千葉大(教育学部)【国語】解答例 三 二 カ 所 の 波 線 部「 逆 に 言 え ば 」 は 共 に、 二 a=きゅうかく b=けいゆ c=ふし d=ていけい e=ひょうしょう 第一問 一 ア=属(して) イ=影響 ウ=餌 エ=膨(大) 厖(大)も可。 オ=振(る) 我々の感覚器の機能を、外部世界から感覚 情報を受容する作用の面から、我々の内部 認識されること。 般的に認識の類型として言語的に定立する ことであり、「記号的認識」とは、個々の 感覚刺激として得られた情報に対して、既 に形成された概念を記号として当てはめて 事象を認識することである。 六 「概念形成」とは、感覚刺激として得ら れた外部情報を学習を通じてあらかじめ一 の「閉じ」た世界内で感覚情報を認知する 作用の面へと、着眼点を移す働きをしてい に対して記号として自由にあてはめ意味付 けることで、人間にとって意味ある環境世 界を位置付け直していくことができる存在 だということ。 ④=見ているか、あなたは。 二 宮 か ら 二、三 日 音 沙 汰 が な い の で、 見 捨 よ。 ③ = 夜 が 次 第 に 更 け て い っ て い る だ ろ う ②=どうなってしまったのだろうか 第二問 一 ①=(宮は)連絡も下さらない。 て意味付け、さらにこの概念を外部環境 七 人間だけが、感覚器が生理的に刺激とし て受け取った情報を、独自に概念を創造し る。 四 生物がその感覚器を通して外部環境の変 化を認知し反応する生物個体内に閉ざされ 点として構成されるもの。 た感覚世界であり、生物の自律的知能の起 と。 の下では肯定という意味付けがなされるこ がなされるが、ブルガリアという文化状況 五 1 首を横に振るという視覚刺激が、日 本の文化状況の下では否定という意味付け 2 仕事場という状況にある椅子と自宅 という状況にある椅子が、同じ椅子という 言葉によって表象される同一の対象として てられたものとすっかり諦めていたとこ ろ に、 宮 か ら 手 紙 が 届 い た の が 思 い が け な く、 自 分 の 思 い が 届 い た の か と 感 じ た から。 ニ シ ク ニ 第三問 一 斉国 莫 下若 二先生 一者 上。 二 ② = ど う し て 梁 石 君 と 東 郭 先 生 を 宰 相 曹参に推薦しないのですか。 ③=これまで一度も節操やこころざしを下 げてまで仕官を望んだことはない。 いでいるが、月を見ると(あなたを思って) ると証言したから。 村の年配の女性が、肉を盗んだのは犬であ 三 婦人が盗んだと思って追い出したのが、 返 っ て つ ら く な る か ら、 月 だ け は 見 ま せ 三 今 頃 夜 は 更 け て し ま っ て( 美 し い 月 も 出て)いるだろうと思うけれど寝られな ん。 言った。 先生を採用するように仕向けてみようと 四 蒯通が、宰相曹参に、直接的な言い回し で は な く、 遠 回 し に 方 便 で 梁 石 君 と 東 郭 四 宮 の、 月 を 見 て い る か と い う 問 い か け に、 和 泉 式 部 は、 見 て い な い と 答 え た。 普通なら美しい月を見ずに寝ている女性 は期待外れと言うほかないが、見ている 五 前 の 主 君 の も と を 去 る や 節 操 な く 自 分 を 売 り 込 ん で 来 る も の で は な く、 自 分 を 認めてくれる主君が現れるまでひたすら と答えるのもありきたりである。そこを、 和泉式部は、ちゃんと起きていて見るこ 待っているような臣下を探すべきである。 五 自発の助動詞「らる」の連用形 を 読 者 と し て 想 定 し、 イ ン フ ル エ ン ザ 察力も初歩的な段階にある年齢層の生徒 第四問 一 【Ⅰ】は、小学4年生という病理につい てまだ科学的な知識も乏しく、理性的考 とができる月を敢えて見ていないと返し たのが、宮の想定以上の風雅な返答だっ 六 エ たから。 の 定 義( 段 落 ① )、 感 染 の 現 状 及 び ウ イ 基本的知識を伝えることに意を払った書 しいと思われるインフルエンザに関する であれば知っているが小学4年生には乏 記述され、特に①から④の段落で、大人 れる文章の表題に沿って内容が具体的に 該年齢の子供にとって関心が駆り立てら ンザってどうしてかかるの?」という当 れ て い る。 そ し て そ の 際、「 イ ン フ ル エ の基本的論理展開を踏まえながら記述さ (段落⑤)、対策(段落⑥)という対策論 ル ス の 分 析( 段 落 ② ③ ④ )、 感 染 の 原 因 る。 らしめる目的で書かれたものと考えられ への対処方法を、大人により本質的に知 でのインフルエンザの広がりという恐怖 で論を展開することで、現状の世界規模 題をあえて本筋のわきに置くという構成 軸に据え、インフルエンザ対策という本 間にとって本質的かつ普遍的な問題点を 具 体 的 に は、「 正 し く 怖 が る 」 と い う 人 大 人 の 関 心 を 引 く べ く 記 述 さ れ て い る。 象化し、現象の根本的本質的解決を望む にとってより普遍的な問題へと論点を抽 い う歴史的にも著名で一流の筆者の言葉 を 冒頭に引用することで、読み手に以降 二 一見意表を突く端的な表現で問題の本 質 を捉えた言葉を冒頭に置くことで、読 み 手の興味を引きつけ、また寺田寅彦と き方をし、小学4年生の読者が自発的に インフルエンザを防げるようになること を目的に書かれたものと考えられる。