福島裁判神戸地裁判決に対する抗議談話

2014 年 12 月 22 日
兵庫県高等学校教職員組合
書記長
稲次
寛
福島転任処分取消等請求事件に対する神戸地裁不当判決に抗議する(談話)
神戸地方裁判所は、 2014 年 12 月 22 日、福島転任処分取消等請求事件(以下、福島裁判)
において、原告である福島氏の請求を棄却する不当判決を言い渡しました。
福 島 裁判 は 、 2011 年 3 月末 の 福島 氏 に対 する 強制人 事異 動の 取り消 しを 求め た裁判 で
した。しかし、福島氏が 2014 年 3 月末に退職したことにより、高教組は「転任処分取り
消し」については取り下げ、同裁判を「国家賠償法に基づく慰謝料請求裁判」として引き
続き取り組んできました。
高教組の同裁判における主な主張は、下記の4点でした。
①福島氏に 対する 58 歳での 強制配転は 、高教組と 県教委との間で積み上げてきた「人事
異動は兵庫の教育の発展のために行うものである」との合意を無視する前例のない人事
異動である。
②福島氏の組合活動に対する報復を目的とした人事異動である。
③福島氏だけでなく転出・転入両校の教育活動の妨げとなる人事異動である。
④福島氏の健康状態への考慮を欠いた安全配慮義務違反の人事異動である。
神 戸 地 方 裁 判 所 は 、 高 教組 の 主 張 は 棄 却 し た もの の 福島 氏 の異 動 につ い ては 、「 定年 ま
であと 2 年となった 58 歳の時点で本件転任処分を実施することについての積極的な理由
は見 当 た ら ず 、 そ の 相 当 性に は 疑 問 が 払 拭 で き ない 」と 判 示 し ま した 。 こ れ は 、 兵 庫の 高
校教育の改善や発展につながっておらず、なぜあえてこのような人事異動を行ったのか疑
問である、ということを意味するものです。裁判所がこのような判断をしたことは、福島
氏に対する人事異動が兵庫の教育の発展に資するものではなかったことの何よりの証明で
す。県教委は、神戸地方裁判所の判断を真摯に受け止め反省すべきです。
また一方で、神戸地方裁判所の行った判断は、福島氏に対する人事異動に教育上の合理
性がなかったことを認めながら、個々の問題では県教委にとって都合の良い部分だけを取
り上げ、県教委の主張を容認する信じがたいものとも言えます。司法が、このような「木
を見て森を見ず」の判断を続けることは兵庫、そして日本の教育の発展には決してつなが
りません。
高教組は、原告の福島氏、福島裁判を支援する会の皆さんと共に大阪高等裁判所に控訴
し、引続き福島氏に対する強制人事異動の誤りを明らかにする取り組みを進めます。この
間、福島裁判を支えていただいた弁護団、そして支援する会に結集する皆さんに感謝申し
上げるとともに、今後も変わらぬご支援をお願いし、談話と致します。