経済月報 No.476 掲載分 平成 26 年 12 月 ●釜山支店℡010-82-51-462-3281 ●青島支店℡010-86-532-85766222 ●大連支店℡010-86-411-83705288 ●香港駐在員事務所℡010-852-2521-7194 【釜山支店】 「韓国光陽湾圏経済自由区域の概要について」 1.はじめに 韓国では外国人投資促進法に基づき、 2002 年 12 月に「経済自由区域の指定及び運営に関 する法律」を制定し、外国人投資を奨励するために様々なインセンティブ制度を運営しています。 一定の条件を満たした外国人投資家に対しては法人税、所得税、関税などの国税はもちろん、取得 税、登録税、財産税などの地方税を一定期間減免しています。2014 年 9 月末現在、8 つの経済自由区 域が指定されており、外国投資企業の誘致を奨励しています。 今回は釜山港から西に 140 km 離れた韓国南海岸の中心部に位置し、釜山と同様に重要な 役割を担う存在になると見込まれる光陽湾圏経済自由区域についてご紹介します。 2.光陽湾圏経済自由区域の概要 (1)概略 光陽湾圏経済自由区域は 2003 年 10 月、500 万 TEU*/年程度取り扱う国際的な光陽港を中 心に全羅南道の麗水市、順天市、光陽市と慶尚南道の河東郡地域の 2 千 6 百万坪を経済特 区として指定されました。現在、2020 年までに 18 兆 9 千億ウォン(2 兆円)を投じ、国際 物流の生産拠点の育成、生産基盤の高度化と新産業の育成を目標に開発を進めています。 *TEU=輸送量を示す単位(1TEU が 20 フィートコンテナ 1 つ分) (2)5 つの地区の特徴 光陽湾圏経済自由区域は 5 つの地区、20 の団地を対象に、2020 年まで段階別に開発を進 めていますが、開発シナジー効果が最大限得られるように各地区別に特化した開発を推進 しています。5 つの地区の概要は下記の表の通りです。 1 ≪各地区の概要≫ 区分 規模 開発目的 光陽地区 13.64 物流 港湾、製鉄、非 鉄金属の物流機 能の誘致 新徳地区 14.10 支援 住居、教育、レ 硫化、鉄鋼関連 ジャー機能の供 産業の誘致 給 - 教育施設、住 - 光陽港の開発 - 産業団地の開 居団地開発 - 港湾背後敷地 発、コンテナ埠 - ゴルフ場など - 流通基地など 頭の開発 レジャー施設開 の開発 発 - コンテナ埠頭 - 新垈背後団地 (光陽) - 海龍産業団地 - コンテナ埠頭 - 栗村Ⅰ産団 - セプン一般産 背後地 - 栗村Ⅱ産団 業団地 - ポスコターミ - 栗村Ⅲ産団 - 龍江背後団地 ナル流通基地 - 栗村港湾敷地 - 新垈・徳礼背 - ソンファン背 後団地 後団地 誘致業種 主要施設 団地 栗村地区 27.81 生産 華陽地区 9.99 観光・リゾート 観光・リゾー ト・スポーツな どの機能の誘致 河東地区 12.17 生産・支援 生産・住居など の複合機能の誘 致 - ゴルフ、海洋 スポーツ - コンドミニア ム、ホテルなど - 産業団地開発 - 住居・レ ジャー施設など の開発 - 華陽団地 - 葛四灣造船産 業団地 - 徳川背後団地 - 頭牛背後団地 - 大松産業団地 3.投資インセンティブ 光陽湾圏経済自由区域の中には、光陽港コンテナ埠頭背後団地や栗村地区の一部が自由 貿易地域として指定されており、経済自由区域と自由貿易区域が混在しています。それぞれ の投資インセンティブは次の通りとなっています。 ≪税制支援≫ 区分 経済 自由区域 租税種類 減免期間及び減免率 関税 個別消費税 資本財免除 付加価値税 国税 法人税 所得税 地方税 自由 貿易区域 国税 地方税 取得税 財産税 関税 法人税 所得税 取得税 財産税 減免条件(投資額) 5年以内に関税法による輸入申告が完了すること 製造業・観光業:1千万ドル以上/R&D:1百万ドル以上 物流・医療業:5百万ドル以上/開発業者:3千万ドル以上 製造業:3千万ドル以上/物流業:1千万ドル以上 7年型 5年間100%、続く2年間50% 観光業:2千万ドル以上/R&D:2百万ドル以上 製造業・観光業:1千万ドル以上/R&D:1百万ドル以上 15年間100% 物流・医療業:5百万ドル以上/開発業者:3千万ドル以上 免除 非関税地域(例外あり) 5年型 3年間100%、続く2年間50% 3年間100%、続く2年間50% 15年間100% 製造業:1千万ドル以上 物流業:5百万ドル以上 *上記の内容は外国人投資比率及び減免対象、課税機関の解釈により減免期間および減免率の適用が異なることがあります。 4.おわりに 光陽湾圏には POSCO 光陽製鉄所(2013 年売上 15 兆 6 千億ウォン(1 兆 6 千億円))と麗 水国家石油化学団地(2013 年売上高 98 兆ウォン(10 兆 1 千億円) )があるため、これら企 業と連携した部品や素材企業に必要な産業インフラが整っており、素材企業を中心として 光陽経済自由区域を拠点として活動する日系企業がたくさんあります。 また光陽湾圏は鉄鋼、石油化学などを中心として韓国総 GDP の面でも大きく貢献してお り、韓国内で重要な役割を担っています。今後も光陽経済自由区域は積極的に投資誘致を 行っていく方針で、当該地区の発展及び日系企業の動向に大注目です。 2 【ご参考】 換算相場 100 ウォン=10.39 円 1 ドル=109.34 円 【参考資料】 1.光陽湾圏経済自由区域庁(ホームページ) 2.光陽湾圏経済自由区域庁(パンフレット) 3.ジェトロ資料 以 上 3
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