泌尿生殖器系3(urogenital system)= 泌尿器 + 生殖器

組織・各臓器の構成、機能と位置関係
泌尿生殖器系3(女性生殖器)
泌尿生殖器系3(urogenital system)= 泌尿器 + 生殖器
形態機能医科学講座
組織細胞形態学・神経科学領域
生殖器系(reproductive system)
女性生殖器系(female reproductive system):内生殖器 + 外陰部
内生殖器:卵巣(ovary)、卵管(oviduct)、子宮(uterus)、膣(vagina)
泌尿生殖器系3
卵巣:表面は腹膜上皮に覆われており、その実質は大まかに皮質と髄質に分け
られる
卵巣(ovarium, ovary)
外観
・ 大きさ:そら豆大(長さ 3cm、幅 1.5cm、厚さ 2cm)
・ 卵巣の表面をおおう腹膜は卵巣間膜—子宮広間膜につながる。卵巣へ出
入りする血管・神経は卵巣間膜のなかを通る。
・ 卵巣門:血管、神経が卵巣に侵入する部位
構造
・ 卵巣を包む腹膜上皮:中皮(胚上皮:誤った命名)単層扁平〜立方上皮
・ 腹膜上皮下:白膜(緻密結合組織)
・ 実質:皮質と髄質(皮質、髄質の境界は不明瞭)
図-1 女の骨盤の正中断面
泌尿生殖器系3
図-3
卵巣の構造を示す半模型図
卵巣の皮質:結合組織(間質 stroma)からなり、様々な成熟段階の卵胞(ovarian
follicle)が入っている
卵細胞と卵胞の成熟過程
・ 卵細胞の由来:卵黄嚢より原始生殖細胞が遊走して卵巣に入る。この細
胞が盛んに分裂し、卵祖細胞になる。
泌尿生殖器系3
図-2
子宮、卵管、卵巣および膣の上部(後面)
1
・ 卵祖細胞(oogonium)
:卵巣中に宿る。さらに盛んに分裂(胎児期)。減
2
組織・各臓器の構成、機能と位置関係
泌尿生殖器系3(女性生殖器)
数分裂の前期で分裂を休止し、卵母細胞となる。排卵までこの状態であ
る。
・ 卵母細胞(primary oocyte):卵胞中に存在する。幼少期に卵胞の閉鎖が
起き消失しているが、思春期で片側の卵巣に 40 万個存在する。但し成
熟するのは両側で 400 個程度であり、残りは年齢とともに閉鎖卵胞とな
る。40〜50歳の段階では 8000 個程度となる。閉経期を過ぎるとす
べて閉鎖卵胞となる。
卵巣皮質の組織像
多数の卵胞(follicle)を認める
・ 原始卵胞 (primordial follicle)
・ 一次卵胞 (primary follicle)
・ 二次卵胞 (secondary follicle):胞状卵胞とも言う。
・ 成熟卵胞 (mature follicle, Graafian follicle)
上記の分類は教科書によって若干異なる場合がある事に注意!
思春期までは、卵巣皮質には原始卵胞のみ。
原始卵胞(primordial follicle)
卵母細胞を単層扁平の卵胞上皮細胞が取り囲んだもの。卵胞上皮細胞と周囲
の結合組織との間には基底膜がある
ゴナドトロピンがパルス状に分泌され始め、思春期が訪れる
視床下部からゴナドトロピン放出ホルモン GnRH(黄体化ホルモン放出
ホルモン LHRH)がパルス状(90 分周期)に分泌され思春期の到来・性周
期維持。これにより、下垂体前葉からゴナドトロピン(卵胞刺激ホルモ
ン FSH)と黄体化ホルモン(LH)が分泌される。
泌尿生殖器系3
図-4
泌尿生殖器系3
表-1
様々な発育段階の卵胞の特徴
原始卵胞
思春期より
卵胞は原始卵胞、一次卵胞、二次卵胞、成熟卵胞の順に発達・成熟する
泌尿生殖器系3
3
図-5
卵胞成熟の諸段階(成熟ウサギの卵巣にみられたもの)
4
組織・各臓器の構成、機能と位置関係
泌尿生殖器系3(女性生殖器)
原始卵胞は発達して一次卵胞になる(FSH 非依存的)
。一次卵胞は周囲を取り囲
