よいニュース:ワシントンがシリア平和計画から締め出さ れる

よいニュース:ワシントンがシリア平和計画から締め出さ
れる
【訳者注】ロン・ポールは、元テキサス州選出共和党下院議員、反体制の論客である。この
簡潔な、さらりと言ってのけた文章に、我々が共有する、言いたいことのすべてが込められ
ている。我々には共通の認識であり、常識であっても、新聞やテレビしか見ない人々にとっ
ては、これはとんでもない見解であろう。それはマスメディアが、この期に及んでなおも、
アメリカは世界の警察という観点をくずしていないからである。現実は正反対で、米政府こ
そ世界で最も悪質な犯罪者集団であった。この醜悪な実体を、自他に対して警察と見せかけ
るためには「アメリカ例外思想」(American Exceptionalism)という、悪党の哲学が必要
だった。今、その長年の虚構がついに暴かれるようになり、何とかそこから人の目をそらそ
うとして、あらゆる醜態を演じているのが、現在のアメリカである。なお、ロン・ポールは
特に指摘していないが、彼らが最も大衆の目を塞ぎたいのは、
「ピザゲイト」スキャンダル
で明るみに出た、彼らのサタン的本質のはずである。
(これは本質であってゴシップではな
い。)
Ron Paul
January 3, 2017, Information Clearing House
アメリカの主流メディアが、先週、虚報
だったロシアの米選挙ハッキングと、オ
バマ大統領の報復としての、ロシア制裁
の最終ラウンドに取り付かれている間
に、ある非常に重大なことが、メディア
のレーダーの下で起こっていた。
先月、ロシアとイランとトルコの各外相
の間で行われた会合の結果として、シリアの停戦が合意され、現在、実行に移されつつある。
これまでのところ、それは有効のようであり、6 年近くの恐ろしい戦争の後、シリアの人々
は、やっと彼らの生活を立て直す可能性を手にした。
今度のこの停戦に限って重要なことは何か?
それはこの停戦が、アメリカ合衆国政府を
抜きにして、計画され、合意され、実行されていることである。これら 3 国が彼ら独自に、
シリアのために解決を求めるようにさせたのは何だったのか?
それはワシントンが、彼
らの“穏健派”をテロリスト・グループから引き離すことに固執し、シリアの政権交代をあ
くまで主張することに対する、彼らの欲求不満であった。彼らはまた、シリア政府とともに
野党の多くをもこの合意に参加させたが、これは米政府がずっと反対してきたことである。
我々はこれまで、ネオコンや“人道主義的介入主義者”たちから、アメリカは、世界のあら
ゆる危機において中心的な役割を果たさねばならない、そうしなければ何も解決しない、と
聞かされてきた。我々は“不可欠な国家”なのだ、だから我々の介入がなければ世界は崩壊
する、と彼らは言う。我々の信頼は明らかなのだから、我々が進んで出なければ、誰もそん
なことをする者はいない、と彼らは主張する。これがすべてウソであることは、先週、我々
が見た通りである。
実情を言えば、世界の危機を永続化しているのは、それを“解決する”と言って割って入る
アメリカである。北朝鮮と南朝鮮の間の、60 年以上に及ぶ戦争状態を考えてみればよい。
アメリカの介入が問題の解決に何か貢献しただろうか?
エル‐パレスチナ紛争への干渉についてはどうか?
何十年ものアメリカの、イスラ
我々が賄賂や介入に費やした何十億
ドルというカネにもかかわらず、我々はイスラエル人とパレスチナ人との和平に、少しでも
近づいただろうか?
他国同士の問題に介入しないからといって、海外でのアメリカの信用に傷がつくなどとい
うことはない。海外でのアメリカの信用を傷つけているのは、その内政干渉、爆撃、ドロー
ン攻撃、それに“政権交代”である。アメリカがシリアの主権に干渉したことによって、戦
争が長引いている。シリア軍とロシア軍が、東アレッポを、アルカーイダによる 4 年間もの
包囲から解放していたとき、オバマ政権は停戦を要求していた。シリア人たちが東アレッポ
のわが家に戻り始めると、米国務省は、ロシア軍とシリア政府が、市民たちを楽しみのため
に殺戮していたのだ、と言い続けた。[そしてマスメディアはその通りに報じた。
]
そこで――すべてのメディアの注意が一斉に、証拠もないロシアのハッキングと、オバマ大
統領の、いかにもやりそうな、しかし無意味な復讐(ロシア外交官の国外追放)へと向けら
れた。なぜか? 主流メディアは、ワシントンの介入主義者の命じた通りを行い、彼らは、
シリアの長い悪夢の終わりの始まりになりそうな事件から、注意をそらせようと必死にな
のだ。彼らは、アメリカが中心になって地球的警察官などやらなくても、世界の残りの者た
ちは自分たちで問題を解決できることを、アメリカ国民に知られたくないのである。海外の
危機を解決するのに、我々が割って入る必要がないことが、ついに理解されたときには、ネ
オコンたちは敗北する。早くそうなることを希望しようではないか!