【盾をやるなら】盾キチ・ハンパネー!【あのお方に聞け】

【盾をやるなら】盾キチ・ハンパネー!【あのお方に聞け】
タテキチ
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︻小説タイトル︼
︻盾をやるなら︼盾キチ・ハンパネー!︻あのお方に聞け︼
︻Nコード︼
N1097CK
︻作者名︼
タテキチ
︻あらすじ︼
※今日から時間ある所見つけて一話から書き直していきます。
※※今日っていつだよwww 12月22日からですね。
ONLINE﹄のプレイ
これは、後に﹃盾の基地外﹄と呼ばれる盾職に対して並々ならぬ信
仰を持っている男の﹃RE:WORLD
ログである。色々と制約のあるけど、優秀な盾職になれそうな種族、
ドラゴニュートを”発見”した俺は、モチロンなにも考えずにドラ
ゴニュートを選んでこのゲームをプレイする。まあ気がついたら最
前線とかダンジョンを攻略してたりするんだけどこのゲームは結構
1
楽しい。だから皆も気が向いたらプレイしてみてくれよな!
2
︻ドラゴニュートが出るまで︼キャラクターメイキング︻校長先生2時間も粘り
初めて小説書きました
3
︻ドラゴニュートが出るまで︼キャラクターメイキング︻校長先生2時間も粘り
ONLINE﹄のキャラクター
ONLINE﹄とは、今日の午前九時。そう
ほう。これが﹃RE:WORLD
メイキングか。
﹃RE:WORLD
たった今サービスをスタートさせたVRMMOだ。
それも日本が世界に誇る有名なゲームメーカー”満天堂”が運営す
ONLINE﹄にログインし、
るうえに、日本が制作から運営まで初めて行う世界中から注目の集
まるVRMMOである。
おれは今、その﹃RE:WORLD
初めてのキャラクターメイキングを行っているのだ。
ほうほう面白い。種族から選ぶことができるのか。
ヒューム:人間だなこれは。しかしリアルだ。ここまでリアルにし
なくても良かったのではないだろうか?能力値は平均的。
︻運命変換︼とかいうエライ名前のスキルを使えるそう
な。wikiへの情報待ちになりそうだなこれ。
エルフ:定番だな。知力値と精神値が高く、敏捷はヒュームより少
し上ぐらい。他はかなり低いな。あと︻精霊契約︼とかいう謎スキ
ルを持ってるそうな。
マスクデータらしく使ってみないとわからないみたいだ。
wikiへの報告待ちだな。
ドワーフ:こいつも定番。筋力値と精神値が高く、耐久値はヒュー
ムより上だ。敏捷が死んでいるが器用値は高めかな?
まあ石につまずいたら確実に転びそうな程敏捷値が死ん
でいるので他が割と優秀でもバランス取れてそう。
4
︻鍛冶の才︼という能力があるらしく、これも詳細がな
いんだなー。まあwikiを待ちましょう
獣人:獣耳がゲットできる以外は、敏捷値が優れたヒュームって感
じだ。筋力値も若干高いが誤差だな。
︻獣化︼詳細がねー!なんとなく詳細は想像できるけどこれ
ぐらい載せろよな運営!!
有羽人:空飛べる。つっても3階建ての建物ぐらいまでしか飛べな
い。敏捷値がエライ高い代わりに、器用と耐久がなにこれぇ?って
ぐらい低い。
ドワーフの敏捷ほどじゃないがこいつ息してるのも大変そ
うってレベルの耐久の低さ。
︻風の友︼詳細さーん息してくださーい!スキル名だけ書い
てあっても分からないことはたくさんあるんですよ! 魚人:水中活動に補正効果︵大︶があるそうだ。こいつにだけオス
スメ職業として﹃漁師﹄が説明文に書いてある。なんでやねん。
能力は、筋力値がかなりヒュームよりすぐれている。あと敏
捷値もちょっとだけ。まあこっちは誤差の範囲なんだけども。
︻水中適正︼はい詳細は諦めました。これスタート組全員人
柱じゃねーか!まあキャラメイク一回だけならやり直し効くらしい
からいいけどさ。
で。まあこれらから選べってことらしいんだけど、うーん中々決め
られないなー。ランダムボタンを押しながら思案する。
いやーだってさ⋮⋮盾特化できそうな職ないやん?俺ね。他のゲー
5
ムでは”盾キチセンパイ”って呼ばれる程度には盾にこだわりがあ
る。
正直盾以外やる気がない。ああーどうしようかなー。ランダムポチ
ポチー。うわーどうしようかなー!
あっ、盾ってのはあれね。パーティーを組んでる時に敵の攻撃を受
ける役ですね。パーティーの前面に立ち、敵の攻撃をその一身に受
けて仲間を守るそれはもうやりがいに満ち溢れたすんばらしい役割
です。⋮⋮装備を常に最新に更新して、敵の挙動を覚えて、リアル
になった敵モンスターの攻撃エフェクトに耐え切る事が条件だけど。
あと擬似的にリーダーやらされます。盾は常に最前線にいるからね。
大変な役割ですがとってもフレンドリーでアットホームな役職です
よ^v^
うーん⋮⋮うーん⋮⋮どうする!ランダムボタンカチカチー!!こ
ういう癖ってみんなはない?キャラクター選ぶときに悩むとランダ
ムボタン押しまくったり。
授業中にペン回しとかするのが近いと思う。うーん⋮⋮マジでどう
しよう。
ドワーフ⋮⋮適性高そうなのはココなんだけど、敏捷値がないと戦
闘中に何かあった時に即座に対応するのが難しいし。
でもじゃあヒュームか?でも平均的ってのは、特化しにくいんだよ
な。やりゃあできるのかもしれないけど面倒だ。
ならば魚人か?筋力値高いのは魅力だけど⋮⋮多分盾に必要なのは
耐久値なんだよなぁ⋮⋮。
そんな感じでグルグル思考しながらランダムボタンをポチポチして
いるとたまたま停止した時にえらいモンが目に飛び込んできた。
魔人:邪神の悪戯によって生み出された種族。なんでも神様に対抗
する為に作られたんだそうな。ランダムで選択し続けるか、運が良
6
ければヒュームに変わってこっちが表示されることもあるらしい。
うわああああああああああん。お前も耐久値死んでるじゃな
いか!代わりに知力がえらい高い。筋力も寂しい事になってるよお。
ハッハッハ!
しかもこいつ、︻装備:杖︼しか武器持てないんだそうな。
ただし、魔法の効果全てが20%増加するらしい。
さらにだ︻悪魔化︼とかいうなんか凄そうなスキル持ってる。
モチロン詳細がない。
これもっと探せば他にもあるんじゃね⋮⋮
あったわ。スタート遅れるの覚悟で探したかいがあったわ。見つけ
たのは二つだ!しかしこの二つを探すのに2時間かかってる。じゃ
あ説明しよう。
天人:魔人に対抗する為に神が作った種族だそうな。ランダムで選
択し続けるか、運が良ければヒュームに変わってこっちが表示され
ることもあるらしい。
ふっ⋮⋮こいつも。耐久と筋力がえらい低いぜ⋮⋮。説明文
読みながら察してたけどな。説明文の下にステータスの参考になる、
能力値分布のグラフがあるんだけどね。そこ見ないように頑張った
んだけどね。うん。
まあ魔人と同じく、色々制限がある代わりに特殊能力がある。
︻装備:聖印︼のみしか装備出来ない代わりに、回復魔法と付与魔
法の効果が30%増加するらしい。
さらに。︻天使化︼というスキルがあるらしいぞお!モチロ
ン詳細なんぞない!
7
ドラゴニュート⋮⋮すばらしい!僕は君に決めたよ!うん!色々制
限あるけど君が一番だ!もうね色々すっとんだよ。
この種族に決めたから、この美しいステータスを見て頂きたい。今
までグラフだったから詳しくはわからなかったが種族を決定したら
ステータスが見られたぜ!
長くなるぜ!
LV3︶
種族:ドラゴニュート LV1
職業:重騎士 LV1
ボーナスポイント:50
スキル
︻龍鱗︼LV1︵MAX
敵対ユニットからのダメージを10%カットする。
また、10%の確率でカットしたダメージを、ダメージを与えた敵
対モンスターに対して防御力を無視してダメージを与える。
︻龍魔法︼LV1
ドラゴニュートのみが選択できる魔法。この魔法を取得すると他の
属性魔法を取得することが不可能になる。
光魔法︵ボーナスポイント3消費︶・闇魔法︵ボーナスポイント3
消費︶・召喚魔法︵ボーナスポイント10消費︶のみ取得が可能で
]
ある。
[
武器スキルをボーナスポイントを使用して取得して有効化してくだ
]
さい。
[
防具スキルをボーナスポイントを使用して取得して有効化してくだ
8
]
さい。
[
全ての取得可能スキルから一つ選択し、ボーナスポイントを使用し
]
て取得して有効化してください。
[
全ての取得可能スキルから一つ選択し、ボーナスポイントを使用し
]
て取得して有効化してください。
[
全ての取得可能スキルから一つ選択し、ボーナスポイントを使用し
て取得して有効化してください。
︻鑑定︼LV1
アイテムやモンスターを鑑定することができる。レベルが高くなる
ほど、高レベルのアイテムやモンスターを詳細に鑑定できるように
なる。
︽基礎ステータス︾
筋力値 32
敏捷値 12
器用値 6
知力値 18
耐久値 40
精神値 25
生産可能数:6
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どやぁ⋮⋮。まさしくこれぞ盾。ただドラゴニュートは基礎能力が
高い代わりに色々と制約がある。
・魔法が龍魔法を強制取得するため影響されない残りの三つしか取
得できないこと。
・他種族からの回復魔法・付与魔法の効き目が悪いこと。
・経験値が他の種族よりも多く必要ということ。
・ポーション類の効果が低いこと。
・木製装備が装備不可。革装備はペナルティが発生し、装備の耐久
値が倍のペースで消費されていくこと。
この辺りは大体書いてあった。なんでも世界観的には、龍としての
誇りが高いため他の種族からの魔法の効果を受けるという施しに似
たモノを受け入れられないらしい。さらに、龍のウロコを持つおか
げで、木で出来た装備は装備できないし、革装備はえらく傷ついて
しまうそうだ。
そして、他の種族と根本的に違いがあるらしくポーションの効き目
も一部だけになってしまうとのこと⋮⋮。
でもね!このステータスは素晴らしい!実に素晴らしい!さてさて。
じゃあスキルを取得していきますか。
まあ決まってるんですけどね。
スキル、︻金属鎧︼を取得しました。ボーナスポイントを4消費し
ます。
スキル、︻剣︼を取得しました。ボーナスポイントを2消費します。
スキル、︻重盾︼を取得しました。ボーナスポイントを8消費しま
す。
スキル、︻採掘︼を取得しました。ボーナスポイントを2消費しま
す。
スキル、︻光魔法︼を取得しました。ボーナスポイント4を消費し
10
ます。
そして、残りは全耐久値に突っ込もうかと思ったんだが
︽初期ステータスの上限はそれぞれ50までとなります︾
と怒られてしまった。うーんどうしようかな。まあ筋力値に残りを
︽初期ステータスの上限はそれぞれ50までとなります︾
あー。残っていた30だと両方とも振り切れるよなそりゃあ。よし
残りは精神にブチこもう。
さて残りは見た目だが⋮⋮まあウロコの色を銀色にして終わりでい
いな。二足歩行してるドラゴンだけあって弄れる場所が少ないのだ。
﹁よし!それじゃあやるか!﹂
俺がゲームスタートのボタンを押すと、意識がドラゴニュートの︽
タテキチ︾へと吸い込まれていく。
そして、︽タテキチ︾視点になると同時に、キャラクター作成中に
背景にあったドラゴンの巨大な石像の前に居た。
その石像の目が光ると声が聞こえてくる。
﹃新たなる同胞よ。歓迎しよう。ようこそ”リライズ”の世界へ﹄
﹃汝の行先に祝福のあらんことを﹄
﹃さあ旅立ちなさい。龍の誇りをその胸に﹄
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声の響きが収まると、目の前に光の渦が現れた。
よし、それじゃあいっちょやるか!盾キチの異名をとった俺の盾へ
の信仰心を見せつけてやるぜ!
じゃあなご先祖様方!
俺は、光の渦に飛び込んだ。
これは、後に﹃盾の基地外﹄﹃盾職やってて悩んだらとりあえずタ
テキチ先輩の話を伺うこと﹄﹃wikiのマップ・ダンジョン攻略
情報の半分ぐらいを開拓した男﹄などと、色々と伝説を残して完全
にネタキャラとして弄られまくる男のプレイログである。
12
︻ドラゴニュートが出るまで︼キャラクターメイキング︻校長先生2時間も粘り
更新はのんびりゆっくりやっていく予定です。
13
︻装備がキタ!︼冒険者ギルドにて︻盾がキタ┃︵゜∀゜︶┃!︼︵前書き︶
戦闘までいけなかったよ⋮⋮
14
︻装備がキタ!︼冒険者ギルドにて︻盾がキタ┃︵゜∀゜︶┃!︼
光に包まれながらどこかに運ばれていたが、気が付くと地面に足が
付く感覚がする。
目を開くと、目の前には綺麗な街並みが広がっていた。
うおおおおおおおおお!やるじゃん”満天堂”さんよぉ!すげーよ
!他のVRMMOよりも凄いって!
ただ問題は広すぎて、どこに行ったらいいか分からないことだよな
ー。
とりあえず行き先を求めて、周辺を見渡すと周りにいる緑色のマー
カーを頭の上に付けた人達と黄色いマーカーを付けた人達両方が俺
を見ていた事に気がついた。
OH!モーレツ!!とやっといたらいいんだろうか?
いやいや馬鹿な事を言っちゃいけない。
あと気がついたのは、周りの人達がメッチャ背が低いこと。みんな
小学4年生ぐらいに感じる。
いやこれアレか。周りの建物と比較すると俺がでかいんだな。さす
がだぜドラゴニュート。一人でふたり分ぐらいあるから盾職として
は文句なしだぜ!
うーん。多分緑色の人がプレイヤーだと思うんだけど。だって俺が
入ってきた光の渦みたいなのから出てきてるし。
とりあえず声をかけてみようか。
﹁あのーすいません。最初はどこに行けばいいんでしょうか?﹂
﹁えーと。僕も始めたばかりなのでちょっと分からないです⋮⋮ク
ローズドテストのメンバーでもなかったので﹂
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あ。そりゃそうか。ここにいるんだからそりゃ開始したばっかだよ
な。何やってんだ俺。
一人で納得して、ポンと右手のひらに左手を置いていると声をかけ
た彼から俺に声をかけてくれた。
﹁あーっと⋮⋮そのキャラクターって規定のキャラクターですよね
?最初の選択画面になかった気がするんですけど﹂
﹁ああコレ。どの種族にしようか悩んでランダムボタンをカチカチ
してたら出てきたんですよ﹂
﹁えぇ!?そんな隠し要素があったなんて⋮⋮クローズドテストの
データも基本的にテストプレイヤー用の特設掲示板でしかやり取り
出来ないとあってかなり秘密が多いとは思っていましたが⋮⋮って
すみません!いきなり一人の世界に入ってしまいました!﹂
﹁気にしないでください。俺も見つけた時はメチャクチャ驚きまし
たから。ここでお話したのも何かの縁かと思いますし、良ければ最
初にどこに行くのか一緒に探しませんか?ちなみに私は日本人です﹂
﹁いいですよ?僕も日本人ですし!よろしくお願いしますね﹂
他のゲームだとチュートリアルのために近くにNPCが居て声をか
けてくれたり、インフォメーションがあったりするのだけど、この
ゲームはどうやらそういったモノはない様子。
そうそう。このゲームは世界中からアクセス出来る上に、二年ぐら
い前にとある検索エンジンの会社が開発した﹃同時言語翻訳システ
ム﹄が導入されている。
自分の声紋をサンプリングすれば自分の声で様々な国の人達と会話
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出来る。
しかし見た目がゲーム内の見た目になると、相手が他国の人でも分
からんので色々と文化的な違いで問題が起きたりするのだ。
実際にちょっとした問題になったりしたこともある。
そのため、自己紹介と同時に自分がどこの国の人間なのか宣言して
おくのは非常に大事なマナーの一つになっている。
という訳で彼と一緒に最初にどこに行くのか探しながら色々話をす
ることになる。
彼の名前は、ブリッツ。ヒュームの弓使いをやるそうだ。弓使いだ
ったら盾役の自分とも相性がいいし是非ともパーティーを組みたい
ものだ。
ブリッツ君はかなりデータ収集家というか分析屋らしく、他のゲー
ムでは情報屋みたいな事もしていたそうだ。
俺は今まで盾職以外やったことないがな!
