議事概要 - あいちNPO交流プラザ

平成 26 年度「協働ロードマップ策定事業(現代アートを活かした地域の魅力づくり)」
(第 3 回)議事概要
参加者:別添参加者名簿のとおり
会場 :愛知芸術文化センター内会議室
1
自己紹介(今回が初回となる者)
・名古屋市文化振興室
徳永智明
以前、NPOの仕事に携わっていて、NPOの方々と話す機会があった。対話の必
要性は感じており、今の仕事にも繋がっているので楽しみにしている。
・豊橋市美術博物館
細田樹里(オブザーバーとして参加)
美術博物館で近現代美術担当の学芸員。現代美術の展示経験はそれほどないので、
いろいろ教えていただき、自分の立場で何ができるか考える良い機会にしたい。
(豊橋市では、現代アートに関するものは市文化課と美術博物館との両方に関わって
いるので参加させてもらったと豊橋市種井さんから説明)
2
課題の検証
○課題がなぜ起こっているか
①勘違い
・現代アートへの期待 MAX
・目的の相互依存
②人材がいない
・専門性のあるコーディネーターの存在
③現場がない
・支援機能(窓口)の必要性
戦略・構想がない
↓
成果イメージが共有
できていない。
・育成の場(機会)の提供
④(継続する)仕組みがない
・資金の循環モデルの構築
○戦略・構想がないと
→成果イメージの共有ができない
→資金循環の仕組みが作れない(行政・民間とも投資ができない)
→支援や育成の場が出来ない
→人材の流失・ノウハウが蓄積できない
→戦略・構想ができない、成果イメージがはっきりしない・・・
(以下、堂々巡り)
3
前回の振返り
○解決策1
「まちの戦略構想を作ったらどうか」
・・・横浜市、京都市のように基本条例を作り、実施計画まで落とし込ませる。
・・・現代アートの普及だけでなく、社会課題解決のエンジン(手段)となる。
○解決策2
「資金調達のチャンネルを知って活用する」
・・・①委託、②寄付、③協賛、④民間の自立した事業運営
○解決策3
「情報ポータルサイトの構築」
・・・情報をどう活かしていくか、どう繋いでいくか。
(アーティストやキュレータ
ーの紹介、アーティスト向け不動産情報、制作や発表の場、まちの受け入れ
状況、先進事例の紹介、アーティスト側が地域に還元できることなど)
○解決策4
「新たな職能(コミュニティデザイナー)の配置」
・・・地域とアートを繋ぐ役割を誰が行うか。地域に飛びだすことができる立場。
美術館の新しい機能としてアーティストのコーディネートやまちなか展開の
キュレーションを行う。トリエンナーレ(地域展開含む)を経験した市町に
種を植え付けられればよいのではないか。
4 他地域の先進事例
○アートフロント(民間主導型)
芸術祭のディレクションだけでなく、まちづくりNPO活動の事務局、ギャラリー
運営、アートコーディネート(マンション、オフィスビル、大学等)
○アーツコミッション(官設民営型)
「横浜創造都市センター」のプログラムのひとつ。相談やコーディネーション業務、
助成プログラム、アーティストインレジデンス
○HAPS(東山アーティスツプレイスメントサービス)(官設民営型)
アーティストや支援者の相談窓口、空き家開拓や紹介、情報配信
○アーツ前橋(官設民営型)
美術館構想のなかで基本計画を策定、外に出ていく美術館という位置づけ、展示会、
地域アートプロジェクト、カフェ・ショップ経営
5
解決策のアイデア出し(自由意見)
・まちに出て何をするのかというビジョンがはっきりしていない状態で、専門家でも
なく、ノウハウの蓄積がない美術館員が地域に飛び出していくのは難しい。
・まちが衰退している理由としては、
「公の毀損」というか自分のもの(場所)以外を
自分のものだと思わなくなっており、まちなかに親しみを感じなくなっているから
ではないか。
・既にいろいろな分野でまち起こしがされているが手詰まり感はある。そのなかで、
アートは、受動的に入ってくる音楽や演劇と違い能動的に感じるものであるため、
自分の住むまちにアートが挿入されることにより、自分の場所(まち)だという気
づきが起きることになる。そのあたりに現代アートの可能性を感じる。
・もともと美術作品(現代アート)は、社会を意識した「気づき」などを作家がどう
作品に落とし込んでいくかというものである。作品が直接、地域の潤いに直結する
というより、心の豊かさを持ってくるものであり、それに伴い、人が足を運び、お
金を落としていくということに繋がっていくのではないか。
・
「現代アート」がまちにあることにより、商売のきっかけであったり、足を止めるき
っかけとなっていけばよい。それによって知らないことに気づいたりする。
