セイル計測マニュアル 2015 公益財団法人 日本セーリング連盟 IRC 委員会 注: 変更・追加箇所は 文章横に 赤の縦線があります。 Ⅰ.IRCレーティング・ルールのセイル計測について、 1.はじめに セイル計測は 3つのルールが基本となります。 1)IRC規則 ( 規則 14 および 規則 21.5 ~21.8 ) 2)IRC計測マニュアル 3)ISAFセーリング装備規定(ERS) ルールの解釈、計測方法について疑問がある場合は、JSAF IRC ルール・オーソリティに問い合わせ るなどの最大限の努力をして、公平なルールを維持しなければならない。 2.計測作業に先立って、 1)用意するもの:1/500M(最小目盛 2mm)まで計測できるメジャーテープ(スチール) 1/1000M(最小目盛 1mm)まで計測できる1M 前後の直定規 直角定規(直角が確認できるもの) 1M の ノン・ティパーバテン 2)計測値の単位:長さ・・メートル 1/100 の単位まで計測 (IRC 12) 12m 345mm ⇒ 12 . 35 m 3)確認項目 ・平らで適度な広さの場所の確保 ・セイルの状態:乾いた状態か? ・JSAF登録艇のセイル番号 (IRC 規則 14) ・セイル番号の確認:位置,大きさ(RRS 付則 G) 4)注意事項 ①エンドーズド証書申告は、IRC クラス公式計測員の計測が必要です。 ②ノーマル証書申告は、オーナーの自己申告も認められています。 但し、ノーマル証書においてはデフォルト値に満たない申告値はデフォルト値が採用される。 (メジャラーによる計測と、セイル・インプットシートが申告書に添付される場合は、その値 が採用されます。 ) 1 ③エンドーズド証書ではセイルに計測値を記入する必要があります。 (JSAF IRC クラス公式計測員だけが記入できます。 ) ④セイルに計測値を記入する場合には、原則として、JSAF IRC スタンプを捺して、 メジャラー・サインをしてください。 スタンプの直近に、計測数値を記入します。まんいちスタンプが手元に無い場合には、 手書きによるメジャラー・サインが必要です。 記入すべき項目例: ・ IRC ・ メジャラー・サイン ( by T.YAGI )→ スタンプが無い場合。 ・ JSAF IRCメジャラー登録番号(例:250-M-0013) ・ セールメジャラーの場合は 従来の SM-???でも 可) ・ 計測年月日 12 , Jan ’ 07 ---- ヘッド・セイル場合---・ LL ・ LP ・ HHW ・ HTW ・ HUW (2013 から採用) ・ HHB 参考値として記載を推奨 ・ Foot Offset (2013 から採用) ・ HSA --- スピンネーカーの場合--・ SLU ・ SLE ・ SHW ・ SF ・ SPA ---メイン・セイルの場合--・ MUW ・ MTW ・ MHW 5)セイル計測値の申告 セイル計測をオーナーより要請された時は、計測したデータを下記のインプットシート (Excel Sheet )に入力して、レーティング・オフィイスに送ってください。 IRC セイル・インプットシートは IRC-公式ウェブサイトから 入手出来ます。 http://jsafirc.com/ 2 3.IRCで要求されるセイルに関するデータ 及び IMS(ORC-I)データから引用できるデータ。 1)メインセイル( Main sail ) MUW = MGT MTW = MGU MHW = MGM 2)ヘッドセイル(Headsail) LL max = J L ( 艇に搭載するヘッドセイルで最大のセイルの値 ) LL = JL LP = LPG HHW = JMGM HTW = JMGU HUW = Not on IMS HHB = JH Foot Offset = Not on IMS HSA = Not on IMS IRC における算出式: HSA=0.0625*LL*(4*LP+6*HHW+3*HTW+2*HUW+0.09) 3)対称スピンネーカー(Symmetrical Spinnaker) SLU = SL SLE = SL SF = SF SHW = SMG SPA = Not on IMS IRC における算出式: SPA = ((SLU + SLE)/2) * ((SF + (4 * SHW))/5) * 0.83 4)非対称スピンネーカー(Asymmetrical Spinnaker) SLU = SLU SLE = SLE SF = ASF SHW = AMG SPA = Not on IMS IRC における算出式: SPA = ((SLU + SLE)/2) * ((SF + (4 * SHW))/5) * 0.83 注:IRC規則の定義で、大きく異なる点。 