講義資料

第7章
財政・金融政策とマクロ経済
10月31日(金) 1 限目
第7章 財政・金融政策とマクロ経済
<概要>
政府は様々な政策手段によって、マクロ経済の安定化に取り組んでいる
ただし、政策目標は1つではない
雇用の確保、安定的な経済成長、物価の安定、為替レートの安定など
⇒ これらの目標は、ときに相互に矛盾を引き起こす
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第7章 財政・金融政策とマクロ経済
さらに、政策手段の担い手が複数の組織に分散
⇒ これらの組織の意思決定が必ずしも一致しない
財政政策の実施
⇒
財務省
金融政策の実施
⇒
日本銀行(中央銀行)
この章の目的
① マクロ経済政策の基本事項の習得
② 財政・金融政策が、どのような形でマクロ経済に影響を
及ぼすのか?
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7.1. 政策目標と政策手段
マクロ経済政策の運営には、多くの経済指標がその評価や判断に使われる。
最終目標
中間目標
物価の安定
為替レート
適切な経済成長
金利
雇用の確保
財政収支
国際収支
最終目標
・・・
それ自身が政策目標
中間目標
・・・
直接的な目標でないが、政策の効果や方向性
を考える上で重要な指標
為替レート
⇒
貿易、物価、国際投資などに大きな影響
金利
⇒
金融政策の直接的なコントロールの対象
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7.1. 政策目標と政策手段
政策手段にはどのようなものがあるのか?
財政政策
金融政策
税の調整
金利の調整
政府支出の調整
マネーサプライの調整
外国為替市場への介入
財政政策 ・・・
政府支出や税を調整することで、マクロ経済に影響
を及ぼそうとする政策
⇒ “財務省”の管轄
金融政策 ・・・
金融市場や外国為替市場に働きかけて、金利や為替
レートを通じてマクロ経済に影響を及ぼそうとする政策
⇒ “日本銀行”の管轄
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7.1. 政策目標と政策手段
<財政政策>
政府支出の調整、税の調整
<金融政策>
⇒
第6章参照
⇒ 第4章参照
① 公開市場操作によって、金融市場に資金を供給したり、引き揚げたりする
⇒ “金利”に影響
・ 金利が高い
⇒
景気引き締め効果
・ 金利が低い
⇒
景気拡大効果
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7.1. 政策目標と政策手段
② 外国為替市場への介入
外国為替市場
・・・
円、ドル、ユーロなどの通貨間の取引が行われて
いるところ
為替レート
・・・
通貨間の交換比率
・ 円高
⇒
輸出が困難
⇒
景気悪化へ
・ 円安
⇒
海外製品の価格 up
⇒
国内物価 up
⇒ 中央銀行が外国為替市場に介入してくる
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7.1. 政策目標と政策手段
<他のマクロ経済政策>
雇用維持のための補助金、 中小企業などへの資金繰りの補助、
グリーン自動車税制、 家電エコポイント制度、 など
⇒ 景気対策という意味で、マクロ経済政策のひとつ
と言えなくもない。
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7.2. 金融政策の影響
金融政策として、中央銀行が市中の債券を売買する公開市場操作を想定する
・ 市中から債券を購入 ⇒ ハイパワード・マネー 増加 ⇒ 金利 down
・ 市中に債券を売却
⇒ ハイパワード・マネー 減少 ⇒ 金利 up
<金利の引き下げによる経済効果>
・ 投資拡大
・ 消費拡大(貯蓄意欲が下がるから)
・ 資金流出 ⇒ 円安 ⇒ 輸出増加・輸入減少
⇒ 貿易収支黒字
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7.3. 減税(財政政策)の影響
<所得減税の経済効果>
可処分所得の増加
⇒
消費の増大
⇒ (乗数効果)
⇒ 金利低下と似たような効果
ただし、減税は金利に影響を与えてしまう!
減税
⇒ (乗数効果で)景気拡大
⇒
資金需要 up
① ⇒ (資金流入により)為替レート円高
② ⇒
投資抑制(クラウディング・アウト)
⇒ 金利 up
⇒ 輸出減少・輸入増加
⇒ 貿易収支赤字
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7.3. 減税の影響
“金融緩和”と“減税”は、共に景気拡大を目的としたものだが、
金利と為替レートには逆の影響を及ぼす。
“金融緩和”:
金利 down,
為替レート 円安
“減税”
金利 up,
為替レート 円高
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