数学I・数学IA

最終 12月センター試験本番レベル模試[数学Ⅰ・A、数学Ⅰ]講評
数学Ⅰ・A、数学Ⅰ
本番に向けて最後まで解ききる訓練を行おう。
Ⅰ.全体講評
0
最終 12 月センター試験本番レベル模試も終わり,
いよいよ本番のセンター試験を迎える。今回も含め
て,これまで受験してきた模試は,あくまでも本番
で良い結果を出すための練習にすぎない。結果に一
喜一憂するのではなく,冷静に,これから本番当日
数学Ⅰ・A 大問別得点率(%)
20
40
60
80
100
第 1 問〔1〕
51.3
77.5
第 1 問〔2〕
第2問
54.0
第3問
76.2
までどのようにコンディションを整えるのか,以下
第4問
55.7
の大問別分析や学習アドバイスを参考にして対策を
第5問
56.1
立ててほしい。
第6問
50.1
今回の平均点は数学Ⅰ・A が 60.4 点,数学Ⅰが
50.9 点であった。センター試験本番レベル模試,全
国統一高校生テストの全 6 回をしっかりと復習し
て,万全の態勢で試験を迎えよう。具体的な対策と
して,例えば,知識があやふやな単元の過去問だけ
を 10 年分徹底的にやり抜いてみたり,時間を計測
Ⅱ.大問別分析
数学Ⅰ・A
して過去問演習を行ったり,自分の弱点に応じて直
第 1 問〔1〕 数と式(10 点)
前の対策をたてよう。今回は,数学Ⅰ・A のみ得
点分布グラフと大問別得点率を紹介した。数学Ⅰ受
絶対値を含む方程式,不等式の解法を最終確
認しておこう。
験者は後半にある大問毎の講評を参考にしてほし
絶対値を含む不等式の解,および絶対値を含む不
い。
等式間の必要条件・十分条件の判定を行う問題であ
る。平均点は 5.1 点(得点率 51.3%)であった。
得点分布 数学Ⅰ・A
30
⑴は,2 次不等式の解を求める問題。わざわざ展
開しないように,式の形を見て変形できるようにし
平均 60.4%
25
ておこう。
受
験 20
者
数
の 15
割
合
10
(%)
⑵は,不等式と同値な条件を選択する問題であ
る。絶対値記号を含む項全体が 0 以上となるので,
0 とならない条件が求める条件である。なお,x が
実数というような条件は問題文でさらっと書いてあ
5
0
るが,問題全体に関わる部分なので見落とさないよ
10
20
30
40
50
60
得点率(%)
70
80
90
100
うにすること。
⑶は,必要条件・十分条件の判定を行う問題。設
問オは,⑴で解いた不等式がヒントとなっている。
センター試験では,前の設問が利用できることも多
いので,このことを意識してセンター試験当日まで
問題演習を重ねよう。
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最終 12月センター試験本番レベル模試[数学Ⅰ・A、数学Ⅰ]講評
第 1 問〔2〕 データの分析(10 点)
番までグラフを描いて考えることを実践し続けよ
適切な図を選ぶポイントを押さえておこう。
う。
データの代表値の計算,およびデータに対応する
箱ひげ図,散布図などの図を選ぶことがテーマの問
第 3 問 図形と計量(20 点)
題である。平均点は 7.8 点(得点率 77.5%)であっ
た。
正弦定理と余弦定理の使い分けについて最終
確認しておこう。
⑴は,中央値,平均値,分散などの代表値を求め
正弦定理,余弦定理の使い分けと三角形の面積,
る問題。中央値はデータの個数が偶数か奇数かで異
内接円の半径などがテーマの問題である。平均点は
なるので,定義を正確に理解しておくこと。その他
15.3 点(得点率 76.2%)であった。
の代表値についても定義から計算できるように最終
⑴は,余弦定理を用いて角の大きさを求める問
確認しておこう。
題,および三角形の面積,内接円の半径を求める問
⑵は,データに対応する箱ひげ図を選択する問題
題。いずれも基本問題であるから,間違えた問題が
