Title 英語の叙述語句の位置づけをめぐって Author(s - HERMES-IR

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英語の叙述語句の位置づけをめぐって
小倉, 敏博
一橋論叢, 92(6): 773-791
1984-12-01
Departmental Bulletin Paper
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/10086/11270
Right
Hitotsubashi University Repository
橋論叢 第92巻 第6号 (58)
倉 敏
から盛んに取り上げられているものとして、ωのような
たが、最近の生成文法理論において、またある意味合い
的構造をしていると考えられている。このような句構造
つかの形態素がまとまり、構成素︵句︶を形成し、階層
文は、ただ単に形態素︵単語︶の連鎖ではなく、いく
︵−︶p−8畠己胃言= 目 8 昌 潟 叶 雪 甘 .
︵M︶ 匡①唱og&艘ooq己老一艘ρ㎝昌=o.
a、彼はほほえんで少女を迎えた。
題を提起するので、最近のいくつかの分析を参考にして
れる。
この二つの意味に対応して㈲、ωの句構造標識が考えら
b、彼は笑みをたたえた少女を迎えた。
英語の叙述語句の取り扱いに関する問題点の整理をして
−述語 関 係 は ど の よ う に と ら え ら れ る か 、 な ど 様 々 な 問
この構文の分析は、句構造とは何か、節とは何か、主語
σ.﹄o−≡m竃旨眈8目岩go鼻.
を 挙 げることができる。
博
叙述語句︵いわゆる目的楮補語、主格補語︶を含む構文
みようとするのが、この小論の目的である。
英語の叙述語句の位置づけをめぐって
新しい理論の光をあてると、.かつて論じられていたな
じみの現象が、また再び違った色彩をはなって浮び上っ
、
を考えることによって、②のような文の多義性がうまく
^1︶
説明できることは周知の通りである。
てくるものである。伝統文法においても論議の的であっ
』
/
744
(59) 英語の叙述語句の位置づけをめぐって
PP
l l
・it・』、。i1、
(4)
造規則で生成される。
︵︸︶里−ω←乞吊く宅
ず1乞勺←︵Ug︶z︵勺勺︶
〇一く弔←く︵乞勺︶︵勺勺︶
p弔勺←勺オ弔
s
l
N
︵S11文、尾吊H名詞句、く巾“動詞句、勺勺n前置詞句、
Nn名詞、vH動詞、pll前置詞、U91−限定詞、Oは
任意選択を表わす︶
a smiie
the glrl
どのようになっているのか、また関与している構
成素にどのような統語範溝を与えるのかを確定す
ることが困難な場合に遭遇することがある。そこ
で構成素を決定する根拠が問題となる。構造言語
えが可能であるかなど、分布上の根拠に基づいて
学の直接構成素分析では、何か別の単位で置き換
いた。生成変形文法では、更に変形という操作の
もとに一単位としてふるまうかが重要な根拠にな.
る。たとえぱ、しぱしぱ指摘されることだが、英
語に動詞句を認めるかを決める際には、次のよう
な文を考慮に入れる。
Det N
with I I
形式と意味の対応関係の記述が文法理論の大きな課題で
あれぱ構成素と認定して処理すべきか迷うことになる。
えられるような場合である。構成素とは結局意味のほと
口
まりを表わしていると童言えるから、意味にまとまりが
が見出せないのだが、意味の点から考えると一単位と考
やっかいなのは、このような直接的な統語論上の根拠
︵N︶ 旨プ目ぎ奈ミ§軸“喜軸彗︷㎞ミ§&、ミ§ミ
辻−①σ顯ω一
︵ひ︶ −窒己ぎミ昌5喝窃“︸o①曽昌一葭目庄、§吻邑
A
生成文法ではこの二つの句構造標識は次のような句構
l
Pl¥
NP
greeted
/。(。
thegir1
He greeted
NP
V
〈
P NP
NP
〈
Det N
N V
lll¥
Det
N PP
He
VP
NP
VP
NP
このような観点から構文分析を進めると、階層関係が
7≠5
13)
あるが、最近のチ宮ムスキー理論は、構成素構造の決定
に、 意 味 に よ る 規 準 を 大 幅 に 持 ち 込 み 、 形 式 の 体 系 性 、
単純性を極度に追求しているように思われる。
σ一︸oσ蜆o曽目①里ω巴一〇﹃.
︵o︶里・籟omo彗︷&p︷8一・︵彼は馬鹿みたいだった︶
^2︺
σ・葭oωo旨q&p片昌昌勺g.︵彼はトランペヅト
㈲にはいかなる句構造が与えられるだろうか。一つの可
を吹いた︶
○
階層構造である句構造としてとらえてきたが、伝統文法
能性として、a,bともにωのような構造をしていると
これまで文の構造を名詞句や動詞句などの統語範醇の
および学校文法では、別の観点からの構文分析がおこな
考えられる。
構造の基本は統語範嬢の連鎖であり、主語、目的語など
名を入れ込む必要はないとした。つまり、あくまで統語
〇とω十<十〇と区別されているのだが、純粋に統語範
の観点からの文型である、いわゆる五文型ではω十<十
ジャヅケンドフ︵岩ミ︶などがとる立場である。機能
I
の関係概念ではないと考える。一応その考えに従うこと
名詞句の意味上の格関係の違いに見出せる。たとえば脇
曙の階層構造からは区別が付けられないということにな
︵oo︶甲︸o轟峯葭墨=o﹃.
