんの様子や気
持 ち を読 み取 る 。
○ 第 五 場 面 の 役 割 に つ い て 考 〔 文の つな ぎ 方〕
える。
8 ・あまんきみこさんはなぜ,
ちいちゃんのいない場面を作
っ た のだ ろう 。
〔 読 み 深め るた めの 話 し 合い〕
7
本時
深
め
る
9
・第一場面と第四場
面の比較読みをさせ
た。比較しやすいよ
うに上下に配列した
ワークシートを作
ど の 文章 か ら
成。違いや変化から
そ ん なふ う に
登場人物の心情や主
考 え たの か な? 題 に つ い て 読 み 取 っ
たり考えたりさせ
な るほ ど。
た。
友 達の 意見 も
【 読 : 登 場 人 物の 心 情 や , 場 面 を 読 んで 感 じ た こ
い いな あ。
と を 発 表 し 合 い, 友 達 と の 感 じ 方 ・ 考え 方 の 違 い
に 気付 いて い る( ワ ーク シー ト ,発 表, 観 察)】
○「 ち いち ゃん のか げ お くり」 【 書 : 心 に 残 った 叙 述 に に 着 目 し な がら , 感 想 を
の 感 想文 を書 き ,読 み 合う 。 書 き表 す( 作 文)】
・ 文 の 構 成 や 書き 方 の モ デ ル 文 を 示 すこ と で , 文
章 に 自 分 の 思 いを 書 く の が 苦 手 な 子 ども も 自 分 の
感 想を 書く こ とが 出 来た 。
10
ま
と
め
る
・
生
か
す
〔ワ ー クシ ート 〕
11
・並行読
書 し た
ら,あら
すじと感
想をまと
めた。
○並行読書した本の中から一
冊 選 び感 想文 を 書く 。
○推敲したり友達に発表した
りして,交流会に向けて準備
・学習を活かしながら自
分で読み,感想をまとめ
る と き は ,「 ち い ち ゃ ん
のかげおくり」で感想を
まとめた同じ形式のワー
クシートを活用し,スム
ーズに自分の感想を書く
こと が出 来 た。
【 言 : 感 想 の 言葉 集 な ど を 活 用 し , 表現 す る た め
の 語句 を増 や すこ と がで きる 。(作 文)】
-2-
12
する。
○感想文交流会を行い,四年
生 に 発表 する 。
【関:自分の考え方を
積極 的 に交 流
し,自分の考え方を広
げた り 深め よ
うと し てい る。
( 観察 )】
感想文で発表
した本を読み
たいなんてう
れし い な。
〔 4年 生に 感 想文 を 発表 〕
5
本時 (7 / 12 )
( 1 )目 標
ち い ちゃ ん の 家 族 に 会 いた い と い う 強い 思 い と 戦 争 の悲 惨 さ に つ い て, 叙 述を 基 にし な が
ら 読み 深め る こと がで き る。
( 2 )評 価規 準
○ 一人 で かげ おく り をす る ちい ちゃ ん の気 持ち を 読み 取 ろう とし て いる 。
【 国 語 へ の関 心 ・意 欲 ・態 度 】
○ 場 面 の 様 子や 登 場 人 物 の 気持 ち を 想 像 を広 げ な が ら 読 み 取り , 感 想を 自分 の 言葉 で 書
い てい る。
【 読 む 能力】
( 3 )本 時
過 時 形
程 間 態
主 な学 習 活動
1
つ
か
む 5
・
見
通
す
前 時の 場 面を 想 起す る。
み 2 本 時の め あて に つい て確 認 する。
ん
一 人 でか げお く りを し たの
な に,なぜ白いかげが四つ見えたの
だろ う 。
3
調 8
べ
る
指 導の 実 際・ 評価
場面をしっかりとらえ
られるようにいつ,ど
こで,だれが,どうす
る 場面 か話 し 合っ た 。
・第 一場 面と は 違う か げ
おく りで ある こ とを 学 習
した こと を想 起 させ た 。
課 題解 決 の見 通 しを 持つ 。
4 第 四場 面 を読 む 。
一 ( 1 )「 た っ た 一 つ の か
人 げぼうしを見つめながら
で 数えだした」ちいちゃん
の 気持 ちを 考 える 。
・中心文から理由と根拠を挙げて,ち
い ちゃ ん の気 持 ちや 様子 を 表現 させ る。
「ふらふらする足をふみしめて
立ち上がると」を一緒に状況を
考 える 。
前の場面の様子とつなげて
考えたり言葉を比べて変化
したことに着目して,読む
よう に させ た 。
・
深
め
る
【関:体が弱っていても,最後の力を
ふりしぼるほど,家族に会いたいちい
ちゃんの気持ちを読み取ろうとしてい
る 。(ワ ー クシ ート )】
-3-
10
10
( 2)
グ
グループで話し合って交流し,考
ル え をま とめ る 。
|
プ
一 人一 人が 自 分の 意 見と 比べ
で
なが ら, 共 感的 に 相手 の意 見 を
受け とめ ら れる よ うに 役割 ( 司
会, 質問 , 気付 く ,納 得) を 持
って 話し 合 い, グ ルー プ内 の 意
