債券マーケット・ビュー(2014年12月)

時の動き
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債券マーケット・ビュー(2014年12月)
大和証券 金融市場調査部
7~9月の資金循環統計(速報)が公表された。これを
まるとの見方が一段と強まったことから、今後この流れが
用いて、異次元緩和開始以降1年半の金融機関および家計
加速する可能性が高い。
や企業の保有金融資産の変化をみると、一部で対外資産の
取得増が確認できるものの、国内におけるポートフォリオ・
金融機関を介さないリスク資金の流れをみるために、家
リバランスの動きは、なお鈍い。
計や企業の金融資産の変動に注目すると、積極的なポート
すなわち、預金取扱機関(銀行等)の資産は、異次元緩
フォリオ・リバランスの動きは、なお鈍いことが分かる。
和のための日銀買入れに応じた結果として、現金・預金が
株式・出資金の保有額の変動は、もっぱら評価額の変動に
2013年3月末比+54%と、急増した。ただ、貸出は同
よるもので、取引額の動きは極めて小さい。家計の投資信
+2%と、増加ペースが相対的に緩やかなものにとどまっ
託等への投資については、昨年、前年比2桁増加した後、
たことから、資産構成比でみると低下傾向を辿った。株式・
今年も8%超のペースで増加し続けている
(図表3)
。
ただ、
出資金や対外資産などの構成比も、大きな変化なし(図表
保有金融資産残高全体に占める割合は、依然、数パーセン
1)。一方で、保険・年金基金では、対外資産の構成比上
トにとどまり、過半が預金に定着したままで、投資信託等
昇が、特に目立つ(図表2)。2013年中は、対外証券の取
への投資は、期待されていたほど伸びていないように見え
得額減少が続き、保有残高増は評価額の上昇により実現し
る。2014年初から導入された「NISA(少額投資非課税制
ていたのが、2014年入り後は、取得額・評価額とも増加
度)
」
の利用率も低位にとどまっている様子で、
家計の貯蓄・
に貢献している。日銀が、より長期の国債買入れを増やし、
投資行動が大きく変ったとはいえない。アベノミクスや異
長期~超長期の金利が大幅に低下するなか、一定の運用利
次元緩和の成功を強く期待したマインドの変化は、生じて
回りを確保するため、対外資産の保有を増やしていること
いないようだ。
が確認できる。10月末の緩和強化で、日銀が新発債のほ
ぼ全てを買い占める勢いで緩和を推し進めることになった
注 当データにつきましては12月末時点のものです。
うえ、12月FOMCを経て、来年央にも米国で利上げが始
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January 2015