知的障害援助専門員養成通信教育 優秀レポート 39 期生 知的障害者入所更生施設 支援員 ⑤自閉症者援助技術 課題:自閉症に他の障害が合併していると思われる行動障害の事例について、具体的にその心理的傾 向と行動特性を述べなさい。 K さんは自閉傾向であり、強迫性障害(他者 巻き込み型)・自傷・他害行為等の行動障害が 点 をある程 度 統 一 するようにしていた。本 人 への刺 激 を抑 える為 、また、本 人 が一 人 で落 ある。発語があり、本人特有の言葉がいくつも ち着いてもらう為にも、棟内にパーテーション 存在する。本人特有の言葉に合わせるような を作り、デイルームを半分に分 断したり、本 人 形で伝えること、こちらの言っていることも理 解しやすい。そして、人(棟内では職員)への依 存が強い。中でも気に入っている特定職員 が 用のブースを作ったりした。どれも効果は見ら れるものの、同時に、次々と問題が出てくるよ うになった。それに比例するかのように、睡眠 いる。その理由として、自分を理解してくれる、 自分 の言 うことを聞 いてくれることが挙 げら 時 間も徐 々に減少 していった。何 度 服 薬 調 整 や環 境 の変 更 を行 ったが、保 護 者 来 園 (帰 宅 れる。K さんが自傷・他害する理由としては、利 用者に対しては、K さんなりの「いけないこと できると思う為)や祭 り、その他 拘っているも のや気になるものがあると、睡 眠 時 間 が2、3 をする人 」に対 して行 うもの、イライラして無 差 別 的 に行 うもの、職 員 に気 にしてほしいが 時間や不眠になることが多くなった。また、他 害も激化していき、棟内支援の限界を感じた。 為にするものと、大きく3つに分けられる。職員 そこで、当 時 使 用していなかった活 動 棟で生 に対しては、その職員の対応にもよるが、基本 的には憂さ晴らし的な要素が多い。 活することが提案され、実施した。この活動棟 は、所属棟から数十メートル離れている。最初 K さんは4年前に強度行動障害と言われる 方の棟に所属することになった。2年半の間は の 9 ヶ 月 は 、 11:30 ( 昼 食 と い う 理 由 付 け ) ~ 16:00(入浴とおやつという理由付け)の利 用 であった。ここで生活する時間は、マンツーマ 終日棟内で生活していたが、職員依存の強化 や睡眠時間の減少、拘り、他害の増加等、状態 ン対 応 とした。さらに、本 人が感じる不 安 等 を 考慮し、特定職員だけが活動棟での対応にあ が悪化していった。棟内では、常に職員一人が 本人に付き添っている状態であった。本人なり たった。K さんが慣れてきた1ヶ月後より全職員 で対応するようになる。活動棟で過ごす時間 の職員の順位があるのだが、そのうち特定 職 員への依 存が強くなり、その職 員でないと情 緒不安定になることが多くなった。 は落ち着いて生活していた。しかし、活動棟で 落ち着いた環境にいた反動からか、ストレス発 達 の要 因 もあるのか、夕 方 から夜 間 帯 にかけ それだけが理由ではないが、職員や他利用 ての他害行為が多発し、本人から一時も離 れ られない状態が続いた。 者への他害や自傷、大声で棟内を歩き回る等 の行 動 も日 に日 に増 していった。職 員 は常 に 特定職員と情報を共有し、対応方法や観察視 そして、他害されて大怪我をし、とうとう病 院に搬送される利用者が出 てくる事態となっ 1 PURC Site 知的障害援助専門員養成通信教育 優秀レポート た。これを受け、精神病院への入院を検討する あるが、習慣化すると適応できてしまうことも ようになったが、職員間で K さんの障害特性 あり、活 動 棟 で生 活 することにはすぐに慣 れ や能力、将来を話し合い、入院は見送ることに た。そして、棟 内支援 では行えなかった、散 策 なった。 や買 い物 までできるようになり、本 人 の職 員 格差もあまりなくなった。 そして、起床後すぐの 7:00~20:30 まで活 動棟での時間を延長し、帰棟後は入浴し入床 活動棟で生活することで、K さん自身の気 するという流 れに変 更 した。グループホーム をイメージしたものである。本人の中で大きな 存在である食事を理由に、職員を入れ替える になる、不安定要素である。他利用者・食事準 備や食堂内の音・職員等の大半が遮断された のである。また、ストレスも軽減し、フラットな状 形を取ると混乱なく行えた。出 発時と帰 棟時 態 が維 持 されるようになった。以 前 は保 護 者 は、棟内の状態が落ちついており、K さんへの 来園や祭りがあると、1日中確認が続き、夜間 刺激が最小限に抑えられている。これにより、 K さんが帰棟した後の夜間帯の他害がほとん どなくなり、睡眠時間もある程度安定してきた。 極端に睡眠時間が減少したり、他害・自傷行為 に及んだりしたが、それも落ち着いた。生活環 境を大きく変え、気になるものを視覚遮断して 活動棟での職員への他害も格段に減少した。 本人は特 定職 員の依 存もほとんどなく、名 前 不安 要 素を取 り除くことは、K さんにとって、 落ち着いた生活を送る上で必要なものだった を出して今日来るのかどうかを確認する程度 に留まっており、来なくても特に混乱すること と思われる。生活リズムを立て直すことができ た現在 、活 動棟でのさらなる支援を考えてい はない。K さんは、強迫的に行っているものも る。 講評:とてもまとまっているレポートですばらしいです。この調子で頑張ってください。 2 PURC Site
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