そして、ブリッツ君はさっそく出会った珍しい要素てんこ盛りの俺
に対して色々聞いてきた。ドラゴニュートのデメリットの話をする
と、パーティープレイにえらく難儀しそうだなーといった感想を言
われた。
クッ!これはもしかしたらパーティー組んでもらえないかも?
﹁おっ?アソコに行けば良いのかな?﹂
﹁そうですね。多分。人だかりができてますし﹂
歩いていたら﹃冒険者ギルド﹄と書かれた看板の建物を見つけた。
いや、正しくはその前にできている人だかりを見つけたんだが。
他の人より大分背が高いので、ちょっと中を覗いて見たが、受付の
お姉さんがものすごい大変そうに書類仕事をしていた。
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こんなとこまでリアルにせんでもいいだろうに。
とりあえず、人だかりから離れた場所に待機していたくれたブリッ
ツ君にこの状況を伝えねば。
﹁ブリッツ君。あと1時間ぐらいかかりそうだけど多分ここでいい
と思う。とりあえず待ってみようか﹂
﹁了解です。多分スタート直後だったらもうちょっとマシだったん
でしょうけどね﹂
﹁だろうね。とはいえ時間かけてなかったらこのドラゴニュートと
は出会えてなかったから俺は特に後悔してないけどね﹂
﹁僕は後悔しまくりですよ。昨日オープンが楽しみで、中々寝付け
なかったんですよね⋮⋮。気がついたら2時間以上寝坊しちゃって
て﹂
﹁小学生か!﹂
とまあこれから1時間ほどブリッツ君と談笑しながらこの人だかり
が解消されるまで待つことに。
飯時になれば多少人もいなくなるだろうし。
そんな訳で、俺は待ち時間の間にブリッツ君からこのゲームの情報
を色々聞くことができた。
クローズドテスター達は契約でゲームの情報について、今日のオー
プンまで公開することができないとか、このゲームの制作を請け負
っていた会社が今まで全く名前を聞いたことのない会社だとか、ネ
ット上のオンゲ掲示板では色々と憶測を呼んでいることとか。
俺はそれらに適当に相槌を打ちつつ、ちょっときになっている事が
あった。
18
﹁そういえばブリッツ君。このゲームって武器屋とか防具屋ってあ
るのかな?﹂
﹁言われてみれば鍛冶師とかいるっぽいのに武器屋なんて見かけま
せんでしたね﹂
﹁だよね?これってもしかして⋮⋮﹂
﹁生産職が作るまで己の身体を武器に戦えと?﹂
﹁それは鬼すぎるでしょ!﹂
半笑いで言ってみたものの俺も同じような懸念を抱き始めている。
いやまさかそんなこたーない。というか防具屋がなかったらとりあ
えず当座の盾がゲットできないじゃないか!
俺は今までのゲームでも一番最初に購入するのは盾だった!NPC
売りの粗悪品であっても常に盾を買ってきたのだ!
こんなのは認められんぞ!
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︻装備がキタ!︼冒険者ギルドにて︻盾がキタ┃︵゜∀゜︶┃!︼︵後書き︶
次こそ戦闘を書けるはず。でも更新は明日です。
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︻気になるアイツの︼初めてのクエスト・上︻魔法攻撃︼︵前書き︶
下はまだなんじゃよ。
それから一日で1000PVもあって驚きました。
こんなに見ていただけるモノなんですね嬉しいです。
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︻気になるアイツの︼初めてのクエスト・上︻魔法攻撃︼
ここは始まりの街”アルロンド”の東にある森の中。
俺は、石斧を振りかぶったゴブリンの懐に盾を前面に押し出して飛
び込む。
緑色の肌をした醜い亜人。それがゴブリンだ。
腕や足は細く、腹がでっぷりと膨らんでいる。身長は総じて120
センチ前後といったところ。
そして、見た目通り非常に貧弱だ。
振り下ろした斧の柄に、突き出した盾を当てるだけでよろけて斧を
手放してしまう。
まあ俺の筋力値がぶっ飛んでるのもあるのだろうけどね。
相手が尻餅を付く直前に、俺はゴブリンの横に素早く回り込む。
そこに雷を帯びた矢が一閃。
ゴブリンの額に突き刺さると、うめき声を上げながらゴブリンは白
い光の粒になって消えていく。
しかし、ゴブリンとの戦闘はまだ終わらない。
奴らは非力なりに、考えているのだろう。
必ず4∼5人の集団になっているのだ。
時々その中に魔法を使うゴブリンメイジが混じる。
今回は運良くそのゴブリンメイジも後方に見えるようだ。
さあ魔法を撃ってこい!さっきは奇襲で最初に倒してしまったから
お前の魔法を受けることができなかった。
ふふん。耐久値の鬼となっているこの俺に貴様の魔法が通るかな?
22
ええい邪魔だ雑魚のノーマルゴブリン!
さっきブリッツ君の弓矢で死んだヤツと同じように、バランスを崩
して尻餅をつかせてやる。
そこへ雷のエンチャントされた高速の一撃が飛んでくる。
いやしかし正確だなブリッツ君。リアル技能が高いように見える。
弓道部かなんかだったのかな?
俺がのんきな事を考えていると、視界の端にいたゴブリンメイジが
呪文を唱え始めた。
﹁タテキチさん危ない!ゴブリンメイジが魔法を詠唱してますよ!﹂
わかってますともブリッツ君。俺はグッと親指を立てて彼に背中を
向ける。
これぞ漢立ちというものだ。
﹁わかっているとも!﹂
﹁了解です!護衛のゴブリンは僕が倒しま︱︱︱︱︱﹂
﹁魔法バッチコーーーーーーーーーイ!!﹂
俺は剣を投げ捨てる!手を広げてゴブリンメイジの方へ向く。両手
を広げて迎撃態勢だ。
﹁わかってなあああああーーーーーーーーーい!!!武器なげるな
ーーー!!﹂
ブリッツ君が叫んだ瞬間である。
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コブリンの詠唱が完了し、杖の先に薄い紫色の魔法陣が現れる。
その途端に足元から魔力が奔流する。
﹁ぎゃああああああ!!﹂
﹁タテキチさーーーーーーん!﹂
ぐおおおおおお痛えええええええ!
あれ?俺の耐久値最高値よ?まあlv1のって前提だけどさ。
もしかして魔法に対して耐久って意味がなかったりする?
つか体力2割も減ってるんだけどなんぞこれ。
あのゴブリンメイジと護衛の二匹のゴブリンがこっち見て笑ってや
がる!
頭にきたぞこんちくしょう!
ちょうど良いところに、護衛の二匹が突っ込んできた。
剣はさっき放り投げてしまったので、片方の斧を盾で受ける。
それと同時にもう一匹の振り下ろした手を掴む。
そのまま足をかけてひっくり返す。
盾で受けた方はそのまま、筋力値の差を利用してグイグイと木に押
し付ける。
﹁グゲェ!!﹂
これはさっき俺が転がしたゴブリンの声だ。
ナイスブリッツ君!多分さっきの俺のバッチコイ宣言に怒っている
と思うけどすぐに援護してくれた。
語らずとも、俺の意図を理解してそっちから倒してくれるのは非常
24
に素晴らしい。
彼はなかなかに達者な後衛のようだ。是非とも今後もパーティーを
組んでいただきたい。
後で平謝りしておこう。
よし、そろそろ次の矢を打てる頃合かな?
俺は、ゴブリンが力を入れてくるタイミングを見計らって盾を引く。
すると、相手はアッサリと体勢を崩す。
そのまま反対手で首を掴んで木にゴブリンの頭を叩きつける。
俺はすぐさま振り返って放り投げた剣を前転しながら拾う。
やろうと思ってやったらできた。正直金属鎧つけながらこれができ
るって呆れるレベルの筋力値だと思う。
﹁ギャグァ!﹂
後ろからゴブリンの声。
うお。マジですごいなブリッツ君。完全に居心伝心って感じで俺が
作った隙に的確な攻撃をしてくれる。
さてと、サクッと行きましょうかね。
俺は全速力でゴブリンメイジへ駆け出す。
そこでブリッツ君も動き出した気配。なるほど。援護も止めもでき
る位置へ移動してくれるわけね。
ここはそれに甘えて突撃させていただきましょうか。
俺は、少し左に膨れながらゴブリンメイジに肉薄する。
ブリッツ君が右側へ移動する感じがしたからなんだけどね。
ゴブリンメイジは慌てて俺から逃げようとする。
しかし、振り返った瞬間に目の前を雷を纏った矢が通過する。
どうやらゴブリンメイジは、森の住人というか野生のとも言うべき
25
勘でブリッツ君の矢に反応した。
でもその硬直は残念ながら命取りなんだよね。
俺の渾身の突きがゴブリンメイジの心臓を正確に貫く。
もちろん骨に当たりにくいようにキッチリを刃を寝かせ、全身のバ
ネを利用して突き出した一撃だ。
ゴブリンメイジの体力バーが消失する。
普通に切りつけるだけだとこうはいかない。
しかし、今回のように急所に綺麗に一撃決まるとクリティカルにな
ってダメージが大幅に増加するらしい。
ふぅー。いいじゃない?盾職にとってダメージを与えるってのは相
手の注意を自分に向ける手段だけれど、自分のダメージもリソース
になるなら積極的にダメージを与えていくべきだからな。
まあ優先順位は低いけども。
﹁全く。最初からその立ち回りができるのならやってくださいよ⋮
⋮剣投げ出して魔法を受けようとした時はもう放っておこうかと思
いましたからね?﹂
﹁いやー面目ない!スマンスマン!﹂
ブリッツ君はやはり怒っていたようだ。
とりあえずパーティーを解散されないように全力で平謝りだ!
﹁でもタテキチさんすごい身のこなしでしたね。驚きましたよ﹂
﹁一応リアル技能鍛えてるからね。イメージに応えてくれるPCな
らあれぐらいできるよ。でもブリッツ君もすごかったと思うよ?俺
が作った隙に的確に攻撃してくれたでしょ﹂
26
﹁あれだけ分かりやすい隙を作ってもらえれば簡単ですよ。元弓道
部ですからね﹂
﹁やっぱりか!あんまりにも急所にヒットしてるからなんかしらリ
アル技能あるんだろうなーと思ってたよ﹂
こんな感じで褒めてブリッツ君のご機嫌を取るのだ!
穏やかな性格でこれだけプレイヤースキルがあるのなら文句はない!
そうそう。VRMMOだとゲーム内でのスキルによる補正だけでな
く、プレイヤーがリアルで学んだ体の使い方というのも大事になる。
ゲーム内でリアルの動きをイメージできると、やはり当たりやすい
し回避しやすい。
VRMMOが流行ってから、武道や格闘技に光が当たっているとい
う謎の現象が起きたりもしている。
廃人というのは行くところまでイっちゃうから廃人なのである。
さてさて。クエストの現状はというと、ゴブリンの討伐数が24体。
ゴブリンメイジもこの数に含まれている。
後2つ群れをボコれば無事クエスト終了という感じだ。
﹁そういえばタテキチさん。このクエストの後も続けますか?僕は
ご飯食べてこようかと思うのですが﹂
﹁続けるけど?﹂
﹁良かったです。できれば一緒にパーティー組んでしばらく攻略し
ていきませんか?﹂
願ってもない
﹁願ってもない!ブリッツ君なら文句なしだね!﹂
27
﹁ありがとうございます。それじゃあ後6体よろしくお願いします
ね﹂
いよっしゃああああああああああ!
優秀な後衛火力ゲットですよ!
これは幸先が良いですなヌハハハハハ!
という訳でブリッツ君ともう一つゴブリンの群れを潰した。
その群れを潰す前に、ちょっとブリッツ君と情報交換と今後の方針
を話し合った。
例えばお互いのスキル。
情報交換としては、俺の場合装備と︻光魔法︼、︻龍魔法︼につい
てだ。
︻光魔法︼
>﹃祝福﹄⋮⋮対象の命中力と防御力にボーナス
>﹃ライトヒール﹄⋮⋮対象の体力を1割程度回復する
>﹃ライト・エンチャント﹄⋮⋮武器や防具に光属性を付与し、命
中力と防御力にボーナス
︻龍魔法︼
>﹃龍の加護﹄⋮⋮︻種族:ドラゴニュート︼のキャラクターに攻
撃力と防御力のボーナスを与える
こういった魔法を使えるよーと相手に伝えて置くのは非常に大事な
ことだ。
特に息が合ってきた時に、自然と相手のスキルに身を委ねる事もで
きるし、連携の強化も期待できる。
なにより、相手を信頼してるという証拠でもある。
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ブリッツ君は︻雷魔法︼、︻風魔法︼を取得しているそうだ。
それ以外にも生産スキルとして︻裁縫︼や︻木工︼を取得している
とのこと。
うーむ俺も何か生産スキルとっておくべきだったかな?
後々鍛冶師に装備作って欲しいからとりあえず︻採掘︼はとってお
いたんだけども。
そういった情報交換の後、ゴブリンの群れを撃破して残り一体でク
エストクリアという所に来たわけだ。
ゴブリン弱いな。まあ鑑定してみたら
ゴブリン LV1 普通
普通
戦闘領域:地上 アクティブ
ゴブリンメイジ LV1
戦闘領域:地上 アクティブ
とまーレベルが低いわけだ。そりゃドラゴニュートのデメリットが
デメリットにならない序盤なら敵にならんわな。
しかも俺が強引に隙を作れば百発百中の腕前を持ってるブリッツ君
が一撃必殺の雷をエンチャントした攻撃を繰り出すわけだし。
まあ相手にならないよね。
正直に言うと物足りない感じもする。
ああ。もっと強い敵と戦って盾をしたい!