む卵胞上皮細胞の層の数によって、単層一次卵胞と多層一次卵胞に分けられる
一次卵胞 (primary follicle)
組織像
卵母細胞
直径 60〜70μm から 120〜150μm へ発達。周囲に透明帯(粘液多糖類が
構成、エオジン好性)
(図-6、C)が出現。アクチビンが出て、顆粒層
細胞の増殖が促進される
顆粒層細胞
卵胞上皮細胞が立方状へ変化。内卵胞膜で作られた男性ホルモンの一
種(アンドロステンジオン)をアロマターゼという酵素により、エス
トロゲンの一種に変換される
卵胞膜:間質の細胞由来。(卵胞との間には基底膜がある事に注意(図-6、E))
内卵胞膜と外卵胞膜の二つがある
内卵胞膜:間質細胞由来で LH 受容体を持つ。男性ホルモンの一種(ア
ンドロステンジオン)を分泌する
外卵胞膜:結合組織
泌尿生殖器系3
図-6
泌尿生殖器系3
図-7 多層一次卵胞
泌尿生殖器系3
図-8
単層一次卵胞
5
6
組織・各臓器の構成、機能と位置関係
泌尿生殖器系3(女性生殖器)
二次卵胞は多層一次卵胞に似ているが、卵胞液を入れた腔が存在する点で区別
できる
二次卵胞 (secondary follicle)
・ 卵母細胞周囲の顆粒層に卵胞液が入った腔(融合し卵胞腔となる)が出
現した状態。
・ 卵胞液には、プロゲステロン、エストラジオール、インヒビン、フォリ
スタチン、アクチビンなどのホルモンが含まれる。
・ 二次卵胞以後の発達には、下垂体からの FSH が関わる:FSH により顆粒
層細胞が増殖。又、FSH により顆粒層細胞が LH 受容体を持つ。
二次卵胞に出現する構造
卵丘:卵母細胞が卵胞腔に向かって丘のように盛り上がっている様子
放線冠:透明帯に接する一層の顆粒層細胞
成熟卵胞(グラーフ卵胞)は卵巣全体を占めるまでに大きくなり、やがて排卵
が起こる
成熟卵胞(Graafian follicle):卵胞腔 → 著しく大きくなる
卵胞の直径〜2.5cm
エストロゲンを分泌(血中へ)
泌尿生殖器系3
図-12
成熟卵胞
成熟卵胞から卵娘細胞が腹膜腔へ放出される過程を排卵(ovulation)という
排卵
・ 排卵は、およそ 28 日に一回、両側の卵巣に交互に起こる
泌尿生殖器系3
泌尿生殖器系3
図-9
図-10
・ 血中のエストロゲンは主に成熟卵胞(一部二次卵胞)から分泌されるが、
月経周期の 14 日頃には、その値は十分上昇し、その結果
(1)下垂体前葉のゴナドトロピン分泌細胞に負のフィードバック:FSH 分
泌を抑制
(2)下垂体前葉のゴナドトロピン分泌細胞に働き、急激な LH の大量放出
(LH サージ)を起こす。
LH サージ:通常エストロゲンによる負のフィードバックにより LH の分泌は抑え
二次卵胞
二次卵胞
られている。一方、LH サージは、エストロゲンによる正のフィードバックによ
る。脳の視床下部には GnRH の分泌を担うホルモン(キスペプチン、別名メタス
タチン)を発現する部位が少なくとも2か所あり、エストロゲンはキスペプチ
ンの分泌に対し、一方には正に、他方には負に働くと考えられている。この正
に働く系が優位になり、LH サージが起きると考えられている。
泌尿生殖器系3
7
図-11
顆粒層と卵胞膜
8
組織・各臓器の構成、機能と位置関係
泌尿生殖器系3
泌尿生殖器系3(女性生殖器)
図-13
泌尿生殖器系3
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図-14
10
組織・各臓器の構成、機能と位置関係
泌尿生殖器系3(女性生殖器)
ャップ結合がブロックされ、顆粒層細胞からの減数分裂抑制因子が卵胞
に届かなくなり、第一次減数分裂が完了する。その結果、卵胞中の卵母
細胞は、第二次卵母細胞(卵娘細胞)と第一極体となる。
卵胞の名称と卵母細胞の状態とが対応していないことに注意!