・「驚き」や「違和感」、
「問題提供」や「心の豊かさ」などを発見するきっかけを与え
るのは、アートが合っている気がする。
・アートは人生観を変えるくらいの力を持っているので、まちに住む人の意識を変え
ることもできるのではないか。そして、まちの魅力づくりにアートを活用すること
で、アートに関わる人たちが生活できるようになれば、ひとつの成功例になる。
・現代アートは一般的にはよくわからないというイメージがあるなかで、地域を巻き
込んだり、人を呼び込むには「接点」を作ることではないか。それには「一緒に手
を動かすこと(アクション)」と「消費(売買)すること」が重要。
・アートが外に出ていく必要があるのかというと必ずしもそうではない。折り合いが
うまく行かないまま外に出て、逆に良い評価を得られないこともなる。
・現代アートを自分の生活にどう取り入るのか、どこで買えるのか、どのくらいの値
段なのかなどは、一般のギャラリーに足を運ばない人にはわからない。
・大阪では三越伊勢丹(現在は阪急うめだ本店)に「DMO
アーツ」というFM8
02のアートギャラリーがあり、1万円以内で買える作品やグッズなどを販売して
いる場がある。
・名古屋市内でも東別院の朝市などには多様な人が集まり、本職ではない主婦などが
クッキー等を商品として販売している(消費がある)。アーティストも現場に出てき
て作品を売ったりする場があると、資金フレームと言わないまでも、自分の生活が
豊かになり、現代アートの普及にも繋がっていくのではないか。
・トリエンナーレにも地元の作家が出品できる場があって、それが評価指標などにな
れば目標にもなり、それも場になるのではないか。
・戦略構想がないので、県がトリエンナーレを打ち上げ花火的にやっているのに対し
て、その後に市町村も民間側もそれを受け止める準備もできていないのではないか。
・ビジョンを作るにも、何をやって、誰がやってというものをきちんと作らなくては
ならない。
・行政主導で戦略構想を作る場合、誰が立案していくものなのか。一職員の熱意でで
きるものなのか、もっと上のレベルでの判断になるのか。
・県では「地域の魅力づくり」は使命のひとつなので、そのための方法としてのトリ
エンナーレであるが、トリエンナーレがないときに何もしないというわけではない。
・トリエンナーレの開催目的のひとつである「地域の魅力づくり」は、愛知県全体を
対象に考えており、具体的に個々の市町村の活性化やまち起こしというところまで
はやっていない。
・名古屋市でも「都市魅力の向上」は施策の柱であるが、文化よりも福祉などの方に
お金は回ってしまう。
「まちづくり」に文化の力を活かせないかと考える必要がある。
また、どの世代をターゲットにするのかということも、お金の使い道を考えたとき
は重要である。
・トリエンナーレがきっかけになり、トリエンナーレ後も後押しもするが、行政がど
こまでできるかという問題もあり、持続させるためにはやはり「地域発」と考える。
・文化は民から湧き出るもの。それを行政側が支援していく。
・豊橋市では昨年、駅前にプラットを建設し、文化ゾーンとしてやっていこうとして
いる。文化が直接何かに繋がるのではなく、いろいろな分野と連携して文化の力を
活かしてやっていけばよい。
・いろいろな地域課題解決の動きの中で、それぞれ専門性高い活動があり先進事例な
どは共有されてはいるが、分野を跨ぐことはないので限界がある。アーティストは
広い視点で客観的にまちを捉える事ができて、自分なりの解釈で問題提起したり違
和感を感じさせたりできる。それが現代アートとも言える。
・しかし、やたらめったら地域に出て、何でもかんでも「文化がまちを変える」と言
っていると失敗例が出てくるので丁寧にやらないといけない。
・まちの中でやらなくても良いものもたくさんあるので、誰に相談して、どんなアー
ティストを呼んだらいいのか、また、他分野の人と連携したいのであれば、そこの
部署や NPO の人たちを説得できるようにしないといけない。
・横浜のアーツコミッションはトップダウンによるところが大きく、京都のHAPS
は市の空き家対策部署と連動し、地域課題から動いてきた先進事例である。
・名古屋市は他都市に比べるとホールを含めた文化施設の数が多い。長いスパンで見
た場合、どういう政策を取るのが良いのかというのは難しい。
・金沢21世紀美術館がまちづくりとアートを結びつけるというコンセプトで始まり
成功例となっているように、美術館の役割が作品の所蔵等から「まちなか」となっ
てきている。県及び県内の市町村でもそういう動きになっていくか。そのきっかけ