ブリッツ君にもそんな話をしてみた。
どうやら彼もちょっと物足りないらしい。彼も他のVRMMOやっ
ていたみたいだし、序盤は少し物足りないようだ。
29
談笑しながら歩いていると、ほとんど同時に違和感に気がついた。
さっきまでこれくらい歩いていれば群れを見つけられたのだが見つ
からない。
奥に入りすぎてしまったのかと思ってマップを確認したが、それほ
ど森の奥に入った訳でもない。
うーむ。どうしたことだろうか。倒しすぎてリポップが間に合って
ないのだろうか⋮⋮。
いやでも序盤の狩場でこれじゃあ狩場でモンスターの取り合いで問
題が発生しまくると思うんだけど大丈夫だろうか。
ブリッツ君もそこは疑問に感じていたようだ。
彼が情報を確認しようと、周囲の警戒を解いたその時。
視界の端で素早く動く影を感じる。
﹁危ない!﹂
俺は叫ぶのと同時にブリッツ君を突き飛ばす。
彼は驚いた声を上げるが、それに構わず剣を取り盾を構える。
ブリッツ君のさっきまで居た場所には、白刃を地面に突き刺した緑
色の人影。
見覚えのある緑色の肌だが、まとった雰囲気は圧倒的だ。
身長はドラゴニュートである俺と同じぐらい。相手の方が少し低い
だろうか。
しかし、その体躯は俺に劣らない。鍛え抜かれた肉体を持っている。
そして、露出する肌には沢山の傷がある。戦い抜いてきた証だ。
﹁ゴブリン⋮⋮ソルジャー?﹂
む?そうだ!まずは鑑定せねばいかん!
30
ゴブリンソルジャー
LV3 精鋭
戦闘領域:地上 アクティブ
なんですとおおおおおおおおお!
さっきまでとはレベルがちげーぞおい!
しかも精鋭ってなんだ!いやそれはみれば分かるか⋮⋮。
鑑定してる間にもゴブリンソルジャーはブリッツ君へとその両手剣
を振るおうとしている。
イカン!
おれは反射的にゴブリンソルジャーへと袈裟斬りに剣を放つ。
しかし、ゴブリンソルジャーは俺の斬撃を避ける動作と連動させて、
そのままブリッツ君に肉薄する。
クソッ!こりゃあ悪手だ!焦ってここぞってタイミングでやらかし
た!
相手が体の動きを型に乗せるまで手を出さずに待機しておくべきだ
ったんだ!
ブリッツ君はゴブリンソルジャーの一撃をあわやというところでか
わす。そして
﹁﹃ブースト﹄!﹂
そう叫ぶのと同時にブリッツ君の体に電気が走る。
一瞬で目の前からいなくなるかのように俊敏な動きで距離を取る。
だが、その素早い動きもゴブリンソルジャーは目で追えるようだ。
ヤツの目線を追うと左に動いた。
そしてその視線の先には一気に15m程距離を空けたブリッツ君が
いる。
31
ゴブリンソルジャーが駆け出す。
させるかよ!
ゴブリンソルジャーの足が地面に付く瞬間に合わせて動き出す。
目が良くても動き自体はそう早くない!いける!
おれは右手に装備した盾を前に押し出しながら叩きつける。
相手はそれを受けて踏ん張る。
それが狙いだ。狙い通りに動いてくれて助かる。
相手は一瞬加速が止まる。その瞬間におれはブリッツ君とゴブリン
ソルジャーの間に立ちふさがる。
自然体で構える。
盾を前に構え、半身をとる。盾で自らの身体を覆うように。
剣はそのまま自然に。それでいていつでも動かせるように構える。
力はいれない。少しでも重心を下げれば、相手のとっさの動きに身
動きをとれないからだ。
ゴブリンソルジャーもそれを察してか攻撃対象を俺へと変更する。
そうだ。それでいい。
これぞVRMMOの盾職の醍醐味だ。敵モンスターとの駆け引き。
ゾクゾクしてくる。
後ろからブリッツ君が弓を引き絞る音が聞こえる。
準備完了のようだ。
ちょっと呆気ないクエストだなんて言ってすいませんでした冒険者
ギルドさん。
32
最高です!
さあ戦闘開始だ!
33
︻気になるアイツの︼初めてのクエスト・上︻魔法攻撃︼︵後書き︶
徹夜仕事明けなので下は明日更新します
34
︻盾の真髄︼初めてのクエスト・下︻お見せしましょう!︼︵前書き︶
後編です。ちょっと短いです。
寝起きでドロップ品のところまで書く気力が持たなかった。
35
︻盾の真髄︼初めてのクエスト・下︻お見せしましょう!︼
俺とゴブリンソルジャーのにらみ合いは十数秒続いた。
先に沈黙を破ったのはゴブリンソルジャーだ。
大上段に振りかぶり、袈裟斬りに両手剣を叩きつけてきた。
おれはそれを盾で受ける。
金属がぶつかり合う音が森に響く。
ぐう⋮⋮重たい。
さっきまで相手にしてたゴブリンとは桁が違う。
俺の筋力に拮抗してくるのだ。
俺の体が少しだけ沈む。比喩表現なんかじゃない。思い切り振り下
ろされた両手剣を受けて俺が地面に押し込まれたのだ。
すぐに動けるように足の位置を変える。
そして数歩後ろに下がった。
ゴブリンソルジャーは俺が盾で受けたのに驚いたような表情を見せ
た。
まあ今までそれ受け切れたのおらんやろうな。
受けた腕がちぎれたかと思うような一撃だった。ドラゴニュートで
ない限り一撃でぶった斬られるか、吹き飛んだことだろうな。
しかし残念ながらおれはドラゴニュートだ。
思い通りにならなくてすまんな!
そして、ゴブリンソルジャーが俺とにらみ合いに移ろうとした瞬間。
雷を纏った矢がゴブリンソルジャーの右肩に突き刺さる。
好機!ナイス援護だぜえブリッツ君!
36
俺は逆袈裟に思い切り剣を振るう。
ゴブリンソルジャーは両手剣でそれを受け止めた。
そこまでは分かってたさ。じゃあこれはどうかな?
受け止めて隙のできた逆腹に思い切り盾を叩きつける!
両手剣を持ったまま肘でシールドを受け止めやがったぞアイツ。
とはいえ多少ダメージはあったみたいだ。
ブリッツ君の矢によって1割程ダメージがある。
俺が叩きつけた盾だとhpバーが一ミリぐらい減っただけにとどま
った。
まあ仕方ない。
だが、この立ち回りを展開できるのなら問題ない。確かに強烈な相
手だがそれだけだ。
このままとどめまで持っていける。
もう一度。さっきまでのリプレイかのように状況が流れる。
ブリッツ君の矢が相手の腕に刺さったのが違いとしては挙げられる
が、どうやらゴブリンソルジャーのヤツその程度じゃあ動きに支障
はないときた。
どんだけタフなんだよお前。
いや。闘争心によって痛みを無視しているだけかもしれないな。
現状ゴブリンソルジャーのHPバーは二割と少し減っている。
それから気がついたこと。というかちょっとした予測なのだが、お
そらく奴は剣技の型を持っている様子がある。
一回目も二回目も恐ろしい程重たくて鋭い一撃だった。しかり振り
はどちらも同じ。体の使いかたも合理的だ。
ゴブリンという種族の中にも武芸というものがあるのだろうか?
興味は尽きないが今は、お前を倒すために観察させてもらおう。
37
ゴブリンソルジャーが三度目の斬撃を繰り出す。
俺は盾で受ける。ここまでの流れは一緒だ。しかし俺は違和感を感
じる。
さっき剣技の型があると考察したと思うけど、さっきまでの振り下
ろしとは明らかに重心が違うとおもわれる。
体勢はそう違いがないと感じた。ゴブリンだから多少荒っぽく型を
覚えているのかと思っていた。
しかし、盾で受けた際の違和感はそうじゃない、明らかに重心が右
に寄った攻撃だった。
狙いは後ろか!
ゴブリンソルジャーは流れるように俺の盾をかいくぐりブリッツ君
に肉薄しようとする。
直線的だ。おそらく弓の一撃は覚悟してのモノだろう。
だがなぁ!そう簡単にいかせちゃあタテキチの名が泣いちまうんだ
よな!
俺は裏拳を叩き込む要領で、盾をかいくぐったゴブリンソルジャー
の足首に回転切りを放つ。
ゴブリンソルジャーはそれを無視できない。
なぜなら、この一撃は間違いなくブリッツ君へと到達する機動力を
削り取るからだ。
慌てて横に飛んだ。そこに容赦なく襲いかかるブリッツ君の一撃。
体制を崩していたために、そのままたたらを踏んでしまう。
おれはその隙を逃さずにブリッツ君とゴブリンソルジャーの間に入
り込む。
ゴブリンソルジャーに苦悶の表情が浮かぶ。
残念ながら俺を倒さないとブリッツ君は倒せないんだよ!
38
しかもさっきの弓の一撃はどうやらクリティカルしていたようだ。
気が付けば、体力バーは半分を少し割り込んでいる。
これがVRMMOにそれほど慣れていない盾だったらさっきので後
衛に到達できただろう。
しかし、おれはそうじゃない。
通常のオンラインゲームよりも自由度の高いVRMMOはヘイトを
稼ぐだけではダメだ。
敵の動きも自由度が高いうえに、AIが優秀な部分もあるのだろう
けど、ダメージソースをキッチリと狙ってくる。
こちらの戦術を見極め。こちらを無力化するにはどうする必要があ
るのかキッチリと判断してくる。
さっきみたいに、一回ダメージを覚悟で同じ動きを見せてこちらを
騙してこおうとするあたりえぐいと思う。
さて、ここまで話せばわかってきている人もいるんじゃないかな。
VRMMOにおいては盾という職業の役割は大きく広がる。
相手の攻撃を一身に受けて、そのターゲットを他に移さないように
することは変わらない。
しかし、そうするための手段が広がるのだ。
スキルで相手の注意を引くことのあるスキルを使うのも良いだろう。
しかし、それだけでは相手は倒される事に気が付く場合も多々ある。
そうなった時こそがVRMMOの盾職の真価が問われるのだ。
”目の前のコイツを倒さなければ、相手の戦術を潰すことができな
い!”
39
そう、モンスターに思わせる必要があるのだ。
そうすることによって初めて全ての攻撃が俺に向くのだ。
簡単に後衛への接近を許してしまうのは三流。
スキルでどうにか押しとどめて二流。
スキルでも注意を惹きつけられないような高性能なモンスターの注
意すら引きつけて一流。
そして、そのためにリアルスキルまで鍛え始めて超一流になるのだ。
そしてそれは今目の前で証明されている。
ゴブリンソルジャーは必死に俺に攻撃をし始めたのだ。
猛烈といっていいだろう。
おれは盾と剣を使って捌くが、それでも二発ほどいい攻撃をもらっ
てしまっている。
強い。
こっちの体力はもう5割程度まで削れている。
こいつは最初俺を、ただの壁程度にしか思っていなかった。
勝利するためにはブリッツ君という高い火力を持った相手を倒し、
その後に俺をじっくりと料理すれば良いと考えていたはずだ。
事実、1on1だったら既に敗れていたとおれは思う。
相手の方がリーチが長いうえに、攻撃力は上だ。防御力はまあいい
として、体力の差で押し切られるのは目に見えている。
しかし、”俺がいる限りブリッツくんには届かない”。
そう思わせたからこそこの状況が生まれている。
そして、俺はブリッツ君が確実に当てられる隙を作れば良い。
危険も大きいが俺は、盾を少し下げて隙を作る。
ゴブリンソルジャーはそこへ目掛けて袈裟斬りをはなとうとする。
40
俺は振りかぶったゴブリンソルジャーの両手に盾を叩きつけように
つき出す。
相手の攻撃を、両手剣の根元で受けてしまうのだ。
そうすると、体勢の悪い相手の重心は浮く。
そこへ体当たりだ。
両手剣は取り回しが難しい。
逆手へ持ち直して俺へ突き刺してくることはないだろう。
俺とゴブリンソルジャーの動きは硬直する。
そこへ飛来する必殺の一矢。
ゴブリンソルジャーの眉間に突き刺さった。
ゴブリンソルジャーの体力バーが消失し、光の粒となって消えてい
く。
そしてそこには一本の両手剣と金貨袋が残されていた。
おお!ドロップ品やん!
ただのゴブリンほとんど何も落とさんかったけどお前なんかしらも
っていたのか!
ナイスやでゴブリンソルジャー!
強敵を倒してドロップ品とかテンション上がりまくるわ!
﹁うおっしゃあああああああああああ!﹂
俺は思わず盾を持った手を突き上げて叫んでいた。
﹁お見事でしたタテキチさん。本当に何者ですかあなた﹂
ブリッツ君。それ褒めてるんだよね?
41
42
︻盾の真髄︼初めてのクエスト・下︻お見せしましょう!︼︵後書き︶
次はドロップとかイベントとか書きたい。
43
︻隣の芝は︼クエスト終わったけどまだ狩ります︻青く見える︼︵前書き︶
えっ⋮⋮なんでこんなにPV増えてるん?
僕が友達と飲み会して酔いつぶれてる間に何があったの!?
44
︻隣の芝は︼クエスト終わったけどまだ狩ります︻青く見える︼
さてブリッツ君から絶賛人外認定を受けた後、とりあえず俺はドロ
ップアイテム二つを鑑定してみた。
︻武器:両手剣︼”精鋭”のゴブリンバスターソード
︻必要筋力値︼両手使用時:25 片手使用時:50
︻攻撃力︼50︵35+15︶
︻希少度︼3+
︻解説︼:ゴブリンソルジャーが使用しているバスターソード。両
手剣である。
”精鋭”の称号が付いており、攻撃力に+15されている。
片手での使用も可能であるが、取り回しが難しい上に重たいためオ
ススメはできない。
︻アイテム:貴金属︼金貨袋
︻希少度︼5++
︻解説︼:非常に珍しい、魔族や魔物の間で取引する際に用いられ
ひとぞく
る硬貨のつまった袋。
人族の間では使用できず、好事家が集めている程度であるが、希少
価値が
高いため高価で取引されている。
ただし、この硬貨を買い取ることが可能なのは、一部の信用できる、
貴族のみである。
以前この硬貨を買い集め、魔族から不老不死の薬を買おうとし、結
果疫病の元を人族の
領域に持ち込んだ愚か者がいたためである。
⋮⋮俺このバスターソード片手で持てるじゃん?いっちゃう?もっ
45
てみちゃう?
とりあえず持ってみた。もちろんブリッツ君の許可はとっていない。
﹁よっと!﹂
﹁うわ!いきなり振り回さないでください!危ないじゃないですか
!﹂
﹁メンゴメンゴ﹂
古き良き謝り方で平謝りだ。
振ってみた感じ、少し身体を取られる気がするがどうにかなるな。
それより問題は長さだなぁ⋮⋮。取り回しが難しいってレベルじゃ
ないぞこの長さだと。
なんてったって、俺の腰よりちょっと高いぐらいだもん。
これを片手で振り回せるドラゴニュートっておそろしい種族なので
はなかろうか。
自分の強運に感謝するばかりだ。
﹁タテキチさん今片手で素振りしてましたけど、まさか筋力値50
あるんですか?さっきのレベルアップで筋力値に全振りしたとか?﹂
﹁いや?最低限のスキル以外のボーナスポイントを全部耐久値と筋
力値振り切ったから50あるんだよ。というか待って?俺レベルア
ップなんてしてないんだけど?そっちの方が気になるんだけど俺﹂
﹁はぁ!?いやいやいやいや。ご冗談を。初期筋力値50っておか
しいですよね?﹂
という訳で安全かどうかもわからない場所で唐突に始まる情報交換
46
である。
まとめると以下の通りのことが判明しました。
・他の種族ではステータスで一番高いのが22ぐらいで、最初に取
得できるのも30までらしい。
・そのため、結構スキルを多く取って、バフ系の魔法が確認できて
る魔法を何種類か取り、探索に必要なスキルや生産スキルを一個ず
つとっているらしい。
・ちなみに、最初に取れるスキル枠に限りなんてないらしい。聞い
てないぞ!俺3個か4個しか取れなかったじゃん!
