ASEAN の設備投資動向 (マレーシア)

ASEAN の設備投資動向 (マレーシア)
ASEAN 地域のうち、有資源国であるマレーシアは外資企業を惹き付け、日本の石化メーカーも
多数進出している。
マレーシア石化産業界は、周辺国における新増設の活発化に危機感を募らせ、競争力強化を図
っている。「第3次工業化マスタープラン(IMP3)」(2006~2020 年)で、340 億リンギット
を投じ、サラワク州ビンツル、ケダ州グルン、ジョホール州タンジョン・ペラパス、ラブアン
島を新たな石化工業地帯として発展を促す。その一環としてペトロナス(マレーシア石油公社)
の主導で「RAPID」計画が進められている。同計画は、ジョホール州ペンゲランに「ペン
ゲラン統合コンプレックス(PIC)」を建設するもの。同コンプレックスは 6,242 エーカーの用
地に日量 30 万バレルの処理能力を持つ製油所、石化プラント、付帯・補助設備などで構成され
る。石化製品はエチレンやプロピレン、合成ゴムや高品位樹脂を含めた多品種製品を 770 万ト
ン生産する予定。主にアジア市場をターゲットとしたコンプレックスで、ペトロナスのほか、
伊藤忠商事、タイの PTT グローバルケミカル、伊ベルサリス、独エボニック・インダストリー
ズも参画を表明している。付帯・補助設備を含めたプロジェクトの総投資額は 160 億ドル以上
で、製油所の稼働は 2019 年初頭を予定している。また、原油埋蔵量が世界で 25 番目(45 億バ
レル)、
天然ガス埋蔵量が 12 番目(2兆 5,000 億 )、LNG(液化天然ガス)に至っては世界第3位(年
産 2,300 万トン)の生産国であるマレーシアでは、2014 年から石化設備の立ち上げが相次いでお
り、ブレル・インダストリーズの LLDPE 設備を始め、カネカ・アピカル・マレーシアの超耐熱
性ポリイミドフィルム設備とポリプラスチックス・アジア・パシフィックスの POM 設備が稼働
している。さらに宇部興産が出資するマレーシアン・シンセテックラバーのブタジエンゴム設
備、カネカマレーシアのアクリル繊維設備が稼働予定である。
このほか、フタムラ化学と現地のサイエンテックス・パッケージングフィルムが合弁で OPP フ
ィルム工場を立ち上げるほか、ペトロナス、ポーランドの Pulawy、シピタン・オイル・アンド・
ガスディベロップメントコーポレーション(SOGDCC)がサバ州で尿素~アンモニア、ソルーシ
アがパハン州でポリビチルブチラール、トクヤマがサワラク州でカセイソーダ~VCM の事業化
を検討している。
(出所
所:重化学工業
業通信社)