にするが、いろいろと間題が出てくる。たとえぱ次の文
S
われてきている。それは文の要素を主語、述語動詞、目
的語、補語などから分析するものである。これらは統語
範曙の文中における機能の面からの分析であり、この両
者の関連づけも文法理論の課題の一つである。チ目ムス
キーなどは句構造標識が与えられれぱ、各機能はその句
構造から自動的に導き出せるものだとした。たとえぱ文
に直接支配される名詞句を主語、動詞句に支配される名
He saw
a sailor
became
{ }
NP
N V
を考えてみよう。
詞句を目的語と定義すれぱよく、句構造標識に一々機能
vp
NP
る。両者の差は、意味構造の差、すなわち動詞に対する
︶
︵
(
1o)
第6号 (60)
第92巻
一橋論叢
746
(61) 英語の叙述語句の位置づけをめぐって
の邑一冒は対象格︵o互8庄き︶、8bの色一冒は作為格
^3︶ ︵
︵厨g旨毒︶であると言えよう。しかしこの分析には問題
があると思う。確かに次のωなどは、統語構造は同じで
︶
意味構造が違う、すなわち、mの﹄o巨は動作主椿
︵晶昌庄毒︶、1bのぎ︸は道具椿︵ぎ9;昌9邑︶と言
︶ ︵
えるo
α
一・言毛−く一寮。一一
・勺冨二詐一
繋辞の9動詞や、幕8昌9唱;などの連結動詞の後に
来る要素に軍&︵11肩①2畠葦ω︶という範曉を認める。
そうするとぬと8bはそれぞれ㈲、㈹という異なった句構
︶ ︶
造標識を持つことになる。
︵ ︵
八
㎜
S
Vl囲
w
1肚
i
v
l
a sailor
︵ご︶葭こO巨毛旨&庄①30﹃.
σ一↓悪ぎくo潟冨ρ艘oまo﹁
だが㈹に関しては、胸のように数の一致の現象が見られ
ることなどからも、統語構造に差があるとすべきであろ
、つo
︵曽︶ ↓茅<σos旨o竃ま冨.
ωに関しても同様である。ともかくこの分析では㈹は同
じ構造を持つことになる。
︵ご︶p︸①σ8o昌窃p血邑oコ
σ.H−o豊岸σ8o目鶉︸o戸︵そのスーツはあな
たに似合う︶
これらに構造の違いを出す分析のうちの一つは次のよ
︵4︶
うな句構造規則を導入する。
74?
NP
became
He
l¥
l
a sailor
NP
pred
N
八
Vp
NP
oヨ
㈹
第92巻 第6号(62)
’橘論叢
範曙とは幾分性格を異にするが、繋辞や連結動詞の後に
>勺の機能ではないかという点である。確かに他の統語
問題となるのは、牢&とは統語範酵ではなく、z勺や
これについては後に触れる。一
︵ζ︶[﹀]箒s目o[ぎ閏彗一〇凸
︶
で8aとは構造が異なるとする分析もある。、
来るという分布上の規定ができ、この位置に来る名詞句
^5︶
は、数の一致を初め、他の名詞句とは違った性質を示す
ことなどから、統語論上の範蟻ないし素性と認めてよい
次に、最近間題になっているとした⋮のタイプの文の
これまでの分析を振り返ってみよう。
うことは明らかである。先に、主語や目的語は句構造か
︵−oo︶ <←<串十〇〇昌o︵−o昌o鼻︶
^6︶
え、㈹のような規則を設けて導入していた。
︶
まず1aのタイプの文から考えてみる。この構文は生成
ら自動的に決まるので句構造標識の中に書き入れなくて
8冨巨害8昌渇需算を動詞十不変化詞からなる複合動
を表わすものである。ジャッケンドフは掌&を認める
もよいとすることに触れたが、この宇&については自
詞と同じように見ていた。この見方では、8冨巨雪と
のは動作主︵>oq昌け︶という意味標識を句構造の中に認
動的に決まらないのであるから、句構造標識に何らかの
8目勺g昌けが密接な関係にあることは表わせても、﹄o巨
られていた。そこでは8昌潟箒鼻を動詞の補足部と考
形で導入すべきだと恩う。牢&を認めないと句構造の
沫8昌でg昌けという関係が含まれていることがうまく
文法において、。すでにチョムスキー︵H湯N︶で取り上げ
持つ意味が軽減し、ただ単に意味解釈をする文法になっ
たものと考えられるようになった。
基本型であり、それから89が消去されて派生され
︵6亀︶などで補文の研究が進むにつれ、hは次のωが
てしまうように思われる。
︵
は㈹のようなより抽象的な構造から変形で導かれたもの
ことも考えられる。ストウエル︵−湯N︶がするように8b
しかし牢&を認めず、しかも句構造の違いを表わす
とらえられないことになる。その後ローゼンバウム
︶
めることと同じだと言っているが、>o有彗けとは性質が違
と恩う。串&は補語としての機能とは違い、句の属性
二
748
(63)英語の叙述語句の位置づけをめぐって
あり、﹄o巨が臼Φのように動詞の目的語の位置にあるの
題となるのが㈹のようなσ竺①く①型の︵派生︶句構造で
で別々の基底構造を考えるべきであるとされる。特に問
ま冨o型、σ︶σ筈撃p8冨邑胃型、o︶ミ竃F肩黒胃型
あっても、様々な統語現象から、動詞が葭︶鳴﹃豊邑9
に言うならぱ、表層で<z勺8く勺という同じ型で
ることになったと言える程、問題の多いものだが、簡略
この㈹の構文の分析はその後の生成文法の流れを決定す
いつも機械的に消去されうるとは限らないのである。
がまず問題となる。更に鯛で示されるようにε監は
㈲∼㈱のように8茅が使われることがない文の扱い
︵ミ︶ 曽o勺巴鼻㊦ρ艘①σo宍冨p
︵8︶く昌目邑o昌o臣電<−
︵s︶ ミ①目雪昌&艘oσま㌣↓o昌.
ることにも疑問が出された。
その後1aは⑲からざ茅が消去されて出来たと考え
ところがあった。
1aに対する分析がいかになされるかは・はっきりしない
か、刎のように、埋め込み文の主語の位置にあると考え
︵蟹︶嘗.−≦彗↓旨︸自8σo?o閉巨昌庁.
︵;︶−8島δ胃旨ぎざσOOO昌勺9竃“.
るかで意見が別れるのである。
σーニミ凹鼻−O︸目、H鶉昌竃け.
^7︺
いると考える。それに対しチ冒ムスキーは、チョムスキ
に移動する変形を認め、表層では偉①のような構造をして
ポースタル︵sミ︶は、従文主語を主文の目的語の位置
︵冒︶ <[z勺ざ<勺]
︵ミ︶胃﹄oブ自=印勺勺o畠8g蜆−g勺く.