・さっきの戦闘でブリッツ君はレベルアップしたらしい。しばらく
はブリッツ先輩って呼ぼうとしたら嫌がられた。嫌味だと思われた
のだろうか?
・試しにブリッツ君に付加魔法で支援してもらった。戦闘はしてな
いけどね。うん。効果がブリッツ君自身と比較して半分しか効果が
ない。
などなどだ⋮⋮。
まとめると。
ドラゴニュートのデメリットは非常に重たいが、ステータスがかな
り優秀にできるため万能選手にもできそうとのこと。
たしかに、レベルアップが遅くて他の種族からの支援効果が薄く、
スキルの取得枠に制限があっても初期ステータスが優秀であるため、
盾としてみるならば全く問題がない!
それにレベルアップが遅いのなんて問題にはならないな!
俺は超一流の盾である、つまり俺は超廃人ということ。したがって
レベルアップの遅さなんて問題にならない!この三段論法が成り立
つわけだな。
47
俺は泣いてないぞ!泣いてなんかないぞ!
ブリッツ君にちょっと同情したような顔されたけど俺は気にしない
もんね!これから毎日20時間インしてレベリングするんだ!
それから、ブリッツ君がお昼ご飯でログアウトする前にちょっとだ
け今後の方針を話し合ってみた。
とりあえず、ゴブリン狩りを続けて、ゴブリンソルジャー出現の条
件を調べたいとのこと。
それは俺も賛成だ。ソロでゴブリン狩りをしている最中にいきなり
であったらたまったもんじゃない。
あんなんソロで狩れてたまるか!しかも俺探索スキル取ってないん
だよ!クソッキャラリメイクさせり!課金アイテムですら実装され
てねーときた!
禁断の複アカか!っと話がそれてしまった。
とにかく、ゴブリンソルジャーみたいな強力なモンスターは大体出
現するのに規則性があったりするからそこを探っていきたい。
なんとなく当たりはつけてるんだけどね。
さて!ブリッツ君が帰ってくるまでレベリングしますか!
︽おめでとうございます!レベルが2にアップしました!︾
︽筋力値が2、耐久値が3上昇。ステータスポイントを5ポイント
獲得しました。スキルポイントを3ポイント獲得しました。スキル
枠が一つ解放されます!︾
ゴブリン狩ること14匹。ついにレベルアップの時だった。
48
︽スキルポイント。ステータスポイントを割り振ってください︾
あっはい。という訳でこうなりました。
筋力値 55︵up︶
敏捷値 12
器用値 6
知力値 18
耐久値 55︵up︶
精神値 27
筋力と耐久にガン振りですわ。
そしてスキルは⋮⋮。
︽スキル︾
金属鎧lv2,剣lv2,重盾lv2,龍魔法lv1,光魔法lv
1,鑑定lv1,採掘lv1
となった。まあ装備品系のスキルのレベルを上げました。
掲示板を見た感じだと、装備品系も魔法系も便利系も生産系も使っ
ていればレベルが上がるそうなのだけど、レベルアップの遅いドラ
ゴニュートはスキルのレベルアップも遅いんじゃないかと睨んでる
ので上げておきたいスキルにスキルポイントを振っておく。
現状新しく欲しいスキルもないしな。
それから、ゴブリンバスターソードはメッチャ強い。
ゴブリンメイジなら一撃です。雑魚のノーマルゴブリンなら3発で
す。
うーん強い。鑑定すらしてない支給品とは比べ物にならない強さだ。
49
ゴブリンメイジとか絹ごし豆腐みたいにスルッと胴体から真っ二つ
だったのだ。
しかし、さっきから何かに監視されてる感じがする。
気のせいじゃなければ俺以外の足音がさっきの戦闘中から聞こえる
気がするんだよね。
お化け?
ハハハゲームですよこれ!
﹁すいません。お待たせしました﹂
どうやらブリッツ君が帰ってきたようだ。外でログアウトすると自
動的に街に戻されたらしく走ってきたみたいだ。
とりあえずレベルアップの報告をすると。他の種族だとステータス
ポイントは半分らしい。スキルポイント倍らしいけどね。
正直理不尽だと思う。
でも盾に適した種族だから俺は満足だ!満足なんだ!
さあこの鬱憤はゴブリンにぶつけるのだ!
︽おめでとうございます!レベルが3にアップしました!︾
︽筋力値が2、耐久値が2、精神値が1上昇しました。ステータス
ポイントを5ポイント獲得しました。スキルポイントを3ポイント
獲得しました。スキル枠が一つ解放されます!︾
︽金属鎧、重盾、剣のレベルが上昇しました。︾
ほう精神が上がったか。まあステータスポイントは筋力と耐久に振
る。キリよく100まではこれでいこう。
筋力値 59︵up︶
敏捷値 12
50
器用値 6
知力値 18
耐久値 60︵up︶
精神値 28︵up︶
︽スキル︾
金属鎧lv4,剣lv4,重盾lv4,龍魔法lv1,光魔法lv
1,鑑定lv1,採掘lv1
ここで追加アナウンス。
︽剣技能がlv4になりました。︻戦技:兜割り︼を取得しました︾
ほうほう。どうやら、防具をつけている相手に対して防御力を無視
してダメージを与えるようだ。
対人戦とか、鎧を着たモンスターに有効そうだ。覚えておくことに
しよう。
ちなみに、現在ゴブリンソルジャーを9体撃破してます。
なんとなく法則がわかった。
ゴブリンを29匹狩ると30匹目に出てくるようですね。
パーティーを組んだり、解散したりするとその数はリセットされる
みたいだ。
あっ。ブリッツ君既にlv4です。しかも俺より大分早かったので
次のゴブリンソルジャー倒す辺りで僕は完全に突き放されます。
どういうことだ!出てこい運営!
51
という訳でブリッツ君lv5です。僕まだ3です。どういうことで
すか?
まあいいです。レベルの関係もあって、金貨袋を優先的に俺にくれ
てるので懐はあったまりそうです。
でも僕みたいな盾を生きがいにする人間にとってはレベルの方が大
事です。
装備は後々生産品が出てきた方が強いの多いだろうし、その頃には
そうお金に困ってないと思うし。
このペースだと。
ブリッツ君のレベルが上がったのはちょうど10体目のゴブリンソ
ルジャーを倒したタイミング。
ゴブリンソルジャーの落とした金貨袋を拾うと。
凄まじい覇気を感じる。
俺はその方向を思わず凝視した。
そこには、明らかに立派な装備を身にまとったゴブリンがいる。
緑色の肌に、鎧の上からでも分かる立派な体躯。
そして、何かをねじ伏せるような圧迫感。
凄まじい個体だ。
そしてその時インフォメーションが流れる
︽全てのプレイヤーにご連絡です。タテキチさん、ブリッツさんが
ゴブリンソルジャーを10体撃破しました!︾
えっなんでそんなん晒されてるん?
︽イベント”ゴブリンキングの洞窟を暴け!”が解禁されました︾
52
︽ゴブリンソルジャー10体を撃破するとダンジョン:”ゴブリン
キングの洞窟”へ挑戦することができます︾
なるほどそういうことか。
そしてゴブリンキングさん⋮⋮ですよね?
英雄
あそこにいらっしゃる凄い方は。
ゴブリンキング lv??
????:???? ?????
どういうことだってばよ!イベントモンスターだからか?
いやなんかでも、せいえいじゃなくて英雄とかなってるんだけどア
レやばくない?
やばいよね?
でも正直⋮⋮攻略したいですそのダンジョン。
なんて思っていたらドサドサーっと俺の背中の方で落ちる音が聞こ
えた。
﹁アタタ⋮⋮アレはヤバイでしょ⋮⋮ってやばっ!﹂
革鎧を装備した女の子だ。
ブリッツ君。無言で弓を引くのをやめなさい。
君ちょいちょい容赦ないよね?
先に攻撃したら僕たちがPKになってしまいますよ?
53
54
︻隣の芝は︼クエスト終わったけどまだ狩ります︻青く見える︼︵後書き︶
今日はsw2.0の卓を囲む予定なので夜にもう一話ぐらい書きた
いけど書けないダメな感じになりそうです。
でも明日も仕事なので悩ましいです。
55
︻親方!︼出会いと準備︻空から女の子が!︼︵前書き︶
ブックマーク登録が300件を超えて小躍りしてしまいました。
56
︻親方!︼出会いと準備︻空から女の子が!︼
落ちてきた女の子は明らかに狼狽している。
だからブリッツ君やめなさいって、メチャクチャビビってるよ!
って俺も反射的に背中に指してたゴブリンバスターソードに手をか
けていた。
これはいけない。
ってこれは絶好の隙になっているのでは?
と思ってゴブリンキング様のいらっしゃった方を見てみたのだけれ
どもういなくなっていた。
イベント用に姿を見せただけってことですかね?
いやー危ない。ここで戦闘になったら間違いなく死に戻りですから
ね。
デスペナルティがどうなってるのか分からんので怖くて仕方ない。
経験値関係だったら僕発狂する自信があります。はい。
﹁あーブリッツ君。多分PKとかじゃないだろうからとりあえず、
ね?﹂
﹁⋮⋮わかりました。ゴブリンキングも居なくなったみたいですし
良いでしょう﹂
﹁それで、なんでそんな奇っ怪な登場の仕方だったのか教えてくれ
る?﹂
﹁は、はひ!えーっとですね。実は私は配信プレイヤーでして、面
白そうなパーティーいないかなーと思ってこの辺りを経験値稼ぎつ
いでにフラフラしてたらお二人の戦闘をみかけまして﹂
57
色々と話を聞くと。彼女の名前はイルズペス。日本人だそうだ。
なんでも、某有名なゲームプレイ配信サイトで配信しながら、そこ
で得られる広告収入で生活しているらしい。
そういう訳で、面白そうなパーティーを探していたそうだ。
それで目をつけたのが俺達二人で、途中から後をつけていたらしい。
なんか見られている感じがしたのはこの人だったそうな。
ONLINE﹄は話題性が高くて視聴者数を稼げそうだ
一応他のゲームでは有名なプレイヤーらしく、今回この﹃RE:W
ORLD
と思っていたそうな。
そして、さっきのゴブリンキングを見つけた時にビックリして大勢
を崩した挙句に落っこちたとのこと。
ブリッツ君が無言で弓を構えるわ、俺は見たこともない大剣に手を
かけるわ焦ったらしい。
﹁勝手に覗き見していてごめんなさい﹂
﹁いやいや別にそんな。まあPKだと勘違いする人もいるので気を
つけたほうがいいと思いますよ?﹂
﹁タテキチさんの言うとおりですね。ソロだったら問答無用で射抜
いてます。勿論急所は外しますけどね﹂
おいおいこえーなブリッツ君。
あんまり怒らせない方がいいかもしれないな。
﹁それでご迷惑かけた立場で恐縮なんですけど、お二人のパーティ
ーにいれて頂けないかと思いまして﹂
58
﹁ダメです﹂
﹁ブリッツ君。そんなご無体な﹂
﹁彼女の事情は聞きましたけど何ができるのかわからないじゃない
ですか。入れた挙句に何も仕事できないってなったら色々ギクシャ
クしちゃいますよ﹂
あーなるほど。そりゃそうだわ。
一本取られましたな。とりあえずそこんとこも聞いときましょ。
くわしく聞くと、彼女はエルフのトレジャーハンター。
フィールドクエストだと彼女の職業の特徴である、宝箱のトラップ
感知や索敵スキルがそれほど役に立たないんだそうな。
獲物は投げナイフらしい。聞いた話や、配信の時に寄せられるコメ
ントでは後々銃も手に入るそうなので、後ろから火力を出しつつダ
ンジョン内でパーティーメンバーを支援するプレイスタイルを考え
ているそうだ。
ちなみに、今のこの会話も配信されているらしい。
それを聞いてから俺はやったらめったら緊張した。
とはいえ彼女のリアルの収入源らしいので、やめろとは言えないし
な。
﹁ブリッツ君。勿論この後ダンジョン探索するよね?﹂
﹁そうですね。出来れば明日にしたいです。一応リアルでやってお
かなきゃいけない事があるので﹂
﹁なるほど。じゃあ俺はまだ残ってるからそれまで彼女とパーティ
ーを組んで実力を確かめておけばいいかな﹂
59
﹁そうですね。お願いします﹂
彼女は隠れて小さくガッツポーズしていた。
イルズペスのイルさんとしばらくゴブリン狩りをしてみた。
やだこの子⋮⋮便利だわ。
まず探索スキルってのは大事だなーと思った。僕最初にスキル選ぶ
ときに選択画面に無かった気がしたんだけど気のせいじゃないらし
い。
トレジャーハンターやシーフといった職業じゃないと取れないスキ
ルだそうだ。
代わりに金属鎧や大盾など、防御力に秀でた装備はスキルを取れな
いだめ装備しにくいそうだ。
大変だなー。盾はできないなそれ。
それから実力派申し分ない。
ブリッツ君の時とそう変わらない立ち回りで良さそうだ。
後衛のどっちが攻撃するかっていうのは二人が話し合ってくれれば
いいと思うし。
まあ現状のイルさんだと遊撃っていう感じだから動きか被るってこ
とも少なそうだ。
﹁そこそこVRMMOはやってるしね。昔はFPSとかDOTAと
かの方だったけどVRが出てからはずっとやってきてるから﹂
﹁なるほどなー立ち回り的にはブリッツ君とも上手くやっていけそ
うで安心したよ﹂
60
﹁ありがと。とはいえ投げナイフって結構お金かかるっぽいのよね。
近接もすぐに対応できるから楽ではあるんだけど、あんまりいいナ
イフだと投げにくくてさ﹂
と笑いながら言っていた。
どうにかいい関係を構築できそうで安心した。
たしかにナイフだと弓よりもお金食いそうだよなーとは思う。強敵
だと数が足りないとかありそうだ。
他に何か投げられるのなら何か買い込んでおくのもいいかもしれな
い。
﹁そういば気になったんだけど。二人は剥ぎ取りしないの?﹂
﹁えっ?倒したら勝手にドロップするんじゃないの?﹂
﹁そんな訳ないでしょ!もしかして採取系のスキル二人共とってな
いの?﹂
イルさんが頭を抱えている。
ただ俺にとっては衝撃の事実である。どうやらドロップ品は採取系
のスキルで剥ぎ取りすることができるそうだ。
実際には、剥ぎ取り腕輪っていうのを身につけてスキルを使用する
だけらしい。
ソコソコ時間を食うが、序盤は店にでも素材を売ってNPCからガ
ンガンゲーム内通貨を引っ張っていかないと、どんどん物価が上昇
して洒落にならないほど貧乏になってしまうそうだ。
なるほど。そりゃそうだ!
ふーむ。とりあえず一回街に戻って装備その他を整えるついでに売
れそうなもの全部売っぱらってしまおう。
61
このゴブリンバスターソードを手放す気はないがな。筋力値が上が
っているせいか随分と扱いやすくなってきたのだ。
クックック⋮⋮俺も火力の一部だぜ。今だけだけどな。
とりあえずレベル4までは今日で育つ予定です。
彼女にはもうちょっとお付き合いして頂きつつ素材を剥いでいただ
きましょう。
︽おめでとうございます!レベルが4にアップしました!︾
︽筋力値が2、耐久値が3上昇。ステータスポイントを5ポイント
獲得しました。スキルポイントを3ポイント獲得しました。スキル
枠が一つ解放されます!︾
︽金属鎧、重盾、剣のレベルが上昇しました。︾
ゴブリンソルジャー一匹狩るまで上がらないとかどういうことなの!
