2016年度入試直前動向③~東京大後期日程廃止の影響~ - Kei-Net

2016年度入試動向
2016年度入試直前動向③~東京大後期日程廃止の影響~
2015/12/24
今号では、河合塾が実施した全統マーク模試の結果を踏まえながら、東京大が後期日程を廃止することによ
り他大学の後期日程志望動向にどのような影響を及ぼすかについてお伝えする。
■東京大前期日程志望者の後期併願校の変化
東京大は教育改革の一環として、2016 年度入試より推薦入試
を導入、これに伴い後期日程を廃止する。東京大の後期日程は、
募集人員 100 名に対して出願者数は3千人前後で推移してきた
【図表1】。2016 年度入試ではこれだけの受験生が後期日程におい
てどこに出願するのか注目を集めている。
【図表1】東京大後期日程志願者数推移
では、東京大の前期日程を志望する受験生が、後期日程でどの
大学を併願校として志望しているかについてみてみよう【図表2】。
2つの円グラフのうち、左側が昨年、右側が今年のものを表して
いる。昨年は後期日程でも東京大を志望する受験生が最も多く、
ついで一橋大、横浜国立大、その他旧帝大が続いていた。一方、
今年は東京大が後期日程を廃止することにより、一橋大との併願
を考える者が倍増している。そのほか北海道大、東北大、九州大
といった他の旧帝大、横浜国立大、千葉大といった近隣大
との併願を考える者が大きく増加している。
※第3回全統マーク模試より
【図表2】東京大前期日程志望者の後期日程併願校の志望者数内訳
<昨年>
無記入, 2,654人
東京, 1,192人
<今年>
一橋, 320人
横浜国
立, 225
人
北海道, 203人
大阪, 162人
その他, 東北, 674人
九州, 千葉, 156人
123人 127人
一橋, 716人
北海道, 横浜国
307人 立, 294
人
東北, 255人
無記入, 2,755人
大阪, 229人
その他, 926人
九州, 192人
千葉, 東京
180人
工業, 167人
※第3回全統マーク模試より
■後期日程併願校の志望動向
【図表3】【図表4】は東京大後期日程廃止に伴い、影響が考えられる大学(学部)の第3回全統マーク模試で
の成績分布である。成績上位の志望者が大幅に増加している学部が目立つ。以下でその詳細をみていく。
文系学部では、やはり一橋大への影響が大きくなっている。一橋大は商学部を除く3学部で後期日程を実施
しており、いずれの学部でも得点率9割を超える志望者が大きく増加している。一方、大阪大や東北大では昨
年から志望者がさほど増加していない。一橋大に人気が集中していることがみてとれる。一橋大のなかでも2
次試験を唯一学科試験で受験できる経済学部は、入試科目が[センター試験:5教科6科目、2次試験:英語・
数学]と理系生でも受験できることから、理科一類志望者が後期日程志望校として記入するケースも前年に比
べて増加している。理系の難関大で後期日程を実施しているところが少ないため、他系統を志望する理系生が
多いものと思われる。後期日程実施の3学科のなかで募集人員が 60 名と最も多いものの、2次試験の数学の
配点が高く文系の受験生にとっては厳しい入試となるだろう。
-1© Kawaijuku Educational Institution.
【図表3】後期日程志望者の成績分布(文系)
(人)
100
<一橋大 法学部>
(人)
100
<一橋大 経済学部>
昨年
80
昨年
60
60
40
40
40
20
20
20
0
40%
(人)
100
50%
60%
70%
80%
<大阪大 法学部>
今年
90%
100%
(得点率)
(人)
100
昨年
80
40%
昨年
80
60
0
50%
60%
70%
80%
<大阪大 経済学部>
0
90%
100% 40%
(得点率)
(人)
100
今年
昨年
80
60
60
40
40
40
20
20
20
40%
50%
60%
70%
80%
0
90%
100% 40%
(得点率)
50%
60%
70%
80%
90%
100%
(得点率)
<東北大 経済学部>
今年
昨年
80
60
0
<一橋大 社会学部>
今年
今年
今年
80
(人)
100
0
50%
60%
70%
80%
90%
100%
(得点率)
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
(得点率)
※第3回全統マーク模試より
理系は志望先が分散している様子がうかがえる。第7類のみ後期日程を実施している東京工業大は、得点率
9割以上の層が大きく増えており、競争の激化が予想される。2016 年度入試において募集人員が 20 名から 35
名へと増員されることや、2次試験総合問題の内容が英語・理科(物化生)から化学を中心とした設問へと変
更され、実質負担減となることも人気上昇の要因であろう。東北大(理)や北海道大(理・工・農)などの旧
帝大の後期日程志望者も増加が目立つ。理科三類志望者の後期日程併願校としては、東京医科歯科大医学科志
望者の成績上位層に大きな増加がみられる。そのほか大阪大や千葉大の医学科後期日程を併願先として考えて
いる者も昨年より多くなっている。
【図表4】後期日程志望者の成績分布(理系)
(人)
70
60
<東京工業大 第7類>
(人)
70
今年
60
昨年
(人)
70
<東北大 理学部>
今年
60
昨年
50
50
50
40
40
40
30
30
30
20
20
20
10
10
10
0
0
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
(得点率)
<東京医科歯科大 医学部医学科>
今年
昨年
0
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
(得点率)
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
(得点率)
※第3回全統マーク模試より
以上、東京大後期日程廃止に伴う志望動向の変化をお伝えした。センター試験後の国公立大の出願期間中に
は、入試情報サイト Kei-Net で志願者数の速報を更新する予定である。ぜひご活用いただきたい。
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© Kawaijuku Educational Institution.