9−oケ自雪巾o撃冨す再o勺く.
︵塞︶些1﹄O巨■嘗カ勺撃易ざσO巨葭勺勺<1
㈱と㈱の対比なども挙げられる。
類似の現象として、後に触れる1bのタイプとも関連し、
︶
ー︵H暑ω︶以降一貫して、そのような変形を認めず、刎
σ.べo︸昌げ閏勺勺昌㎝巴塞勺く.
︵No︶ <2勺[8<勺]
のように分析する。そこで間題のhに関しては、ポース
タルはρΦからざσoが消去された構造であるとして、
であり、言語習得上もそれぞれ覚えなくてはならないも
ベイカー︵筍s︶によると、これらは個々の動詞の特性
︵
旨巨は目的語の位置にあると考える。チ目ムスキーの
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第6号 (64)
第92巻
一橋論叢
る型とない型では意味の違いがあることを指摘する。.8
の違いが表わせると考えられた。かつて形式を重んじる
も基底構造は異なるとして、構造の違い、ひいては意味
つまり、㈱、㈲では、表層で同じ構造をしているとして
まのない型は、対象を直接的、主観的に評価する場合
ヒル︵5蟹︶はこれらの文の構造はまったく同じであり、
のだとされる。また、ボーキン︵岩ご︶は、8σ①のあ
に使われることが多い。このようなことから1aをωに直
接的に関連付けない方がよいのではないかという流れに
ドフ︵sミ︶も同様である。第一節で述べたと同じ理由
違いは語彙的意味の違いにすぎないとした。ジャヅケン
︵
なった。
あろう。ここにも鯛のような数の一致現象などが見られ
により、やはり統語構造も違うとする分析をとるべきで
hの型の文を分析する際には、二重目的構造との違い
︵
も考慮に入れなくてはならない。次の㈱、㈲ともに二つ
るのである。
b、私は彼女を楽しい相手だと思った。
は、変形文法のとった方向は正しかったと思われる。し
を考えるであろう。統語構造に差を認めようとした点で
いう連鎖を見た時、我々は、まずどちらの構造であるか
︵亀︶−8富巨胃葦o目まgo量
︵S︶葭O邑一&昌①寧旨9昌l
かしその後の研究で、変形という操作で結びつけていた
︵竃︶ −︷昌自ρぎ﹃顯目Φ算弩庁凹巨ぎo冒勺胃巨宵l
^8︺
の構造が重なり合っているので二つの意味にとれる。
^9︺
a、彼は私に医者を呼んでくれた。
文の関連性のいくつかが疑間視されてきたわけである。
意味のわからない動詞が使われているく十2市十易勺と
b、彼は私を医者だと思った︵先生と呼んだ︶。
㈱、㈲に関しても、8ぎ消去を初め、二重目的構造を
a・私は彼女に楽しい相手を見つけてやった。
初期の生成文法では、二重目的構造は帥、例のような、
導くとされた変形は一般性を欠くために認められないと
求めなくてはならなくなった。その一つの可能性は表層
いう傾向になってきたので、二つの型の区別を別の所に
より基本的だとされた直接目的十前置詞句型から変形で
︵さ︶ −H昌目φ円旨g庁胃憂ま−箏o月、胃冨撃︷gぎ﹃’
導かれると考えられた。
︵旨︶ ︸①s=&嘗ρogo﹃︷oH昌o−
750
(65) 英語の叙述語句の位置づけをめぐって
も含めた句構造の違いとすることである。
問題点を見ておこう。それはいわゆる非人称構文か否か
最近の分析を検討する前に、呵のタイプの文の分析の
に関係する間題である。m8目については㈱のような文
が重 要 視 さ れ る 。
︵3︶ H冨冨ω窒昌叩︵δσo︶彗o亭胃s≧占目胆茅.
ふつう艘。、。はσo動詞と共起するという統語論上の
根拠およぴ意味構造の点から㈱の基底構造は㈱であると
考えられる。
︵ε[﹀]眈①竃冒§︵ざ亘§薫二葭・葺量亘
㈱に主語上昇変形が適用され㈱が派生することになる。
ω鶉貝毛潟費についてはこれでほぼうまく説明がつく
が、眈昌邑とか一。。斤などは、マシューズ︵s葛︶も指
現である。一方、たとえぱ㈱は㈱のような状況で使える
といわれる。
O﹃目目汗
︵s︶ 弓、o目ξ臣“︸昌ωミニニ8訂芭閉旨ま︷胃①
また㈹のような命令文にも使われるので、これらの主語
は基底から主語の位置に生成した方がよいと思われる。
︵#o︶ ■oo庁ケ葭o勺︸.
ざσ。の付かない閉g昌なども主語上昇変形による説明
だけでは不十分のようであり、状況によっては、㈹のよ
うな命令文に使える圭言うインフォーマントもいる。マ
シューズにとってはωも可であるとされる。
︵き︶一麸ま尋暑義量oマ﹃ぎ詩p
これは一。。斤やω昌邑との混成現象であろう。後の論
点との関係で強調しておきたいことは、竃昌ρしOO斤を
はじめ、主語上昇変形を認め難い動詞型が存在するとい
摘するように事情が異なる。
︵ω㎞︶ ↓げo㌣ωo冒■oρ﹃自目汗
うことである。次のものはその例である。
これらの動詞は統語論上は軍&を取るとしておけばよ
︵企企︶ −o,目尿早ω固p
︵全ω︶ ■冨黒窃邑o①一
︵企N︶ ︸胃﹃<o司o叶o昌冒汗
︵ωα︶ ↓ケoく−oo庁q﹃目目斤.