がトリエンナーレではないか。
・まちづくりに現代アートを活かそうとするならば、中長期的な計画にビジョンを落
としこんだものを市町村が考えていくようになると良い。
・トリエンナーレのときに、ノウハウを持った人間が一時的に集まるが、終わると散
って行ってしまうため、ノウハウが蓄積されない。
・プラットホームとして、ポータルサイト化するなどで情報を蓄積するものを作れれ
ば良い。
・別府では住んでいるアーティスト情報等のサイトをアーティスト自身が立ち上げて
いる。ただし、サイトでの情報だけでは難しく、キュレーターがいないとアーティ
ストとのミスマッチも出てきてしまう。
・ポータルサイトとコミュニティーデザイナーはセットで考えたほうがよいか。
・今年、トリエンナーレ地域展開事業を豊川市でやっているが、美術館の学芸員が参
加作家の半分をキュレーションしたほか、地元の団体、金融機関、近隣自治体との
連携などに中心となって動いている。県ではなく、地元自治体でないとできない。
・地元の学芸員がキュレーター的でもあり、コーディネーター的でもある。展覧会も
やり、まちなか展開も責任を持ってやっている。
・地域展開事業で、まちなかでの展開を義務付けてやるのは良いことだが、お金が県
から出ているということもある。初めは現代アートといってもピンと来なくても、
チラシが出来て、動きが見えてくると地元の団体、企業等が協賛やオープニングで
の屋台出店など何をしたらよいのかと動き始めた。きっかけづくりにはなっている。
・枠(地域展開事業など)が出来て、そこに地元(学芸員や地域)の人が関わってい
き、ノウハウを引き継いでいくという良い事業イメージだと思う。
・ポータルサイトだけでは(金銭的に)運営できないが、ポータルサイトがあること
でいろいろな展開が生まれてくる可能性はある。
・ビジョンを作ることも大事だが、熱い思いを持っている人が集まらないと継続でき
ない。
・アーティストのなかでキュレーター的な活動ができる人はいれば良いのか。
・トリエンナーレでも、終了後、伏見に拠点を構えて、若手作家や海外作家の展示な
どをして運営し続けている作家もいる。(家賃等の負担がないこともある)
・トリエンナーレも文化を支える活動の一部になっていけばよい。
・アートはコンビニでは買えないが、絵葉書やグッズなどなら販売はできる。
・新しいことに立ち会いたい人も多い。そういう人を募ってお金を集める。
・森美術館でも、ファンドを立ち上げたという例もある。
・アーティストは物を提供できるので、そういう場ができないことはない。
・ポータルサイトやコミュニティーデザイナーなどの枠組みができると、マッチング
などが進むかもしれない。
・ニーズとシーズのマッチングができる人がいるか。そして、それでお金は取れるか。
・岡崎でも来年度、トリ2013のスタッフに来てもらい、まちづくりNPOとキュ
レーターで組んで事業をやっていく予定である。
・県内の芸術系大学が連携してポータルサイトを作ろうと思うと、学生に任せるのは
教育の場にもなるため良いのだが、指導する教員も必要となるし、どこに到達目標
を置くか。
・一自治体だけでポータルサイトを作ろうと思っても、ニーズも少ないので予算化さ
れにくい。県が県全域をシェアできるものを作るか民間が作ったほうが良いのか。
・昨年、廃止された文化情報センターに文化に関する情報を集めて提供するという機
能もあったが、その当時は需要を掘り起こすまではできなかった。今なら、その機
能を活かせたのかもしれない。
・県美術館では学芸員がまちに出ていく枠組みがないため、まちづくりNPOに対し
て情報を提供することはできない。
・美術館の在り方をアートセンター的な役割を持ったものに変えていかないといいけ
ない。公立美術館もコレクションを持った美術館から人が集まりやすい場所にシフ
トし始めているので、まちづくりとのリンクもしやすくなりアートコミュニティも
できるのではないか。
・過去にあったセンターを再度、復活すること一筋縄ではいかないが、できれば民間
を巻き込んだ機能これから検討していくことができるのではないか。
・そういうセンターがあれば、美術館にあるよりホールや劇場、図書館などとも連携
できる可能性はある。
・自治体や民間が戦略構想などを持って、そういう役割を持ったセンターの必要性を
県に訴えていくということも必要である。
・市民のニーズ、声(要望)で行政は動くので、始まり方しては、民間の動きは必要
である。
・港区でも区だけでなく、市民全体には還元できるようなプログラムを組むというビ
ジョンを持っている。