である。本問では,第 1 四分位数,中央値,第 3 四
ある場合には大至急確認しておくこと。
分位数の値から正しい図が判断できる。箱ひげ図の
⑵設問シ,スは,余弦定理を用いて辺の長さを求
箱,線(ひげ)がそれぞれ何を意味するか正確に覚
める問題。分かっているのは,2 辺の長さとその間
え,自分で描けるくらいまで理解を深めておこう。
にはさまれない角の情報(余弦)であるが,一般に
⑶は,データに対応する散布図を選ぶ問題,およ
この条件では三角形は一意に決まらないので,長さ
び相関係数を求める問題。両方の得点の組を同時に
を求めた後の解の吟味が必要となる。本問では,正
見ることが難しい場合には,一方の得点で見て誤っ
と負の解が出るので,正の解が求める長さと判断で
ているものを消去していくと良い。設問タは,相関
きるが,問題によっては両方正の解(鋭角三角形と
係数の値を選ぶ問題。解答解説の本解では,相関の
鈍角三角形)で出る場合もあるので,この点をしっ
強さから相関係数の値を選んでいるが,(注)で示
かりと確認しておこう。設問ソ~チは,正接の比の
したように,計算によって求めることもできる。や
値を求める問題で,2 つの正接の値に現れる共通の
や煩雑な計算であるが,計算方法についても確認し
辺の長さを見出せたか,すなわち,正接の定義に
ておこう。
従って考えられたかがポイントである。この点が把
4
4
4
4
4
4
4
握できれば,2 つの内接円の半径の比に置き換える
第 2 問 2 次関数(20 点)
発想については容易であろう。定義に戻って考える
グラフを描いて考えることを実践し続けよ
う。
設問は,センター試験においてもよく出題されるの
で,この点を念頭に置いて問題演習に取り組もう。
前半は 2 次関数のグラフと x 軸の交点に関する
問題,後半は 2 次関数のグラフの移動と最大・最小
第 4 問 場合の数と確率(20 点)
に 関 す る 問 題 で あ る。 平 均 点 は 10.8 点( 得 点 率
問題文の設定を読み取る練習を続けよう。
54.0%)であった。
3 個のサイコロを同時に投げるときの目に関する
⑴設問コ~スは,2 次関数のグラフと x 軸の交点
場合の数,および玉の番号とサイコロの目から定ま
間の距離が与えられたときの係数を求める問題。解
る得点に関する確率の問題である。平均点は 11.2
答解説では,交点の座標を実際に求めてから a の値
点(得点率 55.7%)であった。
を求めたが,数学Ⅱの 2 次方程式の解と係数の関係
⑴ A,B,C 3 個のサイコロを同時に投げるとき
を利用して計算することもできる。
の目の出方に関する場合の数の問題。3 個の目の組
⑵設問セ~ツは,平行移動した 2 次関数がある変
み合わせを書き出し,サイコロの区別を考えること
域で与えられた最大値,最小値をとる条件を求める
で場合の数を求めればよい。
問題である。2 次関数の最大・最小は,グラフの軸
⑵は,袋から取り出した玉の番号とサイコロの目
の位置に着目して別々に考えると確実に正答を得る
の種類の数が一致するときのみ得点がある確率の問
ことができる。区間に対する軸の位置,グラフの対
題である。設問サ~セ,設問ソ~テは,それぞれの
称性を意識して解答できるように,センター試験本
得点となる袋から取り出した玉の番号,サイコロの
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最終 12月センター試験本番レベル模試[数学Ⅰ・A、数学Ⅰ]講評
目の種類,サイコロの目の最大値,で起こり得る状
抜く練習はセンター試験本番までしっかりと行お
況を読み取って,すべての場合を考えられるかがポ
う。
イントである。問題文の設定を読み取る練習はセン
⑵は,メネラウスの定理を利用して長さを求める
ター試験本番までしっかりと続けていこう。
問題であるが,適切な平面を取り出すことができる