つか狩ったゴブリン数えるの忘れてたわ。うっかり侍。
まあ安定の筋力と耐久振りです。100まではこれでいくのだ。
筋力値 64︵up︶
敏捷値 12
器用値 6
知力値 18
耐久値 65︵up︶
精神値 28
︽スキル︾
金属鎧lv5,剣lv5,重盾lv5,龍魔法lv1,光魔法lv
1,鑑定lv1,採掘lv1
62
︽金属鎧、重盾技能がlv5になりました。︻武術:防衛術︼の取
得が可能になります。必要スキルポイントは3です︾
即取得である。
気がついたら取得していたのだから仕方ないじゃないか!
とりあえず後で内容をくわしく調べてみよう。
イルさんがそろそろ時間らしいので、俺も街に戻っておくか。
色々換金しておきたいしね。
とりあえずギルドでクエスト終了報告。
ゴブリンソルジャー討伐はギルドにも伝わっているらしくえらい歓
迎された。
恥ずかしいのでやめてください。
嬉しいんだけどくすぐったいです。
あと金貨袋はえらい数字になった。
ポーションを64個の1スタック分購入してもどっさりお金が余っ
ている。
何が起きているだってばよ。
イルさんと折半した素材の方も中々だ。現状生産職のスキルがNP
Cと変わらないから、加工費用の関係で安いNPC売りで暫くは我
慢しよう。
後々は生産職の人ともつながりを持たなくてはな⋮⋮。
一流の盾ならば最高のモノを常に身に付けなければイカン。
なにせパーティーの戦術も全ては盾がいるから成り立つのだ。
その盾が貧弱で許される訳が無い。
個人的には、ソロで攻略できない場所では盾を引き受けない方がい
63
いと思っているだが、現状では仕方がない。
それに今日出会った二人は頼りになるしね。
こだわりよりは、良い関係を維持することにしよう。
⋮⋮時間があんまりないし眠いから今日はソロで挑むのやめておこ
う。
勝手にゴブリンのダンジョンに挑んだら明日二人に怒られそうだ。
剥ぎ取り技能ないしな。
そうだ。防衛術とやらを確認しよう。
︻武術:防衛術lv1︼
>﹃威圧﹄⋮⋮敵を威圧し混乱状態に持ち込んで自分へと攻撃の対
象を固定する。
ただしこの効果は、自分の筋力値と耐久値の合計が相手の耐久値と
精神値の合計より上回っていなければならない。
そうでない場合は、挑発と同じく限定的な効果しか得られない。
解説;武術の中でも防御に特化した武術である。闘気を操り、味方
を守るための技が中心。
この武術の闘気を身にまとう者は物理・魔法防御力にボーナスを得
る。
素晴らしいボーナスと技ですね。うんこれぞ盾にふさわしいと言え
るだろう。
しかし挑発なんてあったのか。多分別の武術の中にあるんだろう。
まあ上位互換の技が使えるのだ。
シャカリキになって探さなくてもいいだろう。
よし。今日はログアウトしておいて、明日のダンジョンアタックに
備えましょうか。
64
65
︻親方!︼出会いと準備︻空から女の子が!︼︵後書き︶
次からしばらくダンジョンアタックです。
66
︻我慢の午前5時︼ソロダンジョンアタック!︻気がついたら午前9時︼︵前書
ブックマークがえらい増えてるwwwwwwwwwwww
怖いwwwwwwwwwwwwwww
すいませんテンション上がりました。ブレイクダンスしながら一話
書きました。
67
︻我慢の午前5時︼ソロダンジョンアタック!︻気がついたら午前9時︼
おはようございます!
リアルでは現在午前5時前ですね。
颯爽とログインした僕はまず、アイテムを整えました。
イルさんがログインしてたのでメッセージを飛ばすと
﹁今視聴者の人達と座談会的なのしてる。顔出してみる?﹂
と言われたので丁重にお断りしてレベリングをする予定だった。
そしてふと思ったのだ。
レベリングをするのならば、やはり散策しなくてもモンスターを探
せる場所がいいんじゃないかと。
うんやっぱりそれがいいと思う。
でね?気がついたらマップの赤い点になってるダンジョンにね?
ソロアアタックしてたんすよね。
我慢が!我慢が出来なかったんや!だってしょうがないじゃないか!
我慢ができなかったんだからさ!
入口の転移陣って言うのかな?それを作動させようとする時にも、
﹁本当にいいのか?﹂って良心が僕に語りかけてきたんです!
でも、バレなければいいかなって⋮⋮。
やっぱりさ、ソロで踏破できないダンジョンに後衛連れて行くなん
て無責任なことできないでしょ?
さーてと転移陣を起動しよーっと。
ゲーム開始時のように光に包まれてどこかに引っ張られていく感覚。
そして、足が地面に触れた感触と共に周囲の視界が広がる。
68
石造りのダンジョンのようだ。
少し薄暗いかな。壁に松明が並んでるけど、感覚が空いていて明か
りが足りていないのだ。
目の前は一直線道だな。そういえば床は土みたいだ。
踏み込みもしやすいし、しっかりと踏ん張ることもできるので問題
ありませんな。
とりあえずいってみよーう!
通路の先には結果素晴らしい状況がありました。
そこは桃源郷。そうモンスターとの肉薄した戦闘でございます!
強者
目の前にいるのはゴブリンナイト3体。そして、ゴブリンメイジが
一体。
ゴブリンメイジ LV3
精鋭
戦闘領域:地上 アクティブ
ゴブリンナイト LV1
戦闘領域:地上 アクティブ
鑑定の結果はこれだ。素晴らしい!実に素晴らしいぞ!
精鋭クラスってのは普通って奴よりも強い、しかもゴブリンメイジ
のおまけ付きだ!
実力が分からんからな。全力でいかせてもらう。
ゴブリンナイトは片手剣と盾を使う守備的な能力を持ったゴブリン
のようだ。
鎧も身につけているし防御力が高そうだ。つか足鎧とか篭手まであ
る。俺よりも防御力高いんじゃね?
三体でお互いの隙を埋めながら、ゴブリンメイジの魔法発動に合わ
69
せて俺の動きを止めようとしてくる。
素晴らしい。しかしそれはとても素直だ。
素直すぎる。
ゴブリンメイジの魔法発動のタイミングがゴブリンナイトの動きで
丸分かりだ。
俺は相手が、俺を拘束するような動きを取った瞬間に、後ろへと大
きく後退する。
ゴブリンメイジは魔法を発動させるが、そのターゲットの場所に既
に俺はいない。
つか、足元に魔法陣が出てきてるのか。なるほどな。
前に食らった時は、魔力というか暖かい感じが足元を巡ってて、そ
の直後にそれが爆発してきたイメージだったんだけど正体はこれか。
まあいい。ゴブリンナイトの動きでゴブリンメイジの動きまで把握
できる。
さて。今度はこっちから攻めさせてもらおう。
君、防具身につけちゃってるよね?
じゃあ試し切りですな。うん。
ゴブリンナイトの攻撃には隙がない。
戦闘のゴブリンは威嚇二人目も同じく威嚇目的だが狙いが正確にな
り、三体目は確実に仕留めるように鋭い攻撃を振るう。
やはり隙ができないな。次々と攻撃が飛び出すため、反撃しにくい
し、なにより攻撃した後の隙をしっかりと他の二体が埋めている。
こういう時は隙を作りに行くしかない。
最初のゴブリンナイトの攻撃に思い切り振りかぶった攻撃を合わせ
る。
力勝負じゃ負けないぜ?
70
相手はたたらを踏む。俺は力任せにそのままバスターソードを振り
抜く。
二体目のゴブリンに対しては、振り抜いた勢いのまま回転切りだ。
俺の攻撃を受け止めることはできたが、その場に踏みとどまる事が
できずに横の壁まで吹き飛ばす。
そして最後の一体に対しては、瞬時にその体勢から剣筋を読む。そ
して、高い位置で盾受けする。
胴がガラ空きだ。
﹁戦技!兜割り!﹂
俺は咆哮しながら、横薙ぎにゴブリンナイトの胴体に兜割りを放つ。
剣は鎧の感触すら俺の手に伝えずに相手の胴を切り裂いた手応えを
残す。
ゴブリンナイトが膝をついた。
HPバーは既に残り1割だ。
さて君達のコンビネーションは瓦解した。
後は⋮⋮料理の時間だね?
相手も不利を悟ったようだ。逃げ出そうとしている。
でもそうはいかないな。君たちの装備を見て思ったことがある。
君達多分⋮⋮ドロップ品に鎧があるよね?
剥ぎ取り素材じゃなくてドロップ品だよ。
俺はね。君たちのその全身装備が羨ましくてしょうがないんだ⋮⋮。
だから。
︽威圧を発動します︾
ゴブリンナイト三体はもちろんの事、ゴブリンメイジまで恐慌状態
になって突っ込んでくる。
71
まーさっきまでと違い隙だらけだ。これだったらしょっぱなからぶ
っぱなしたら楽かもしれない。
ゴブリンソルジャーにも効き目があるのかチェックしたいところだ。
まあこんな隙だらけの連中。抜き胴の要領でサクサク倒していける。
全部こうできるならソロ余裕じゃないかな?
よーし倒した倒した。
レベルは上がらなかったが、金貨袋と篭手が手に入ったぞ!
実に懐に優しいダンジョンだ。ポーション一個も使ってないのに既
にプラス収支の構えだ。
︻防具:篭手︼”精鋭”ゴブリンの篭手
︻必要筋力値︼15
︻防御力︼21
︻希少度︼3+
︻解説︼:ゴブリンの騎士が装備している篭手。金属製であるが、
魔法の詠唱の邪魔をしない。
筋力値に+3のボーナスを得る。さらに種別:ゴブリンの相手に対
して無条件でクリティカルが
発生する確率が1%ボーナスとして発生する。
ほうかなり優秀だ。現状の金属鎧より防御力が高い。恐ろしいな。
俺の物欲センサーがここでレベリングしろと囁いている。
もうすでに罪悪感など微塵も感じていないあたり、俺はひどい人間
だと思う。
まあ今はドラゴニュートなんすけどね。これぞファンタジージョー
クってやつだ。
72
あ、すいません。物を投げないで。もう調子に乗りませんから。
こんないい装備が手に入ってテンション上がってるだけなんです。
見逃してください。
多分周りからみたら、ニタニタしてるドラゴニュートとか怖いか気
持ち悪いかのどっちかだと思う。
さて、さっきのようにサクサク進めるかと思ったら、威圧の効果は
なかなか難しい。
解説で表記されてるのは相手が一体の場合なんじゃないかな?
初っ端にぶっぱなしたら、怖がられたけど抵抗されてしまった。
さっきの戦闘と同じようにすれば、問題なく決まったので今後はこ
の形でいこう。
あと俺の物欲センサーがマックスを振り切ってるんだけど、ぜーん
ぜんドロップが出ない。
クソッ!鎧と足鎧よこせよ!鎧じゃ鎧!俺に防御力をよこせ!俺は
盾職だぞ!
いいからドロップしろよぉおおおおおおお!!!
ゴブリンナイトとゴブリンメイジを11パーティーほど粉砕したら
やっと出た。
これだ。
︻防具:金属鎧︼”精鋭”のゴブリンアーマー
︻必要筋力値︼31
73
︻防御力︼36
︻希少度︼4
︻解説︼:ゴブリンの騎士が装備している金属鎧。金属製であるが、
魔法の詠唱の邪魔をしない。
筋力値に+3のボーナスを得る。さらに種別:ゴブリンの相手に対
して無条件でクリティカルが
発生する確率が1%ボーナスとして発生する。
お主にも筋力ボーナスですか。そうですか。さらに僕のパワーが上
がります。
これ僕盾職じゃなくて普通にサブ盾件火力職になっていってません
かね?
ゴブリン一式揃ったら耐久極振りに切り替えるのも手かな?
勿論ノータイムで装備してフィニッシュです。
あと一つ疑問があります。強者とか精鋭とか強いの相手にしてるは
ずなのにレベルアップはまだなんですか?
僕レベリングが目的なんですよ。さっきまで忘れてましたけど。
本来の目的が果たせていないのに装備の充実がススム。
おかしいだろ!これドラゴニュートのデメリット想像以上に重たい
よ!
なんとうか気が遠くなる!心が折れそうだ!
フィールド狩りだとどうしようもないぞこれ。
現在午前7時半。ブリッツ君はまだ来ていないな?
よろしい。
装備集め⋮⋮じゃない。
レベリングを続行します。
74
︽おめでとうございます!レベルが5にアップしました!︾
︽筋力値が2、耐久値が2、精神値が1上昇しました。ステータス
ポイントを5ポイント獲得しました。スキルポイントを3ポイント
獲得しました。スキル枠が一つ解放されます!︾
︽金属鎧、重盾、剣、防衛術のレベルが上昇しました。︾
いよぉしよし!
さらに9パーティー。合計20パーティーを倒した所でレベルアッ
プした。
どうしよう心が悲鳴をあげているが。達成感は半端じゃない。
現在午前9時か⋮⋮。序盤でこの効率だと終盤どうなるんだ?
筋力値 69+6︵up︶
敏捷値 12
器用値 6
知力値 18
耐久値 70︵up︶
精神値 28
︽スキル︾
金属鎧lv6,剣lv6,重盾lv6,龍魔法lv1,光魔法lv
1,鑑定lv1,採掘lv1,防衛術lv2
スキルポイントはとっておこう。
防衛術にはどうやら振れないようだし。これは習熟によってしかス
キルレベルが上がらないのだろう。
鑑定は一瞬考えたのだが、基本的にモンスターに対する鑑定は今の
ところゴブリンキングさん以外問題なく見えているし。
まあしばらくはこのままで大丈夫でしょう。
75
個人的に4の倍数と5の倍数で戦技だったり武技だったり手に入り
そうな気がするのでその辺りで一気にブーストさせてみよう。
そしてこれはレベルアップまで頑張るためのモチベーションを維持
する俺の精神的なケアの意味もある。
正直ね。今後の事を思うとキャラリメイクが選択肢に入るのさ。
つらい。
⋮⋮ブリッツ君はまだインしてないみたいだね。
結構しっかりした性格してるのかと思ってたけど朝には弱いようだ
な。
まだまだレベリングさせていただきましょう。
ついでに装備を集めましょう。
それから3パーティーぐらいで篭手がもう一個できた。
まあアイテムインベントリに入れておこう。
強者
そしてね。うん。一階層目のボスだと思われるんだけど。
なんじゃあれ。
ゴブリンタイタン LV8
戦闘領域:地上 アクティブ
俺の3倍ぐらい背が高い。そして彼の周囲には通路に居たゴブリン
メイジとナイトが2パーティー。
そしてゴブリンソルジャーが二体。
うんこれ玉砕覚悟で突っ込んでも秒殺です。
一つ聞きたいんだけど君ゴブリンキングさんより強いとかないよね
ない⋮⋮よね?ちょっと大きすぎて頭の辺りとか影になってて見に
76
くいんだけども。
これは帰るか。
デスペナがもし経験値関連だったら俺はアカウントを削除する用意
があるからな。
77
︻我慢の午前5時︼ソロダンジョンアタック!︻気がついたら午前9時︼︵後書
ここにステータス書いておきます。自分でも管理しやすいので。
筋力値 69+6︵up︶
敏捷値 12
器用値 6
知力値 18
耐久値 70︵up︶
精神値 28
︽スキル︾
金属鎧lv6,剣lv6,重盾lv6,龍魔法lv1,光魔法lv
1,鑑定lv1,採掘lv1,防衛術lv2
78
︻これがドラゴニュートの︼広がる人の輪︻溢れ出てしまうカリスマ性︼︵前書
指摘ありがとうございました。
暇を見つけたり、自分の中で修正しようゲージが溜まってきたら修
正していきます。
気が付けば10万PVってどういうことなの?
