超電導応用研究会委員長に就任して 超電導応用研究会委員長 三菱電機株式会社 横山彰一 2014 年 5 月に荻津前委員長の後を受け 11 代目の超電導応用研究会委員長を拝命 いたしました。これまでの委員長ならびに委員のみなさまのご努力により培われて きました本研究会の素晴らしい活動を維持発展できるよう微力ながら尽力して参 る所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。 ご存じの方も多いと存じますが、超電導応用研究会は 1994 年に活動を開始しま した。結成の前年末には、当時の低温工学協会による「超伝導・低温工学ハンドブ ック」が発刊され、また、4K 小型冷凍機の本格的量産により超電導応用が加速す る時期でした。そして、研究会発足から 20 年が経ち、当時描かれていた、電力、 産業、交通、医療、デバイスをはじめ多くの分野へ超電導応用の研究開発が広がっ ております。次の 20 年後には超電導がどのように展開され、社会に貢献している か楽しみなのは私一人ではないかと思います。この将来のために超電導応用研究会 として、今後も継続して超電導に関する新技術や新展開についてシンポジウムを通 じてご紹介してゆく使命があると存じております。我々超電導応用研究会の活動は、 1)核融合加速器等巨大科学関連、2)電力応用関連、3)産業利用関連、4)超 電導エレクトロニクスと大きく4つのテーマに分け、各テーマについて年間にそれ ぞれ 1 回ずつのシンポジウムを開催してきました。また、低温工学超電導学会にお ける重点7領域を意識しながらテーマを取り上げております。特に近年では、研究 会と各支部、部会との連携強化により参加者が微増ですが年々増えてきており、超 電導応用に対する関心の高さと期待を感じる次第です。 さて、私ごとで大変恐縮ですが、私の超電導との出会いは1979年(昭和54年)当 時、高専での卒研において友人ら3名とリニアモータの研究開発をテーマで取り上 げ、手作りでいくつもの誘導型そして同期型リニアモータを製作しトルクや力率、 運動効率などを計測しながら開発を実施。そのうちに銅鉄コイルの発生磁界限界で 特性が頭打ちになることを知り、担当の河原教授(当時:故人)から強磁界を得る ためには超電導磁石を使うしかないと文献調査をしたのがきっかけでした。大学編 入学後に三菱電機OBで超電導材料を研究されていた小俣教授(当時:故人)にご教 授いただき、また山下助教授(当時:現東北大学名誉教授)、濱崎助手(当時:後 長岡技術科学大学教授ご退官)のご指導の下シェブレル相化合物超電導線材の臨界 電流密度特性向上の研究に携わらせていただきました。これが、今も超電導機器の 研究開発を業務にすることとなったきっかけだったと諸先生方には感謝の思いで す。特に当時は、液体ヘリウムは大変高価で入手も容易で無いなか、我々学生に不 自由なく測定をさせていただいたこともありがたいことでした。また、超電導材料 研究をしていた多くの学生が経験したように東北大学強磁場センターでの試料特 性測定試験に何度も通わせていただきました。貴重な高磁界マグネットの予約時間 を最大限に使うため昼夜交代での測定は、学生時代の金の思い出となっております。 高磁界超電導マグネットをクエンチさせるたびに夜遅くまでお付き合いいただい た能登助教授(当時:現岩手大学名誉教授)、渡辺助手(当時:現センター長)に は本当にご迷惑をお掛けいたしました。以来、30年が過ぎ高温超電導材料が世に出 現しましたが、高温超電導材料を開発している学生の皆さんが今も東北大学強磁場 センターで昼夜試験に通われていると伺い、良い経験をさせて貰えていると感じま す。超電導応用といっても材料特性を知らないとマグネット設計ができませんし、 超電導マグネット設計に携わらないとしてもその時の苦労は何かの形で報われる と信じております。 時代は変われど我らが志は変わらじ、まもなく低温工学協会発足より50周年の 佳節を迎えます。超電導応用機器の広がりは決して早くは無いですが、多くの先達 の皆様のご苦労により、地道にそして着実に技術が根付いて参りました。これから は、超電導技術がより広く社会に貢献してゆくと信じております。今後とも会員ま た賛助会員の皆様には、超電導応用研究会の活動にご理解、ご協力を賜りますよう よろしくお願いします。
© Copyright 2024 ExpyDoc