1)RRS 50.4 は適用されない。 (ヘッドセイルの定義) 2)スピネーカーは一番先のマストの前にセットされ、真中の幅がフットの75%以上あるセイルを スピネーカーとして計測される。 (スピネーカー IRC 規則 付則1) 3 Ⅱ IRCセイル計測マニュアル 1.メインセイル(IRC 21.5) 計測値:MUW, MTW, MHW 1) MUW,MTW,MHW:小数点第二位まで MHWリーチポイント: ヘッドポイントとクリューポイントを重ね合わせる。 MTWリーチポイント: ヘッドポイントと MHWリーチポイントを重ね合わせる。 MUWリーチポイント: ヘッドポイントと MTWリーチポイントを重ね合わせる。 この各リーチポイントからラフ側の最先端までメジャーを振り、最短距離を計る。 注1:リーチのホロー 注2:リーチコードのテンションは十分に抜き、セイル本体にテンションが掛けられるようにすること。 注3:Quater Girthの 計測はありません。 申告に関して (IRC 21.5.1) デフォルト値の定義(ガイダンス) メインセイルの 7/8 幅(MUW) 、メインセイル 3/4 幅(MTW)とメインセイル半幅(MHW)は、 申告されない限り、MUW、MTW、MHW は、0.22*E、0.38*E、0.65*E と想定される。 (IRC 21.5.2) 申告義務 計測値 MUW が 0.22*E を超え、MTW が 0.38*E を超え、MHW が 0.65*E を超える場合は、 申告されなければならない。 (IRC 21.5.3) オーナー申告値の任意性 MUW 計測値は、0.22*E より小さく 0.125*E のロワーリミットまでの値を申告することができる。 MTW 計測値は、0.38*E より小さく 0.25*E のロワーリミットまでの値を申告することができる。 MHW 計測値は、0.65*E より小さく 0.50*E のロワーリミットまでの値を申告することができる。 [注記] Normal 証書においては、デフォルト値に満たない申告値は、デフォルト値を採用する。 JSAF IRC小委員会として、エンドーズド証書の取得(更新を含む)に関して、メジャラー による実測、又はセイル・メーカーの保障した申告値(デザイン値でも可)を求めます。 即ち、セイル・インプットシート(IRC RIG/SAIL INPUT2013)が申告書に添付される場合は、 その値が採用されます。 4 2.ヘッドセイル(IRC 21.7) 1)概 説: 定義:RRS 50.4 は適用されない。 スピネーカーは一番先のマストの前にセットされ、真中の幅(ミッド・ガース)がフットの75%以上 あり、バテンを持たないセイルとして定義され計測される。 2)計測値:LP 、HHW 、HTW、HUW,LL 、LLmax 、HHB LP :クリューポイントからラフ側の最先端までメジャーを振り、最短距離を計る。 HHW :リーチの中点からラフ側の最先端までメジャーを振り、最短距離を計る。 HTW :リーチの 3/4 からラフ側の最先端までメジャーを振り、最短距離を計る 。 HUW : リーチの7/8からラフ側の最先端までメジャーを振り、最短距離を計る 。 Foot Offset :フットオフセットが LP の 7.5%よりも大きい場合、フットオフセットを申告しなければ ならず、HSA の計算でそのフットオフセットをLLに加えなければならない。 LL :セイルの Luff でのヘッドポイントからタックポイントまでの長さ。 LLは最大エリアのヘッドセイルのラフ長さ) LLmax:セイルの Luff でのヘッドポイントからタックポイントまでの長さ。 ( LLmax は、艇に搭載され使用するヘッドセイルで最大の値) HHB : セイルの Luff でのヘッドポイントから直角に測ったヘッドの後方点までの長さ。 (2013 から 計測ポイントでは ありませが 計測を推奨) 5 6 ヘッドポイント及びタックポイント 2015 年 1 月 1 日より ヘッドセイルの計測ポイントが変更されました。 ERS G.4.2(b) が 採用されずに ヘッドセイルのヘッドポイントに ラフテープ(フォイルテープ)が 計測時 含まれません。 3.