︵亀︶ 岸8自目象鶉岸暮oく芭H①創;旨汗
︵ωoo︶ ■−oo斥ω竃ま艘o<彗oo昌目汗
闘、㈱はそれぞれ帥、㈱とは意味が異なり、話し手が彼
らの声なり表情なりをじかに感じとっている時に使う表
751
一橋論叢 第92巻 第6号 (66)
いだろう。
次に㈲のような型に触れておく。
︵む︶匡。胃ま&8ぎ・・
この閉oσ曾は今までに見たものとは違い■付帯状況を表
わし副詞的であり、胃ユ毒が要求する零&ではない。
︵客︶ 曽①㎝8oo邑①鼻・
㈹は津&要求型と㈹の中間的なもののようである。
︵
ス目的語として分析したのである。それに従えば﹄o巨
係︶を成すため、かつてイェスペルセンはこれをネクサ
概念上言ぎ8冒潟8鼻は一つの陳述︵主語−述語関
︵菖−[8邑奉[言旦[・;呈昌凸]
︵ミ︶ −[8冨己胃□﹄o巨oo冒og旨凸]
あると分析するかである。
ているとするか、㈱のように名詞句と形容詞句の連鎖で
は﹂O巨8昌鳴冨鼻が帥のように一つの構成素を成し
た場合、どのような構造を与えることになるのか。問題
がざ監消去によらず、そのままの形で生成されるとし
さて珂の文に関する最近の分析を見てみよう。仲の文
三
8昌駕8鼻は一つの構成素を成すと考えたくなるが、そ
の形式上の支えで直接的なものはないと言えよう。たと
えぱ幽、帥、帥のように変形することはできない。
︵お︶、言巨8昌呈昌二:旨邑弩&ξ嚢・
︵㎞o︶。≦臣=8邑まニニま目8目幅雪け・
︵害︶ .−8妻巨員σ鼻−s目.け勺、oく9﹄o巨9。汗
グリーン︵6ご︶なども﹄o巨8冒潟詩鼻が一つの構成
素を成すことを証明するテストは考えられないとして、
少なくとも派生構造では名詞句と形容詞句の連鎖である
と分析した。最近でもウイリアムズ︵6o。い︶などはその
ように分析する。しかしストウエル︵6o。ゴ筍o。い︶、サフ
71︵−湯ω︶、チ目ムスキー︵一湯−︶などは一構成素説
をとる。そこで、そう分析することの利点、間題点など
を検討してみよう。
ストウエル、サファーは一応形式上の支えを見出そう
としているが、これも直接的なものではない。次の㈲が
間題の文である。
︵3︶ 峯o・雰畠彗oqqきo暮甘−、o喀×一、甘g旨。
乱9曽匡O自艘算艘Φ胆ρO凹旨勺凹揖目峯鶴︷窃釘目&
“o印くo−p
752
(67) 英語の叙述語句の位置づけをめぐって
これはすでにイェスペルセン︵宅さ︶が、主語、述語位
置に現われるネクサスがあると指摘していたことである。
^10︶
主語位置に現われるものは通常構成素であるから、胸の
婁o寿胃閉彗唱く昌o算艘①遍×も一構成素と考えられる。
念︶
旨巨8易巨O易〇一彗竃という形式をしていると考える。
この原則により㈱のような分析は認められないことにな
︵3︶旨;
一
ω−二δo=ωσ
めないインフォーマントもおり、あまり強い根拠にはな
る。この原則は純粋に形式上の証拠、つまり交換可能性
岸−昌勺o留旨5艘津ω
らないように思われる。
や、ある変形のもとで一単位としてふるまうかどうかに
すると1aの旨∼8昌電冨鼻も一構成素を成すと考え
︵
ることができるはずだという論理である。しかし㈱を認
チョムスキー︵一湯H︶は別の観点から一構成素説をと
よって句構造を決定するのではなく、概念上の考慮を優
が付かないと考えたのであろう。このような考え方は、
る。最近のチ目ムスキーは辞薔部門で規定される下位範
晶竃甘や唱ま呉など、どのような主題役割を付与する
文文法で決まる意味関係が規定される論理形式というレ
先させてしまっており大いに問題であるが、緒局このよ
かの規定︶はD構造からS構造、論理形式に至るまです
ペルを重視し、それを統語構造と直接的に結びつけよう
酵化︵動詞が乞勺やSなど、どのような範酵を補部とし
べて同じ形式が投射されるという投射の原則︵勺亘8−
とするところからきており、イェスペルセンのネクサス
うな原則を導入しないと、統語論上の証拠だけでは決着
艘昌勺ユ昌︷o︶とθ規準︵や邑8ユg︶を打ち出して
の考え方とだいぶ似ていると言えよう。しかし論理構造
て取る・かの規定︶と主題役割付与︵動詞の要求する項に、
いる。この考え方に従えぱ、8篶巨害は名詞句か節︵陳
^ μ ︺
^u︺ ^皿︺ ^13︶
述︶を取ると考えられるので論理形式にいたるまで
﹄〇一旨8旨勺g①巨が一つの節であるという形式が与えら
カ5とすぺきカ決定する際にその点を認めている。
6
、b 、
と実際の統語構造はそれほどきれいに対応するものでは
︶
ない。チ冒ムスキー自身副のような文を5aと分析すべき
5
︶ ︵
れなくては都合が悪いのである。㈱のb∼︷はすべて
753
oqoσ印
一橘論叢第92巻第6号(68)
明し、彼の理論を強化する。
︵竃︶ 。ミチ算﹄oブ目8冨己①﹃蜆⋮㎝田⋮ざσo−oo=31
︵寒︶ 旨すコ冨oq胃ま里=竃︷oo=讐.
︵竃︶ 里.旨す自篶oq胃ま里冒葭ω[z勺δo=蜆己
㈱ 格を持たない音形を持つ名詞句を含む文は非文と
する。
^比︺
. σ.旨プ箏篶o員胃穿[里=富申oo=ω己
概念上は易o貝胃oも陳述を取るとして恥の分析がよいと
㈲は多義文である。
さてチ罰ムスキーの考え方には問題があるとしても、
︵︶ ︶
可能だと思われる6b,6cが受け入れにくいことは説明で
FO EJ
︵ ︵
きないとしている。
︵s︶ −σo−Φく&﹄o︸■8σo﹃.
