団塊商戦再び、舞台はデジタル

特集 | Feature
団塊商戦再び、舞台はデジタル
2000万人のデジタルシニア、年平均19万円のネット消費を狙え
パソコンに強い団塊世代が65歳を超えた今、シニア世代のネット消費が活性化している。
若年層を大きく上回るネット消費を取り込めるかは、ほんの一工夫で決まる。(小林 直樹)
(%)
76.6
73.9
71.6
シニア世代の
インターネット利用率の推移
71.8
70.1
63.4
68.9
60 ∼ 64歳
で20ポイント以上伸びて半数に達し
62.7
60.9
58.0
ようとしている。
57.0
総務省統計局の年齢別人口から推
48.9
48.7
65 ∼ 69歳
万人、70代は680万人、すなわちデ
42.6
39.2
37.6
計すると60代のネット利用者は1340
ジタルシニアは計2000万人を超える
計算だ。シニアと聞いて「デジタル
32.9
70代
27.7
2008年末
デバイド」という言葉や、パソコン・
出所:総務省「通信利用動向調査」
2009年末
2010年末
2011年末
2012年末
モバイル端末の操作に四苦八苦する
2013年末
姿を思い浮かべているなら、その認
識は改めた方がいいだろう。
ニア層向けのマーケテ
ショックが追い打ちをかけた。
「日経MJ」が2014年9月末、全国
ィングと聞くと、もし
それから6年余り。2015年は団塊
の男女約1万1500人を対象に実施し
かしたら苦い思い出が
の世代全員が65歳を超え、大半が会
た「第3回ネットライフ1万人調査」
蘇ってくる人もいるかもしれない。
社からも離れる。リーマンショック
で、
「インターネット上の情報を有効
1 9 4 7∼4 9年生まれの団塊の世代が
で痛んだ資産はアベノミクスで回復
に活用できていると思う」という設
60歳定年を迎えようとしていた7年
した。今こそリベンジ戦を挑むとき
問に対しては、6 0代以上は「思う」
前、シニア市場が急拡大すると期待
である。
1 2 . 3%、
「どちらかというと思う」
され、この世代が手にする総額約80
ではシニア市場をどのように開拓
51.7%と、ほぼ3人に2人がネット活
兆円とも言われる退職金をめぐって
していくか。
用に自信を持っているとの結果が出
各業界が色めき立った。
総務省が毎年公表している「通信
ている。せっかくシニア層が有用な
だがそれらの期待は総じて空振り
利用動向調査」の年齢層別インター
情報を探しにくるのだから、受け皿
に終わった。65歳まで雇用を継続す
ネット利用率を見ると、2013年末時
となるサイトを用意しない手はない
る企業が多く、退職であり余る時間
点で60∼64歳は76.6%、団塊の世代
だろう。
を趣味に費やす時間消費型ビジネス
も一部加わった同年末の6 5∼6 9歳
市場としてのシニア層の魅力は、
は当てが外れた。
「消えた年金記録」
は前年の6 2 . 7%から6 8 . 9%へとジ
身も蓋もない話だがやはり 財布の厚
が問題化し、2008年秋にはリーマン
ャンプアップした。7 0代もこの5年
み である。
シ
パソコンからの月間ネット接触時間(2014年10月)
出所:ヴァリューズ
5時間未満
20.9
60代
8.7
28.0
全体
0
12.3
16.4
9.8
20
18.8
12.9
15.5
40
9.9
16.3
60
5時間以上10時間未満
12.9
7.7
10時間以上20時間未満
20時間以上40時間未満
9.8
40時間以上80時間未満
100 %
80
80時間以上120時間未満
120時間以上
検索連動型広告の月間クリック回数(2014年10月)
27.7
60代
9.5
11.3
9.1
15.0
19.9
0回
7.5
1回
2∼3回
全体
39.1
0
20
12.2
40
13.9
60
8.3
11.5
80
11.8
3.2
100 %
4∼5回
6∼10回
11∼30回
31回∼
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