化学工業日報紙(12月22日付)

化学工業日報 2014 年 12 月 22 日
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人と話題 東京工業大学名誉教授・前学長 伊賀健一さん
「光の国際年」の来年、横浜で開かれる「OPIC」委員長を務める
「光技術」幅広く伝えたい
光学分野で世界最大規模の国際学会「OPIC」。来年4月に横浜で開かれる「OPIC 2015」の
委員長・コングレスチェアを務めるのが伊賀健一博士(東京工業大学名誉教授・前学長)。15 年は
ユネスコが定めた「光の国際年」でもあり、光学への注目が一段と高まる。国内外の研究者が集
まる国際会議を通じ、「全世界の人がより健康で快適になるような『光技術』の進化を加速させた
い」と意気込む。
光学分野の発展において、日本は大きな役割を果たしてきた。伊賀博士もそれをけん引した一
人だ。とくに面発光レーザー(VCSEL)は 77 年に着想、79 年にはレーザー発振を確認、88 年に
は室温での連続動作を達成し、生みの親として発案から実用化まで道を拓いた。「理論からプロ
セス、デバイス構造まで子細に渡り継続して取り組み、結実させることができた」と振り返る。
13 年には「面発光レーザーの発案と光エレクトロニクスへの広範な応用への研究」で、フランク
リン学術賞のバウワー賞(科学賞)を受賞。日本人として2人目の栄誉に輝いた。現地では「受賞
後の記念講義で、現地の高校生100人に囲まれながら質問に答えたときが一番緊張した」と微笑
む。VCSELは今や年間 10 億個以上生産。通信、情報産業を支えるとともに「センサーや医療な
ど、光学技術の分野拡大を担うキーデバイスとして研究が進んでいる」。
OPIC2015では7つの専門会議が共同開催される。初日のプレナリーセッションでは伊賀博士
に加え、大容量・長距離の光ファイバー通信用半導体レーザーで今年日本国際賞を受賞した末
松安晴博士、青色発光ダイオード(LED)でノーベル物理学賞を受賞した天野浩博士など、分野を
支える研究者が一堂に会する。ノーベル物理学賞では赤﨑勇博士もIABメンバーとしてつながり
は深い。「良い土壌、蓄積のもと、切磋琢磨することで画期的な成果が生まれてきた」。
来年は光学の父と呼ばれるイブン・アル=ハイサムの光研究から1000年、フレネルが光の波
動説を提唱してから200年、マクスウエルの電磁理論提案から150年など、さまざまな記念日の
節目に当たる。光の国際年には国内もOPICだけではなく、伊賀博士が 33 年前に立ち上げ代表
を担う「微小光学研究グループ」などさまざまな学会が参画。「全世界規模の催しもあるようだ。一
般の方にも広く光技術を伝える契機になれば」と期待を込める。
伊賀博士はコントラバス奏者としても著名人。多忙を極めるなか、学生時代からずっと演奏を続
けてきた。昨年、東工大学長を退いた後は演奏に打ち込めたが、「OPICを控えた今、演奏に集中
できるのはまだ先になりそうだ」と苦笑する。
(佐藤大希)