5
︶ ︵
恩われる。実際脇はそれを支持するが、節構造であれぱ
︵塞︶串−篶oq胃o岸鶉oσ三〇ε旨黒プ〇三二三目.
b、私はしらふでジョンを信じた。
a、私はしらふの時のジ目ンを信じた。
C、私はジ目ンがしらふだと信じた。
意味の面からサファーが指摘している事実は興味深い。
oo目巨自冒①毛岸げo冒﹃o饒oユω一
σ−∼。−冨oq彗o;胃①竃げo巨o員冒凹目く﹃墨8舅8
〇.∼.−冨o口胃oざo昌自g富︸葦−目oqσ①彗昌固ま
はおもしろいものだが、いろいろな難点に突き当ること
このように先の原則は、構文分析の際の作業仮説として
︵αo︶印.−[く弔[く叉σo=oく①ρ﹄oブ目[勺宛O㎝〇一︺o凸]]
意味は㈹のそれぞれの構造の違いだと考えられる。
名詞句と節を取るとすると説明がつく。㈱のそれぞれの
この多義性の一面は、チ目ムスキーのようにσ竺婁Φは
は予想がつく。
一︺lH[く弔[く■σ色訂くoo﹄oケ目][勺射O㎝oσ①凸]
o︷巨赤︷芭−目﹃〇一
チョムスキーは更に、論理上一単位としたものが、形
oI−[く市[く弔二①=睾&口oま8σ害]]]
^〃︺
の外に起こりえないことで決定される。
がbに対応する意味しか持たず、aのωoσ9がま8
aとbの差はチ目ムスキー理論では説明されないが、㈹
式上は一単位としてふるまっていないように恩われる㈲
などは、実は里=に文法上の椿が与えられないからそ
のような位置に現われないに過ぎず、一単位でないこと
の反例にはならないことを㈱のような楕理論を立てて説
754
(69) 英語の叙述語句の位置づけをめぐって
で信じた︶
︵私は酔ってジョンを信じたが、ビルはしらふ
︵9︶−乏雪&﹄oぎ旨冒ダσ鼻雲;巨8ωoσg.
どのような統語範醸を与えるかという間題が残っている。
︶
1aの﹄o巨8昌潟8鼻が一構成素だとしてもそれに
︵寒︶ −津①艘①目撃庁冨峯.
されなくてはならない。それも可能であると思うが、句
と、a,b,cの違いは句構造以外の別の観点から説明
器]二>Ω勾︶]︵OO峯勺“補文標識、>Ω宛11人称、
ヲω←之勺−乞勺■<乍峯ぎ8−4勺■11[[1+↓昌−
︵①︸︶顯1ω←OO峯勺ω
最近のチ目ムスキーは節ないし文を㈱のように分析する。
構造での説明ほどエレガントにはいかないであろう。ハ
数、性の素性の束︶
Cの読みに対する旨麦8げ害を一構成素でないとする
リデー︵SS︶が説明している㈱、㈱における意味の違
そして8舅巨胃の取る要素は小節︵ω昌凹二〇一彗竃︶すな
一テー五壁
造であると考える。㈱のようなものであると恩われる。
わち2句■も繋辞も持たない、最大範轡Sでない節構
いも句構造の違いで説 明 で き る と 思 う 。
︵g︶凹.︸o︷昌邑ぎ﹃冒o昌閉9o易・︵彼が彼女を見つ
^磐
けた時、彼女は意識不明だった︶
σ・︸o︷o冒ρ幕・ρ青害巨<o・︵彼は彼女が魅カ的
だと思った︶
上の規則性も表わせればよいわけだが、チ目ムスキーは
さて旨巨8目勺9⑦鼻を一単位とみることで統語論
彼の理論上そういう規則性があるとする。それは㈱のよ
︵a︶ ωすo昌顯o①艘〇一gξ墨庁.
b、彼女は︵お湯をついで︶お茶を薄くした。
うな文の非文法性が彼の統率・東縛理論の中で原理上説
a、彼女はお茶を薄くいれた。
それぞれbの方が、一構成素を成す構造である。これら
明されるという点である。.
。旨ブ目8畠巨害閉8昌潟訂鼻︶
︵αN︶ “﹄oケ目 oo■ω巨o鶉[ω 勺宛O oo昌勺9①目凸︵−−←
の事実に関する隈り1aの旨ぎ8昌鳴蒜算は一単位だ
︵
㈱は別の構造であることがはっきりするのだ。
とした方がよいように思う。そうすることにより、1aと
一19︺ ︵
755
一橘論叢 第92巻 第6号 (70)
て問題になることは、いわゆる意味上の主語を表わす、
ここでは統率・束縛理論には立ち入らないが、㈹に関し
わすために㈹のような規則を導入する。
とらえようとするものである。そして共通の階層性を表
一X理論は2乍<勺・>勺など各統語範酵間の共通性を
皿
一U一︶︵←︶︵:一
︵NH︶固−×←[ω、8o︷渕]凶
^20︺
音形を持たない代名詞的要素勺射Oは、彼の理論では統
る補文が最大範酵SではなくSであるとすると、勺宛O
率されてはならないという定理があり、8冨邑呂が取
にも問題があるとしている。
︵ご︶ −o巨自冨巨ω窃蟹①o由樗.