・ 第二次卵母細胞は、第二減数分裂にすすみ、中期で停止する。これ以降
の減数分裂は排卵後、受精の際(精子の卵子内進入直後)に起こる。
LH サージの結果、次のことが起こる
・ 卵胞膜には浮腫がおき、第二次卵母細胞(卵娘細胞)とその周囲の顆粒
層細胞が腹腔内へでる(排卵)。成熟卵胞の残りの顆粒層と卵胞膜は、
赤体を経て、黄体となる。
・ 卵管の遠位端は漏斗状になっており(卵管漏斗)、卵巣を包み込むよう
に存在。そのため、排卵された第二次卵母細胞は通常卵管へとすすみ、
卵管内で受精する。
泌尿生殖器系2
図-15
(減数分裂)
(減数分裂)
泌尿生殖器系3
図-16
卵母細胞の減数分裂
泌尿生殖器系3
図-17
・ 卵胞が成熟すると、透明帯にある、卵母細胞と周りの顆粒層細胞とのギ
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組織・各臓器の構成、機能と位置関係
泌尿生殖器系3(女性生殖器)
黄体
排卵によって第二次卵母細胞(卵娘
細胞)とその周囲の顆粒層細胞が抜
妊娠黄体:妊娠時の黄体のこと:胎盤(合胞体栄養細胞)からの絨毛性ゴナド
トロピン(hCG)により黄体を維持。黄体は大きくなる。(hCG は構造、性質が
一部 LH に類似している)
け落ちた成熟卵胞から形成される。
短期間だけ存続する内分泌腺で、子
宮内膜に作用するホルモンを分泌
する。排卵した成熟卵胞の部位には
血液が入り、赤体となる。LH により
黄体となる。黄体は顆粒層黄体細胞
(顆粒層細胞由来)と卵胞膜黄体細
胞(内卵胞膜細胞由来)からなる。
泌尿生殖器系3 図-19
ヒト月経黄体の一部(ヘマトキシリン-エオジン染色)
泌尿生殖器系3 図-18
卵巣の構造と卵胞の発育を示す模式図
顆粒層黄体細胞
成熟卵胞の顆粒層細胞は排卵後、顆粒層黄体細胞(顆粒層ルテイン細胞)に分
化してホルモンを分泌する
・ 大きい細胞(直径 30〜50μm)、黄体の8割。エオジン淡染。
・ 脂肪滴
・ プロゲステロン(黄体ホルモンとも呼ばれた)を産生。卵胞膜黄体細胞
からの男性ホルモンをエストロゲンに変換(アロマターゼを持つ)
卵胞膜黄体細胞
卵胞膜黄体細胞(卵胞膜ルテイン細胞)は内卵胞膜細胞に由来し、プロゲステ
ロンや男性ホルモンなどを分泌する
・ やや暗調、小型(直径 15μm)、黄体の約2割。周辺部に多く密に存在。
・ プロゲステロンとエストロゲンは下垂体から LH と FSH の分泌を抑制す
る。FSH がないと新しい卵胞の発達はおきず、排卵もない。
月経黄体:妊娠のない場合の黄体のこと:妊娠しないと LH は低下、黄体は変性
し、白体となる。
13
泌尿生殖器系3
図-20
黄体ホルモン
白体:黄体が変性し白体となる。
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組織・各臓器の構成、機能と位置関係
泌尿生殖器系3(女性生殖器)
変性に陥った卵胞を閉鎖卵胞という
閉鎖卵胞はマクロファージが処理する
思春期の卵巣に存在する全卵胞の 0.1〜0.2%が成熟し排卵に至る。月経周期
泌尿生殖器系3
表-2
女性生殖器の機能に関係する主なホルモン
ごとでは、同時に約 50 個の卵胞が発達を開始、成熟卵胞にはこのうち約 5 個が
なり、そのうち 1 個が排卵にいたる(優
位卵胞)。メカニズムの詳細は不明。排
卵に至らなかった卵胞は変性し閉鎖卵
胞となる。
泌尿生殖器系3
図-21
髄質の構造
卵巣の髄質は血管の多い線維性結合組織で、様々な結合組織細胞の他、間質細
胞や門細胞などが存在する
・ 間質細胞(その集団を間質腺):閉鎖卵胞の顆粒細胞の一部から由来。
性ホルモンを分泌するが、ヒトでは痕跡的。
・ 門細胞:卵巣門周囲に存在。精巣のライディッヒ細胞に類似。男性ホル
モンを分泌。
ホルモンと女性生殖器の発生
ホルモンの欠如によって卵管と子宮が形成される
卵管と子宮はミュラー管由来。男児では、セルトリ細胞より分泌されるミュラ
ー管抑制物質によりミュラー管の発育を阻害する。ライディッヒ細胞より分泌
するホルモン(テストステロン等)によりウォルフ管が発達する、女性では、
