テーマ 知識を確実に習得させるための体育理論の発問・活動の工夫について ○テーマ設定の理由 平成 21 年 3 月に改訂した高等学校学習指導要領では、保健体育において生涯にわたる豊かなス ポーツライフの実現に向けて、小学校から高等学校までの 12 年間を見通して、発達の段階のまと まりを踏まえた系統性のある改善が図られた。そして、体力の向上及び知識の学習を一層重視する 視点から「体育理論」の指導内容を明確にするとともに、指導内容の定着がより一層図られるよう 「各年次6単位時間以上」と授業時数が規定された。学習内容も各年次で「(1)スポーツの歴史、 文化的特性や現代のスポーツの特徴」「(2)運動やスポーツの効果的な学習の仕方」「(3)豊かなス ポーツライフの設計の仕方」と示され、これまでのように単位時間の一部の時間を使って「体育理 論」を履修することはなくなった。 さらに今回の改定では全ての教科に対して「言語活動の充実」を求めており、例えば「保健」に おいては、『健康に関する資料等で調べたことを基に話し合い,個人や社会生活における健康・ 安全に関する課題を把握したり,解決の方法を整理したりするなどの学習活動を充実する。また, 健康に関わる概念や原則を基に,自分たちの生活や事例と比較したり,分類したり,分析したこ とについて,筋道を立てて説明するなどの学習活動を充実する』と示された。 そこで今回の研究では、「体育理論」と同質の授業形態である「保健」における「言語活動の充 実」の説明文(前述)を参考にしながら、あらかじめ単位時間ごとに参考となる「発問・活動」を 10 問ずつ作成し、それに対する「回答・成果」と「言語活動の手法」を列挙することにした。「言 語活動の充実」のためには様々な手法があるが、今回の研究では以下に示した 6 種類の手法を使用 することとし、具体的方法も記載した。また例として、別紙表中の「〇」は「適している手法」、 「◎」は「非常に適している手法」を表しており、指導者が容易に選択できるようにしてある。 ●【発言】⇒自分の知っている知識を発言したり、自分の考えをまとめて説得力ある説明をする。 ●【意見交換】⇒帰納・類推,演繹などの推論を用いて、座席の周りの友人と話し合うなど意見 を述べ合う。 ●【書き出し】⇒知っている知識や考えた結果などをノートやプリントに書き出す。 ●【調べ学習】⇒教科書、ノート、ICT、新聞、読み物、統計その他の資料を活用し、根拠に 基づいて考えをまとめたり、報告書を作成する。 ●【討論】⇒ある主題について、クラス内やグループ内で異なる立場に分かれ議論する。 ●【付箋】⇒グループ内で付箋などを使用して、1 つのテーマに対し互いに意見を出し合う。 指導者が「発問・活動」を工夫することにより、生徒の「学習活動」や「コミュニケーション」 が活発になり、運動やスポーツを深く探究する態度が育成される。そのためには、各項目の学習内 容を生徒自らが深めようとする発問の仕方や身近な話題の提供、あるいは生徒自らが運動やスポー ツの体験を意識し、発言しようとする具体的な場面設定が非常に重要である。
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