︵曽︶ −oケ目.閉冨∼竃−o︷艘①o夢﹃
チ目ムスキー︵筍No︶は㈲と㈲の対応関係がそれほど一
︵g ︶ ↓ ま < 8 篶 巨 ⑦ ﹃ 口 o 庁 目 “ ︸ ① 茅 黒 o 彗 o 昌 g o ]
そのために彼は、Nの指定辞︵ぜ8;胃︶にあたるもの
は8冨巨gによって統率されてしまい、定理に反する
︵s︶ 。↓ぎく窄良冒口o︸目艘①σo蜆庁o竃隻og①]
を主語とみることで、−O巨目、血は篶∼墨一〇︸艘OO饒胃の
ので非文となるということである。
㈱、㈱で見られるように下位範酵化の違いがうまく説明
主語であるという関係を表わし、㈲との共通性を示そう
接生成する立場をとった。
できないというのだ。動詞が小節Sを取るとしただけで
とした。主語−述語の関係を文だけでなく名詞句内にも
般的でないとして、㈲を㈲から変形で導かず、基底で直
は2市之勺という連鎖が可か不可かわからない。そこ
認めたために、あらゆる句が主語を持つとする可能性を
しかしチ目ムスキーはこの補文を小節Sとみる考え方
が考えられたのがストウエルによる㈹のような構造であ
開き、更にそれを押し進め文自体が一Xの式型でVなり
はその指定辞だとみる文の体系性を重視する見方が出
るo
これは奇妙な分析である。8竃巨胃が形容詞句をとる
てきたのだ。ストウェルは文の構造をωのようなものと
舅勺■の最大投射としての内心構造であり、主語のオ勺
という下位範鴎化があることになる。この分析は一X理論
してとらえる。
︵き︶ −8冨δ胃[毫﹄oプ目[>す岩勺<]]
と関係がある。
756
(71)英語の叙述謂句の位置づけをめぐって
︵ミ︶ [川オ巾[H−乞︸■1<勺]]
このようにして指定辞の位置にあるものが主語であると
一義的にとらえられるため、㈹のように分析すれぱ形容
はならないことになる。更にチ目ムスキーは小節Sも㈲、
㈹のような場合に認めているのだ。
︵、α︶ −oチ目[τ津けブo﹃oo昌][ω勺射Oo昌Oけ<]
そして㈹のような形容詞句が動詞や前置詞の目的の位置
の弱さを露呈する。長谷川︵H凄ω︶でも指摘されている
㈹、㈲はチヨムスキーの勺射Oの生起環境指定理論
︵NN︶ −oブ目口o津けサo﹃oo昌][蜆勺内O曽目晒﹃く]
にしか現われないことはチ目ムスキーの格理論で説明す
ように、㈹、㈹は3竃テストから、それぞれ先に見
詞句 の 中 で 旨 巨 が 主 語 で あ る こ と が 示 せ る の で あ る 。
るのだ。統率の定義のし方の違いなどからストウエルは
た舳、舳に対応する構造をしていると思われる。すると
っている句にのみ勺射O主語は現われないとした場合
う。ストウェルも考えたように動詞の下位範曉化に関わ
㈹の勺宛○は動詞に統率されて非文を予測させてしま
>勺、勺市などを自由に統率を許す範畷とみているが、チ
目ムスキーは最大範曉は統率を許さないと考えるため㈹
の>勺は最大範酵ではないとして>.という記号で示
すなど、紬部においては相違が見られるが、いずれにせ
ともかくこのように分析すると下位範酵化ははっきり
二つの主語を持つ名詞句の内部構造がよくわからない。
︵鶉︶ ﹄oブ目8畠竃⑭冨[弓田−自[老勺︸〇一︺.㎝巨昌凸
㈲の①昌官き㈱のすo庁、㈹の﹃&はともに省略可能で、
︵s︶ 旨ブ目勺巴鼻⑭o艘⑭σox﹃&.
︵N0o︶ ︸o巴毫陣k㎜串巨家8串g︸o庁.
るわけではないという点である。
には次の点を指摘しなけれぱならない。つまり最少の動
と規定できるという利点はある。8寡δ雪は>勺も
動詞の下位範曉化には関与していないと思われるが、句
よこのような句構造は問魑である。特に、ウイリアムズ
2巾も取るが、肩o︷昌は老勺を取らないということが
構造上は38テストから最少の動詞句に支配されて
詞句に支配されている要素がすぺて下位範曙化に関与す
辞書に指定できる。しかし論理形式で、>5勺勺もS
いることがわかる。ストウエルは㈱と㈲を別構造と考え
︵H湯ω︶も指摘しているが、㈲のような場合が間題となる。
の他に陳述︵圭語−述語関係︶を表わすと規定しなくて
75?
一橋論叢第92巻第6号(ア2)
^21︺
ているようだが、統語論上は同じ構造とみなしてよいと
一︶
田甘う。
1bのタィプの文の分析に関連するが、ストウェルにと
︵
って㈱のようなもの が 一 番 間 題 に な る と 思 う 。
ても統語論上は構成素を成すとは限らないと考える。節
を基本的と考えるチ目ムスキーに対して、彼は主語−述
語関係を基本とし、節はその一つの具現化にすぎないと
する。この考え方は傾聴に値するものだと思うが、実際
構造に従って主語と述語に同じ指標を与えていく。1aタ
の分析はそれほど鮮やかなものではないと思う。彼は句
酬のような構造は許されないとするわけだから、主語上
イプの文には㈱のような指標が与えられることになる。
︵ooo︶ H︸牡ま巴﹃−8家色晶陣目庁・
昇変形で扱うしかないことになる。
︵。。ω︶言ぎ二8屋幕易一局一ε毫二眈薫]毫㌧]く雲
句構造を見ただけで何が述語であるかが自動的に決まれ
︵o.H︶ H︸津昌巴﹃一〇〇訂[勺射09晶葭葦]
ストウエルは鯛も主語上昇変形で導くと考えている。
これらを変形で導くことの問題点は第二節で触れたとお
一︺一毫く弔︸
︵oo令︶智−亀弓
は同じ指標を与えるように指示をしておく。
ばすっきりした記述ができるであろう。幽の斜字体の句
りである。また第一節の岬のような分析もしているが、
o.毫一︺①︸
︵o.M︶ 言︸■︷鶉−蜆85’
そのように分析しなけれぱならない統語論上の根拠は弱
しかし述語が動詞句の中にある場合で、またそれが名詞
いように思う。すべて㈹との差を出すための操作である。
句の場合は、目的語なのか述語なのか、句構造で差を出
^ 2 2 ︶
以上から理解されるように、一構成素説は意味の区別
していないのでわからず、結局は動詞が、どれが述語な
が句構造標識に反映され魅カあるものだが、その統語範
な零&という統語範樽︵素性︶を認めているのと同じ
のかの指示を出すとしている。これは第一節で見たよう
^23︺
に検討してみよう。
ことになると思う。指票付与にはいろいろと難点がある
る。以下では一構成素とみない理論のうちの一つを簡単
酵およぴ勺内Oの生起環境指定には問題があると言え
ウイリアムズ︵H凄9H湯い︶は意味にまとまりがあっ
758
(73) 英語の叙述語句の位置づけをめぐって
ような句構造と指標が与えられるはずである。
意味の違いは、句構造の違いから来るものでも、指標の
性の分析であろう。ウイリアムズにとって㈲のaとCの
が、一構成素説との説明の違いは、先に触れた㈱の多義
小節構造と考えておく。
以上の考察から、私は一応、問題の連鎖は㈱のような
思う。
結果を表わす小節を取るとした方がうまく記述できると
これらは下位範酵化や選択制隈を破るような例であり、
句構造に現われないのはどうも不自然な気がする。彼の
与えるか否かという意味構造の違いになる。この違いが
のようなものだろう。おもしろいことに、意味を重視す
て行われなくてはならない。句構造は意味と形式の接点
文法記述は形式的側面と意味的側面のバランスをとっ
︵o.o。︶ω←2勺
責麦−璽
与え方の違いによるものでもないだろう。どちらも鯛の
︵。。伽︶ポ[置雪昼口o麦]乞∼[ωoσ①凸毫−く雲
意味の差はσ竺①きが取る項︵胃oq目昌o鼻︶の違いで説
明されることになろう。旨ぎがσ①豪きの項である時
主−述の指標付与は、命題を表わす主語−述語関係と、
ることは句構造の内容を豊宮にすることもあるし、貧弱
がaの意味になる。つまりσ2睾①が言一旨に主題樒を
ただ叙述的な場合との区別をつけないことも気になる。
にすることもある。句構造を意味を表わすレベルと結ぴ
つけるか、それとは独立したものとみなすか両方考えら
一構成素説の方が分があるようだ。
最後に、’ビエール︵H湯N︶が指摘する㈱、帥などに
れるからだ。そもそもは一X理論による体系性を重視し、
σ1串Φρ﹃ρ目斤す−昌mo;蜆oコ蜆o−o覇.
