講演会レジュメ 名張市市民公益活動促進委員会関連事業 141216 帝塚山大学 中川幾郎 「これからの市民公益活動」 ∼名張市のあるべき姿∼ 1.自治体改革の時代に立ち向かう住民自治 (1)団体自治(議会と行政)の改革と住民自治の再創造と活性化 (2)団体自治の改革と住民自治の改革は相関関係にある (3)ピーク時の70∼65%に縮小している自治体財政と職員数 (4)弱体化する地域社会(都市部の内部崩壊と郡部の物理的崩壊) (5)そのツケは、すべて行政に押し寄せ、いずれは住民の不利益に (6)ハイコスト・ローパフォーマンス自治体への転落 (7)政令都市、中核市、特例市グループの目覚め 2.地方自治体の緊急課題「参画と協働(相互乗り入れ)による自治体の自立的改革」 (1)阪神淡路大震災・東日本大震災が示した地域社会の大切さ (2)要求対応型、問題対策型自治体経営の限界 (3)国の借金限界、県の努力限界、市町村自治の主体性確立と自衛のため (4)どこの地域も逃れられない「超高齢化・少子化」社会の到来 (5)「地域を愛する市民」でないとできない地域社会 (6)行政経営を理解する経営者型市民を (7)市民の行政経営への参画・支援、行政の地域社会経営への参画・支援 3.地域社会のこれまでとこれから (1)地域社会を支える住民組織は 戦後=PTA、地域教育組織の発足 高度成長期=行政の縦割り構造がもたらした地域縦割り組織の急速な増加 安定成長期=高齢化による福祉部門の強化(社会福祉協議会) 現在=超高齢化・少子化と組織加入率の低下、団塊の世代をどうするか (2)地域社会の課題 分野別課題、組織分立の克服と総合性の回復(なんでも取り組む) 人材確保・世代継承と持続可能性の確立(誰もが、いつも) 安全・安心課題への早急な取り組み NPOなどとの断絶 (3)総合的な地域コミュニティ協議組織が地域経営の中心的主体となる方向へ -1- ①構想・計画づくり ②将来ビジョン策定と課題の析出 ③生活の全体性に立脚して考える ④事業の仕分け(地域でないとできないこと、行政でないとできないこと)をする ⑤資源の把握、配分を考える ⑥実行の主体となる (4)協働・参画のいろいろな原則 ①対等 ②相互理解 ③補完関係に立つ ④情報公開と情報共有 ⑤相互変革 ⑥期限 など 4.「地域づくり委員会」とNPOの連携へ (1)「地域づくり委員会」はホンモノの「サンマ」への愛をもつ「市民」が集う場 (2)寝民(デラシネ)、居住民(ハビタート)と「市民」(シチズン)は違う 生物的存在...食べる、寝る、排泄する 経済的存在...稼ぐ、利益を得る、労働する 文化的・政治的存在...まちをつくる、守る、まちを持続可能な姿で後世に残す ※古典的な「市民」の定義から 市民の責務とは何か? ①都市経営コストの分担・納税 ②都市自治への日常的貢献 ③都市の危機に際し ての自衛参画(都市を「地域」に置き換えてみる) (3)○(課題別代表性)△(性別・世代別代表性)□(地域代表性)の原則を大切に (4)地域づくり委員会は、NPOをも含む総合地域経営体 5.NPO(市民公益活動団体)とコミュニティ団体との連携のために (1)アソシエーションとコミュニティとの根本的な違いを認識する 集団主義か個人主義か 共和主義か自由主義か 全日的か定時的か 総合性か専門性か 宿命的か契約的か 共同感情か共通課題か 地域の狭域性と広域性 面識性か無名性か -2- (2)NPOを理解するための図面 ※J.ペストフの三角形モデル 6.「地域コミュニティ協議会」制度運用の10箇条 (1)委員会の位置づけを自治体条例で担保する(公共的団体へ) (2)基本構想・基本計画に位置づけを明記する(将来は二層構造の総合計画へ) (3)委員会・協議会エリアは、概ね旧字程度、最大でも小学校区レベルまで (4)執行部の構成は、地域別、性別、世代別、分野別代表性を担保すること (5)地域予算制度を確立すること(補助金では限界) (6)支所・支援センター機能を活用し、行政との連携・調整能力を強化すること (7)地域担当職員との連携・調整を密にすること(ただし、担当職員は下請けではない) (8)情報を共有し、地域別ビジョン、地域別計画を策定すること (9)CBなどにより自主財源を確保し、広報誌発行なども可能な常設事務局機能を確立す ること (10)以上を通じて、「面識社会」を作っていくこと 7.地域社会が意識するべき「まちづくり」の順序 ※いずれをとっても、NPOの協力が必要かきわめて有効 (1)安全・安心のまちづくり(防犯・防災・人権) (2)人に優しいまちづくり(ユニバーサル・デザイン) (3)活力あるまちづくり(コミュニケーション、経済、産業) (4)学び、美しさ、モラルの高いまちづくり(生涯学習、美観、倫理性) (5)どこにもない、個性的なまちづくり(アイデンティティ、オンリーワン) 8.先進事例から学ぶところ (1)三重県伊賀市柘植地区住民自治協議会 人権、イベント「斎王群行」、世代交流 (2)東近江市蒲生地区住民自治協議会 コミュニティビジネスへの果敢な挑戦、指定管理者制度への取り組み (3)兵庫県朝来市予布土地域住民自治協議会 しっかりとしたまちづくり計画、視察・研修受け入れ、レストラン「百笑茶屋」経営 その他、一杯ありますが -3-
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