そのまま発達する。
泌尿生殖器系3 図-22
視床下部-下垂体-卵巣系の内分泌調節のメカニズ
ムを示す模式図(ただし、LHサージや LH のパル
ス分泌にかかわるとされるキスペプチンを有す
る、GnRHのさらなる上部中枢(視床下部前腹
側室周囲核、視床下部弓状核は示していない)
。
FSH:卵胞刺激ホルモン、GnRH:ゴナドトロビン放
出ホルモン
LH:黄体化ホルモン
泌尿生殖器系3
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図-23
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組織・各臓器の構成、機能と位置関係
泌尿生殖器系3(女性生殖器)
卵管(oviduct, Fallopian tube)
卵管は卵娘細胞と精子が出会う場であり、受精卵を子宮へと運ぶ管でもある
約 12cm、内側端は子宮へ続く(卵管腔から卵管子宮口を経て子宮腔へ)
。外側端
は腹腔へ(卵管腔から卵管腹腔口を経て腹膜腔へ—子宮外妊娠のおそれ)
次の4つからなる(周囲は腹膜で覆われる)
。
・ 漏斗:卵管腹腔口周囲はふさ状(卵管采という)
・ 卵管膨大部:卵巣側 2/3。受精はここでおきる
・ 卵管峡部:子宮側 1/3
・ 子宮部:子宮壁を貫く部分
粘膜、筋層、漿膜(腹膜)の3層からなる
粘膜:ヒダが発達。上皮は単層円柱上皮。構成する細胞は、分泌細胞(無線
毛細胞)と線毛細胞である。分泌細胞からの分泌物で精子が受精能を
獲得する(?)。粘膜固有層は顕著ではない。
筋層:内輪、外縦の平滑筋層
子宮(uterus)
概観:子宮は厚い筋層を持ち、底部、体部、頚部からなる
受精卵が着床後、出産時まで成長する場
泌尿生殖器系3 図-26
妊娠子宮の断面(模型図)
子宮の体部と底部の壁は子宮内膜、子宮筋層、子宮外膜(漿膜)の三層からな
る
子宮内膜は子宮の粘膜で、表層の機能層と深層の基底層からなる
子宮内膜の組織像(体部、底部)
・ 上皮:単層円柱上皮、多くは無線毛分泌細胞、一部線毛細胞。
無線毛分泌細胞:単一管状腺である子宮腺も構成する。丈の高い明る
い細胞。分泌物は粘液性。
・ 粘膜固有層(子宮内膜と同義に用いることもある)は機能層(月経に伴
い剥離する)と基底層(常に存在。ここから機能層が再生)に分かれる。
粘膜下層はない。
・ 動脈は、機能層のなかでラセン状に走行(ラセン動脈)。性ホルモンの
欠如で痙攣を起こし、機能層の血行障害がおき、機能層が剥離する(月
経)
。
泌尿生殖器系3 図-24
ヒト卵管膨大部の横断(ヘマトキシリン-エオジン染色)
泌尿生殖器系3 図-25
ウサギ卵管内面の走査電子顕微鏡像
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組織・各臓器の構成、機能と位置関係
泌尿生殖器系3(女性生殖器)
子宮の頚部は体部に続く部分で、下端が膣の内腔に突出している
・ 上皮細胞:丈の高い単層円柱上皮(線毛細胞、無線毛細胞)
・ 上皮は粘膜固有層内に落ち込み、子宮頚腺をなす。アルカリ性の粘液分
泌(膣は酸性、精子にはアルカリ性が良い)
・ 子宮膣部の外面(膣部:膣の内腔に突出する部分):非角化重層扁平上
皮
・ 粘膜固有層:結合組織
・ 分娩時には、胎盤からリラキシンが分泌され、頚部は軟らかくなる。
泌尿生殖器系3
図-27
子宮内膜の構造を示す模式図
子宮の筋層:内縦筋層、中輪筋層、外縦筋層の三層の平滑筋層からなる
・ 筋層は厚く、厚さは 1cm を越える
・ 中輪筋層には血管が豊富(弓状動脈が走る)で、血管層とも呼ばれる
・ 平 滑 筋 細 胞 は エ ス ト ロ ゲ ン に よ り ( す な わ ち 妊 娠 中 に )、 肥 大
(hypertrophy)と増生(hyperplasia)をしめす
(補足)分娩時
子宮筋層等でプロスタグランジン産生、下垂体後葉でオキシトシン産生 →
両者の働きで子宮筋収縮 → 分娩後もオキシトシンの働きで子宮収縮持続。
泌尿生殖器系3
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図-28
