「一般法人法施行規則の改正案」に対する意見書 1 基本的考え方 (1) 本改正案には、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下単に「一般法 人法」という)の改正に伴い、同法施行規則の改正が必然的に伴うものと、会社法 の改正を受けて会社法施行規則を改正することから、それに平仄を合わせるため一 般法人法施行規則を改正するものに分かれると考えられる。 (2) 前者については、そのもととなる法律(一般法人法)が改正となっていることから、 それに伴って施行規則における法律との整合性をはかるものであり、基本的には諒 とするものである。但し、一般法人法の改正については、「会社法の一部を改正す る法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」で行われており、一般法人法 の独自性を蔑ろにしたものであることに対しては、当協会よりは平成 26 年3月5 日付で遺憾の意を法務省宛に表明している。 (3) 後者については、上記(2)但し書に記載した法律の場合と同様に会社法の施行規 則の改正に伴い、平仄を合わせるための改正であることから、形式的に会社法と一 般法人法の同一内容化をはかることであるとすれば遺憾である。しかしながら、施 行規則の改正については、規則が法律の具体的な施行を行うためのものであること から、その改正内容については、そのもととなる法律の立法趣旨等と合致するか否 かを個別に検討し判断するものとする。 2 具体的な意見 (1) 改正規則案のうち第 12 条(補欠の役員の選任)、第 19 条(報酬等の額の算定方法)、 第 61 条(補欠の役員の選任に関する規定の準用)、第 66 条(清算人設置法人以外の 清算法人の業務の適正を確保するための体制)、第 67 条(清算人会設置法人の業務 の適正を確保するための体制)、第 76 条・第 79 条・第 82 条(いずれも計算書類に 関する事項)および第 87 条の登記関係については、一般法人法の改正に伴う形式的 なものであり、異論はない。 (2) 第 13 条ならびに第 14 条は、法人の業務の適正を確保するための体制(以下単に 「ガバナンス体制」とよぶ。)に係わるものであり、第 34 条はそのガバナンス体制 を事業報告の内容とする場合に、従前は「その決定又は決議の内容の概要」のみで あったものに、「当該体制の運用状況の概要」を加えたものであり、いずれの改正 も会社法施行規則の改正案と同一の内容とするための改正案である。 これらはいずれもガバナンス体制の充実をはかるために改正されるものであり、 その趣旨や改正の方向に基本的には異論はない。 (3) しかしながら、ガバナンス体制の具体的あり方は、会社と一般法人においてそれ ぞれの法人格の立法の趣旨から、自ら差異があって然るべきであって、一般法人に 1 おいて会社と全く同一の体制をとらなければならない必然性はない。 特に一般法人においては、株式会社と比較して人員や資金や事業規模等に関して は一般的には弱小であり、株式会社と同列で扱うことにやや無理がある。従って基 本的な解決のためには、会社法におけると同様小規模法人向けの法人類型を設ける 必要がある。 ただ現行法においては、一般法人法制は株式会社法制と類似のもののみが作られ ていることから、ガバナンス体制においてもそれと類似のものとならざるを得ない と考えられるが、その解釈や運用において、出来る限り一般法人に適したものとす る必要がある。 従って一般法人法施行規則における上述(2)のガバナンス体制の改正条項につい ても、基本的には諒としつつも、一般法人向けの簡略化やその運用についての配慮 を希望する。 なお、抜本的には小規模法人向けの法人類型を一般法人法内に設け、株式会社と は異なった法制とすべきである。 以上 平成 26 年 12 月 24 日 公益財団法人 公益法人協会 理事長 太田 達男 2
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