見を 分け た り, ま とめ たり し た。
み (3) グループごとに考えを発表
ん
し, 考 えを 練 り上 げる 。
な
・ さび し い
で
・ 家族 に 会い た い
・ かげ お くり 楽 しか った な
(4) 白いかげが四つ見えたのは
どう し てか 話 し合 う。
・白いかげが4つ見えたのは,どう
してか考え,家族に会いたいちいち
ゃ んの 気持 ち を再 度 確認 する 。
12
ま
と
め
る
・
生
か
す
・
つ
な
げ
る
・友達と自分の意見の違いを根拠をも
とに比べさせる。比べることで,意見
をまとめたり分けたりする。その際,
一人一人の意見を大事にしながら,お
互いの意見の相違点を明確にするため
に,質問したり自分の意見と照らし合
わ せな が ら, 意 見交 換し た りさ せる 。
・グ ル ー
プで出さ
れた意見
に質問し
たり補足
説明した
りする。
また,自
分の考え
を基に自
分とは異なる意見に接する中で自分の
考 えを 深 めさ せ る。
み 5 本 時の ま とめ を する 。
ん
な
最後の力をふりしぼるほど,家
で 族に会いたいという強い思いがあ
った か ら家 族四 人 のか げ が見 えた 。
6
第四場面の感想文を書き,本時
の学 習を 振 り返 る 。
・ 感想 文 を書 く 。
・ 発表 す る。
・三次に生かせるよう
に,文章構成の型を示
して感想を書かせた。
〔場 面 ,叙 述 ,感 想〕
み 7 天国で家族に会えたちいちゃん
ん
は幸 せだ っ たか 考 える 。
な
で
8 音 読す る 。
【読:想像を広げなが
らちいちゃんの気持ち
を読み取り,感想を自
分の言葉で書いてい
る。( ワ ーク シー ト)】
一
人
で
-4-
6
検証 の結 果 と今 後の 課 題
( 1)「指 導計 画に , 単元 を貫 い た言 語 活動 が位 置 づけ られ て いる か 」に つい て
○ 「『 ち い ち ゃ ん の か げ お く り 』 の 感 想 文 を 書 い て , 4 年 生 に 発 表 し よ う 」 と い う 言 語
活 動を 単 元 を 貫 い て 設定 す る た め に, 二 次 で 登 場 人物 の 気 持 ち や 様子 を 考え た り, 場 面
の 変化 を つ か む た め につ な が り や 似て い る 場 面 の 比較 を 行 っ た り して , 感想 文 に生 か せ
る よう に した。ま た,並 行 読書 を行 い,ブッ クリ ス トに あ らす じと 感想 文 を書 く こと で,
感 想文 発 表に 生か す こと が 出来 た。
△ 具体 的 で 的 確 な 指 導を 行 う た め に, 単 元 を 貫 く 言語 活 動 を 評 価 評価 基 準や 表 現例 を B
だ けで な く, A・ C につ い ても 設定 す る必 要が あ る。
( 2 )「 本 時 の 中 に , 生 き て 働 く 言 葉 の 力 を 身 に つ け さ せ る た め の 言 語 活 動 が 設 定 さ れ て い る
か 」に つ いて
○ 一単 位 時 間 ご と に 書き た め た 感 想文 を 活 用 し て ,文 章 構 成 や モ デル 文 を参 考 にし な が
ら ,自 分 の感 想を わ かり や すく まと め るこ とが で きた 。
○ 4年 生 を 意 識 し て 戦争 や 平 和 に 関連 す る 本 の 中 から 紹 介 し た い 本を 選 び, 発 表す る こ
と がで き た。
△ 「感 想 の 言 葉 集 」 を掲 示 す る な どし て 活 用 を 図 った が , 単 元 に 合わ な い言 葉 も多 く ,
活 用が あ まり なさ れ なか っ た。 単元 ご とに 厳選 す る必 要 があ る。
( 3)「叙 述を 根拠 に しな がら 読 むた め の手 立て は 効果 的で あ った か 」に つい て
○ 中心 文 に 着 目 さ せ るた め に 中 心 文か ら 考 え た の で, 感 想 を 書 く 際に は ,中 心 文を 大 事
に して , 自分 の感 想 を書 く こと がで き た。
○ 着 眼 点 を明 確 に す る ため に , 思 考 の ヒ ント と し て 「読 み 取 り の 技 」を 活用 し たの で ,
場 面の 変 化 に 気付 き な が ら , 心情 を ワ ー ク シ ート に ま と め たり 話 し 合い 活動 を 行っ た り
す るこ と がで きた 。
△ 論 拠 を 明 確に す る た め に ,発 表 の 際 ど の叙 述 か ら 考 え た か発 表 さ せた り学 級 全体 で 考
え たり す るな ど, 練 り上 げ が不 十分 だ った 。
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