う。句構造は単純な形式だけを表わすとする解釈文法が
り、様々な方向に可能性が広がったとみることもできよ
軍&は意味機能を表わすものとして排除したことによ
触れておく。
︵OON︶顯.葭〇一彗Oq巨巨昌器;m一〇汗
登場する。チ目ムスキーの立場は屈折していて、意味を
︵o。ひ︶甲↓ま<守彗斤巨昌目目o①﹃艘o冨巨o.
σ.↓幕豊g竃8一彗oq罧“−−o彗8鶉o串;og晶ρ
759
一橋論撞 第92巻 第6号 (74)
重視し句構造と結ぴつけることにより句構造の体系性を
追求し、すぺての句には主語があるとするストウエルの
説を受け入れた感がある。あまりに一X理論を重視するこ
とは差し控えたい。形式を重視しつつ意味の差が表わせ
ある。
︵2︶ 特にアメリカ英語では蜆o;らの補語に名詞句を認め
︵3︶ フィルモア︵−まoo︶の用語を使った。ジャヅヶンドフ
ないことが多い。この例文はマシューズ︵もo。−︶より。
は5昌巨饒8匡o冨一[o8斤一昌という表示をする。
るようなものとして句構造というレベルを考えたい。問
︵5︶ たとえぱフィルモア︵H漂oo︶は⋮のように普通なら形
︵4︶ チ目ムスキー︵5a︶はほぼこのような分析をした。
しない。
︵15︶ cとeの意味の違いをどのように表わすのかはっきり
割は一つの項にのみ与えられるとするもの。
︵14︶ 動詞の取る項は必ず一つの主題役割を担い、各主魍役
︵13︶ 意味表示のレペル。
︵12︶ 移動変形を受けた後のレペルで痕跡︵胃凹8︶を含む。
決るレベル。
︵11︶ 移動変形を受ける前の構造で、主題役割︵軸−邑o︶が
ている。
いるが、サファー、ストウエル共に動詞はgに限るとし
︵10︶ イェスペルセンは動詞が昌票oである場合も挙げて
︵9︶ 例文はクワーク他︵6S︶より。
︵8︶ もちろん動詞の意味も異っていると言えよう。
︵7︶ 以下*は非文を表わす。
︵6︶ ヴィヅサー︵岩No︶も同様な分析をする。
︵−︶ 言チ目げo巨冨ρ目巳一g−
容詞が受けるような修飾を受けることがある点を指摘する。
題の構造に関しては今までに論議されていることからは
一構成素とみた方がよいように思われるが、句構造の限
界ということも新たな観点から考える必要があろう。た
とえぱマシューズが指摘するように8易邑害と8昌潟−
冨鼻の間にも依存関係が存在するのであり、先に触れ
たようにチ冒ムスキー自身もかつてそう分析していたし、
今でも“昌oqげ構文との関係でそのような分析の可能性
を示唆している。また、線上につながっている8島δ實
と旨;の間にも何らかの関係はあるだろう。同時に
おこる依存関係は句構造では表わせないのだ。
以上、英語の叙述語句の位置づけをめぐって最近の研
あるように恩われる。
究を検討したが、雫&という範鴫ないし素性は必要で
︵1︶ 句構造には多義性の説明だけでなく、その階層性に塞
づいて代名詞と先行詞の関係などを規定できる重要な面も
160
〈75)英語の叙述語句の位置づけをめぐって
︵16︶ ↓冨器︵昌>Ω射︶に統率︵oqoき;︶されていると;昌−
率されていると〇一︺−旦亮になる。
一量匡く9他動詞に統率されているとo旦8匡き、前置詞に統
︵〃︶ 旨8の外に出られないものは最少の動詞句く、に
支配されている。
︵23︶ 述語と指定されたものは意味上の概念である主題
︵−︶ ﹄o,目[く、[剣吹凹き里昌]串σ8斥]
︵H−o昌Φ︶が主語になると説明している。
引用文献
田些斥o♪OI■.︵一0N0︶ .、ω︸自け印o広o↓すoo﹃㌣印■O叶ブo勺﹃O︺oo−
ユo自勺旨巨o夕=トぎ昧ミ︸ミo−ミミミ一<o−.;一岩9や
︵18︶ ハリデーは触れていないがこの文にも﹁彼女が意識不
明だとわかった﹂という意味もあるだろう。
き雨ミぎ§旬式︸§ミミ黒ミミ軸県き耐oミo嚢トぎ軸ミ急膏
○旨o∋芽ぎ2.︵6亀︶身ミsoミo吻ミ§ミ§■富o巨o目.