かが最初の関門である。空間図形では,空間図形の
第 5 問 整数の性質(20 点)
ままで考えるのではなく,平面に落とし込んで議論
数の決定における「互いに素」の理解を深め
よう。
を行うことが多い。空間図形を扱う際には,平面を
三つの自然数のうちの二つの数の和や最小公倍数
組むようにしよう。
取り出して議論することを意識して問題演習に取り
が与えられたときの三つの自然数の組の決定,およ
び自然数の末尾の 0 の個数がテーマの問題である。
平均点は 11.2 点(得点率 56.1%)であった。
数学Ⅰ
⑴は,与えられた数の素因数分解を行う問題。各
第 1 問 数と式(25 点)
数を小さな素因数から順に割っていくことで,正確
に素因数分解できるようにしておくこと。
絶対値を含む方程式,不等式の解法を最終確
認しておこう。
⑵は,三つの自然数のうちの二つの数の和や最小
[1]は,式の計算,および実数が有理数となる条
公倍数から,最大公約数と最小公倍数の関係や互い
件に関する問題,
[2]は,絶対値を含む不等式の
に素などの性質を利用して三つの自然数の組を決定
解,および絶対値を含む不等式間の必要条件・十分
していく問題である。設問サ~スでは,「a,b は互
条件の判定を行う問題である。平均点は 14.3 点(得
いに素
点率 57.2%)であった。
a+b,ab は互いに素」を用いて最大公
約数を決定する。「互いに素」は数の決定において
[1]⑴,⑵は,式変形を利用して式の値を求める
頻繁に用いるものであるから,必ず押さえておくこ
問題。いずれも 2 乗の形から式の値を求めるが,符
と。
号に注意して計算すること。
⑶は,数の積を素因数分解した形から,その数の
⑶は,実数が有理数となる条件を求める問題であ
末尾の 0 の個数を考察する問題で,2 と 5 の組み合
る。解答解説のアドバイスにも載せたが,実数が有
わせが 1 組できるごとに 0 が 1 個現れることが理解
理数となる条件と合わせ,無理数の相等についても
できているかがポイント。素因数分解した数の形か
理解しておこう。
ら考察できることについては,整理して理解してお
[2]⑴は,2 次不等式の解を求める問題。わざわ
こう。
ざ展開しないように,式の形を見て変形できるよう
にしておこう。
第 6 問 図形の性質(20 点)
⑵は,不等式と同値な条件を選択する問題であ
空間図形を扱うときは,平面に落とし込んで
議論を展開することを意識しよう。
る。絶対値記号を含む項全体が 0 以上となるので,
四面体における三平方の定理や三角形の相似の利
実数というような条件は問題文でさらっと書いてあ
用,およびメネラウスの定理の適用に関する問題で
るが,問題全体に関わる部分なので見落とさないよ
ある。平均点は 10.0 点(得点率 50.1%)であった。
うにすること。
⑴設問アおよび設問イ,ウは,三角形が二等辺三
⑶は,必要条件・十分条件の判定を行う問題。設
角形であることを利用して三平方の定理を適用する
問タは,⑴で解いた不等式がヒントとなっている。
問題。本問は空間図形の問題であるが,適切な平面
センター試験では,前の設問が利用できることも多
で考えられるかがポイントである。設問シ,および
いので,このことを意識してセンター試験当日まで
設問スでは,相似な 2 組の三角形の辺の長さの対応
問題演習を重ねよう。
0 とならない条件が求める条件である。なお,x が
から長さを求める。図形と計量,図形の性質の分野
では相似な三角形の組を見つけられるかがポイント
第 2 問 2 次関数(25 点)
となることも多いので,図を描いて図形の性質を見
数学Ⅰ・A 第 2 問と共通
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最終 12月センター試験本番レベル模試[数学Ⅰ・A、数学Ⅰ]講評
第 3 問 図形と計量(30 点)
⑷は,データに変更を施したときの分散,相関係
