概要(PDF)

地域防災計画コース
本コースのねらい
近年災害が頻発している。相次ぐ風水害に加え、新潟県中越地震、福岡県西方沖など被害を伴う地
震も立て続けに発生している。これに対し、現在の地域防災計画の多くは、1995 年1月に発生した
阪神淡路大震災直後に見直しが行われたものであり、その多くは本格的な見直しが行われないまま現
在に至っている。
加えて中央防災会議は、東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震などの大規模地震について相
次いで被害想定を発表し、特にこれらの地震の切迫性が指摘される中、地方自治体では具体的な対策
を示す必要性に迫られている。地域防災計画やアクションプログラムなど、防災に関わる計画の作成、
見直し業務に取り組む自治体は増加しており、今後もこの趨勢は衰えることはないであろう。
他方、地方行政をとりまく環境の変化として、①市民参画の要請、NPO の活動の活発化、企業の
事業継続計画作成の動きなどにみられる防災のステークホルダーの拡大、②財政状況の悪化、NPM
の影響などによる政策評価・事務事業評価の要請、③科学技術・情報技術の進歩による防災情報の高
度化・多様化などをあげることができる。
本コースは、こうした時代要請に対応した地域防災計画の作成をめざすべく、受講者が以下の能力
や考え方を身につけるようになることをねらいとしている。
(1) 【政策体系の構築】単なる事業の羅列ではなく、防災政策として目指すべき方向性(=目
的)が明確であり、それを達成するための手段としての事業の体系(=政策体系)として
の性格を持った計画が作成できること。
(2) 【ステークホルダーとの調整】庁内部局をはじめ関係機関、市民、企業、住民、議会など、
防災に関わる多様なステークホルダーの自発的な取り組みを阻害することなく、計画にお
ける目標達成への協力が得られるよう、あるいは多様な考えが計画目標に反映されるよう、
計画過程における調整が適切になされること。
(3) 【科学技術の活用】計画の目的が効率的、効果的に達成されるために、防災に関わる科学
技術の内容を一定程度理解するとともに、その成果が最大限かつ適切に活用されること。
(4) 【阪神・淡路大震災の教訓の正確な伝承】阪神・淡路大震災の実像を今一度振り返り、よ
り具体的な災害イメージに基づいて計画を作成できるようになること。
なお、本コースにおいて対象となる計画は、災害対策基本法で定められた地域防災計画のみを指す
ものではなく、アクションプログラムや対策大綱など、防災に関わる政策・事業を総合的に扱う計画
すべてを対象とするものである。従って、各部局内で作成されるべき、災害時の参集や具体的作業の
手続き等を定めた、いわゆる「マニュアル」については本コースの対象とはしない。