79
︻これがドラゴニュートの︼広がる人の輪︻溢れ出てしまうカリスマ性︼
とりあえず、ダンジョンアタックは中止。色々とムラムラ⋮⋮モヤ
モヤするな。
ぶっちゃけ、ちょっと悔しい。
あんなんまず勝てないわ。雑魚っていってもゴブリンナイトの攻撃
だってまともに喰らえば2割ぐらいの体力が飛ぶ。
6体のゴブリンナイトに襲われたら、ゴブリンメイジの攻撃を避け
きる自信もない。
そりゃゴブリンナイトの攻撃捌けないんだから、ゴブリンメイジの
魔法攻撃だって捌けるわけないだろ!
あーどうするかなー。いいアイディアないかなー。
そんな事を考えながら、始まりの街”アルロンド”の大通りを歩い
ていく。
始まりの街”アルロンド”は、俺が最初に到着した街で、日本・韓
国・中国・台湾とその他東南アジア諸国を中継してアクセスしたプ
レイヤーがスタートする街らしい。
改めて街並みを見てみると、何でこんな西洋ファンタジーな街並み
なんだって感じがするけど、そりゃ日本企業の日本人がデザインし
たからだろう。
なんだかんだ日本人って中世ヨーロッパとかに憧れを持っていると
思う。俺の勝手な偏見かもしれんがな!
あっ。すげぇ。もう自分の店出してる生産職の人がいる。緑色のマ
ーカーだし間違いないと思う。
ドワーフのおっちゃんだ。背が低い。いや俺がデカいんだったな。
ちょっと覗いてみよう。
ぐぬぬぬ⋮⋮残念ながら、革装備と木製の武器だ。俺が使うとすぐ
80
にボロボロになるか使用できないのでちょっと遠慮しておこう。
冷やかしじゃないんだ⋮⋮。すまない店主さん。許してくだせえ。
俺が困った顔をして立ち去ろうとすると店主さんに声をかけられる。
冷やかしに見えてしまったか!?まずい!ここは平謝りだ!!
﹁冷やかしではないのです。申し訳ありませんでした﹂
ここは昔の営業で培ったリアルスキルである、誠心誠意謝罪してい
るように見える角度のお辞儀だ!
そんなもんねーけどな実際!
﹁ああいや!そうじゃないんだ。あんたタテキチさんかい?﹂
﹁はい。そうですけど、よくご存知でしたね?あー昨日運営に晒さ
れたからでしょうかね﹂
﹁それもあるが、このアルロンドだとその種族使ってるのはあんた
一人だし。その珍しい種族のあんたが、イルズペスなんて有名な配
信プレイヤーとパーティーを組んでいたんだ。すでに有名人さ﹂
おーイルさん有名なプレイヤーだったのか。投げナイフ上手だった
し時々急所攻撃でのクリティカル出してたし納得だな。
とりあえずおっちゃんと、自己紹介して、色々とお話を聞いてみた。
おっちゃんの名前はゲンゴロウ。虫の名前かなんかだったと思うん
だけど、多分日本人的な親方ネームを選んだ結果だと思うので触れ
ないようにしておいた。
日本人なのに日本的な名前なんかにしなくてもいいと思うんだけど
も。
そして衝撃の事実。ドラゴニュートは現在このゲームの中では、1
81
2名だけだそうな。EUで3名、北米で4名、南米で2名、アジア
全体で3名。
どうやら、北米ではカチカチランダムボタンをする癖の人が多いよ
うに見える。
いや、プレイヤー人口の多さのせいか。北米は未だにEスポーツ、
ようはゲームスポーツのメッカでゲームプレイヤーは日本の3倍以
上らしいのだからこのゲームのプレイヤーも多いだろう。
話がそれたな。
んでゲンゴロウ親方は、金属製の武具を作りたいそうなんだけど、
現在供給が皆無なのでとりあえずとして革装備とか木製武器とか並
べていたそうだ。
これだけ早くに店を出していれば、目にもつくし覚えもいいと思う。
親方商売上手やで。
そして親方。俺は採掘持ちなんだぜ?金属採掘して売っちゃうんだ
ぜ?なぁーに。友達価格でいいさ。代わりに俺の装備を作ってくれ
や⋮⋮。
それから、出来れば情報攻略サイトにドラゴニュートの詳細なんか
を掲載しておいて欲しいと言われた。
一応説明したのだが、覚えるのもいいが、俺以外のドラゴニュート
がいない現状だと情報がなくて大変だし、装備作るときにもそうい
う情報がまとまってると楽だそうだ。
昨日からさっきまでかなり舞い上がっていたし、そういう情報提供
とか忘れてたな。
こういうのまとめるの苦手だしブリッツ君に相談してみよう。彼そ
ういうの得意そうだしね。
あと周りになんか人が集まってきている。昨日この街に到着した時
に感じた視線とはなんか違う。
82
やはり俺の溢れんばかりカリスマオーラに魅せられてしまったのか
⋮⋮。
親方に笑いながら小突かれた。多分本来なら脇腹あたりなんだろう
けど、足の付け根ぐらいを小突かれた。くすぐったい。
いい友人になれそうだ。
そんな話をしていて、今は俺のゴブリン装備を見てもらっている。
コンコンと叩いたり、俺に許可を取ってから鑑定したりしている。
﹁うーん。こいつは⋮⋮俺の予測が当たっとるかもしれんなぁ﹂
﹁予想。一体どんな予想してたのさ親方﹂
﹁ああ。実はこのゲームな。装備の作成するために必要な素材とか
手順を知る方法が二つあってな。一つ目は適当に素材を見繕って生
産スキルを使ってみることだ。そうすると、生産用のミニゲームみ
たいなのがスタートしてな、成功すると何かの装備ができるか、価
値の付かない鈍らが出来上がる。失敗すると素材ロストする。そし
てもう一つの方法がレシピを買うことなんだ。レシピを買っちまえ
ば、最低でも中くらいの品質に落ち着くし、生産スキルのレベルと
ミニゲームの得点が高ければその分品質が高くなるのさ﹂
﹁なるほど﹂
﹁そんでな、もしかしたらこのゴブリン装備。まあゴブリンシリー
ズって言うべきか。武器まであるからな。それでだな。このゴブリ
ンシリーズだがダンジョン内にレシピがあるんじゃねーかと睨んで
る﹂
﹁ほほう!﹂
83
﹁理由としては、生産職の師匠になってくれるNPCがいてな。そ
いつが言うには、人の手で作った装備で、似た素材で作る﹃シリー
ズ装備﹄ってのには﹃シリーズボーナス﹄っつー特典が付くんだと
よ。そのシリーズ装備を一度に装備すると、そのボーナスが発動す
るって訳だな﹂
﹁いやさ、全部集めないとわからないだけなんじゃない?シリーズ
ってぐらいだし﹂
﹁そうとも言えん。こいつを鑑定してみろ﹂
俺はおそるおそる親方が足元の袋から取り出した革製の胸当てを鑑
定してみる。
︻防具:胸当て︼”新進気鋭”のグータラビットの革胸当て
︻必要筋力値︼10
︻防御力︼7+3
︻希少度︼2+
︻解説︼:グータラビットの革で作られた胸当て。
グータラビットシリーズ︵革︶効果:グータラビットシリーズの革
装備を全て揃えて装備すると敏捷値が+10される。
”新進気鋭”の称号が付いており、防御力が+3されている。
おお!なんか効果が出てる!そういえばゴブリンシリーズにはない
なーこれ。
それに人の手で作ったって師匠が言っていたらしいしそうなんだろ
う。
なにこれ夢がひろがりんぐ!!!
84
﹁だろう?﹂
と親方が悪い顔をして聞いてきた。
親方⋮⋮これは大発見ですぞ!そして親方⋮⋮俺にはあなたが言わ
んとしている事がわかります。
そのレシピ⋮⋮もし見つけたら優先して売って欲しいということで
すね?
ハハハ!もちろんですとも!素材も集めますとも!!売りますとも
!!
もちろんお値段は相談させていただけるんですね?
﹁馬鹿言ってんじゃねえ⋮⋮無料でくれてやるぜ﹂
﹁いやいや!それはさすがに!無料ってのはダメでしょ!﹂
﹁それこそ馬鹿を言ってるぜタテキチさんよお!レシピを買ったっ
て、素材を買ったって俺にとっては得がある﹂
﹁親方⋮⋮﹂
﹁まず俺はあんたのお陰で恐ろしいブランドを手に入れるんだ。初
めてゴブリンシリーズを作った生産者ってな⋮⋮そしてその装備は
現在最前線にいるタテキチが装備している。分かるな?﹂
俺は力強く頷いた。
契約成立である。
﹁とはいえ。口約束はいけねえからな。いざとなったら、知り合い
の商人に間に入ってもらうから安心してくれ。それからタテキチ。
人だかりの後ろで飛び跳ねてるヒュームは知り合いか?﹂
85
親方が指さした方向を見るとブリッツ君が飛び跳ねていた。
手段を選ばなないタイプだとは思っていたけど、それは恥ずかしく
ないのかね君?
しかも俺の名前連呼してるし。新手の目覚まし時計か君は。
俺は親方に礼を言ってからお店を後にした。
さて今度はブリッツ君とお話だ。
あーすいませーん。ちょっと道開けていただけますか?ワンハンド
チョップスタイルで人並みを砕いてブリッツ君の元へと移動した。
﹁いやー。ビックリしましたよタテキチさん。随分人だかりができ
てましたから。しかも、掲示板でも既に名前の上がっている生産プ
レイヤーのゲンゴロウとの縁も結んでいるとは⋮⋮。やはりやり手
ですね﹂
ブリッツ君の中で俺の株がストップ高である。
いや勘違いなんだ。彼と話が弾んだのも同じく金属鎧を愛する同士
だからこそであってね。
狙って接触したわけじゃないんだよ。またまた∼って顔してるのは
何で?うん。君の中で僕が無駄に美化されていますね。
いずれ誤解を解かなければいけないな。
それは後にして、先に攻略サイトに載せる事について相談しなくち
ゃな。
俺はさっき親方。もう俺の中ではゲンゴロウは親方なので親方で通
します。ブリッツ君にもそれで通しますとも。
で、親方に言われたドラゴニュートの情報についてを相談してみた。
86
﹁それは良いと思います!僕がやりますよ!情報まとめるのは趣味
みたいなモンですからね!まとめて掲載しておきますよ。一応EU
のドラゴニュートのプレイヤーが情報を出してくれてるのですが、
フランス語みたいで皆苦労してるみたいでしたから調度良いと思い
ます。僕は世界中の情報を生で見たり聞きたかったので7ヶ国語ぐ
らい扱えますけど普通はそうじゃないですからね﹂
やだなにこの子ハイスペック。彼がいたらどこでも旅行できるじゃ
ない?
本当だかどうか分かんないけど、事実なら凄いと思う。嘘ついてる
感じじゃないしとりあえず信じてみようかね。
﹁あーやっぱり変ですよね⋮⋮﹂
とか何とか言って頬を人差し指で掻いているぞ!
これはあれだな、おそらく数多の年上女性を引っ掛けているな⋮⋮。
機会があったら女性遍歴を問い詰めてみようか。
うーんこれは以前何か嫌なことがあったみたいだな。ここは多分俺
が年上だろうからフォローしてやろう。
﹁いやいや。すごいとは思うけどね。変とは思ってないよ。今度そ
のEUのドラゴニュートプレイヤーと通訳してよ。盾職の魅力につ
いて語り合いたいし﹂
﹁えっと、そのプレイヤーは両手剣持ちの火力前衛だそうですよ?﹂
ハハハ!こやつめ!ドラゴニュートが盾職以外選ぶわけないじゃな
いか!だってドラゴニュートだぜ?
いかん。話がそれてるそれてる。
87
軌道修正しよう。
とりあえずブリッツ君とドラゴニュートの情報と、ゴブリンソルジ
ャーの討伐方法について話し合ってまとめた。
ゴブリンソルジャーなのだが、どうやら街に帰ってもカウントが取
り消されるらしい。
7体狩った所で、街へポーションなんかを補給してからまたフィー
ルドで3体のゴブリンソルジャーを狩ったがアナウンスもないし、
ダンジョンの近くに行くと、何らかの力で遠ざけられてしまうらし
い。
そんな訳で、ゴブリンソルジャーについても情報を出してはどうか
とブリッツ君に提案されたのだ。
こっちも、まとめたのはブリッツ君だけど、色々意見を出したのは
俺だ。
・ゴブリンソルジャーには一定の型がある。それを見極めて隙を見
つけるべし。
・隙をつけない場合には、前衛職がある程度のリスクを覚悟で隙を
作るべし。特に盾が待ちの姿勢になるといけない。
・もし、どうしてもうまくいかない場合、地形の有利をとるのも良
い。︵ブリッツ君が昨日作り上げたという東の森の地図にオススメ
の地点とその地点での戦闘方法なんかを提案した。なんか3Dにな
ってたんだけどブリッツ君マジで何者なの?かの有名な工科大学主
席卒業とか言われても俺は疑わないと思う︶
・雑魚ゴブリンとの戦闘を見直すべし。この戦闘においては盾以外
に消耗があってはいけない。
などなどだ。あとブリッツ君がものすごくいい笑顔で。
88
﹁そうだ!一応タテキチさんと僕の戦闘動画も後で載せておきまし
ょう。イルズペスさんは特等席で”見学”してらっしゃいましたし、
昨日”お話”させていただいた事もあるのできっと快く協力してく
ださるでしょう﹂
”見学”と”お話”のあたりがやけに強調されてて怖いんですけど
ー。やだー!おじさん、ブリッツ君ちょーこわいんですけどー!
ブリッツ君が気持ち悪そうにしていたのですぐにやめた。
クソ!親方なら多分通じるのに!今時の子はヤマンバギャルも知ら
んから困るわ。
まあイルさんと合流しよう。ブリッツ君が待ち合わせをちゃんと設
定してくれていたらしい。
手際が良すぎて俺のすることがない。
イルさんとの待ち合わせ場所は、冒険者ギルドの前だった。
何だかんだで、人が流れやすい場所なのでここなら人が集まってく
ることもなさそうだとブリッツ君は言っていた。
さて、待ち合わせ場所に到着すると、イルさんの隣にエライ美人さ
んがいる。
俺が不思議そうな顔をしているので向こうの方から自己紹介してく
れた。
﹁はじめましてタテキチさん。私は天人のプリーストをやっている
ニッサと申します。よろしくお願いします﹂
﹁は、はあ。ドラゴニュートで盾をやっているタテキチです。ご存
知いただいているようで恐縮です﹂
89
﹁まあ!そんなにかしこまらないでください。これから一緒にパー
ティーを組ませていただくのですから﹂
なるほど!なるほど?いやいやそれいいんだ。天人って回復に特化
した種族だったと思うし、回復魔法の効きがドラゴニュート以外か
らだと悪いので普通のプリーストさんよりも頼りになる。なるのは
いいんだけどどういう流れ?
というかイルさん。ブリッツ君の顔見てからニッサさんの後ろに隠
れて出てこないよ?
人見知りの小学生かな?