・熱意がある人間が、そのときに役所側にもいるかということもある。
・行政の予算を取ってくるのは地元のNPOだが、予算は取ったけど現代アートを活
かした地域展開のノウハウがないことが多い。組む相手がどんなアーティストが重
要だが、そのアーティストの特性や予算などもわからずリスクも高くなってしまう
ので、そういう組み合わせを考えて相談できるキュレーター的な立場の人がいるの
が望ましい。
・行政内部でも、NPOというものが理解されるのに10年近くかかった。現代アー
トも今は理解されにくい面もあるが、丁寧に説明を続けていくしかない。あとは熱
い思いを持った人がいれば、他のものと繋がっていく可能性がある。
・上が決めるということも当然あるが、ソフト系の事業は下にいる思いを持った職員
が政策形成していることもある。
・地域で抱えている問題はそれぞれ違うので、地域の課題や状況により呼ぶアーティ
ストも当然変わってくる。やみくもにアートを入れるのではなく、アートを呼び込
んだ後どうしていくかというビジョンなどを地域がしっかり考えないといけない。
・アーティストは地域課題や社会課題の解決ありきではないが、やりたいと思ってい
るアーティストがいるのであれば、それをどのように支援できるか。その環境づく
りとしてポータルサイトや行政サイドで支援できる窓口などがあればよい。
・作品制作が必須ではなく、アーティストの視点や社会に対する目線を活用できるよ
うになればよい。テーマを示せば、思いを持ったアーティストは集まってくる。
・建築などは建築士会など職能団体という窓口があり、そこで情報が整理される。県
又は自治体にアーティスト登録などのポータルサイトがあれば、行政が行う事業な
どに対してアーティスト目線で意見を述べるなど、一定の役割があるかもしれない。
そうなれば、生活の中にアート的な感覚やアーティスト目線が活かされる。
・自治体でもハード系の部局から、イベントでの文化系の団体を紹介して欲しいとい
う話もでてきている。
・ポータルサイトを立ち上げても、どのようなタイミングでどういう人が見るかを考
えないといけない。実施事例や地域貢献などを整理しておかないと活用されにくい。
・
「こういう魅力的なことができますよ」というようなモデルを提案していくことによ
り、次に繋がっていく。マネジメントをしっかりしていかないと難しい。
・HAPSやバンカートのような成功例だけでなく、地域で受け入れなかったような
失敗例も知っておく必要。
・アートをまちに浸透させることよりも、人に浸透させていくことも必要。
・子どもを連れて美術の場に出にくい点もあるので、ワークショップなどがあると良
い。普及教育という点では、公開講座などで大学が出来ることもある。
・共同作業をすること、触れることができるということに意義があるのではないか。
・共同で何を作り出すということに興味がある人も多い。トリエンナーレでもボラン
ティアの参加者が多い。共同作業からの教育というものある。
・売買による収益など算数で計算できる事業が成功している例が多い。
・仮にDIYをシルバー人材センターではなくアート的に作家等がやるとすると、そ
れはモノを作るのが最終目標なのではなく、どういう風に人の創造性を引き出せる
かというのがメインとなる。その過程が大事であり、創造力や発想力など人の可能
性を引き出す力があるのではないか。
・美術館の展示スペースを一緒に作ることで、普段、美術館に行かない層の人が訪れ
るようになる。
・行政だけではやれることに限界があり、いろいろなところと繋がりを持ってやって
いくしかない。
・行政職員の熱い思いも必要ではあるが、それだけでは予算化はできない。事業化す
るには、やることによって何にどう繋がっていくか、どのような効果があるのか等
の説明が必要となる。
・行政と大学、NPOなどが連携している事例などが一挙に見ることのできるポータ
ルサイトがあれば情報を共有でき、行政とNPOとも有益になる。
・
「とよたデカスプロジェクト」は豊田市がやっている事業で、公募で集めて団体に助
成している。美術館だけでなく、もっと地域に根差した事業をやろうという熱い思
いの持った職員が牽引している。
6
今後の予定
最終回(5回目)について協議。
NPO代表者であり、東京都のアートポイント計画にも関わっている港芸術監督に本
事業の概要を説明したところ、2月19日(木)、20日(金)であれば、公開セッショ
ンに参加可能。
→参加者の予定を確認した結果、2月19日夕方、あいちNPO交流プラザで開催
次回(4回目)は1月19日(月)午後 1 時 30 分から愛知芸術文化センターで開催。