■oH匡p>1︵5ご︶:Hob軸顯目ρ2o甘Hob“..、怠ミ閉、o§
値
センは旨o目墨け量峯もネクサス目的語としているとこ
⑰§㌣亨 −
勺冨詔.
︵筍3︶﹂魯§旨県§“Hぎoミ呉身ミ§一呂H↓
︵20︶ ﹁AがBを統率する﹂の定義。
︵19︶ ㈱は0bに当る構造をしていると思う。なおイエスペル
ろがチ目ムスキーと違う。
ω >1−×o︵“語彙範曉、N,Y,A,P︶
︵岩ご︶、O昌2匡昌眈o目H冨冨ざ﹃昌筈昌9、ぎω−
㈹ AがBをc−統御している。
㈹ Bを支配する任意の最大範崎︵ω一Z■く’>弔の
盲、ミミミ㎞き§一︸o−戸内−目o巨胃戸顯目創ミ巨卑o目.
宛−>邑O易昌竃O乍5勺胃ω専︵&叩.︶一﹄、蔓9ミS
︵H湯−︶卜s“ミ葛§osミミ§§、§軋向き“§恥
支配している。
﹁AがBをcI統御している﹂の定義。
句−昌H目o﹃ρO‘−︵Hoαoo︶ ..↓ケoO豊o︷o﹃O串蜆9、−■向.田里o斥
句oユ㎜.
ように同一タイプの句のうちで最大のもの︶はAをも
AはBを支配せず、Aを支配する最初の︵枝分かれ︶節
ζ素ミ冬§ζ己き邑け㌣o︸昌一;庁勺篶萎 ・
凹目o勾﹃雪oF、ヲ田.穴凹g昌g閏−.︵o穿1︶一5婁亀ぎ
○冨彗一Ω.︵岩ご︶=>ωく旨雪o庄oω︸昌冨巨餉−自ぎ向自oq豪サ
↓ぎoミ一=o5昏目g嘗一顯目oミ序黒op
顯目o卸弓.葭胃昌蜆︵&血.︶一qミざミ竃亭ぎトぎ軸ミ︸ミo
点がBを支配する。
.1長谷川︵宅ooω︶より
︵21︶ もちろん意味の関係の違いを規定する規則は必要にな
る。
︵22︶ 二重目的構造の分析の一つとしてチ目ムスキーはωの
ようなものを考えている。
761
第6号 (ア6)
橋論叢第92巻
、sミ 向書∼、︸︸“■ ]﹁o自oqH1葭目■
−soミ︷ミー <o− 一ω.岩o. 企.
内∼誌﹃9 ρ ︵乞o0N︶ ..O亘oo江o目葭匡o O互o99、卜軋秦ミ汀まo
雷凹昌;ξ一芦>1穴.︵5s︶、乞o冨昌H量富曇くξ嘗o
H臣目巴昌向目管貴霊ユー一、㌧§ミミ県トぎ寒蔓雲一<o−1
肉O眈昌σ彗員句‘ω1︵SS︶§耐O§§§ミO、向ミ、婁
ω一老oI−1
長谷川欣佑︵5o。︺︶﹁文法の枠組 統語理論の諸間題﹂
、ミ§§討9§意§§、oo§ミ§ぎ姜一旨胃串8蜆1
︵H 湯 一 ︶ 身 ミ § Ω 冒 巨 品 o d 邑 く . 雲 鶉 蜆 −
cミ蚤■昌胴昌昌1
︵一橋大学講師︶
、ミミ§<O−﹂ナ20.ド
︵Hoooω︶ 、>Oq巴目9 ω昌﹄− O−葭自餉o♂、 卜軌秦S涼ぎo
<o−. HH’ H4o■ −■
書旨昌一y向.︵H湯o︶、串&一〇筈冒一、皇棄ミ向ミーミミ§
“甘㎞、 トーss軸ミ素雨. 勺胃叶 −一 向. ﹄■ −w−。昌−.
<一蜆器♪司.掌.︵δNo︶き串︸冬ミミ身ミ§呉§向秦・
陀s︸︸“︸o 完雨e︸“§一 くo− N一H4o. い■
−︵一轟ω︶、望98房ぎ8窒09oO筥O・一畠一二﹃ぎζ亭
旨mげoo 弔旨. −︶1 o⋮蜆岨0H叶芭片−o目− 旨−−.一﹁−
望o書戸■︵H湯−︶ミ電s︸県、ミs竃⑦ミ§§§冒唱σ−
卜“秦ミ罫ミo−宮岨s︸ミ■くo−−ナ岩ρ牡−
ω凹由一 宍一︵Hoooω︶:O目 ω冒顯昌 05自器叩 顯餉 Oo目蜆匡口﹄o目藪一、
﹃言語﹄五月号∼十月号
雪目一>.>.︵5蟹︶§き軋§きsδトき寒這膏9、§§§一
︸胃8膏一︸冨8.
言艮o邑o戸戸︵6ミ︶k専s、§..﹂吻§曇呉、ミ婁雨
吻ミ§§§一買−↓市富窒1
<. ︵︸oo﹃oqo >昌o目 津 c目老−目.
−鶉弓鶉器タ〇一︵島与o︶﹄ミo、ミs向s曳︸急O§§§ミ、市胃“
峯里けけげo≦蜆” 弔■ ︸■︵−oN岨︶ ..Oo日口勺−o宍−目け﹃凹目蜆−片−くoOO目蜆け﹃1o.
庄昌y.,ぎω.o屋昌σ彗3ρ58巨昌︷﹄1ω畠鼻く寿
吊o黒具巾.冬.︵乞ミ︶§嚢︸︸札§宝胃串婁I
︵巴・.︶一9ミ雲§向轟募“ご轟ミ冬婁盲・完§き膏“
○邑員戸ミミ︵&蜆.︶︵一〇s︶﹂o§§§ミ呉9§ミo−
762