﹁こら!イル!19歳にもなって私の後ろに隠れてるんじゃありま
せん!﹂
﹁わ!わ!わ!そういうリアルの情報はダメでしょ!﹂
﹁嫌だったら、昨日の事をタテキチさんに謝りなさい!﹂
﹁だってタテキチはOKしてくれてたし⋮⋮﹂
﹁さっさとする!﹂
﹁はっ、はい!﹂
俺の目の前で一気に事態が動いている!これは事件のにおいがする
ぞ!と思っていたら、どうやら昨日配信していた事についてだった。
どうやら、無許可で勝手に配信していたのはマナー違反らしく、普
通だったら許可を取って配信するのだそうな。
そして、昨日俺と別れたブリッツ君が配信を全力で探し出した︵本
90
当に有名プレイヤーだったので簡単に見つけられたらしい︶ので、
俺と彼女が別れた後に”お話し合い”なるものが開かれ、その時一
緒にいたニッサさんも事情を聞いて今回謝る事になったそうだ。
俺としては減るもんじゃないし、むしろ盾職の魅力を世界に配信で
きる絶好の機会になるのならお願いしたいぐらいだ。
﹁タテキチさんならそう言ってしまいそうな気がしたのでこのよう
にさせていただきました。できれば今後は、こういう事が起きたら
少し注意して欲しいです﹂
ブリッツ君が苦笑いしている。うーんここはちゃんと謝ってくれた
イルさんと、注意を促してくれたブリッツ君の顔を立ててその謝罪
を受け止め、今後は注意することにしましょう!
あとブリッツ君は、イルさんに謝りなさい。明らかに怖がってるか
ら!悪いことしてませんみたいな顔しない!どっからどう見てもや
りすぎてるでしょ!
﹁まあそうですね。規約的にも一応問題は無かったみたいですから
ね。3年前のストーカー事件からリアルと同じや似た容姿にするの
は禁止になっていて基本的には撮影OKですから⋮⋮イルさん。怖
がらせてしまってすいませんでした﹂
イルさんが元気になる。
﹁まあ、今回みたいなことを、もう一度しでかしたら二度と配信が
できないように、僕の全知覚と全能力を使って追い込んで差し上げ
ますので!﹂
イルさんが崩れ落ちる。
なにこの子おもしろい。じゃない。
91
⋮⋮まーしょうがないか。今後、ちゃんと仲が修復できるように俺
が気を配ればいいだろうし。
今はブリッツ君も譲る気はないだろうしね。
まっ!回復さんもパーティーに加入したし、とりあえずは良しとし
ましょう!
さーて、とりあえずゴブリンダンジョンへ突撃や!!!!
◆◇◆◇◆◇移動中の一幕◇◆◇◆◇◆
﹁そういえばイルさん。僕がお願いしていた動画はもう攻略サイト
に載せてくれましたか?﹂
﹁うん。載せた載せた。つかさ、一々メッセでまで脅してこないで
よね﹂
﹁イルぅー?あなた反省してる?﹂
﹁へー!リアクションが気になる!もうコメントとかついてるかな
−
コメントページを参照 <<過
モンスター:ゴブリンソルジャーページのコメント
?これで誰か盾職の魅力に取りつかれてくれるといいんだけど﹂
−
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ブリッツ
+○ンンンwww編集しましたぞwww是非これを参考に攻略して
欲しいのでずぞwww −−
アカメ
ココ
︱乙。しかし凄いな。どうやって作ったんだよこの地図w −
−
︱ワロタwwwww3Dマップwwwwwwww −−
ニオンネン
︱これは⋮⋮素直に参考になるけどなんというか。凄いな。 92
−−
スメシ
+○戦闘動画掲載しました。参考にどうぞ −−
イルズペス
︱キャーイルチャーンコッチムイテー! −− イルズペス親
衛隊No13
スメシ
タンクマン
︱完全にリアルスキルの塊。凄すぎて参考にならないとはこの
こと。 −−
︱俺ドラゴニュートになってくる。 −−
︱キャーイルチャーン⋮⋮いや。これ。あの⋮⋮5戦目の回転
イル
切りとか真似できる気がしないんだが⋮⋮あれ狙って振り返りざま
に足首ぶった切ってるの?嘘だといってよバーニィ! −−
スメシ
ダリウス
+︱是非一戦お手合せ願いたいな。ゴブリンソルジャーなんぞ
ズペス親衛隊No6
よりよっぽど楽しそうだ。 −−
︱タイマンスレへどうぞ −−
﹁嬉しいけど!嬉しくない!完全に化物扱いで盾職について触れら
れてないぞ!﹂
俺はなんというかすごく微妙な顔をしながら東の森を歩いていたと
思う。
93
︻これがドラゴニュートの︼広がる人の輪︻溢れ出てしまうカリスマ性︼︵後書
今回ステータス変動ないのでここに掲載することは特にないです。
明日また更新できるといいなー。今夜の飲み会次第だなー。
94
︻モンスターを︼ダンジョン攻略1層目・上︻フィイイィィイイイイイシュ!︼
仕事がシュラーバ
95
︻モンスターを︼ダンジョン攻略1層目・上︻フィイイィィイイイイイシュ!︼
まあいいんだ。俺が化物扱いされるのは。
今まで培ったスキルのお陰で活躍できてるし、それを賞賛してくれ
るのは嬉しいことだ。
でもね。盾ってのはあれぐらいできてナンボだと思うんですわ!
はぁー⋮⋮まあダンジョン攻略に頭を切り替えよう。そうしよう。
ちなみに、先ほどソロダンジョンアタックを報告しました。
はい。ダンジョンアタックは中止して作戦会議に入っております。
﹁ゴブリンタイタンでしたっけ?背丈だけ聞くと凄まじいですね。
そんなのと戦闘とかちょっと避けたいですね⋮⋮﹂
﹁それよりー。周りにいる雑魚の方が面倒じゃない?タテキチって
ヒールとか効きにくいんでしょ?そこらへんとかチェックしないと
ダメじゃない?小さいダメージの蓄積もヒール効きにくいんじゃ馬
鹿にできないよ?﹂
﹁ごめんなさい皆さん。正直一般的なプレイヤーの私には非常に厳
しい気がしてきたのだけど大丈夫なのかしら?西の草原だと精鋭ク
ラスなんて聞いたことないんだけど⋮⋮。イルが非常識なプレイヤ
ースキルだからある程度覚悟はしてたけども、ね?﹂
大丈夫ですよニッサさん。モンスターの攻撃なんぞ、後ろには絶対
に遠さないので安心してください。
その目。信用してないですよね?
雑魚だったら後ろに通す前に隙を作ればまず間違いなくイルさんか
ブリッツ君が処理します。
96
まあ一回行ってみましょうよ!
﹁タテキチさんがデスペナを受けるのは避けたいんですよね⋮⋮聞
いた感じだとデスペナかなり重く乗っかりそうなんですよ﹂
﹁だね⋮⋮。なにせ経験値減少だからねデスペナ﹂
ちょっとキャラリメイクしてきます。
ええい離さんか!死ぬことを恐れる盾なんていらないんじゃ!
はっ!何を弱気になっているんだ俺は!そうだよ!盾職は自分の身
も守り抜いてこそ盾じゃないか!
俺の死=パーティーの敗北だ。それは断じて認められん話だ。
ちょっと経験値が重たくて、情緒不安定になっていたようだな。
﹁そうだ。そのゴブリンタイタンが居る部屋に関しては”釣り”が
できるかもしれません﹂
﹁釣り?﹂
﹁そうです。確かダンジョン内の小部屋にいたんですよね?付近の
通路の敵パーティーを殲滅して、部屋の中から1パーティーずつ釣
り出すんですよ。全部がリンクしてトレインするかもしれませんが、
そうなったら全力で逃走しましょう﹂
﹁了解了解。とりあえず、部屋まで直行する?それなら俺がガンガ
ン先に進めるけど?﹂
﹁いえ。タテキチさんの提案の通り直行するのもいいと思います。
ですがここはダンジョンの情報を集めましょう。イルさんトレジャ
ーハンターでマッピングとかできたりしますか?﹂
97
﹁簡易的なのはできるよ。ただ歩いたルートしかマッピングできな
いし、罠の位置とかは記録できない。本当に道筋と歩いた距離から
の踏破時間の逆算だけ﹂
﹁十分じゃないですか!罠の場所は後で画像編集ソフトなんかで付
け足せばいいですし。基本方針はダンジョンの第一階層踏破とマッ
プの完全作成にしましょう。多分このゴブリンの洞窟に挑むプレイ
ヤーはそう多くないと思います。先に丸裸にしてやりましょう。あ
とタイタン最後に回した方が連携の確認とか、タテキチさんにどれ
ぐらいヒールやエンチャントが効くのか確かめられるでしょうから﹂
﹁﹁﹁りょうかーい!﹂﹂﹂
﹁それから、戦闘時とダンジョン内での判断はタテキチさんに一任
します。タテキチさんの判断なら間違いないと思いますので﹂
ブリッツ君の中で僕の株がストップ高です。怖いです。
とはいえ、こういったダンジョン攻略周辺だったら任せて欲しいね。
正直俺はこういった攻略に関しては専門家だ。⋮⋮デスペナすら調
べなかったけど、ぶっちゃけプレイヤースキルである程度どうにか
なっちゃうしなー。あんまり情報調べないのよね。
ニッサさんに何か変な生き物を見る目で見られた。
そりゃ今の俺はドラゴニュートですから変な生き物でしょうね!え
?そうじゃないって?わかっていますとも!追い打ちをかけないで
くれたまえ。
﹁隊列は俺が先頭で、その後にイルさん。索敵のサポートと戦闘中
の遊撃をよろしくね。イルさんの後ろにニッサさん。回復お願いし
ます。ブリッツ君が最後尾。後ろへの警戒とダメージソースとして
98
の役割を期待してます。じゃあダンジョンアタックすんべ﹂
おー!と皆の声が東の森に響いた。
﹁あっ!ダンジョンアタック配信してもいい?﹂
あー。ブリッツ君目くじら立て⋮⋮てないね。許可とればいいんだ
もんね。
まあ俺はおっけーだしブリッツ君たちもOKみたいなので、イルさ
んの配信設定したらダンジョンアタック開始だ!
☆
﹁あーらよっと﹂
という俺のやる気のなさそうに見える足払いですっ転んだゴブリン
ナイトさんは、哀れな事にイルさんのナイフとブリッツ君の矢に加
えて、ニッサさんのぶっぱなす光魔法lv3で取得できるフォース
という光弾によってさっさとHPが残り6割ほどに削れる。そこに
俺の戦技:兜割りの一撃で残り4割まで減る。そこにもう一発イル
さんのナイフが突き刺さって瀕死に。
︽威圧を発動します︾
これで相手は恐慌状態に陥るので、俺が攻撃を受けつつ、転ばせた
り、お腹に体当たりして動きを止めれば後ろが討ち取ってくれるの
99
で手軽です。
あとニッサさんがフォースを打つたんびに﹁たいよおおおおおおお
お!﹂って叫んでるけどあれ何なんですかね?ギャップがあって笑
いそうになるから困る。
﹁問題なさそうだね。最初の方はブリッツ君とイルさんの息が合わ
ないか心配ないけど、さすがお二人共二三回でキッチリ合わせてく
るねぇー﹂
﹁まーねー?さすが美少女配信プレイヤーって感じ?﹂
実にあざとく首をかしげてくる。
親衛隊とやらに俺刺されたりしねーだろうな?
﹁美少女プレイヤーかはともかく、遊撃しつつも射線にはいらない
辺り手馴れてますね﹂
ふーむ。とりあえずは問題なさそうだね。
あーいや。回復に問題あったな。ニッサさんが言うには俺のHP回
復量は他の種族と比較すると7割程度の効果しかないようだ。7割
もあれば不安ではないのだけれど、やっぱり事故に備えると考える
と少し不安にはなるな。自分でもヒールを積極的にしていこう。
﹁とりあえず、今朝ソロでアタックした時とは別のルート通って行
くことにする。初見の敵の出現も有りうるから慎重にいくよ﹂
みんなこっちをしっかり見て頷いてくれた。
特にニッサさんは緊張が解けてなによりだ。
100
☆
俺が今朝見つけたのとは別の小部屋を見つけた。
中にはゴブリンタイタンは居ないが、ゴブリンソルジャー3体のパ
ーティーと、ゴブリンナイト3体とゴブリンメイジ1体のパーティ
ーが二つある。構成自体は似てるな。実験にはもってこいだ。
とその前に。
﹁この小部屋でタイタンのいる部屋の予行練習できると思う。それ
から、先に小部屋の前の通路奥にモンスターがいないか確認しよう。
小部屋の前じゃ危ないからこの部屋は一回スルーしてそのまま奥の
方を探索。その後もう一度ここに戻ってこよう﹂
﹁りょうかーい!小部屋の入口からなるべく離れてとおり過ぎよう。
特にニッサはどんくさいから気をつけてね﹂
﹁誰がどんくさいですって!得意料理インスタントラーメンの女の
子に言われたくないわ!﹂
イルさんが慌てて口を塞ごうとするが無駄だった。
ちなみに俺もイルさんの意見に賛成だ。部屋の前を通りすぎたら中
の連中がいきなりアクティブになって襲いかかってくるリスクは最
小限にしたい。まあ無駄な場合が多いけどやらないよりマシだ。
あーブリッツ君二人の座布団もってちゃって!
101
奥に2パーティーほどいたので片付けた。部屋のモンスター達は幸
いアクティブにならなかったみたいだ。
さてと、どうやって釣ったもんかねー?皆何かアイディアあるかな?
﹁はーい!あたしトレジャーハンターのスキルで隠密できるからそ
れで近づいて引っ張ってこれると思うよ?﹂
﹁いやいや待ってください。それだとイルさんのリスクが大きすぎ
ますね。まずは部屋の中に居るモンスターの挙動を確かめましょう。
確実に1パーティーずつ釣って狩りたいところですからね。隠密で
きるなら、隠密しながら中の様子を確かめてください﹂
という訳でイルさんが部屋の中を調べてくれる事に。
部屋の中の様子はだいたい
・ゴブリンナイトとゴブリンメイジのパーティーは部屋の中をグル
グル回っている。
・ゴブリンソルジャーのパーティーは部屋の奥で動かない
・奥の方に宝箱がある。
・ゴブリンナイトとゴブリンメイジは3分ぐらいで一周している。
という感じらしい。
ふむふむなるほどね。それならばこうしよう。
﹁イルさんは投げナイフで、入口を通りかかったパーティーに攻撃
して欲しい。それで俺の後ろまで一気に駆け抜けて。そして、俺は
イルさんが後ろに入った瞬間に威圧をかける。そうすると、抵抗さ
れたとしても注意は俺に向くし動きは止まると思う。そこに遠距離
攻撃をいれて欲しい。そうすれば先手も取れるし後ろにも通しにく
いからね﹂
102
みんなも納得してくれたみたいだ。
さてそれじゃあいっちょ仮想タイタン部屋の攻略を始めましょうか
ね。
103
︻モンスターを︼ダンジョン攻略1層目・上︻フィイイィィイイイイイシュ!︼
気が付けばユニーク3万ですか⋮⋮驚いて声も出ねえ。
104
︻とある戦国武将はこう言いました︼ダンジョン攻略1層目・中︻俺に矢を放て
終わらないんじゃよ・・・・・・仕事も・・・・・・ダンジョン攻
略も・・・・・・・今回戦闘回です。
105
︻とある戦国武将はこう言いました︼ダンジョン攻略1層目・中︻俺に矢を放て
さーて大問題発生だ。
ゴブリンナイト2パーティーがリンクしてしまったのだ。
原因は俺の威圧だ。
最初はいい感じだったのだが、ちょっとだけ問題もあった。
部屋の中のゴブリンナイトとゴブリンメイジはちょっと手ごわい。
具体的に言うと、防御力が高く計算高い。
ゴブリンメイジは弓の飛距離ギリギリに居て、こちらに隙ができる
まではエンチャントの魔法をゴブリンナイトにかけている。
うーむ戦術的でやりにくいね。
まーお宝守ってるっぽいからありと言えばありだ。
相変わらずニッサさんが叫んでいる。
ちょっとクスッとなるのでやめていただきたい!