正弦定理,余弦定理を正確に使い分けられる
ようになろう。
数の値の変化を調べる問題。変更前と変更後の分散
三角錐の側面の三角形における正弦定理・余弦定
ことができる。ここでも定義は必要となるので,用
理の適用,および展開図を利用して線分の長さの和
語の定義について最終確認をしっかりと行おう。
や相関係数を表すことでどのように変わるかを見る
の 2 乗の最小値を考える問題である。平均点は 15.1
点(得点率 50.3%)であった。
設問アは,正弦定理を用いて角の大きさを求める
Ⅲ.学習アドバイス
問題。sin∠AOB の値からは,∠AOB の値が 2 つ
◆本番に向けて基本の最終チェックを
求まるが,∠AOB が鋭角という条件から一意に定
基礎的な問題で点を落としてしまった人は,その
めることができる。設問キ~タは,誘導に従って方
出来なかった項目についてだけでも早急に固めてお
程式を導き,それを解いて辺の長さを求める問題で
くこと。この時期は焦って大学入試の対策にばかり
ある。正弦定理・余弦定理や三角形の面積などの基
目が行きがちになるが,そのままでは志望校対策に
本事項は正確に使えるようにしておくこと。設問
力を入れても効果は薄い。穴が発見されたら,その
ト~ネは,線分の長さの和の 2 乗の最小値を求める
場で復習をしていくようにしよう。
問題。展開図上で最小になる状況が考えられれば,
余弦定理を用いるという解答の方針は明快であろ
◆傾向の変化に注意
う。空間図形上の複数の面を通る線分を考えるとき
問題構成が変わることは十分考えられる。試験本
に展開図が有効であることも本問を通じて理解して
番では,必ず問題冊子表紙の注意事項をよく読も
おこう。
う。また,見慣れない構成で出題されたとしても決
して慌ててはならない。条件は皆同じだからだ。そ
第 4 問 データの分析(20 点)
して,数学Ⅰ・A を選択する人は,間違って数学Ⅰ
適切な図を選ぶポイントを押さえておこう。
を解かないようにくれぐれも気をつけよう。
データの代表値の計算,およびデータに対応する
箱ひげ図,散布図などの図を選ぶことがテーマの問
◆マークミス・計算ミスに注意
題である。平均点は 11.4 点(得点率 56.8%)であっ
数学は他教科に比べるとマークミスを犯す危険が
た。
高い。対策としては,試験本番までマークシートを
⑴は,中央値,平均値,分散などの代表値を求め
使って過去問演習をしておく,大問毎に塗ったマー
る問題。中央値はデータの個数が偶数か奇数かで異
ク箇所の数が問題数と合っていることを確認するな
なるので,定義を正確に理解しておくこと。
どが挙げられる。また,数学では,計算ミスが命取
⑵は,データに対応する箱ひげ図を選択する問題
となることが多い。問題の前半部分でミスをする
である。本問では,第 1 四分位数,中央値,第 3 四
と,後半まで影響する問題が多いので,前半の設問
分位数の値から正しい図が判断できる。箱ひげ図の
では答えが出たら必ず確認し,後半に影響を及ぼさ
箱,線(ひげ)がそれぞれ何を意味するか正確に覚
ないようにしたい。
え,自分で描けるくらいまで理解を深めておこう。
以上,センター試験本番において,持っている実
⑶は,データに対応する散布図を選ぶ問題,およ
力を最大限に発揮するために気をつけておくべきこ
び相関係数を求める問題。両方の得点の組を同時に
とについて簡単にまとめた。本番に向けて万全の態
見ることが難しい場合には,一方の得点で見て誤っ
勢を整えて頑張ってほしい。
ているものを消去していくと良い。設問サは,相関
係数の値を選ぶ問題。解答解説の本解では,相関の
強さから相関係数の値を選んでいるが,(注)で示
したように,計算によって求めることもできる。や
や煩雑な計算であるが,計算方法についても確認し
ておこう。
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