こ れに対して【Ⅱ】は、既にインフルエン ザ全般に関する基本的知識を持っている 大 人 を 読 者 と し て 想 定 し、 文 章 の 表 題 を「正しく怖がる」というように直接個 三 1 じっさいにこれまで、世界では四 の 記述内容に関する信用性をもたらす効 果 を与えている。 記せず、むしろインフルエンザをいった 別的なインフルエンザの問題としては表 ん人間の恐怖の対象の一例として位置付 回、 き け ん な 新 型 イ ン フ ル エ ン ザ の 流 行 が あ り ま し た。 中 で も、 一 九 一 八 年 の け、未知の恐怖への対応方法という人間 (一一九字) は、二〇〇万人の人がなくなりました。 な り、 一 九 五 七 年 の「 ア ジ ア か ぜ 」 で な 流 行 で は、 二 千 万 人 以 上 の 人 が な く 「スペインかぜ」と言われている大き 小学4年生にとってもその危険性をイ が 明 示 さ れ て い る 典 型 的 な 二 例 に 絞 り、 当たって、事例を文章【Ⅱ】で死亡者数 ンザの世界的流行の危険性を説明するに できるだけ少なくし、さらにインフルエ と に あ る か ら、 文 章【 Ⅱ 】 か ら 選 び 文 の 怖 れ と、 そ の 適 切 な 対 処 法 を 説 く こ 出会ってしまったことは、春という特別 ないのだけれども、こうして河童と私が 第五問 一 春だから河童も浮かれて出てくるのだ ろう。本当は人と河童は出会ってはいけ メージしやすくするように心がけた。 章【 Ⅰ 】 に 補 充 す る 内 容 と し て は、 新 な季節が招いた出来事だからしょうがな 2 文章【Ⅱ】の主眼は、グローバ ル 化 し た 世 界 情 勢 の 中 で、 新 型 イ ン フ 型インフルエンザの世界規模での流行 い。 ルエンザが世界規模で流行することへ が具体的に起こっているという事実の 記 載 が 適 切 で あ り、 か つ 文 脈 上、 挿 入 慮して、例えば、「実際」 「危険」を「じっ が小学4年生という年齢である点を考 て 挿 入 段 落 の 表 記 に つ い て は、 読 み 手 の 挿 入 文 が 適 切 で あ る と 考 え た。 そ し ル エ ン ザ に 置 か れ て い る 点 か ら も、 右 都合よく」という言葉が、その「すんで 自転車があらわれてね」での「ちょうど 「 彼 女 」 の「 ち ょ う ど 都 合 よ く 目 の 前 に の事態であることをあらわし、その後の ろ し い 事 態 が 差 し 迫 っ て い る「 す ん で 」 の表現での「まさに」という言葉が、恐 二 「世にも恐ろしい顔をした赤ん坊の手 が私の足首をまさに摑もうとしたとき」 さい」「きけん」とかな表記にしたよう のところ」を間一髪逃げ出したことを端 直前の④段落でのテーマが新型インフ に、 誤 読 を 招 か な い 範 囲 で 漢 字 表 記 を ばかりの若い女性のくつろいだ言い回し の語りに寄り添うように表現されてい れ ゆ え「 私 」 の 印 象 も「 彼 女 」 の な ま り が 中 心 に 据 え ら れ て 話 が 展 開 し、 そ こ れ に 対 し、【 Ⅰ 】 で は、「 彼 女 」 の 語 う展開を採っている点が共通している。 で「 私 」 の 印 象 の 総 括 が 行 わ れ る と い 出 来 事 の 内 容 が 次 第 に 姿 を 表 し、 文 末 会 話 表 現 を 軸 に し て、 語 ら れ る 過 去 の 「 彼 女 」 の 話 を 聞 く と い う 設 定 の 下 で、 三 【 Ⅰ 】 と【 Ⅱ 】 と は、 共 に 現 在 の 時 点 で「 私 」 が「 彼 女 」 と 対 峙 し な が ら るような柔らかく温もりのある存在とし ある「なんとなくな日々」にも表れてい うくはあっても、このエッセイの表題に 筆者は、春という季節を、人にとって危 言 葉 を 通 し て 柔 ら か く 表 現 す る こ と で、 を友人のとりとめもないリラックスした さを元にしながらも、この季節の出来事 変転させる境界としての季節が持つ危う 用いることによって、人を死から生へと る新緑と恐怖から逃げる夢という題材を 同様に【Ⅱ】でも、猛々しいほど萌え出 的にあらわしている。 る が、【 Ⅱ 】 で は、「 彼 女 」 の 語 り は 比 て捉えている。 を 通 し て 柔 ら か く 表 現 し て お り、 ま た、 較的手短かに構成され、むしろ「彼女」 の 語 り を 通 し た「 私 」 自 身 の 印 象 を 中 心にして表現されている点で、【Ⅰ】と 【Ⅱ】とは異なっている。 四 【 Ⅰ 】 で、 お 葬 式、 野 辺 送 り、 死 後 の世界の住人である河童という題材を 用 い る こ と に よ っ て、 人 の 死 と い う 危 う さ を 元 に し つ つ も、 冬 を 経 て 生 命 が 浮 か れ 現 れ る こ の 季 節 を、 大 学 を 出 た
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