ファーリング ヘッドセイル (IRC 21.8) ボートは、シングルローラーファーリングヘッドセイルを使用する認定を申請することが出来る。 a)ボートは、少なくともドラム、ファーリングヘッドフォイル、トップスイベルを含む完全なヘッドセイル ファーリングシステムを装備していなければならない。 b)計測された LP は 1.3*J 以上でなければならない。 c)レースの間、スペシャルレギュレーション 4.26(IRC 規則 付則1)によって定義されている、アディシ ョナルのストームジブ使用して良い場合を除いて、一枚のヘッドセイルしか使用してはならない。 (IRC 21.8.1 及び IRC 21.8.2) 7 4 スピンネーカー (IRC 21.6) 1)概説: 定義:スピネーカーは一番先のマストの前にセットされ、真中の幅がフットの75%以上(スピネーカーとし て計測され)あるセイルとして定義される。 注1:対称、非対称の区別はありません。 2)計測値:SLU,SLE,SHW,SF SLU :スピンネーカーのヘッドポイントからタックポイントまでラフに沿って計った長さ。 SLE :スピンネーカーのヘッドポイントからクリューポイントまでリーチに沿って計った長さ。 SHW:ラフ、リーチのそれぞれの中点をセイル表面に沿って計った距離(ERS G.7.5(b) ) SF : タックとクリューのセイル表面に沿った最短距離。 (ERS G.7.1(b) ) 2)申告に関して(レース時搭載のスピンネーカー枚数の申告) レース中、合計 3 枚を超えるスピネーカーを搭載する艇はレーティングの増加を招く。 (IRC 規則 21.6.1) 但し、ISAF SSRのカテゴリィ 3 以上のレースにおいては、レース公示で許可されれば 証書記載の枚 数に、更に 1 枚のスピンネーカーの搭載が許される。 (IRC 規則 11.2) 8 SPA = ((SLU + SLE)/2) * ((SF + (4 * SHW))/5) * 0.83 Ⅲ.セイルメジャメント事務処理要項 1.計測申し込みについて オーナーより 計測の申し込み (申込書と申込料の確認 及び 艇登録の確認) 。 セイルデータのみ変更の再計測の場合:数値変更で 証書の数値が変わる場合 主にオーバーサイズの場合は セイル インプットシート及び 証書の変更手続き行って下さい。 2.計測データの申告(送付)について、 JSAFIRCレーティング・オフィスでは、複数からデータが届く混乱を防ぐため、原則として下記の区分 を明確に確認して対処して下さい。 a)新規計測艇の場合:担当する計測員(IRC メジャラー) ⇒ IRC 担当者 b)セイル以外の艇関係の変更も行っている再計測艇の場合: 担当する計測員(IRC メジャラー) この場合、セイル計測と、艇関係の計測時期にタイムラグがあると、計測員から届いたデータのみ で処理されてしまうことが考えられますので、艇の責任者と「艇関係の再計測をする?」かを、予め 確認をしておく必要があります。 c)セイルデータのみ変更の再計測の場合:オ-ナ-のJSAFへの申込み確認後、IRCセイル・メジャラー から、下記に直接E-Mailにて送付(併送信)をしてください。 ・JSAFIRCレーティング・オフィス (JSAF IRC R/O) ・JSAF事務局 3.証書チェックについて JSAFIRCレーティング・オフィスより、仮アウトプットのチェック依頼があった場合には、報告した数値 との誤りが無いかを確認し、E-Mailにて結果をお知らせ下さい。 4.セイル・インプット・シートについて (Sail Rig input sheet) セイル・メーカーは、計測データのインプットシートの記録を保存しなければなりません。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------計測データの送付は、セイル・インプット・シートに記載して、計測員またはJSAFレーティング・オフィスに 送付して下さい。 (E-Mail) セイル計測値は、全て小数点以下第2位までの数値です。 COMMENT は、計測員またはレーティング・オフィスへの連絡事項等がある場合に使用して下さい。 ---------------------------------------------------------------------------------------------------- 9 参考 資料 以 上 10
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