【館長のつぶやき3】「年賀状のこと」平成27年元旦 あけましておめでとうございます。本年もどうぞ宜しく。 今年も公民館宛てに年賀状をしっかりいただきました。その中から一つ 二つ紹介しましょう。 先ず、6区の渋谷博子さんより。博子さんはご主人武士さんと昨年金婚 (結婚50年のお祝い)を迎えられましたので、賀状の中に「福寿草に紅 白リボンを添ゆる初春 (はる) 金婚峠を越えてゆかなむ」という短歌が添え てありました。私は元高校国語教師ですので、このような文語で詠まれた 短歌に出会うと、ワクワクします。そして、その鑑賞文を詠者に差し上げ たくなるのです。その鑑賞文は、 『結婚50年の節目とて、今年の正月は、福と寿というおめでたい二つ の言葉を持つ正月の花福寿草を買い求めて、それを紅白のリボンで結んで 金婚式を迎えたのを慶んだ。結婚生活の大きな節目――それは人生峠とい うもの――を越えて、更なる高みをめざして生きていってほしい。』 短歌の最終語の「なむ」は動詞「ゆく」の未然形に接続しているので、 他にあつらえ望む意を持つ終助詞となる。「他」、すなわち武士さんに対 して、頑張って下さいね、と呼びかけておられる。ここを「ゆきなむ」と すると(「ゆき」は「ゆく」の連用形)、「な」は完了・強調の助動詞「ぬ」 の未然形、「む」は意志の助動詞で、合わせて「きっといこう」という 、 詠者ご本人の強い意志を示すことになる。さて、どっちがいいか、私には わかりません。 もう一つ。鳥取県職員のアレクサンダー・ギンナン氏からのもの。彼は カナダから来ておられる日系四世で、平成24年に上道公民館でおこなっ た北米移住120周年記念事業の移住者子孫の歓迎会に通訳で来られまし た。適当な間隔で未だに文通しています。クルーズ船の歓迎式典でも、知 事・副知事に随行されて何度か出会いました。毎年、版画を彫って賀状を 作られています。今年は「麒麟獅子」で、 □ 銀 の落款が押してあります。そ うなんです、ギンナンさんの先祖は「銀杏」という姓だったのです。読み 書きが実に達者で、彼の年賀状は昨今の若人のものよりも遙かに日本的な のです。今年は彼を招いて、なにか講座を持とうとも考えていますので、 その節は是非共ご参集下さい。 今年は年賀状を250枚出しましたが、この歳になると、誰 それに出し たか出さなかったか、わからなくなっています。返書が届かなかった方が ありましたら、ごめんなさい。
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