宮城県 ボランティア活動と防災・震災研修プログラム(東北研修 2015) 3 月 12 日(土)1日目 くりこま高原駅から南三陸町に向かい、 最初に訪れたのは、南三陸町防災庁舎。 住民への避難誘導を行った町役場の方々 が屋上で犠牲になった被災施設。 3階建て施設の屋上まで飲み込む津波の 驚異を目の当たりにして生徒は言葉も出 ない様子であった。 復興商店街で昼食を済ませたあと、観光 協会交流促進部会の協力を得て津波被害 の詳細を学び、実際被害のあった場所を めぐるプログラムを行った。 津波が丘を駆け上がる形で被害を受けた 場所では「避難場所でも被害を受ける事 実」を知り、想定外の災害が起こる恐ろ しさを実感した。 3 月 13日(日)2日目 2日目の午前中は女川町「桜守りの会」の皆さんとボランティア活動を行った。 活動の内容は桜の植樹に関する作業。苗木を育てる場所の流木をまとめる作業、苗木移植の 為に敷き詰めるチップをならす作業などを行った。 2日目の午後1つの目の研修は石巻市大川小学校での講話であった。大川小学校で起きた 悲劇は、学校管理下で児童が犠牲になった事例としては戦後最悪とされる。 全校児童 108 人の約 7 割に当たる74人が教員の管理下の元、死亡・行方不明となった。 今回お話を伺ったのは遺族でもある「津波被害訴訟を支援する会」代表の只野 英昭さん。 遺族の方のストレートな意見を聞き、メディアでは報道されない人の心の中に残る生々しい 震災の爪あとを知り、5 年経っても震災は終わっていない事を実感した。 2日目午後、最後の研修は「これからの東北支援」と題して東北で起業を目指す株式会社 セッショナブル代表取締役の梶屋陽介さんから話を聞いた。現地の杉の木を使い、現地に 雇用を生みながら遠方へ商品を売り込んで地域の活性を目指す梶屋さんの話には、生徒は 強く刺激を受けて共感していたようだった。 3 月 14日(月)3日目 最終日のボランティア活動は仮設住宅を訪問してコミュニティ支援を行う活動であった。 今回は石巻市仮設大橋団地という大型仮設住宅(500 戸規模)での活動となった。仮設住宅 は今年度をもって取り壊しとなる場所が多く、行き先が決まらない高齢者にとって交流会は 大切な社交の場となる。 最初は緊張した様子だったが、次第に打ち解けて楽しい時間を作ることができた。最後には 手を繋ぎながら歌うほど受け入れてもらい、過去にないほどの盛況であった。 《以下、生徒感想》 震災から 5 年が経ち、私は初めて現地を訪れたけれど、もっと早く行くべきでした。 仮設住宅も 5 年で終わり、人々の関心が少しずつ離れてしまう不安はとても良く分かります。 でも、これからどういう気持ちで支えていくことが良いのかは分かりませんでした。東京オリ ンピックもあるけれど、宮城への援助も進めて欲しいと感じます。 ボランティアというものは主にお金や物を寄付することだと思っていました。 今回のボランティア活動を通して「物を与える」というよりも、「震災に関する話を聞き共感 したり、現場に行って実態を見る」という些細なことを通して被災した方々と「心を通わせる」 ことがボランティアの本質であるべきだと感じるようになりました。 東北の人は皆さん親切であたたかくて一緒にいるとこちらまで胸があたたかくなるような良い 経験をさせて頂きました。まだまだボランティアできることはあると思うし、もしボランティ アがなくなってもこれからの東北を生で見て感じていきたいと思いました。 昨年と比べ、嵩上げの高さが増したり、駅が綺麗になっていたり前進している面は多く見られた が、仮設で暮らす住民はどんどん減少して、残された人の中に寂しさや焦りを感じました。 自分は経済学部に進学するので、地方経済の発展について学んでいきたいです。 大川小学校を訪れ、只野さんの話を聞いたとき、マスコミの話をすべて鵜呑みにしていた自分 が恥ずかしくなりました。テレビで見るのと現地に行ってみるのでは、身体全体で感じること ができる現場で見る方が収穫が大きいって分かりました。 辛い過去を受け止めることは難しいことだと思います。でも仮設の方々を見て「人って強いな」 って感じました。その人たちが私達に「ありがとう」「頑張ってね」って言ってくれることが、 すごく嬉しかった。これから頑張ろうとすごく思いました。ボランティア研修ということでした が、自分のためになった研修だったと思います。 私には報道では知ることができなかった「震災の傷跡」と「東北の未来」が見えました。 実際に現地に行って見てみると、津波の怖さ、人々の不安、遺族の怒りや悲しみを感じ、私は まだまだ分かっていなかったのだと知りました。一方、少しずつ進む復興作業や、未来の予定図 を見て「東北の未来」も見ることができました。
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