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組織・各臓器の構成、機能と位置関係
泌尿生殖器系3(女性生殖器)
月経周期は月経期、増殖期(卵胞期)、分泌期(黄体期)に分けられる
泌尿生殖器系3
泌尿生殖器系3
図-30
図-31
分泌期 子宮内膜
増殖期 子宮内膜
受精から着床まで
泌尿生殖器系3
図-29
月経周期における卵巣、子宮内膜、ホルモン変化の関係を示す模式図
FSH:卵胞刺激ホルモン LH:黄体ホルモン
月経期(月経周期 1〜4 日)には、子宮内膜の機能層が剥脱する
・ 排卵 10 日ほどで黄体が変性→プロゲステロンとエストロゲンが減少→
ラセン動脈が収縮→2日後、機能層が壊死→月経(出血量は 30〜40ml 程
度)
増殖期(卵胞期、月経周期 5〜14 日)には、子宮内膜の機能層が増殖して再生
*月経周期 4〜14 日とする場合もある
する
・ (卵胞からの)エストロゲンの作用で基底層から機能層が増殖
受精は第二次卵母細胞(卵娘細胞)と精子の結合をいい、卵管の膨大部で起こ
る
・ 排卵された第二次卵母細胞の周囲には透明帯と放線冠細胞が存在
・ 透明帯には精子受容体があり、精子の頭部と結合すると、先体反応を引
き起こし、先体のなかの酵素が透明帯に放出し透明帯を溶かす(とくに
アクロシン)
・ 精子の頭部が第二次卵母細胞に接すると、表層反応がおき、多精子受精
を防ぐ(電位変化と透明帯中の分子の分解)
・ 精子が第二次卵母細胞の中に入り、第二減数分裂が再開。卵子と第二極
帯ができ、卵子の核と精子の核が融合し、受精を完了する。
・ 排卵から受精までの猶予は約 24 時間(その後マクロファージが貧食)
分泌期(黄体期、月経周期 15〜28 日)には、内膜に浮腫が起こり、らせん状に
迂曲した子宮腺に分泌物がたまって内膜全体が厚くなる
・ 子宮腺腔内にはグリコーゲンがたまる(受精に備え栄養を蓄える)
・ 排卵 10 日ほどで黄体が変性→プロゲステロンとエストロゲンが減少
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組織・各臓器の構成、機能と位置関係
泌尿生殖器系3(女性生殖器)
膣 vagina:線維筋性の筒で、粘膜、筋層、外膜の三層からなる
・ 交接器、産道
組織像
・ 上皮:(非角化)重層扁平上皮、エストロゲンが高いとき(排卵前)厚
く、低い時(排卵後)薄い。
上皮細胞中に多量のグリコーゲン。剥離し、膣内の細菌(デーデルライ
ン桿菌)により乳酸となる(膣内は強い酸性)。
・ 粘膜固有層:緻密な結合組織、コラーゲン繊維と弾性繊維に富む。
・ 筋層:様々に伸びる平滑筋線維の集団。膣下端部(膣口の近く)で尿生
殖隔膜を貫く部位には骨格筋も存在
泌尿生殖器系3
図-32
着床は胞胚が子宮粘膜のなかに埋没する過程をいう
・ 受精後約4日かかり、子宮へ。その約2日後着床する。
外陰部は大陰唇、小陰唇、膣前庭、陰核からなる
・ 大陰唇:男性の相同器官は陰嚢。多数の汗腺と脂腺。皮下脂肪が多い。
外側面にのみ陰毛。
・ 小陰唇:男性の陰茎の尿道面と相同。脂腺はあるが、汗腺、脂肪組織、
毛包はない。重層扁平上皮。静脈叢が良く発達。
・ 膣前庭:左右の小陰唇の間。重層扁平上皮。膣前庭に数個の小前庭腺あ
り。又、膣口の両側に一対の大前庭腺(バルトリン腺)が存在。膣前庭
を潤す。
・ 陰核(clitoris):男性の陰茎
海綿体と相同する勃起装置。内
部に白膜(結合組織の膜)で包
まれた陰核海綿体が存在。包皮
が覆う。重層扁平上皮。神経線
維束が豊富で、ファーターパチ
ニ小体、マイスネル小体が存在。
胎盤は血管を主体とする臓器で、子宮内膜由来の組織と胎児由来の組織とから
できる
(胎盤については、別途説明する)
泌尿生殖器系3
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図-33
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陰核