まあ今まで通りちまちま削ってから、体力の一番少ない奴をすっ転
ばせてダメージを与えて威圧を使ったそのときだ。
部屋からゴブリンナイト3体とゴブリンメイジが顔を出してきやが
ったのだ。
おそらく。
威圧は一定範囲に音のように威圧するオーラみたいなのを飛ばすス
キルなのだ。
フィールドで使ってないから分からなかった。
指向性があるものじゃなく、壁を隔てたらその先には行かないが、
今回の部屋のような場所だと入口付近にも威圧が飛んでしまうのだ
ろう。
そして、運悪く威圧が触れてリンクしてしまった。
106
可能性としてはもう一つある。
ゴブリンメイジが結構入口の近くでアクティブになっている。
これも俺の失策だ。
もっと下がっていけばよかった。
チッ。
まあキッチリ止めてやるさ。
俺は、盾を投げ捨てて、バスターソードを両手持ちに切り替える。
体力の減っていたゴブリンに、両手で振りかぶって戦技:兜割りを
頭頂からお見舞いする。
体力バーが消失。
向かってくるは、5体のゴブリンナイト。
﹁ブリッツ君!隙を作る余裕がない!俺に目掛けて打て!﹂
﹁でもタテキチさんに当たっちゃいますよ!﹂
﹁当たらねえよ!信用しろ!﹂
多分何か言いたげな顔をしているが無視。
俺は半身になってバスターソードを引く。
そして逆袈裟に戦技:兜割りを先頭のゴブリンナイトに放つ。
ちぃっ!勘のいいやつ!
かなり浅く決まった!
HPバーは三割ほど減った。
ムッ!
俺は後ろから弓をつがえた気配を感じるのと同時に、バスターソー
ドを振り抜いた勢いのまま右前に踏み込み回転する。
107
﹁ゲギャ!﹂
ゴブリンのうめき声だ。
ナイスショット!
相手の右肩に矢が突き刺さる。
残り4割だ!いける!
俺は回転に逆らわずにそのまま回転切りを放つ。
相手の右側に並んだ位置から放つ回転切りは、野球のスイングのよ
うにして放つ!
勿論!兜割りのおまけ付きだ!
相手の胴に吸い込まれるバスターソードには何の感触もない。
しかしわかる。
このゴブリンナイトは絶命している。
真っ二つだ。
しかし、これは大きな問題がある。
後衛への道が空くのだ。
だがさせるかよおおおおおおお!
俺は雄叫びを上げながら、俺の横を通り抜けようとしたゴブリンナ
イトの脇腹に飛びかかる。
いよおし!
右腕に引っかかった!こっから無理やり押さえ込む。
ってやべぇええええええ!
壁にヒビを入れてしまうほどの突進。ちなみに俺も突っ込んで頭が
ハマる。
やっべ!やっべぇよこれ!
パワーあり余りすぎやんこの体!
いや、無理やり回転を止めて突っ込むから思い切り力入れたら予想
以上にいっちゃったってヤツなんだ。
108
突っ込ませたゴブリンナイトと俺は体力バーが1割ほど削れている。
これ収支悪い!二度とやらん!
﹁うっそぉ⋮⋮﹂
ニッサさんの呆けたような声が聞こえる。
すいませんニッサさん!
叫んで良いので集中してくださいな。
くそ!通路が比較的広いせいでまた後衛への道が空いちまってる。
俺が慌てて振り返った時目に飛び込んできたのは、目に投げナイフ
が突き刺さって後ろに倒れこみ、後続の足を止めてしまったゴブリ
ンナイトだった。
﹁クリティカル!ほらニッサ!ぼさっとしないで回復準備!タテキ
チ!くるよ!﹂
イルさんマジパネェっすよ!
くるって何かくるんだ?
いや!分かってるだろう!魔法だ!
魔法を食らう前に通路のど真ん中に立ちふさがる。
魔力を帯びた炎弾が打ち込まれる。
﹁ぬおおおおおおおおおおおおおおお!!﹂
やっべ!これ気合入れないとやばい!
何がってこれ痛覚設定しっかりやらないとマジでいたい!
こんなにリアルにしなくてもいいんやで運営さんよ!
体力バーが残り2割。
クッソいてええええええ。
109
フィールドの普通クラスとは火力が違うなクソ!
﹁ヒール!次10秒です!﹂
﹁魔力空にするつもりで打ちなよニッサ。ポーションはアタシが買
い込んで来てるからね!﹂
よし!体力残り4割。もうちょいで5割に届くところまで回復!
そして、ニッサさんとイルさんの言葉の間に矢を引き絞る音!
俺は、思い切り伏せて射線を空ける。
﹁グギギィ!!﹂
残り5割か!若干後衛にプレッシャーがかかってるな。
普段のブリッツくんなら眉間へ一発だ。少なくともクリティカルさ
せる位置に打ち込める。
壁にめり込んだゴブリンナイトが復帰しかけてる。
﹁イルさん任せたァ!﹂
俺は前へ飛び出すのと同時に、復帰しようとしているゴブリンナイ
トの足首を切りつける。
呻き声を上げて倒れ込んだゴブリンナイトを無視して、残り体力5
割のゴブリンナイトへと駆け出す。
﹁ヒール!次10秒かかります!こらえて!﹂
俺の体力7割弱!こらえて見せますとも!
袈裟斬りに目の前のゴブリンナイトに戦技:兜割りを放つ。
クソッ!残り2割残った!
110
魔法が。
くる。
ええい!
祝福と龍の加護を自分へ行使する!
今度は雷かよ!
﹁ぬああああああああああ!!﹂
体に衝撃が突き抜ける。
体力はもう1割もない状態だ。
力が抜けて膝をつきかけてしまう。
﹁ヒール!後2回で限界です!イヤァ!﹂
ゴブリンナイト3体が剣を振りかぶっている。
ヒールで4割まで回復したけど⋮⋮すぐに体勢を整えられん。
しかし。
俺に到達した剣は一本のみ。肩に食い込んでいる。
残りはイルさんの投げナイフとブリッツ君の矢が突き刺さり攻撃を
途中でキャンセルさせられていた。
グッジョブ。ダメージ1割に抑えられた。
力が戻ってきてる。
俺に剣撃を与えたのは死にかけの奴だ。
立ち上がりながら、胴体にバスタソードをソイツに突き刺す。
﹁タテキチ!後ろの処理した!アタシの投げナイフ残り3!﹂
111
﹁ヒール後3秒です!次でポーションちょうだい。イル﹂
﹁射線こじ開ける!次食らったら俺でも耐えられん!﹂
﹁了解!メイジに照準合わせてます!﹂
﹁うおおおおおおおおおおお!!﹂
俺はゴブリンナイト二体に突撃する。
二体は俺の動きを止めようと道を塞ぐように盾を前面に構えた。
残念だ。
俺の突進を止めようと重心が随分前じゃないか。
俺はバスターソードを背中に戻す。
ゴブリンナイトは驚いた表情になる。
そして、盾を思い切り引っ張る!
重心が前すぎて、ゴブリンナイトは前につんのめる。
そのまま体重を思い切りかける。
ゴブリンナイトは今度こそ体勢を崩して前に転んでしまった。
それに引っ張られて俺も転んでしまうが問題はない。
射線は?
オールクリアだ。
﹁お見事ですタテキチさん﹂
﹁ナーイス!バッチリだね﹂
ブリッツ君の放つ雷をエンチャントした矢とイルさんの炎をエンチ
ャントした投げナイフが、ゴブリンメイジの心臓と眉間に突き刺さ
る。
ブリッツ君が放ち胸に突き刺されたゴブリンメイジの体力バーは消
112
失。
イルさんの投げナイフがあたったゴブリンメイジの体力は残り4割。
タフだこと。
しかし魔法の詠唱は止まった。
︽威圧を発動します︾
俺はバスターソードを構えながら威圧を放った。
ゴブリン達は恐慌状態に陥る。
悪いがもう敵じゃあないね。
足元に倒れ込んでるコイツらに俺はどうみえてるのかね?
☆
﹁正直ダメかと思いました﹂
﹁アタシもー。つか自分に向けて打てとかどんなデタラメよwww
ww﹂
そんな事を言いながらこれから、イルさんの腰の高さぐらいまであ
る大きな宝箱の前に全員集合している。
えっ?ゴブリンソルジャー?
ポーション飲んでからフルボッコです。
祝福と龍の加護を重ねるとダメージが一発1割ぐらいに抑えられる。
あと通路に誘い込んだらあいつら得物が大きすぎて一体ずつしか大
振りできないんだよね。
113
楽です。
キッチリ盾で受けてダメージを微量に抑えて、たまに避けきれなく
ても2・3発受けてからヒール貰えば大体全回復。
負ける要素がない。
一回後ろに抜けようとしてたけど遊撃のイルさんは的確に相手の顔
面に投げナイフを素晴らしいタイミングで投げて動きを止めてくれ
ます。
ちょっと前に体重乗せてると、避けたら体勢崩すし、当たったら大
ダメージなのでそこから切り崩せるのです。
それからバスターソード一本ゲットしたのでウハウハです。
売り飛ばすか、二刀流やってみるか悩むところだ。
﹁まあ正直あの発言には驚きましたけどね。本当に矢を打ったら避
けてゴブリンナイトに当たったので色々馬鹿らしくなりました﹂
﹁ぶっちゃけ打つ方も打つ方だよねーwwww﹂
﹁ちょっとイル!まあ全否定はしないわ。あとイルも戦闘中は落ち
着いてて頼りになったわ。お陰でしっかりサポートできたもの﹂
﹁まーアタシ美少女配信プレイヤーだから?﹂
うーんいいですなこの空気。
まあ宝箱を若干忘れてる気もしますが口にはしません。
パーティーを組んでいて楽しいのはこういう時だ。
ちょっと気持ち悪いとおもわれるかもしれないけど、お互いにいい
プレイができてピンチを乗り切った時はやはりテンションが上がる。
そして自分の戦果というか、自分ができた良いプレイやパーティー
メンバーの良いプレイを褒め合うのだ。
何気なくこうなるのは良い戦闘ができた証拠。
114
ゴブリンソルジャー倒すまでは張り詰めていてもらったが今は問題
ない。
ダンジョンのモンスターは再出現することはないのは中をグルグル
回りつつ確かめたことだ。
ってイルさんブリッツ君を煽らない。
あーブリッツ君!矢をひかない!
イルさんもファイティングポーズしない!
ニッサさんは止めてくれてますね。
あなたが頼りでございます。
はいよろしい!
﹁じゃあイルさん宝箱開けちゃって!﹂
﹁よろしいでしょうタテキチどのー!トラップ無いのはさりげなく
確認済なのよねーん﹂
イルさんは宝箱を空ける。
頭の中でごーまーだーれーとかやってみる。
ニッサさんちょっと呟いてる。
お気持ち、お察しします。
俺と同年代とかおば⋮⋮なんでもないです。
怖い視線を向けないでください。
﹁なんだろこれ?えーっと緑色亜人の魔鉄12個と﹃ゴブリンの足
鎧・レシピ﹄?それから魔石がいくつかだね。なんかレアっぽい?﹂
﹁きたあああああああああああああああああああああ!!﹂
俺は拳を突き上げた。
115
ピンポインツ!
俺幸運EXとかなんじゃないこれ?
ああー皆の困惑してる顔も今は気持ちいいんじゃー。
とりあえず事情を説明!
ゲンゴロウさんとのやり取りを話をしたら快く協力してくれるとの
こと。
ただし、ゲンゴロウさんから受け取る報酬のお金は折半だ。
これは俺が提案した。
こういう時みんな盾職にちょっと遠慮してくれるけど、俺はそれを
間違っていると思っている。
前線で一番デットに近いとか、防具のすり減り方が半端じゃないと
か。そういう理由はたしかにわかる。
しかし、パーティーメンバーの中でもっとも最優先でヒールをもら
い。
防御系のエンチャントやバフを受けるのは盾職なのだ。
ある意味一番安全地帯にいるのだ。
たしかに金はかかるが、大体の場合均等に分けてもどうにかなる。
盾職はそういった部分を受け入れてプレイすべきなのだ。
︻現在の戦果︼
>宝箱品
・緑色亜人の魔鉄12個
・﹃ゴブリンの足鎧・レシピ﹄
・魔石5個
>ドロップ品
116
・ゴブリンバスターソード
・ゴブリンメイル2個
・ゴブリンの杖1個
・緑色亜人の魔鉄4個
>剥ぎ取り品
・緑色亜人の魔石︵中︶36個
◆◇◆◇◆◇マップの埋め作業道中◇◆◇◆◇◆
﹁今まとめてる感じだとこんなもんかな。ドロップした装備だとゴ
ブリンの杖だけ新規かな?とりあえず後で街に戻って色々見てもら
おうか。あーあと鑑定鍛える用にここ出たら新規のアイテムとか一
回並べるからね。鑑定しておいてねー﹂
﹁そういえば鑑定鍛えないと不便ですよね。ありがとうございます
イルさん。口は悪いですけど頭は良いんですね﹂
﹁うわー!チョー感じ悪いんですけど!ですけど!!タテキチ!あ
あいうのインシツだよねー﹂
うーんさすがに今のはねー。
ブリッツ君悔しそうな顔してこっちを見てもダメです。
多分計算じゃないんだろうけど、その子犬みたいな目は許してしま
いそうになるから困る。
狙ってやってるならもうちょい器用に生きてそうだし。
﹁イルが何度も突っかかるからでしょ?﹂
﹁なんでアタシが怒られるのさー納得いかないんですけどー!ブー
117
ブー!﹂
豚ですな。ハハハ!なんでもございませんよ!
鼻を押し込むな。ブハッ!
聞こえてるじゃねーか!
﹁あっ!そうだ!ゴブリンタイタンの部屋行く前に聞いておきたい
んだけどさ!ごーまーだーれーって何?アタシがトレジャー開ける
ときに配信でちょーコメント出るんだけどなんなの?﹂
﹁えっ?﹂
﹁えっ?﹂
﹁そういえば時々見かけますよね。気になったのですが、結局調べ
てないんですよねそれ﹂
これが、じぇねれーしょんぎゃっぷというモノか⋮⋮。
俺はちょっとだけ引退を考えた
118
︻とある戦国武将はこう言いました︼ダンジョン攻略1層目・中︻俺に矢を放て
次も戦闘回です。
修正は夜に家に帰ってから。
朝とお昼休みじゃここまでしか書けませんでした。
119
PDF小説ネット発足にあたって
http://ncode.syosetu.com/n1097ck/
【盾をやるなら】盾キチ・ハンパネー!【あのお方に聞け】
2014年12月23日15時09分発行
ット発の縦書き小説を思う存分、堪能してください。
たんのう
公開できるようにしたのがこのPDF小説ネットです。インターネ
うとしています。そんな中、誰もが簡単にPDF形式の小説を作成、
など一部を除きインターネット関連=横書きという考えが定着しよ
行し、最近では横書きの書籍も誕生しており、既存書籍の電子出版
小説家になろうの子サイトとして誕生しました。ケータイ小説が流
ビ対応の縦書き小説をインターネット上で配布するという目的の基、
PDF小説ネット︵現、タテ書き小説ネット︶は2007年、ル
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